03春闘 パンフ No.3

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◆03春闘 パンフ No.3

 03春闘に起ちあがろう SPRING fIGHT 2003

パンフNo.3表紙大失業と戦争!

●大幅賃上げ獲得! めざせ春闘の復権!
●賃金・雇用・権利−生きる権利を守りここう!
●JR版大リストラ−第2の分割・民営化攻撃うち砕こう!
●1047名国鉄闘争勝利−国労闘争弾圧粉砕!
●DON’T ATTACK IRAQ−有事立法を阻止しよう!

国鉄千葉動力車労働組合

目次

はじめに

T 日本−世界の労働者がおかれた現実

U 貧困と戦争、なぜこんなことが起きたのか

 1 「グローバリゼーション」と貧困
 2 「グローバリゼーション」と戦争

V 03春闘に向けた日本経団連の大攻撃

 1 全労働者への宣戦布告−「経営労働政策委員会報告」
 2 すべての労働者を不安定雇用に突き落とす
 3 03春闘での賃下げ宣言−「発展途上国並みの賃金に」
 4 社会保障制度の解体
 5 「新大東亜共栄圏」を宣言
 (1) 東アジアに殴り込をかける!
 (2) 戦争政策と不可分一体

W  歴史的転換点としての156通常国会

 1 有事立法に制定・・戦争のできる国へ
 2 労働者にとって歴史的分水嶺となる重大法案
 3 こうした攻撃の本質は何か
 (1) 生きる権利そのものが奪われる!
 (2) 労働者の大反乱の条件は整った

X  われわれの基本的な立場

 1 社会のあり方そのものが間違っている 
 2 労働者の団結と闘いこそが社会を変える
 3 労働者の闘いが歴史を動かそうとしている


 

はじめに

 2003年は、労働者にとって分水嶺、大きな分かれ目となる年だ。労働者は大変な嵐に翻弄(ほんろう)され、戦争が現実化しようとしている。労働者が団結してこの嵐に立ち向かうことができるのかどうか、そのような大きな分岐点を迎えている。
 03春闘は、ほとんどの労働組合がベースアップの要求を放棄するという状況のなかで、賃上げどころか、定昇の圧縮や全廃、ボーナスゼロ、退職金制度の見直しなど、全面的な賃下げが労働者に襲いかかるとんでもない春闘になろうとしている。
 こんな事態を黙って座視することはできない。だからわれわれは、大幅賃上げ獲得を掲げ、ストライキで03春闘に起ちあがる。労働組合が屈服すれば、資本の側がたたみかけるように攻撃してくるのは当然のことだ。だからわれわれは闘いに起ちあがる。03春闘をともに闘おう。

T 日本−世界の労働者がおかれた現実

  1 これが労働者のおかれた現実だ。

日本の労働者の現実

日本の労働者の現実▼ 完全失業者は政府統計でも約380万人。実際は500万人もの労働者が、職を求めながら失業状態にある。
▼ 企業のリストラ計画は、新聞で報道されただけでも60万人に及ぶ。実際は100万人以上の首切り計画が出されていることになるだろう。
▼ 高校を卒業しても就職を希望しながら就職できない高校生が、毎年3万5000人。
▼ 自殺者も急増し毎年3万1000人に及ぶ。その3分の1はリストラを苦にした自殺者だと言われている。
▼ パート・アルバイト・契約社員・派遣社員などの非正規雇用の労働者が急増 し、すでに全労働者の30%に及んでいる。
▼ 年間所得が150万円に満たない世帯が国民の1割に及んでいる。年金収入などを含めてだ。この数年、日本でも貧富の差が急速に広がっている。

アメリカの労働者の現実

▼ アメリカの労働者の賃金水準は、この間の規制緩和攻撃の中で、20年前の水準に引き下げられている。
▼ ニューヨーク市だけでも、家族を養うために慈善団体の炊き出しに頼らなければならない労働者が何と150万人。
▼ 全米では、健康保険がないために病気になっても医者にかかることもできない労働者が4300万人を超えている。国民の4人にひとりだ。
▼ フルタイムの労働者ですら、「5人にひとりが貧困水準以下となっている」というのがアメリカの現状だ。
▼ 一方で、アメリカのトップテンの1年間の収入は、日本円で185億円、20年前の45倍になっている。

世界の労働者の現実

▼ 歴史的に類例のない貧富の差の拡大が世界を覆っている。ある人は世界が「大貧民ゲーム」のようになっていると指摘している。
▼ ILO(国際労働機構)や、OECD(先進国経済協力開発機構)は、全世界の就業人口の30%以上にあたる10億人が、飢餓もしくは失業状態にあると報告し、「1930年代の大恐慌以来最悪の危機的状況」、「今日の失業は第二次大戦以降かつてないほど深刻」としている。

 2 今こそ団結を取り戻そう!

 JRにいて、これほどまでの現実はまだ実感がないかもしれない。だが、政府や財界は、03春闘を契機として日本のすべての労働者をこうした状況につき落とそうとしている。黙っていることはできない。明日はわが身だ。この現実を前にして、労働組合の存在価値が問われている。労働組合はこのようなときのためにこそあったのではなかったのか? だが、日本の労働組合の現状は、その多くが骨を抜かれ、飼いならされ、怒りを忘れ、政府や会社の手先になり果てている。東労組やJR連合などはまさにその典型だ。
 このような現実にたち向うために、労働者は今こそ団結をとり戻さなければならない。社会のあり方そのものが間違っているのだ。労働者の団結した力だけが、労働者の生活と権利を守り、戦争を止め、社会のあり方を変えることができる。労働者の力だけが歴史をつくり、世の中を変える。戦国乱世の時代が到来しようとしている。戦国乱世の行動原理とは、例え今は小さな力でも、断固として時代にたち向った者だけが歴史を動かすことができるということだ。

U 貧困と戦争、なぜこんなことが起きたのか

 問題は、なぜこんな現実が世界を覆っているのかということだ。
 この間、グローバリゼーションということが盛んに言われている。「新しい時代が来た」とか、「世界に国境はなくなった」とか、グローバル化にのり遅れなければ何もかもうまくいくというような宣伝だ。だが実際はグローバル化と言われている状況のなかで、世界で起きた現実は「貧困」と「戦争」であった。

 1 「グローバリゼーション」と貧困

 グローバル化と言われる事態がなぜ起きたのか。その基礎にあるのは、行き場を失った過剰な生産力、過剰な資本、過剰なカネが世界にあふれかえっているということだ。今世界には実際の取引に必要な額の百倍ものカネがかけ巡っている。それが金融緩和だとかIT革命に後押しされて、儲ける先を求めて、行き場を失い地球全体をかけ巡っている。ここが儲かると思ったら、アジアをはじめ発展途上国に集中的に投資する、あるいは土地に投資する、株式に投資する。そして危ないと思ったら一斉に引く、だからバブルみたいなことが起きて、ダメだと思ったとたんにバブルが崩壊し、それが連鎖して世界中を金融危機に陥れる。発展途上国ではぼう大な失業者だけが残される。
国際婦人デー集会に参加した人たち。ニューデリー 例えば自動車の生産設備は世界中で二〇〇〇万台分が過剰だという。アメリカではITバブルが崩壊して経済が奈落の底に落ちようとしているが、これからはインターネット時代だと言って各企業が一斉に敷設した光ケーブルはわずか3%しか使われていない。もはや資本のはけ口がなくなっているということだ。しかしとにかく儲けなくてはならない。だからさらにアジアやアフリカ、中南米諸国から徹底的に搾りとってゆく。また日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進国でも、国際競争に負けると言って、労働者の賃金下げやリストラ・首切りを強行し、権利を破壊する。
 一方、儲けると言っても、それは人間にとっての価値など何ひとつ生まないマネーゲームに過ぎない。こういう状況のなかで「貧困ゲーム」や、危機をのりきるためには戦争も辞さないという現実が世界を覆っているのだ。
写真 国際婦人デー集会に参加した人たち。プラカードには「戦争と虐殺ノー。食料を。命を守れ」とあります=8日、ニューデリー)

 2 「グローバリゼーション」と戦争

図 OECD地域の失業者数推移1950〜95年  こうした事態は、当然、企業と企業が蹴落とし合い、国と国が蹴落とし合うという関係に行き着かざるをえない。
 だからグローバル化といわれる事態は「湾岸戦争」以来の戦争政策と密接不可分なものだ。実際グローバル化は、アメリカの圧倒的な軍事力を背景におし進められた。アメリカはこのわずか10年余りの間に、十回に及ぶ軍事介入を行い、数十回の経済制裁を発動しして「グローバル化」という名の支配を世界に強制したのだ。いっときはアメリカだけがひとり勝ちかのような好景気を生みだしたが、そのアメリカの超バブル経済も崩壊し、世界はもはや万策尽きて出口のない状態にある。そして産み落とされたのは、「テロ根絶」の名のもとに戦争が「正義」「自由」「善」とされる恐るべき事態、むきだしの戦争政策、帝国主義政策が突如として世界を覆うという恐るべき光景である。日本の政府もその船にのり遅れまいとして、イラクへの武力攻撃を支持し、今国会で有事立法=戦争のための国家総動員法を制定しようとしている。
 これがグローバル化といわれる事態の本質だ。そしてそれは戦後の資本主義体制が行き着いた驚くべき末期症状にほかならない。
 OECD地域の失業者数推移【1950〜95年】)

V 03春闘に向けた日本経団連の大攻撃

   1 全労働者への宣戦布告−「経営労働政策委員会報告」

 日本経団連は、昨年12月、「経営労働政策委員会報告」という報告書を出し、さらに1月1日、「奥田ビジョン」を発表した。これは財界の側の03春闘に向けた基本方針だ。日本経団連は、この報告で労働者への全面攻撃を宣戦布告し、さらに、有事立法や強大な軍事力を背景に東アジアに日本の独占的な経済圏をつくると宣言した。
 この報告は、今直面しているのは「国の存続」の問題であり、「日本経済の防衛」の問題なのだから、労働組合・労働者は当然のこととして犠牲を甘受せよ。全面的な賃下げも、雇用、労働条件や権利の解体もすべて甘受せよ。これ以外に国の生き残る道はないと主張している。賃下げを断行し、終身雇用を解体して労働者を例外なく非正規雇用に叩き落とす、というのだ。
 その一方で、自分たちだけは、「資本は国家だ」とばかりに大幅な企業減税を要求し、年金や医療など社会保障制度の企業負担の削減を要求し、銀行やゼネコンの救済を要求するという恥も外聞もかなぐり捨てた報告だ。

 2 すべての労働者を不安定雇用に突き落とす

 別表の「新時代の日本的経営」を参照してほしい。これは、日経連が1995年にだしたもので、これから労働者をこのようにしようという資本の側の青写真だ。
 三角形のAの部分が、今で言えばJRのような終身雇用の労働者で、BとCはパート、アルバイト、派遣、契約社員などの非正規雇用労働者だが、将来的には終身雇用・正規雇用の労働者は全体の10%程度にするというのである。退職金も年金もこの部分だで、あと残りの90%の労働者は不安定雇用で、退職金も年金もない状況につき落とそうということだ。
 日本経団連は、昨年12月の報告にこれを改めて転載し、このような方向に一気に進めることを宣言した。しかもそための段取りもすでにできており、法律的な枠組みの整備が、今通常国会でつくられようとしている。

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図 日経連の「新時代の日本的経営」

  雇用形態 対象 賃金 賞与 退職金・年金 昇進・昇格 福祉施策
期間の定めのない雇用契約 管理職・総合職・技術部門の基幹職 月給制か年俸制、職能給、昇給制度 定職+業績スライド ポイント制 役職昇進、職能資格昇給 生涯総合施策
有期雇用契約 専門部門(企画、営業、研究開発) 年俸制、業績給、昇給なし 成果配分 なし 業績評価 生活援護施策
有期雇用契約 一般職、技能部門、販売部門 時間給制、職務給、昇給なし 定率 なし 上位業務への転換 生活援護施策

     労資関係の抜本的転換に向けた青写真(基本戦略)

 
1995年
2002年
今通常国会→ 20??年
正規雇用(終身雇用) 83% 70% 10%
非正規雇用(有期雇用) アルバイト・パート・ 派遣・契約社員・委託等 17% 30% 90%

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 3 03春闘での賃下げ宣言−「発展途上国並みの賃金に」

 報告では、労働者をこのような状態に突き落とすために、「春闘は終焉した」と宣言し、「賃上げなどは考慮の外だ、論外だ。春闘から『春討』へ」などと称して、「03春闘で討議すべきは定期昇給の見直しだ」としている。定期昇給の見直しとは、永久に賃金は上げないということだから、ズバリ賃下げである。つまり、「議論すべきは賃下げだ」と公言したのだ。そして、何と「日本の労働者の賃金水準を発展途上国並みに引き下げる」と宣言している。
 一方雇用についても、「不良債権処理が本格化すれば、失業が増大し、雇用情勢は一層深刻の度を増す」と、ぼう大な失業者が出ることを前提にしており、賃下げも首切りも両方やって、企業だけが生き延びようとしている。

 4 社会保障制度の解体

 さらに報告は、年金や医療・雇用保険など、社会保障制度を全面的に改悪・解体すると提起している。ここでは医療保険制度について財界が言っていることを見ておきたい。
 医療保険制度は、この4月から「本人3割負担」が強行されようとしており、さらに抜本改悪する政府案がまとめられようとしているが、財界は「そんな政府案では生ぬるい」としている。「国と企業はもはや、現在の医療保険制度には耐えられない」と言い、「打開の道はただ一つ、医療分野に競争原理を導入することだ。そうすれば医療費の総額は必ず抑制されるはずだ」「現在のような社会保険は潰して医療は自己責任だという原則を徹底しろ」と言う。
 医療というのは、絶対に競争原理など導入してはいけな分野だ。「自己責任の原則」というかけ声のもとに、「自分で医療型の保険をかけろ。政府が社会保険をやる時代は終わった」というのだ。企業や国の負担を減らすために、カネのない人間は医者にかかることもできなような社会にしようとしている。冒頭で述べたアメリカのような現実、4人ひとりが保険に入っていないために、医者にかかることもできないという社会が到来しようとしている。

 5 「新大東亜共栄圏」を宣言

 (1) 東アジアに殴り込をかける!

 さらに、日本経団連の奥田会長は1月1日に、「日本の生きる道は、東アジア自由経済圏しかない。遅くとも2020年の完成を目指して、今年から着手する。これは第三の開国だ」という「奥田ビジョン」明らかにした。
 東アジア全域で、EUのように通貨を統一し、関税や投資に関する障壁を無くして一つの経済圏にするというのだ。これは、猛反対するアジアの民衆を叩きつぶして、日本が殴り込みをかけるという道以外はありえないことだ。財界が正面きってこんなことを公言したというのは、実に大変事態である。かつて「大東亜共栄圏」称して戦争にのめり込んでいったのと、そっくり同じ道を歩みはじめたのだ。
 資本主義経済が行きづまり、経済全体がどんどん縮小する中で、主要国が生き残りをかけて自分の経済圏を囲い込み、生き残りをかけて激しくぶつかり合ったのが第2次世界大戦がたどった道だが、今歴史は再びそういう段階に行き着こうとしている。

 (2) 戦争政策と不可分一体

 とくにこれは、アメリカとの関係で激しい利害衝突をもたらす。ブッシュはイラクへの攻撃を開始しようとしているが、その国家戦略で、最終的な目標は中国だと公言している。日本経団連はそうしたことを百も承知で「東アジア経済圏」を主張している。かつて、果てしない侵略戦争の結果、アメリカと激しく衝突して日米開戦に行き着いたのとまったく同じだ。そのためには強大な軍事力を持ち、戦争のできる国にならなければいけない。財界は間違いなく、戦争と不可分一体の問題で考えている。
 実際、今世界で起きていることは、かつてない国家主義の台頭だ。アメリカは自国の利害だけを考えて世界に戦争をしかけ、日本は日本で、拉致問題などもきっかけにして、洪水のような排外主義ナショナリズムが組織されている。「テロ根絶」を掲げれば、戦争をすることが何か当たり前のように報道される恐るべき時代が到来している。これもかつてと同じだ。当時掲げられたのは、「暴支庸懲」(ぼうしようちょう)というスローガンだった。「暴れる中国を懲らしめる」という意味だが、「日本は大東亜共栄圏という素晴らしいものをつくろうとしているのに中国の民衆は反対して暴れている」といって戦争をしかけたのだ。結局財界は、労働者への徹底的した攻撃と、「新大東亜共栄圏」をつくるという二つの道にしか生き残る術がないと宣言しのだ。

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【不気味な一致】

1920年 大戦景気(バブル)崩壊
1922-23年 銀行取り付け騒動
1927年 金融恐慌
1928-29年 米国バブル
1929年 ニューヨーク株式市場暴落
1929年- 1930年 金再輸出解禁
1911年 パブル崩壊始まる
1994-95年 信組の連鎖破綻、住専問題
1997年 金融破綻(山一・拓銀の破綻)
1999-2000年 米国バフル
2000年 ITパブル崩壊
2001-2002年 金融・会計ビッグバン実施

【政策的類似】

浜口雄幸内閣
小泉内閣
・党内少数派閥に基盤を置く内閣
・不良債権処理にゆきづまってうちだした「企業整理」方針
・財政引き締め政策「公債整理」方針
・官業整理
・当時のグローバルスタンダードであった金本位制復帰をめざしデフレに
・日銀による国債購入
・銀行合併
・自治体合併
・大東亜共栄圏
・中国 ・アジアへの侵略戦争へ

・同
「骨太方針」による不良債権の直接処理


・「構造改革」という財政引き締め方針
・特殊法人改革
・金融・会計ビッグバンでデフレが加速


・日銀による買い切りオペ政策
・銀行合併
・自治体合併
・東アジア経済圏
・イラク、北朝鮮、有事立法

・「このままの不景気は底の知れない不景気であります。これに反して、緊縮、節約、金解禁による不景気は底をついた不景気であります。我々は国民諸君とともにこの一時の苦痛をしのんで、後日に大いなる発展をとげなければならない」
・「構造改革なくして景気回復なし」
・ 「痛みを伴う改革」

W 歴史的転換点としての156通常国会

   今開かれている156回通常国会は、労働者にとって大変な歴史の転換点になろうとしている。

 1 有事立法に制定・・戦争のできる国へ

 何よりも重大な問題は、小泉政権が、この通常国会で有事立法を制定すると宣言していることだ。つまり、日本を戦争のできる国にするということだ。
 平和憲法を前提としてきたこれまでの社会のあり方が根本から覆されようとしいる。社会のいっさいの機能を、戦争のために動員できる仕組みに変えるということだ。国、自治体、企業、学校、町内会など、社会のあらゆる機能を、「有事」、つまり戦争をすることを基本にして、再編するといういうことである。JRも「指定公共機関」とされ、政府が「有事」と宣言した場合、戦争協力や業務従事命令が義務づけられる。自衛隊が、物資や土地・家屋などの強制使用・徴用をすることができるという、まさに戦争をするための法律である。こんな法律を通してはならない。

 2 労働者にとって歴史的分水嶺となる重大法案

 これまで労働者が血を流し、汗を流してかちとってきた権利、労働条件、社会的な地位をすべて解体してしまうような法案が、一斉にこの通常国会だされようとしている。労働者の生きる権利そのものが脅かされるような時代が到来しようとしている。これといかに対決するのかが、03春闘の最大の課題だ。

「解雇ルール」の法制化「解雇ルール」の法制化

 労働基準法に労働者の解雇に関する条項がもり込まれようとしていることだ。新聞では「解雇ルール」と報道されているが、実際は「使用者は労働者を解雇することができる」と、「解雇の自由」を労基法に明記しようというのである。 労基法は、少なくとも企業が最低限守らなければならない労働者の労働条件と権利を定めた労働者保護法だったはずだ。それを、労働者の首切りは自由だという法律にしてしまおうというのである。つまり労基法という法律の性格全体を根本から変えてしまおうとする大変な改悪だ。解雇が一定制限されている現在ですら、乱暴極まりない首切りが相次いでいるというのに、こんな改悪が行なわれたらどうなるのかは火をみるよりも明らかだ。

有期雇用契約の拡大

 有期雇用契約や裁量労働制の拡大が準備されている。
 現在の労基法では、「期間の定めのない雇用」=終身雇用があくまでも基本であり大前提だ。その上で例外的に、パートやアルバイト、派遣など、1年以内の期限で有期雇用契約を結ぶことができることになっている。
 今度の改悪では、3年という有期雇用契約を認める、専門職では5年という契約を認めるという法改正が準備されている。雇用契約の基本を逆転し、終身雇用ではなく、有期雇用にしてしまおうとしているのだ。これも、労基法の性格を根本から変えてしまうような改悪である。
 3年とか5年で雇用契約を結び、何度か更新されたとしても、40歳過ぎぐらいで雇い止めになるような状況、事実上の全面的な若年定年制のような状況が社会全体を覆うことは間違いない。
 さらに問題なのは、有期雇用制度が基本になった場合、労働者はつねに何年かごとに雇用契約を更新できるか、雇い止めになるかということに直面するわけで、どんな待遇にされても物も言えないという状態におかれ、あるいは契約更新の際に賃下げを条件にされても受け入れるしかなくなるなど、耐えざる労働条件の悪化と、企業の側からの攻撃にさらされて、抵抗する手段、団結する条件を失うということだ。定期昇給や年金などの社会保障制度が奪われることは言うまでもない。

裁量労働制の要件緩和

 裁量労働制とは、これだけの仕事をして8時間労働と見なす、というみなし労働制で、適用されれば時間外労働という概念がなくなる。1日8時間、週40時間という労働時間の規制を潰してしまおうということだ。
 アメリカではすでに、企業の管理者層だけでなく、鉄道運送業、外勤セールスマン、自動車運送業などにこの制度が適用されている。狙いは、超勤を払わないで長時間労働をさせ、人件費コストを削減するということだ。今度の国会では、ここまでの拡大は予定されていないが、政府や財界は将来はこのような方向にもっていくと明言している。

労働者派遣法の改悪

 さらに、労働者派遣法の改悪が画策されている。現在は「物の製造業」への派遣を禁止するなど一定の制限があるが、今回の改悪では、どんな業種でも、基本的に派遣労働を全面解禁しようとしている。
 冒頭にも述べたとおり、非正規雇用の労働者数がこの間激増し、1483万人に及んでいる。これは全雇用労働者数の3割にあたる。この内、派遣労働者は175万人で、前年と比べると26・1%増。その平均賃金は186万2000円で、JRのような正規雇用の労働者の賃金と比べると三分の一以下である。これが現実だ(別表参照)。
 こうした状況の中で派遣労働が全面解禁になった場合、企業の側が、正規雇用の労働者など雇うはずはない。これまでのレベルを遥かにこえるアウトソーシングや大リストラ攻撃が吹き荒れ、ぼう大な労働者が、派遣などの不安定雇用労働者に置き換えられていくことは間違いない。こんなことを許したら、日本の労働者の平均賃金は、瞬く間に20年前、30年前の水準に落とされることになる。

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【この現実】

・非正規雇用者数の激増 1483万人(全雇用労働者の3割)
・うちわけ
 パート        739万人
 アルバイト      338万人
 派遣・契約社員・嘱託 405万人

・派遣労働者は01年度175万人で、26.1%増
「登録型」 145万人
「常用型」 30万人

・賃金格差
 正規雇用全体 565.2万円
 安定給ワーカー 636.2万円
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 非正規雇用全体 146.0万円
 派遣      186.2万円
(『01年賃金事情』より)

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職安法の改悪

 また、派遣法と一体で職業安定法も改悪されようとしている。民間の職業紹介事業を大幅に認めようというのだ。労基法には中間搾取をしてはならないという規定があり、本来ならば、職業紹介は公共職業安定所以外がしてはならないものである。しかし、派遣会社自体が、要するにピンハネするということで、有料の民間職業紹介事業のようなものだ。「職探しなどは自己責任だ、国や自治体が仕事を見つけてくれるなどという考え方はもう通用しない」という論理で、ハローワークなどは基本的にリストラしてしまおうという方向にある。社会の全てに競争原理・市場原理、自己責任論を導入するということだ。

 「解雇ルール」の法制化、有期雇用契約拡大、派遣労働の全面的解禁という三点セットで労働者の雇用・賃金・権利を根本から解体しようとしているのだ。 しかもその影響は、雇用や賃金破壊だけにとどまるものではない。社会の土台をなす労資関係が覆されるわけだから、社会全体がおかしくなるということだ。民主主義と呼ばれてきた社会のあり方、年金・医療など社会保障制度をはじめ、すべてが覆ることになる。

雇用保険法の改悪

 その他にも、雇用保険法の改悪で、失業手当の給付金額、給付期間を大幅に減らしてしまおうという攻撃が準備されている。坂口厚生労働大臣は「期間ギリギリまで失業手当をもらってから再就職するという不心得者がいる。それを排除するために支給期間を短縮する」と言っている。長年掛け金を払っているわけで、60歳で退職したり、あるいは失業したりして、失業手当を受給するのは当たり前のことだ。にもかかわらずそれを、「不心得者だ」という発想のもとに改悪しようというのである。

年金制度の抜本改悪

図 配偶者控除と配偶者特別控除 年金についても、現在の年金制度の前提そのものを突き崩してしまうような抜本改悪が予定されている。
 ▼物価スライドの凍結解除による年金の引き下げ、▼掛金を20%まで段階的に引き上げ、支給金額は段階的に大幅に引き下げる、▼さらには、パートからも年金の掛金をとるということなどが検討されている。しかもこれからは、一旦受給した年金も、既得権とはしないで、これらの改悪にそって引き下げていく制度にしようというのだ。これらは、現在の年金制度の考え方の根本的な転換・解体に他ならない。
 結局将来的には厚生年金など潰して、年額80万円程度の国民年金だけにしようというのが政府の基本方針だ。後は自己責任でやれというのである。そして国民年金は掛金ではなく、取りっぱぐれがないように、消費税にしてしまおうという計画だ。すでに財界は「消費税を16%まで段階的に引き上げる」という方針で一致し、政府に働きかけている。

税制の抜本改悪

 「戦後初めての本格的な大衆増税」と言われる税制の抜本改悪が準備されている。最大のポイントは、配偶者特別控除を廃止し、所得税、住民税の大増税を強行しようということだ。奥さんが扶養の場合、これだけで約4万〜6万円の税負担増になる。さらに、どんな零細企業や商店からも売り上げに応じた消費税を取り立てるという改悪、たばこ1本1円、発泡酒1本10円等、たばこ税・酒税が引き上げが画策されている。
 問題は、こうして労働者からむしり取りった金を企業に回し、大企業を救済しようとしていることだ。大衆大増税の一方で企業減税を行い、また年収一千万円以上の高所得者は減税になる。
 竹中などは、「金持ちがもっと金持ちにならなければ貧乏人を助けることはできない」と公言している。しかし金持ちが貧乏人を助けたことなど、ついぞ聞いたこともない。

今年4月から実施される大収奪

 最後に、すでに立法化されており、この4月から実施される大変な大衆収奪について触れたい。
 ひとつは、年金と健康保険料の総報酬制ということがはじまる。つまり夏季手当、年末手当からも掛金をとるということだ(別表参照)。この夏から、期末手当の約11%が、厚生年金と健康保険料でもっていかれことになる。
 また、4月から健康保険料の自己負担が3割負担になろうとしている。とにかく徹底的に搾りとり、奪い尽くそうという攻撃だ。

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健康保険・年金の総報酬制(2003年4月実施)

 
健康保険料
厚生年金掛金
  毎月 手当 毎月 手当
現在 8.5% 1.0% 17.35% 1.0%
4月以降 8.2% 8.2% 13.58% 13.58%
※上記比率を労使で折半

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 3 こうした攻撃の本質は何か

 (1) 生きる権利そのものが奪われる!

 このような労働者への全面的な攻撃は、一言で言えば、労働者の生きる権利そのものが問題になるような時代がついに到来しようとしていることを示している。生きる術を奪われ、食っていけなくなる労働者・家族がぼう大に街に吐き出されようとしている。それを承知で、これらの改悪を今国会で強行しようとしているのだ。
 とくに、すべての労働者を不安定雇用に突き落とす、最後の扉があけ放たれるような事態が、この春闘の過程で始まろうとしている。こんなことを許したら、わずかの間に日本の労働者の賃金は、まさに「発展途上国並み」まで、突き落とされることになる。資本と国家が生き残るためには労働者は犠牲になれ、という論理が全面的にまかりとおるということだ。支配体制の側も余裕を失い、「支配はすれど、責任はとらず」という考え方になったのだ。

 (2) 労働者の大反乱の条件は整った

写真 5万人が参加した2003・3・8イラク反戦集会 しかしわれわれがここではっきりと見すえなければならないのは、この情勢は、怒りの声を結集し、闘う労働運動を再生する条件がいよいよ整ったことも意味しているということだ。
 やり場のない怒りの声、平気で賃下げや首切りを行なう政治や企業に対する憤り、自殺に追い込まれるような絶望、こうした一切合財が噴き出す過程がはじまろうとしている。これは、連合や全労連が資本と一体となって労働者を支配するという枠組み自身が全部崩れるというこでもある。労働者の意識の劇的な変化、あるいは大反乱の条件が出そろったということだ。この時に、闘う労働組合が存在し、団結するすばらしさを訴え、団結すれば世の中を変えることができるということを訴え、労働者が展望を見いだすことができるような、闘いの核をつくりあげることができれば、必ずそこに火花が起きる。われわれはそのような闘いとして03春闘に起ちあがらなければならない。
(写真 5万人が参加した2003・3・8イラク反戦集会)

X われわれの基本的な立場

   1 社会のあり方そのものが間違っている 

 われわれは、労働者を犠牲にしてしか生きることのできないような社会のあり方そのものが根本的に間違っているのだということを真正面から言いきらなければならない。こんな現実をもたらしている根本的な原因は、資本主義体制の危機という問題だ。社会のあり方そのものを変革するために起ち上がろうと、全国の労働者に本気になって呼びかける立場に立たなければならない。
 このような時代だからこそ、「労働者の権利は断じて侵してはならない普遍的な価値をもつものである」という労働運動の原点を思いおこさなければならない。誰であろうと、これを侵すことは犯罪である。と胸を張って主張し、闘いぬこう。

2003年2・15−16の国際統一行動に参加した各都市の参加者数 2 労働者の団結と闘いこそが社会を変える

 労働者の団結した力と闘いこそが生活と権利を守り、戦争を止め、社会を変える力を持っている。労働者は社会の主人公であり、その団結した力は、歴史を動かすことができるのだということに確信をもとう。いよいよわれわれが力を発揮する時代、労働者が本当の底力を発揮する時代が到来しようとしているのだ。
 とくに、世界のすう勢、歴史の大きな流れに目を凝らそう。全世界で労働者の闘いが燎原を焼き尽くす炎のように燃え上がっている。2・15−16の国際統一行動には、1500万人とも、2000万人とも言われる史上空前のデモが全世界で闘われている。戦争への危機感と、大失業への怒りの声が結合し、これだけの決起となった。
 昨年、スペインでは2000万の労働者が失業手当の改悪に反対してゼネストに起ち上がり、それを阻止している。イギリスの鉄道労働者は軍需物資輸送列車への乗務を拒否して闘っている。イタリアでも、イラクに運ぶ軍需物資輸送列車をデモ隊が包囲し阻止している。ヨーロッパ各地で、アメリカの領事館がデモ隊によって占拠・封鎖されている。韓国でも労働者がゼネストに起ちあがり、鉄道をはじめ公共事業の民営化を阻止している。
 日本でも、労働者が一斉に起ち上がれば、この国会での攻撃は全部止め、小泉政権を倒すことができるのだ。

 3 労働者の闘いが歴史を動かそうとしている

 労働者、労働組合は、新しい時代というものを見いだす力を失ってしまったのではないかと言われるようになってからすでに久しい。しかし、今世界の労働者は、団結し連帯して新しい時代を見いだす力を急速に取り戻そうとしている。今世界中で、労働者の権利をはく奪し、戦争に突き進もうとする勢力と、それに対する無数の労働者が真正面からぶつかり合って火花を散らしている。そしてその渦中から新しい歴史が生まれ出ようとしている。それが世界のすう勢だ。日本の労働者だけがまだだらしがないが、こうした息吹が日本にも伝わることは間違いない。
 動労千葉は、こうした歴史の流れを見すえて起ち上がる。03春闘をそのような新たな闘いの出発点にしよう。ともに03春闘に起ちあがろう。

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03春闘をともに闘おう!

●新賃金・、反合・運転保安、労働条件改善要求

@ 3800円の大幅賃上げ獲得。賃金制度改悪阻止。
A JR貨物における「生活改善一時金」300、000円(55歳以上の社員は400、000円)の獲得
B シニア制度撤廃−年金満額支払い年齢に応じた定年延長と、65歳まで働ける労働条件の確立、55歳以降の賃金減額制度廃止。
C 第二基本給制度の廃止。
D 差別なき基準昇格制度の確立。
E 諸手当て改善。とくに貨物における諸手当て切り下げ攻撃の撤回。
F 研修・構内業務および、駅業務の外注化、運輸関係事務センター新設計画の撤回。
G 「場内に対する進行の指示運転」の即時中止。
H 強制配転者の原職復帰、士職登用。

●闘いの課題・目標

@ 03春闘勝利!大幅賃上げ獲得! 闘う春闘の再生をかちろろう。
賃金と賃金制度の改悪を許すな!
A 労働法制・社会保障制度の解体−大失業攻撃をはね返し、労働者の生きる権利を守りぬこう。
B ニューフロンティア21、ニューテャレンジ21−第2の分割・民営化攻撃粉砕。 習志野電車区廃止攻撃を阻止しよう。
C 反合理化・運転保安確立。規制緩和−安全の解体、無線通告万能主義を許すな。
D 1047名闘争勝利−国労臨大闘争弾圧粉砕。国鉄労働運動の再生をかちとろう
E 強制配転粉砕−職場から不当労働行為を根絶しよう。
F 世界の労働者と連帯し、イラク侵略戦争−有事立法を阻止しよう!
G JR総連解体−組織の防衛・強化・拡大をかちとろう。

 

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03春闘 ストライキ

3月27日(木)

3月28日(金) 3月29日(土) 3月30日(日)
初日
 2日目
03春闘勝利 スト貫徹 動労千葉総決起集会/(午後1時、千葉県労働者福祉センター)
 3日目
 春闘総行動
3・29 03春闘勝利! 労働者集会(代々木公園)へ
最終日
三里塚3・30全国総決起集会へ参加
ストライキを決行! 400名の結集で集会と支社デモを闘う 1600名の参加で集会とデモ 労農国際連帯

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