社友会に入ってはならない!
「労組の存在しない社会」を許すな!
社友会の「大懇親会」が呼びかけられるなど、本格的に社友会を組織しようとする動きが顕在化している。
職場では、昨年2月22日、富田社長(当時)が首相官邸に呼ばれたことを契機に激しい労組破壊攻撃が吹き荒れている。32年前、国鉄分割・民営化攻撃―膨大な国鉄労働者の首切りに手をかし、民営化されたJRで会社と労使一体で職場を支配しきた御用組合(東労組)すら潰して「労組の存在しない企業」「労組の存在しない社会」をつくろうとする攻撃だ。この1年余りの間に、東労組からは3万6千人余りが脱退し、東日本労連という形で組織されていたJR下請け企業の労組も全部脱退し、同労連は瞬く間のうちに消滅した。
それにかえてJR東日本は、「社友会」方式を労働者支配の新たな道具として確立しようとしている。表向きは「会社は関与していない」と言っているが、深澤社長自らが、JR本体のみならず、グループ会社にまで「社友会をつくれ」と号令しているのが実態だ。
「名ばかり労働者代表」
下記の新聞記事を見てほしい。今、会社が労働者代表を勝手に選出する不正や「名ばかり労働者代表」が社会に蔓延している。マスコミすらこれでは「会社の思うがまま」だと警告を発しているのだ。
なぜ今こんな問題が起きているのか。安倍首相が「70年ぶりの労働基準法の大改革」と言う「働き方改革」攻撃と関係している。
「働き方改革」の多くの項目が、労働者代表の同意や意見聴取を経なければ実施できないことばかりなのだ。「過労死制度」だと問題になった「高プロ」の導入も、裁量労働制やフレックスタイム制の導入もそうだ。
隠された本音
そればかりではない。実は「働き方改革」の隠された最大の本音の部分は、就業規則や賃金体系の抜本的な不利益変更を伴うものなのである。例えば「同一労働同一賃金」。それは、非正規社員の賃金をわずかに上げて、正社員の賃金を大幅に下げることを意味する。年功制賃金は「同一労働同一賃金」に反するからと言って、40歳半ば位で賃金を頭打ちにすることを意味する。扶養手当や住宅手当は「労働に基づかないから」という理由で廃止することを意味する。しかも、ゴマ刷り・幹部候補を優遇するために全面的な評価制度を伴う。つまり、就業規則や賃金体系の抜本改悪が「働き方改革」の前提なのだ。
JRで開始されている「ジョブローテーション」−運転士・車掌廃止提案などはまさに「JR版働き方改革」攻撃に他ならない。
賃金・労働条件の不利益変更はこれまで、労働組合(労働者代表)の合意なしには出来ないことであった。それを覆して、企業が「不利益変更」を自由自在にできるようなルールを確立したい。それが今、安倍政権と財界が熱望していることなのである。そして、首相官邸とJRが一体となってその「モデル」を確立しようとしているのである。
「働き方改革」の最優先課題
6年前に第二次安倍政権が誕生し「働き方改革」の旗を掲げたとき、規制改革会議等の場で、「最優先課題」として繰り返し確認されてきたことがある。
第1に、「正社員改革こそ働き方改革の最優先課題だ」という主張だ。正社員が保護され、優遇される状態を打ち砕くことこそが「働き方改革」の目的だったのである。例えばこんなことが主張された。「正社員は解雇が規制されているという従来の考え方を引きずってきた誤解を解消し解雇法理を明確化する」「正規、非正規の二分論をこえた多様で柔軟な働き方を促進する」。つまり、正社員を潰すということだ。「ジョプローテーション」とか、JR本体には現業はいっさい残さないとか、JRが今まさに実行していることだ。
第2は「解雇規制解体」であった。これは正社員改革と一体で議論され、条件さえ整えば解雇自由な「限定正社員」を大量に生み出すことが確認されている。これも業務を外注化すれば自由に出向させたり、転籍させたりできる社会を作るという形でJRが促進していることだ。
第3が「一方的な不利益変更の合法化」である。ここでは、「労働条件変更を正当化できる従業員代表法理が必要」「労働条件不利益変更の効力が裁判が確定しない限り不明というのは好ましくない」等の議論が行われている。そして、形式的な手続きさえ整っていれば、どんな不利益変更でも「合理的と推認する」ようにしようと確認している。それは労働組合の存在を根本から否定するに等しい議論であった。
こうしてJRにおける新たな労組破壊攻撃―「社友会」方式が開始されたのだ。社友会に入ってはいけない。それは自らの首を絞める行為だ。職場に闘う労働組合が絶対に必要だ。
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