これが
「生き生きと働くことができる会社」?
JR貨物新人事制度交渉報告
動労総連合は12月13日、JR貨物の「人事制度の見直しについて」、団体交渉をおこないました。
まず、組合側の「人事制度の見直し提案について直ちに撤回すること」に対して、「人的課題としては、厳しい要員状況があるため、積極的に社員を採用してきているが、若年社員の離職が過去に比べて目立つようになってきている・・・学生等から選択される企業となるためには、初任給改善や働き方の多様性に対応し、働き甲斐や成長を感じられる会社になることが必要となっている。そのため今回、制度改正の提案を行っており、撤回はしない」との回答でした。
新人事制度の提案も9月28日と遅く、充分な団交も、現場労働者への説明もないまま、はじめに来年4月1日実施ありきの会社の姿勢は大問題です。
交渉の主なものを抜粋して報告します。
評価制度・賃金制度関係
組合:評価が「公平公正」に行われる根拠について
会社:評価を行う評価者については、評価者研修を受講することで評価者のレベルを一定の水準に保つ。また、評価者の目だけでなく、第三者を入れた評定会議を実施し、公平公正を担保する。
組合:会社は評価者に必要な教育を実施するとあるが、教育の具体的内容について
会社:評価者への教育は、評価が具体的な事実に基づき公平公正に行われるよう、外部の専門家とともに人事部門が行う。
組合:賃金制度において、職務手当を基準内賃金とし、家族手当を基準外賃金としたことについて
会社:社員の役割発揮に応じた賃金を基準内賃金とした。
組合:都市手当の支給率を変更したことについて
会社:転勤の障害となる賃金格差をなくし、段階的に都市手当の格差を解消していくため。
組合:扶養手当を廃止する理由について
会社:子育て支援を重視した家族手当に改めるためである。
嘱託・シニア社員関係
組合:シニア社員の契約期間を、5年以内で複数年の契約期間を定める、また65最以上は単年度契約のみとしたことについて
会社:社員の生活と雇用の安定を目的に、複数年の契約を可能とするものである。ただし、原則は年金満額支給開始までとしたため、65歳以上は単年度契約のみとしている。
組合:シニア社員制度において、特別休日数の違いで2つのコースを設けたことについて。及び、コースAを56日、コースBを80日とした理由について
会社:シニア社員の多様な働き方を実現するため、社員と同等の働き方となるコースAと現行制度の嘱託社員と同じコースBを設ける。
組合:シニア社員の基本賃金・調整手当について地域間格差があることについて 会社:現行通りである。
組合:シニア社員の退職慰労金の積み増し額がコースA、コースBで違うことについて。及び、コースAを50万円、コースBを25万円とする理由について
会社:長期間安定的に働くことによる、会社への貢献に報いる方策として、より社員にメリットがある慰労金を積み増すことにした。
組合:現在、嘱託社員として働く社員と、新人事制度との関係について
会社:現在、嘱託社員として働く社員については、次回契約更新時より新制度を適用する。
55歳・60歳以降はおきざり
鉄道の仕事は、ハンドルを握るときは一人でも、凸(デコ)も凹(ボコ)も、いろいろある現場労働者のチームワークで成り立っています。評価制度の導入は矛盾だらけです。
55歳以降の基本給カットを緩和するといっても、すでに55歳以上の社員には、毎年「昇給」があるということだけです(それも、評価によって)。そして、「賃金格差をなくし、段階的に都市手当の格差を解消する」としながらも、嘱託(シニア)社員の基本賃金に地域間格差があることについては「現行通りである」。現場の感覚では「年寄りをこき使って大変なだけで、いいとこねーな」です。これのどこが「生き生きと働くことができる会社」でしょうか。
動労千葉・動労総連合は、勤続35年で7等級まで昇進・昇格できる基準昇進制度の確立。55歳以降の賃金減額制度の廃止。満65歳まで定年を延長し、これにより嘱託社員制度を廃止すること等の、春闘交渉などにおける基本要求に基づき、新人事制度改悪との闘いを進めていきます。 |