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新春インタビュー(下)

田中康宏委員長に聞く

改憲阻止!大行進運動の発展を! 労組解体攻撃と対決し労働運動復権かちとろう!

●昨年動労千葉は、改憲阻止の大行進運動を全国に呼びかけ、新たな闘いに踏み出しました。

 安倍政権が「2020年新憲法施行」を掲げたことに対し、労働運動の再生をかけて闘いを再組織しなければならないと考え、関西生コン支部や港合同、百万人署名運動、憲法と人権の日弁連をめざす会と共に呼びかけを発しました。全身全霊をかけた真剣さで原則性と大衆性を合わせ持った運動をつくろうと。闘いは始まったばかりですが、全国各地の仲間たちが本当に頑張ってくれています。
 安倍政権が進める改憲攻撃は「戦争のできる国」をつくるためのクーデターです。憲法9条に自衛隊を明記すれば、戦力維持が憲法上の義務になる。国や地方自治体、学校、企業は全部協力せざるを得なくなる。
 一方、労働者の権利・基本的人権は否応なく制限される。国の性格が根本から変わることになります。「緊急事態条項の新設」も同じです。かつてヒトラーが独裁体制を樹立する「手口」として使ったのが緊急事態条項でした。
 「戦争だけは二度と許してはならない」は、戦後日本の労働運動の一貫して変わらない原点でした。だから戦争法や共謀罪のときも、何万という人々が国会前に集まった。だけど、屈服を深める野党や既成勢力は「選挙協力」だけが唯一の抵抗手段かのように言って怒りの声に冷水をあびせ、雲散霧消させている。この現状を見て、われわれが声をあげなければいけないと考えました。

●安倍は、結局改憲案を国会に提出することができませんでしたね。

 臨時国会の当初は、憲法審査会の幹事を総入れ替えし、本気でした。でも、自民党の中ですら安倍についていこうとする者がどんどん減っている。内閣の構成一つとっても、腐敗不祥事まみれの者しか据えられなくなっています。
 でも絶対に武装解除してはいけない。米中の衝突が始まり、アベノミクスが大崩壊しようとしている今、安倍にとって、改憲と大軍拡に突き進む以外残された道はありません。辺野古への土砂投入や、入管難民法改悪の強引極まるやり方の中に安倍政権の凶暴さが示されています。
 安倍政権は天皇代替りと一体で、国家主義を振りかざして改憲発議を暴力的に強行しようとしています。当面、通常国会の過程が大きな焦点になります。

●社会の在り方が根本から変えられようとしているように感じます。

 改憲攻撃の背後で、これまでの社会のあり方を根底からくつがえすような現実、攻撃が進行しています。
 水道事業が丸ごと民営化されようとしている。世界三百数十ヵ国で失敗に終わり、公営に戻さざるを得なかったことを、あえて今やろうとしているのです。社会丸ごとの民営化です。
 今年、大阪で小中学校の公設民営化が始まります。アメリカでは学校の成績によって運営会社への補助金が変わる。だから成績の悪い子はどんどん排除されていく。公設民営校の先生は全員非正規です。こうやって教育が崩壊していった。こうして起きたのが「教育戦争」と呼ばれる教育労働者の大ストライキでした。
 「働き方改革」と称して労基法や労働基本権的な考え方が社会から解体・一掃されようとしています。JRがその先頭を走っている。「全世代型社会保障制度改革」と称して生きる術が奪われようとしている。
 漁業法、種子法、畜産安定法などが次々に改悪され、大資本の利益のために地場の農業・漁業・畜産業が潰されようとしています。大変なことです。社会を崩壊させてでも資本の利益を追求する。これが安倍政権の手で進められていることです。

●そのために新たな労働運動解体攻撃が仕掛けられているわけですね。

 そうです。JRの職場で起きている事態も、JR東日本の社長が官邸から呼ばれて、「2020年までに組合を潰せ」と指示されたことをきっかけに始まった国策的攻撃です。
 連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧が執拗に続いています。中小零細の生コン会社を共同組合に組織して競争原理を阻害し、巨大ゼネコンやセメントメーカーに歯向かうような労働運動は、もはや絶対に許さないということです。でも関生支部は「嵐は若木を育てる」と一歩も引かずに闘っています。
さらに、日教組や自治労への最後的な解体攻撃が仕掛けられています。自治労や日教組を潰さなければ、改憲国民投票に持ち込めないと考えているのです。
 その一方で、連合を「現代の産業報国会」として完成させるために育成されているのがUAゼンセンです。UAゼンセンは9月の大会で「武力行使を前提とした9条改憲推進」とする中央執行委員会見解を発表しました。
 労働運動が解体されたとき、戦争は現実のものとなる。われわれはこのことを肝に命じてこの1年全力で闘いぬかなければならないと決意しています。

●昨年末以来のニュースを見ていると、世界中が大激動の渦中に入ったように感じます。

 先送りはされましたが、米中の貿易・通商戦争が、軍事的緊張をはらみながら非和解的に衝突しようとしています。事態はついに中国最大の輸出企業・ファーウェイの最高幹部をカナダで逮捕させる事態にまで至りました。背景には、リーマンショックを遥かに越えるようなバブル経済の崩壊が迫っている事態があります。
 25%の関税が発動されれば総額50兆円にも及ぶ輸出入が止まる。世界経済は一挙に縮小し、世界中に失業者が溢れ返り、国家の利害をかけて衝突する。これはまさに「いつか来た道」に他なりません。
 テレビニュースですら「アメリカはトランプ政権が発足して以降、内戦状態だ」と報じています。怒りの声が闘いとなって爆発している。こうした事態を前にして一番震えあがっているのは安倍政権です。だから改憲に突き進もうとしているわけです。

●ヨーロッパでも、フランスやイギリスなどで大闘争が始まっている。

 燃料税の引き上げをきっかけにものすごい闘いが燃え上がっています。2018年に軽油1gあたり76円、ガソリン1gあたり39円増税したのを、今年からさらにそれぞれ65円、29円上げようとした。まさに生きていけなくなるような大増税です。
 でもそれだけじゃない。闘いは「打ち棄てられた地方の反乱」という形で始まっている。だからパリに向う道路が各地で占拠されて交通が遮断された。
 さらに社会保障制度改悪に対する怒りの声が爆発した。「わずかばかりの年金も仕事が無い娘のために消えていく。どうやって生きろというんだ。フランスは革命の国だ!」。報道されたデモ参加者の声です。マクロンは怒りの声の余りの深さに譲歩せざるを得なくなり、もはや死に体です。そして闘いは今、ベルギーやオランダに燃え広がろうとしています。
 イギリスでもEU離脱をめぐってメイ首相は引くことも進むこともできなくなっている。ドイツのメルケル政権も同じです。将来に確信をもっている政権は一つもない。すべてが噴火山の上に乗っている状態です。
 韓国でも「ろうそく革命」の火は消えていません。どんどん裏切りを深めるムンジェイン政権に対する必死の闘いが続いています。
 さらに、ホンジュラスからアメリカ国境に押し寄せているキャラバンも、この社会の矛盾がもはや解決する余地を完全に失って爆発しようとしていることを示しているように思います。国境が開いていないことを誰もが知っていながら、命がけで行進してくる。よっぽどのことです。ホンジュラスはアメリカが南米を支配するための反革命の拠点としてメチャクチャにした国です。積もり積もった矛盾が爆発しようとしている。

●日本でも闘いは始まりますか?

 必ず始まると思います。日本の場合、一国の労働運動のナショナルセンターが解体されるところまで、一旦闘いが後退を余儀なくされました。こんなことは国際的に見ても他にあまり例のない事態です。
 それに伴って、労働運動が本来もつ荒々しい力や、世界各地で燃え上がっているような階級闘争の思想が、この社会から一掃されてしまったかのような状況が長く続いてきました。しかし、この社会に階級対立があり、それがますます激しく衝突しようとしている以上、労働者の闘いがこの社会から無くなってしまうことなど絶対ありません。これからだと思っています。
 改憲・戦争阻止!大行進運動の中で復権させたいのはそうした闘いです。また、全てが国鉄分割・民営化から始まった以上、それと闘ってきたわれわれには、その闘いの先頭に立つ責任があると考えています。総評解体から30年にあたる2019年、今度は日本における労働運動復権の年にしたい。そのためにも動労千葉自身が組織拡大を実現することです。

●結成40周年の今年を動労千葉の新たな発展への一歩を踏み出す年にしたいですね。

 歩んできた道は絶対に間違っていなかったと確信しています。30年に及ぶ国鉄分割・民営化反対闘争、20年に及ぶ外注化阻止闘争の中で築きあげてきた成果を今年こそ発揮させたいと思います。
 動労千葉の分離・独立はジェット燃料輸送阻止闘争に対し、動労本部が統制処分攻撃を加えてきたことがきっかけでした。その三里塚の闘いも、昨年末に千葉地裁が市東さんの農地強制収用を認める反動判決を下したことで今年はまさに正念場です。沖縄でも間違いなく怒りの声が爆発する。改憲・戦争に対する時代への危機感も必ず高まる。そして何よりもJRの職場でも「これでいいのか」という声は必ずあがる。
 期せずして、すべてが決戦に入ろうとしています。40年間の努力が実を結ぶチャンスが到来しています。全組合員の力を結集して組織拡大を実現することです。

●今日はありがとうございました。

組織拡大! 闘う労働組合を歴史の最前線に登場させよう!
 
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