不当労働行為の責任はJRにある
ただちに団交を開催しろ!
この間、JR東日本本社は1047名解雇問題について、「当事者ではない」といって団交を拒否する不当な対応を続けている。
2000年に行われた懇談会の議事録『JR西日本井手正敬会長と語る国鉄改革前後の労務政策の内幕』で、井手自身が「名簿不記載基準の策定はJR設立委員会の斎藤英四郎委員長の指示」と明確に述べている。このことについても、会社は「関知しない」「評価しない」という対応を行ってきた。
JR設立委員長が直接指示した
この点について、牧久著『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』(17年3月16日)では、懇談会のさらに詳細な議事録に基づき、当時の状況がより鮮明に記されている。
〈二人(井手・葛西)が設立委員会の委員長・斎藤英四郎を訪ね、「委員会としてきちんとした採用基準を作ってほしい」と陳情すると、斎藤は「君らが自らその案を作れ」と指示した。葛西が「不当労働行為といわれないギリギリの線」でその案を作り、メモにして斎藤に手渡した。採用基準に盛り込まれた「(国鉄在職中の)勤務状況から見て、新会社の職員としてふさわしくない者」の除外規定である。斎藤はそれを自らの案として設立委員会に示し「組織を破壊するようなことばかりやっていた連中を、新会社で、大手を振って歩かせれば、組織は再びおかしくなる。過去の処分歴などが選考基準に入ることはいいことだ」と説明した。〉
〈その結果、盛り込まれたのが「昭和五十八年度から六十一年度までの間に停職処分二回以上、または停職六ヶ月以上の処分を一回でも受けた者、それ以外に採用基準に適合しないという理由がある者」という「採用不適格基準」である。国鉄当局はその該当者を採用者名簿から外した。〉
この経過を見れば、「採用不適格基準」が、斎藤英四郎委員長の指示によって進められ、設立委員会にもはかられた上で策定されたことは、誰の目から見ても明らかだ。
組合差別目的に不採用基準策定
この「採用不適格基準」そのものが不当労働行為だったことは、最高裁も認めた事実だ。
〈国鉄当局としては、当初は、動労千葉所属の組合員をも基本的には採用候補者名簿に記載する方針で同名簿の作成の準備を進めていた〉
〈改革労協(当時の動労本部・革マルなど。現東労組)側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に所属する職員を、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定〉
事実の経過を見てみよう。
JR東日本に関しては、希望者数が採用予定数を下回り、当初は国鉄当局も「全員採用」の方向で動いていた。しかし、動労本部・革マルら(現東労組)がこれに強硬に反対し、国鉄分割・民営化に反対していた組合員の不採用=解雇を要求した。そこで、採用候補者名簿の提出締め切り直前に、急遽この名簿 不記載基準(「採用不適格基準」)」が策定された。
対象とされた4年間に限れば、動労本部・革マルは分割・民営化に協力してきたため処分者は皆無だった。しかし、それ以前の処分歴を対象にすれば、動労本部・革マルからも多数の不採用者が出る。国労や動労千葉の組合員を集中的に不採用=解雇するために、意図的に期間を4年に限定したのだ。
名簿不記載基準は、明らかに組合差別のために策定された。これは最高裁ですら認めざるをえないほど明白な不当労働行為だ。
もはや言い逃れはできない
国鉄改革法23条は、「設立委員会のした行為はJRの行為」と規定している。JR東日本本社も、「斎藤英四郎はJRの当事者」と認めている。そして、名簿不記載基準の策定自身が不当労働行為であることは法的にも確定した。
その中で、この井手発言が明らかになったのだ。「関知しない」「評価しない」という言い逃れはもはや許されない。会社はただちに団交を開催しろ! 「解雇撤回・JR復帰」署名を受け取れ! 国鉄闘争勝利まで全力で闘おう。 |