タンビョンホ 日本語の勉強はちょっと始めたんですが、やめてしまって。(一同笑い)
キムヒョンタク (日本語で)キムヒョンタクです。副委員長です。
イジェウン 民主労総事務総長のイジェウンです。
キムチャンソプ 私から若干紹介させていただきます。今夏、日本から招待を受けて8・15五集会に行ってきました。日本には動力車労働組合がありまして、ここが民営化に賛成しました。それに反対して脱退したのが動労千葉です。ストライキを闘い、市民団体や弁護士などで支援する会をつくり、日本の戦闘的労働組合の求心になっています。11月9日に日本でも労働者集会をやるとのことで、民主労総も招待されました。今回はその準備と、タン委員長にお会いするために民主労総にいらっしゃいました。
タン 民主労総を訪問してくださったことを、大変光栄に思います。
田中 私どもも、こんなすばらしい闘争をやっている民主労総の委員長にお会いできたことを、心から光栄に思います。
中野 11月9日にはソウルでも10万人集会をやるそうですが、そういう忙しい中、ソウル本部から本部長をはじめ3人が参加してくださることになり、心から感謝しております。アメリカのサンフランシスコからも、アメリカで最も闘っている労働組合の代表が参加することになりました。
◎日本の国鉄民営化の闘争に関心
タン 八七年に国鉄が民営化されたとき、解雇は何人くらいでしたか。
中野 40人ですね。
タン 1000人以上だと思っていましたが。
中野 分割・民営化の時は解雇ではなく、希望退職を強制されたんです。5年間で約20万人でした。それに反対して動労千葉はストライキをやったという理由で、公労法で28人が解雇されました。国鉄時代は公労法によりストライキを禁止されていましたから。そしてJRという新会社に採用を拒否された組合員が動労千葉では12人で、計40人が解雇されました。国鉄全体では、JRに採用を拒否された労働者のうち、90年4月に整理解雇された1047人が、解雇撤回闘争を13年間闘い続けています。
タン 私は日本の国鉄についてよく知りませんが、国鉄民営化の闘争が有名になって、少なからず関心を持っていました。その過程で確か強制解職された人が1500人程度になると聞いています。その人たちはみな組合が分かれているんですよね。全労協に所属している人もあり、全労連に所属している人もあり、一つに集まることができていないと聞いています。
田中 国鉄の解雇撤回闘争は、国労と、私たちの動労千葉と、全動労という三つの労組が解雇撤回闘争を闘っています。今ようやくこの三つの組合の解雇された仲間が一緒に闘いを呼びかけるという、本来の姿が取り戻されようとしています。私たちは、この三つの争議団が一緒に闘った時に初めて勝つことができるという立場で、全力で取り組んでいます。
中野 この解雇撤回闘争はもう13年も続いているんですが、その闘いの最大の弱点はJR資本と闘わないということなんです。政府に対して政治解決を求めて、首を切った資本と闘うことができていないことが最大の弱点ですね。
タン 日本の国鉄民営化の時の過程や闘いには、大きな関心を持っていました。
中野 国鉄分割・民営化の攻撃に対して、日本の労働組合運動は闘えなかったんです。これで敗北してから日本の労働運動がだんだん労資協調になって、連合ができました。だから11月9日に集会をやって、なんとか闘う労働運動のナショナルセンターをつくろうと思っています。
タン 日本でのそういった活動についてよくわからないなりに関心を持っていたんですが、今日お会いできて、具体的にお話をうかがって参考になりました。日本には連合があり、全労協があり、全労連があるんですよね。
中野 ええ。私たち動労千葉はそこに所属しておりません。(チラシを示し)11月9日の集会を呼びかけている三つのの組合は、いずれも所属していません。
タン 新たに組織をつくるということですが、どういう形態で、どのように。
中野 形態を考えているわけではありませんが、今、連合も全労連も資本の攻撃と闘えませんから、現場からものすごく不満が出ています。ですから、連合に加盟している組合でも、全労連に加盟している組合でも、全労協に加盟している組合でも、闘う意志のある組合はネットワークをつくることから始めようということです。
タン 業種は様々みたいですね。
田中 はい。
◎連合には批判的な問題意識
タン われわれも、連合など日本の労組と民主労総の傘下組織との交流があります。しかし連合の活動に対しては、非常に批判的に問題意識を持っています。実際には全労協や全労連との交流のほうが多い状況です。日本において、これまでの運動方針に対する批判的な問題意識を持ちながら新たな運動の求心体をつくろうということについては、私も肯定的です。特にアジア圏の中でそうした運動の核ができていくことは、われわれ韓国でも待ち望んでいたことで歓迎します。一緒に連帯することもでき、力になるものと信じています。
田中 そうですね。
◎ソウル本部は姉妹血縁を結ぶ
タン (コジョンファン・ソウル本部本部長に向かって)ソウル本部と動労千葉は、姉妹血縁を結ぶというような形で……(一同笑い)。ソウル本部と今後緊密に交流して行き来できれば、お互いのためにもなるし、力にもなる。そういうきっかけになると思います。
田中 特に日本の労働者が頑張らないとだめだと思います。アジア中に全部資本が進出して、労働者を搾取しているわけですから。FTA(自由貿易協定)の問題も有事立法の問題もありますし。
タン そうです。
中野 日本は今、危機的な状況にあります。(11・9のビラを示し)この日に総選挙が行われるので、あえてぶつけたんです。自民党と民主党という二大政党が両方とも有事法賛成ですし、憲法を変えようとしています。日本には共産党もありますが、共産党は労働者の闘いからどんどん遊離しています。労働者はどの政党を選んでいいのか困っています。だからこの日、なんとか労働者の団結を示して、その反撃の糸口にしたいと思っています。そういうことで、あえて投票日に集会を設定しました。日本はけっこう議会制民主主義が定着しているものですから、もうすでに選挙真っ盛りです。その中で、労働者に向かって「こっちの集会のほうがおもしろいぞ」と呼びかけています。
タン 非常に意味のある大会のようですね。
中野 はい。
タン 「全国労働者総決起集会」、「総決起」とありますが、どれくらい集まるんですか。(一同笑い)
中野 5000人です。まだ小さいですけれど、なんとか集めたいと思っています。
タン 日本で5000人集会と言ったら、かなり大きい規模なのでは。
中野 ええ、大きいですね。しかし、民主労総は若い労働者が多く闘っているのがすばらしいと思いますよね。
タン そうでもありませんよ(一同笑い)。幹部には若い層が多いですが、現場に行くと、鉄道労働者や自動車労働者はみな40代後半です。けれども幹部は若いです。
田中 若い幹部を輩出しているのが、すばらしいですね。
中野 日本も僕らの世代が労働運動を始めたころは、やはり20代、30代が主力でした。その層がそのまま年をとって。それが今非常に大変ですね。若い労働者が労働組合運動に関心を持たない。
タン われわれも幹部たちは、現場にいる若い層にもちろん粘り強く意識的に教育しているんですが、若い層が労働組合活動に意欲を持っていないという厳しさはあります。
中野 日本も今、若者たちの失業率が非常に高い。全体は五%くらいですが、若い世代は約一割が失業してますから、若い労働者が労働組合に団結する条件はできてきていると思います。
タン 日本でも今後、若い層が幹部として活動する中で、新たな気運が形成されていくのではないでしょうか。
田中 そうですね。こういう取り組みをとおして、その中心になるものをつくりたい。中心ができれば、おのずと枝も生えてくると思っています。
タン そうです。
田中 先ほどの国鉄闘争の流れは複雑ですが、この資料集の「動労千葉の闘いの軌跡」の中に簡単に書いてありますので、あとで読んで参考にしていただければと思います。
中野 今度11・9集会にアメリカから来る組合は、ILWUという港湾労働者の組合で、「全米最強の組合」と言われているところです。
タン (他の幹部に)こんなにみやげを持ってきてくださったのに、こっちからさしあげる物はないのか。(キムヒョンタク副委員長が取りに行く)
中野 (動労千葉から落花生などみやげの説明)千葉県は落花生の産地で、とてもおいしいんです。動労千葉の解雇者の生活を支えるため、十数年にわたって物資販売運動をやっています。ちょうど今もその時期ですから、組合事務所はみな出払っていて誰もいません。北海道から九州まで、これを持って労働組合まわりをやってます。
タン 解雇者は日本でも韓国でも、みんなこうやって生きているんですね。
田中 こういう運動をやっているため、年に2回必ず全国の労働組合をまわっています。その時に自分たちの闘いを訴え続けられるというのは、大きな意味を持っています。連合系の労働組合などでも、現場の組合は協力してくれます。
タン これは民主労総のバッジです。このハチマキは、われわれがいつも闘いのたびに使っているものです。
中野 このハチマキは昨日、リベラホテル労組のろう城テントを訪問した際にもいただきました。
タン 「団結・闘争」と書かれています。
キムヒョンタク バッジは、全世界の労働者の団結。黒人、白人……。
タン 三人の人の顔を表しています。
キムヒョンタク 人種や地域などの差別を乗り越えて、という意味です。
田中・中野 (記念品を受け取り)ありがとうございます。
キムチャンソプ 私たちはバッジをもらったことありませんよ。(一同笑い)
キムチャンソプ 記念撮影をしてはどうですか。
コジョンファン タン委員長は本来、モデル料は非常に高いんですが。(一同笑い)
タン (動労千葉の資料に目をとおして)労働者学習センターとは?
中野 動労千葉だけでなく、いろいろな労組から労働者が参加して学習しています。今年で三期目ですが、だんだん若い労働者が参加するようになっています。連合傘下の組合員も、全労連傘下の組合員も来ています。
田中 この前、キムチャンソプさんに動労千葉の事務所に来ていただいた時も、帰る日がちょうど労働学校の日で、「参加したい」とおっしゃっていました。
タン (コジョンファン氏のひざを叩きながら)今度その労働学校にこのコジョンファン同志を呼んで、講演してもらったらどうですか。(一同笑い)
田中 ぜひお願いします。
タン 今日は本当にありがとうございます。今後も頻繁にお会いすることができればと思います。
中野 恐れ入ります。ぜひ日本へもいらしてください。
タン 機会があったらぜひ。
田中 今日は本当にありがとうございました。私たちも日本で誇れる労働運動をつくるために頑張りますので、よろしくお願いします。
タン 何かお役に立てることがあれば、よろこんで。
田中 光栄です。
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