労働組合が先頭にたって
廃線化絶対反対の声をあげよう!
国をあげて地方ローカル線切り捨てに方向転換
現在、JRは「鉄道開業150年」を大々的にキャンペーンしているが、実際に進行していることは「鉄道崩壊」「分割・民営化政策の大失敗、大破綻」という現実だ。
タガが外れたように廃線化を加速
JR西日本は4月11日、「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」として輸送密度(1キロあたりの1日平均旅客輸送人員)が2000人未満の17路線30線区の収支を公表した。これを受けて、4月12日の日経新聞には「JR在来線 6割が廃線水準」という衝撃的な記事が掲載された。
5月10日には、JR東日本の深沢祐二社長が定例会見で、利用者が少ないローカル路線の収支を年内の早い段階で公表する方針を示した。深沢は「サステナブル(持続可能)に地方の交通を維持していくにはどうしたらいいか(地元と)話したい」と述べ、廃線化攻撃を一気に加速させる姿勢をあらわにした。今年2月14日付の「JR東日本の地方交通線の現状と取り組みについて」という資料では、コロナ禍の中での2020年度について「26線区で平均通過人員が1日あたり2000人未満」であると示している。
(26線区=弥彦線、男鹿線、吾妻線、水郡線、烏山線、磐越東線、石巻線、鹿島線、小海線、久留里線、八戸線、陸羽東線、大船渡線、飯山線、釜石線、五能線、津軽線、花輪線、米坂線、大湊線、只見線、北上線、気仙沼線、陸羽西線、山田線、岩泉線)
これは分割・民営化以来の大転換
また国土交通省は今年2月から、「地方路線の刷新に関する検討会」を始めており、7月までに報告書をまとめるとしている。国交省は、鉄道として残すかどうか、その際に沿線自治体と鉄道事業者がどのように協議を進めるか、バス転換した場合の収支や国の支援策など、具体的に踏み込んだ内容を議論している。その内容は、地方自治体に対して“もはや上下分離かバス転換しかない。どちらか選べ”と脅しているようなものだ。
これは、1987年の国鉄分割・民営化以来の大転換だ。国をあげて地方ローカル線をバッサリと切り捨てる方向に舵を切ったことを示している。
「JR6社の6割が廃線レベル」という現実は、分割・民営化が生み出した現実そのものであると当時に、社会全体を新自由主義が覆いつくし、地域の生活が破壊されつくした結果だ。地方での公的な職場は次々と縮小・廃止され、農業、教育・医療・福祉も、子育てできる環境も働く場も、なにもかもが破壊されてきた。全国の地方自治体の半分が「消滅危機」と言われ、他方で、JRはそれを理由にどんどん減便・撤退を進めてきた。それが相互に促進して地域社会を崩壊させてきたのだ。
分割・民営化の大破綻そのものだ
いよいよ始まろうとしている廃線化攻撃は、きわめて重大だ。
新自由主義の大崩壊を背景にして、職場においては「職名全廃・業務融合化」という大転換攻撃が吹き荒れ、大半の駅は業務委託・無人化・窓口閉鎖が進められ、地方においてはとてつもない廃線攻撃が始まろうとしている。これは、「コロナで赤字になったから」ではなく、明らかに新自由主義の30年とその大破綻が生み出した現実だ。
次々と繰り出されてくる攻撃を見ていると、一見、途方に暮れるような規模と勢いだが、その内容は矛盾に満ち満ちている。何よりも、そこで生き、働いているJR本体の労働者やグループ会社の労働者の反乱、地方の怒りの反乱によって必ず破綻する。いまこそ、国鉄分割・民営反対闘争、さらに20年以上におよぶ外注化阻止闘争の経験が真価を発揮するときがきた。
「内房線と地域を守る会」「外房線と地域を守る会」をはじめ地域住民との連帯を強め、労働組合が先頭にたって廃線化絶対反対の声をあげよう!
国鉄分割・民営化直前の1986年5月、自民党が新聞各紙に出した広告。「民営分割 ご安心ください」「会社間をまたがっても乗りかえもなく、不便になりません。運賃も高くなりません」「長距離列車もなくなりません」「ローカル線もなくなりません」と書かれているが全部うそだった!
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