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軽量化(ボルスタレス)車両の投入中止を
列車が暴れ、蛇行動、横圧、レールを壊す

「蛇行動」によりレール側面が削り取られている

緩行線・西千葉-稲毛間の揺れ

 レール破断や異常磨耗の多発。レールがこれまで経験したこともないほどボロボロになっている。その背景には、無理なスピードアップ、車両の軽量化やボルスタレス台車の導入がある。
 例えば、総武緩行線(上り)西千葉〜稲毛間の直線で、常時強い横揺れが起きている。レールを見ると、車輪のフランジによってレールの内側が削りとられている部分と、削られていない部分が、交互に周期的に数百mにわたって続いている。台車が激しく蛇行動を起こしているということだ。蛇行動が収まってレールの削れが無くなるのは、稲毛駅のごく直前、列車の速度が低下してからである。

直線でも蛇行動!

 軽量化のために、ボルスタ(枕ばり)や、車体を支える中心軸を無くし、台車と車体を左右二つの空気バネで直接つないでしまったボルスタレス台車は、当初から「蛇行動を起こす」と問題視されていた台車である。カーブなどでは「輪重ぬけ」による低速での脱線がおき、また「反復横跳びするような揺れ」も指摘されている。
 多少の「改善」が施されてきたとはいえ、基本設計上非常に不安定な台車であることは否定できはない。
 総武緩行線・西千葉〜稲毛間はほんの一例に過ぎない。この間問題になっているように、カーブでレールを痛めつけているだけでなく、直線区間でもいたる所で激しい蛇行動を起こしているのだ。
 蛇行動は、ごく低速では起きないが、一定の速度になると発生し、一旦は収まって、さらに速度が上がると第二の不安定域に入ってまた発生し、その後は収束することがないという。西千葉〜稲毛間も、蛇行動が収まるのは、レールを見る限り、稲毛駅に到着する直前、つまり列車の速度がごく低くなってからだ。

列車が激しく暴れている

 こうした状態がレールを激しく痛めつけ、破断や異常磨耗を多発させていることはもはや間違いない。曲線では強い横圧を発生させ、直線でも蛇行動を起こす。スピードアップされ、強力なモーターとブレーキで急加速・急減速することによるレールへの影響も大きい。
 しかもそれは、投入当初から予想されていたことであった。軽量化車両は、投入時点から「踏切が誤動作する」ということが問題になっていたのである。結局、軽量化車両を投入する線区については、踏切検知の高感を上げる工事が行なわれることになった。これは、列車が走行中に暴れていることを意味している。そのために、列車が踏切の開閉検知を何度も踏んだような現象が表れ、誤動作が発生するとしか考えられない。レールが激しく痛めつけられているということだ。
 ボルスタレス台車を使用した軽量化車両が今や主流となっているが、これは重大な欠陥車両である。

特に異常はない?

 西千葉〜稲毛間の横揺れにしても、千葉支社は、組合の申し入れに対し「特に異常は認められない」「基準値内である」等と回答している。
 だが、こんな回答で済ますことは絶対許されない。この3年間、レールが破断した箇所も「基準値内」だったのではないのか。「基準値外」だったが放置していたとでも言うのか。台車が蛇行動を起こしレールを痛めつけているのは、否定しようのない現実である。それを何の対策もせず「特に異常は認ない」のひと言で済ましてしまおうというのか。
 さらに総武緩行線では、運転士から「平井〜亀戸間でガクンと異常な揺れがある」という声が上がっている。ここは、この間の要求によってレール交換を行なった箇所だ。職場には、交換したレールがなじむまでの問題であり特に異常はないという主旨の掲示がだされているが、いくら経っても一向に解消されない。保線業務を全面的に外注化し、ベテランの保線労働者の技術力が失われた結果、工事そのものまでおかしくなっているのではないかという疑念を持たざるを得ない。

軽量化車両の投入中止を

 車両の軽量化・ボルスタレス化は、動力費(消費電力量)の削減や軌道保守費の削減などコスト削減を目的としたものであった。だが、軌道保守費に関しては、結果は全く逆になった。軽量化車両の投入によってレールはボロボロになり、今膨大なレール交換が強いられているのである。
 いつ列車がひっくり返ってもおかしくない非常事態だ。軽量化車両の投入を直ちに中止せよ。速度規制、巡回周期の短縮、さらなるレール交換等、緊急の対策を直ちに行なえ。外注化した保線業務を直轄に戻し、万全の保守体制を確立しろ。

保線の実態−レールが危ない
安全運転闘争が人命を守る!

 
 

 レール破断が全国で起きている。千葉支社管内では3年連続の発生だ。この間の安全運転闘争によって、「破格の予算」をつけさせ、30qにわたるレール交換を実現させたが、根本的な解決はこれからだ。
 どこに原因があるのか?「JRのレールが危ない」とする保線現場からの警告が雑誌に掲載されるなど、実態が明らかになりつつある。スピードアップや軽量化車両の問題以外にも、保守部門の全面的な外注化−切り捨てが根底にある。

異常な傷の多さ

 保線現場の労働者は告発する。
▼4年前のメンテナンス体制の再構築」合理化によって、いちばん短い期間で、1週間で1回の巡回が、2週間に1回となった。レールの検査は、検査装置を搭載した探傷車=RIC(レール・インスペクション・カー)を走らせますが、東日本全体を回していって、1年に1回です。
▼いまのやり方は、数値によって判断をするようになってきて、人間の目とか感覚的な判断、経験を重要視しなくしてきています。感覚的な判断より、機械によって出された数値を重視する。
▼レールの傷で一番危険なCCランク(RICで測定した傷が30o以下)の場合は、三日以内に継目板を取り付け、10日以内にレール交換を実施する。Cランク(15o以上30oミリ未満)の場合には、3日以内に継目板を付けて、1ヵ月以内にレール交換、15o未満の傷ならBランクで1ヵ月以内に継目板を付けて、あとは計画的にとなる。
▼Cランクの傷は、あまりに多くてすぐにやるだけの人がい
ない。浅草橋〜稲毛間では、700箇所以上あった。CCランクは緊急だから期限内に交換したが、Cランクは数が多すぎて本当は一ヵ月以内に交換しなければならないのですが、年度末まで延ばされた。
▼破断にまで至らなくとも、最近のレールは傷がすごい。コストを考えてギリギリまでレール交換をしないということもありますが、それでも最近の傷の多さは異常です。
▼最近はレールの減り方が早い。そのうえ均一に減っていかない。なにかデコボコしたような荒っぽい削られ方が目に付くんです。レールに優しい減り方じゃない。強引に削ったような傷が多い。
───等々、ここにはレールの酷さ、目視によって危険箇所を発見する技術力が軽視され、年に1回しか走らない探傷車による測定値だけが尊重されている実態が明らかにされている。だが、その探傷車も全くあてになるものではないという。

技術力の崩壊!

▼私たちが見ても、「これはヤバイぞ」と思うのに機械には出なかったり、誰が見ても、こんな小っちゃい傷なんか数値が出ないと考えるのにCランクという測定値が出たりということがある。
▼01年10月から02年3月にかけてメンテナンス新体制が敷かれ、ガラッと変わった。保守する側とパソコンで管理する側だけ。それ以降事故が増えた。私たちは乗り心地いい線路にするために「拝見」といってレールをのぞいて、長年の経験でそこの通過トン数によって、レールを上げ砂利を詰める。こうすることで、重い列車が何本が通過すると、きれいにおさまる。それが私たち技術屋の技術なんです。それが否定された。工事直後の検査で、基準の数値内におさめなければならないからです。
▼JR本体の人数がメンテナンス新体制で約半分に減って、それが下請けや孫請けにいき、線路を維持しているという状況になっている。私らは孫請け会社の人たちがどういうふうに仕事をしているか、ややもすると見えなくなる。そうするとパソコンで線路を直しているような錯覚に陥る。
▼ベテランの技術屋はあと5、6年たてばいなくなる。列車巡視のときに運転士と話すと、ベテランの運転士もあそこが悪い、ここが悪いとわかっている。(今は)そういう技術の継承がなんにもない。とにかくマニュアル通りに運転する。JRの対策は「揺れますから注意して下さい」と車内放送をするだけです。
────と。

車両の軽量化!

 また、車両の軽量化がレールに与える影響も、保線側からも次のように語られている。
▼(車両の軽量化によって)レールに不自然な力が加わって変な減り方をするんです。特 にカーブでは金属の粉がすごくて、一面銀色についているところもある。こんなことはいままでなかった。
▼本来ならレールの内側が平均に磨耗していく。それが、表面がボコッボコッとなる。車両が軽くて力があるから、スタートする時に車輪が空転することがある。空転することによって摩擦が生ずる。いまの車輪は固くしているからレールを削ってしまう。車両の軽量化によってレールが部分的にえぐれるようになっているというのが実感です。
───等々。
 このままでは、日本でもイギリスのハットフィールド事故と同じことがおきる。2000年、ロンドン近郊のハットフィールドで、死者四名を出す列車脱線事故が起きた。事故の原因はレール破断だった。
 今年の1月7日の稲毛〜西千葉間のレール破断では、割れ口の幅は約20o。完全にレールが分離した状態だった。しかし千葉支社は、この破断した線路の上を、「閉そく指示運転(速度15q以下)」で列車を走らせたのである。

安全運転闘争へ

 以上のように、保線のベテラン労働者は、その実態を告発している。われわれは、運転士の目、その感覚によって走行区間の危険を察知する。保線の労働者も同様にレールの危機的状況を感知している。闘いなくして安全なし。運転保安確立に向けて、安全運転闘争、06春闘ストライキを貫徹しよう。満を持して闘いに起とう!

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
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