司会
多くの参加で新たな運動スタート
中村吉政(全国金属機械労働組合港合同副委員長)
 4者4団体グループが政府との和解案、解決案に合意した。しかし、本当にこの解決案は、自らが闘いとったものなのでしょうか。決してそうではない。闘争団の23年間を越える苦闘の闘いを否定する解決案だと思います。そのような状況から国労の仲間、そして動労千葉争議団の仲間が、さらにこの闘いを続ける。これほど多くのみなさんのご参加をいただいて新たな運動を続けるスタートに心から喜び合いたい。
 開会のあいさつ
解雇撤回は労働運動の原則
葉山岳夫(弁護士・動労千葉顧問弁護団長)
 1047名が解雇撤回闘争を闘うのは当然のことです。一人の解雇も許さない、解雇されたら、解雇撤回を闘い抜くことは労働運動の原則中の原則ではありませんか。
 元自民党中曽根派の自見庄三郎・新郵政大臣は、中曽根元首相が「よく解決できたな」と喜んだことを国労大会で披露しました。中曽根に喜ばれたことでこの決着の本質は明らかであります。中曽根こそ「行革でお座敷をきれいにして、床の間に新憲法を安置する」と憲法破壊を宣言した張本人です。その中曽根が喜んだことを大会で得々と報告し、これに対して野次もできない大会は、もはやまともな労働組合の大会とはいえません。
 呼びかけ人からの訴え
労働運動を再生させる歴史的意義
伊藤 晃(日本近代史研究者)

 呼びかけ人に加わったのは、私が戦後の労働運動史を研究してきて、いまが決定的な時であると考えたからです。労働運動は民主主義社会を構成する本質的な要素の一つであると考えています。中曽根康弘氏は、労働運動を滅ぼすことによって民主主義を瀕死させるというはっきりした戦略的意志を持って80年代に政治を行った人です。
 1047名の闘いは、多大の苦しみがあったのは事実だけれども、決して単なる救済の対象ではない。労働運動への意志と行動こそ社会の基礎であると20数年、闘ってきた人たちです。だからこの1047名闘争と志を同じくして、無数の運動が再度社会の表面に大きな力となってまとまっていくそのきっかけをつくるものでなければならないと思います。全国運動は、労働運動を再生させる歴史的な意義を持つものであろうと私は考えたわけであります。
韓国の労働運動も注目している
金 元重(韓国労働運動史研究家)

 私は在日韓国人で韓国労働運動を研究しています。韓国の労働運動は、世界的にも高く評価されるようになりましたが、近年、非常に弾圧を受けています。教員組合や公務員労組の団結権が侵害される事例が頻発しています。
 この全国運動に韓国・民主労総ソウル本部を中心とした韓国労働運動の指導者が32人も連帯を意思表示を示したことは大変心強く思いましたし、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回闘争について韓国の労働運動も注目していると思います。
 私は、一から学びなおしながらこの闘争の意味というものを噛みしめて、それを韓国の闘う労働組合に伝えていくことを私の役目として考えていきたいと思います。国鉄闘争が大きな転換点に立つ時に全国運動がスタートすることを心からうれしく思います。
国鉄闘争は労働者の最後の砦
宇都宮理(愛媛県職員労働組合委員長)

 1985年の動労千葉のストライキが現場労働者の力を信じて闘えば困難な中にも道は開けることを証明し、愛媛にも大きな衝撃を与えました。私たちは、動労千葉からさまざまなことを学び、紆余曲折をへて今日まで励まし合い、仲間を増やして、闘い続けて参りました。和解案にやむなく署名をせざるを得なかったみなさんのためにも、この闘争の火を消すわけには行きません。
 自治体労働者には現業廃止を皮切りに、道州制、あるいは地域主権型地方分権という名の大民営化―首切り攻撃が突きつけられています。愛媛県職でも、現業廃止攻撃に対し、正面から民営化に反対して闘うことで道を切り開き、7割を越える仲間が現業に残る道を選択しました。ここまで押し返したのは現場労働者の力でした。
 国鉄闘争を終わらせないことは、すべての労働者にとって本当に最後の砦といってもよいくらい大切なことです。
この闘いは改憲阻止闘争だ
鈴木達夫(弁護士・法政大学弾圧裁判弁護団長)

 彼らが総力を挙げて労働運動の息の根を止めようとしている。私たちは、この時代の危機を乗り越えるのは唯一、労働者階級にあることを確信するからこそ、この卑劣な、歴史上かつてない解決を許すわけにはいかない。
 中曽根元首相が喜んでいるという話が伝えられている。中曽根は何を言ったのか。「国鉄分割・民営化をやり、総評をつぶし、社会党を解体し、新しい憲法を床の間に飾る」と言った。これが87年のことです。しかし、中曽根よ、喜ぶのはまだ早い。実際この20数年間、改憲はできていない。これはまさに改憲阻止闘争です。人民と権力との関係を転換させる、これが改憲です。中曽根の野望はこの全国運動を出発点にして完全にうち砕いて見せる。
「改革」の言葉にひそむ狙い
高山俊吉(弁護士・憲法と人権の日弁連をめざす会代表)
 国鉄分割・民営化の攻撃の核心に何があるのか。国土交通大臣は「国鉄改革は大きな成果をもたらした。国鉄改革の完遂に全力を挙げる」と言った。改革という言葉に、私たち闘う弁護士は全面的に反対する。改革という言葉にひそむ悪辣な反人民性と、この国の骨格を変えようとする深い狙いを私たちは嗅ぎ取っているからであります。
 彼らは、労働者、労働組合の力を極限的にたたきのめし、そしてその後にどういう情景をつくろうとしているのか。その狙いは私たち弁護士には実によくわかる。
 闘う弁護士、労働者、労働組合がひとつにならなければならないときがきた。裁判員制度は一人ひとりの裁判員、市民、国民の心の中に、この国を守るのは自分だという考えを植え付けることによって心の改憲を完遂しようとしている。
 この2つは確実にひとつの問題であり、司法改革というのは新自由主義攻撃のまっただなかにある。そこに私たちは、闘う労働者と団結する理由がある。
被解雇者が全国回れるカンパを
入江史郎(スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合委員長)
 動労千葉の争議団の仲間は9人、それから国労の闘争団の仲間は4人。1047分の13です。闘争団は23年間、私も解雇になって今年7月で26年になる。先立つものがないと資本主義の中では飯が食えない。カンパも非常に重要な闘いで、これから彼らが北は北海道から南は沖縄まで全国の地域・職場を回れるようにカンパをぜひお願いしたい。
 閉会のあいさつ

現場での闘いこそが最大の支援
高 英男(全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部副委員長)

 解雇撤回で闘う動労千葉の争議団、国労闘争団の有志を具体的にどのように支え、ともに闘うのか。目標1億円の基金、金銭的な支援も必要です。しかし、闘いを孤立させないためには現場で闘いを組織する。これ以外に方法はない。
 多くの労働者が、国鉄分割・民営化によって派遣や非正規におとしめられた。闘いの原点は間違いなくここにある。非正規や派遣で労働者の権利を奪い取ることが多くの労働者の怒りを鬱積させている。間違いなくそのことが、動労千葉や国労有志の闘いを盛り上げていくことになると思います。
 レーガン、サッチャー、中曽根が、米管制官組合、英炭坑労働組合、日本の戦闘的労働運動の中心を担っていた国労の解体を狙った。その結果として新自由主義が世界を席巻している。今回の問題は、すぐれて政治的な課題を、世界の労働運動に突きつけています。唯一の武器は、現場での闘いしかない。国鉄分割・民営化との新たな闘いを継続して闘うことは、派遣や未組織という状態に置かれ、労働運動に絶望感を持っている労働者に対して、希望の光を与えるものになるはずです。

 

腐れ果てた古い政治はいらない
  北原鉱治(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長)
 新自由主義は、労働者人民の生活を破壊し、農民と農業を根底から崩壊させ、青年学生からは表現の自由を奪い、未来を奪っています。のみならず、世界に戦争をもたらしている元凶です。
 成田市三里塚で、農地を守り、軍事空港建設反対を貫く反対同盟の2人の同志を国家権力は先般、不当逮捕しました。市東孝雄君は「良い経験になりました。今後ますます闘志を高めて闘います」と語っています。弾圧で三里塚闘争は絶対につぶせません。それが43年間の歴史なのです。「権力よ、思い知れ!」と言いたい。
 鍋釜をつくり、運輸・通信を担う労働者と生きるためにはなくてはならない食料を生産する農民が団結すれば、後は何が必要なのですか。もう腐れ果てた古い政治はいらないのです。新自由主義をうち倒し、新しい社会をつくりましょう。全国運動の目標はそこにあると思います。

 大野義文(元安芸労働基準監督署長)
 前原・国土交通大臣の談話は憤りをもってしか読めない。分割・民営化は、国の犯罪行為でしかない。組合をつぶし、国家財政を乗っ取り、地域と生活を破壊し、労働者とその家族の生存と尊厳を壊し、民営化の中で多数の自殺者、事故を出した。尼崎脱線事故を前原は忘れたと言うのか。前原の「国鉄改革の完遂に全力を挙げる」の文書は犯罪行為の上塗りだ。

 手嶋浩一(元国労九州本部書記長)
 苦渋の選択を強いられた904名の闘争団員を責めないでください。国鉄分割・民営化にあくまで反対して決起されたみなさんの勇気を称賛し、ともに闘いましょう。

 花輪不二男(世田谷地区労働組合協議会顧問)
 労働争議の解決には定式がありません。しかし、国鉄1047名の解雇撤回闘争については、国家的不当労働行為が立証され、24年に及ぶ苦闘の歴史が物語るように解決責任は国側にあることは明白です。なぜ偽装倒産に等しい国鉄「民営化攻撃」で「国の責任が問われず、新会社への就職要請事項となり、年金受給資格が継承されないのか」。私には理解できません。今後はさらに厳しい闘いが予測されますが、この「政治決着」に反対して闘う国鉄労働者が残る以上、私は引き続き、支援と連帯の立場で活動を続けるつもりです。

 矢山有作(元衆議院議員・国鉄闘争に連帯する会おかやま)
 戦後政治の総決算をかかげた中曽根総理は、「行革でお座敷をきれいにして、立派な憲法を安置する」「国労、総評、社会党解体を明確に意識してやった」と公言し、20万人の国鉄労働者が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれ、総評、社会党が解体され、日本の労働運動は後退を余儀なくされ、これ以後、新自由主義政策のもとで、労働者の雇用、賃金、権利、団結は破壊され、全雇用労働者の40%が非正規職に突き落とされたのであります。国鉄分割・民営化攻撃の決着を許さず、23年間闘い続けてきた1047名闘争は、こうした現実への決定的対抗力でありました。和解は分割・民営化の全面的屈服です。いまさらそんなことはできません。

 そのほかの全国運動の呼びかけ人
(個人)山本弘行(動労千葉を支援する会事務局長)
大和田幸治(全国金属機械労働組合港合同事務局長)
中江昌夫(元国鉄動力車労働組合副委員長)

(海外)ジャック・ヘイマン(国際港湾倉庫労働組合ローカル10執行委員)
韓国・民主労総傘下の主要な連盟、労組の代表32人
(団体)全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部