今後10年間で25800人=43・4%が退職
全てを外注化で乗り切ろうとするJR東日本
雇用の場の確保ー「スムーズにいっていない」と回答せざるを得ない状況
JR東日本では、今後10年間で国鉄採用者の大量退職が最大の問題となる。とくに、60歳以降、年金が全く出ないという状況の中で、60歳以降の働く場の確保は、深刻な問題になっている。
こうした状況に対して動労総連合は、JR東日本に対して、大量退職期を迎えるにあたって高齢者の雇用の場をどのように確保しようとしているのかを糾すとともに、定年年齢の延長を要求して団体交渉での徹底的な追及を行ってきた。
ピーク時には倍の一万人分のエルダー雇用が必要!
団体交渉の中でJR東日本は、年齢別の人数として次のとおり回答を行ってきた。
19歳以下 400人
20歳〜24歳 4000人
25歳〜29歳 8390人
30歳〜34歳 8100人
35歳〜39歳 7140人
40歳〜44歳 2820人
45歳〜49歳 2720人
50歳〜54歳 13960人
55歳以上 11840人
この回答からも明らかなとおり、今後10年間で25800人(43・4%)に及ぶ労働者が退職する。しかも、17年度以降のピーク時には年間3500人規模の退職が3年程度続くという状況だ。
一方、4月時点におけるJR東日本のエルダーの人数は約5000人で、今後の大量退職により最大で10000人に達するとの回答を行ってきた。現在の倍の雇用枠を確保する必要があるということだ。
具体的には各支社での取り扱いになっているが、全体としての雇用の確保について質したところ、「当面の3年間はエルダー修了者との出入りで切り抜けることはできる」「雇用先確保はスムーズにはいっていない」「過去に付き合いのあった企業等も含めて交渉を行っている」「退職者の希望どおりにならないこともある」と回答するだけで、具体的な内容については一切明らかにしないという対応だ。また、都市部以外での雇用の確保については、千葉と同様に厳しい状況だというのだ。
結局、働きたくて通えない、希望する職種・地域がないためにそのまま退職せざるを得ない状況に追まれるということを意味している。
「出向は悲観すべきことではない」と言語道断の発言
さらに、今後の大量退職を迎える者のうち約半数が営業関係の退職者であること、この退職者を受け入れるために駅業務外注化の深度化(規模に関係なく委託するということ)を打ち出してきたとの考え方を明らかにしてきた。結局、大量退職を利用して業務外注化を進めることを最初から狙っていたということだ。
また、グループ会社でのプロパー労働者採用によりエルダーの働く場所がなくなっている現実を追及したところ、「大量退職が終わった段階で誰が業務を行うのかということを考えると、プロパーを今から採用・要請しないと間に合わない」との回答を行ってきた。しかし現実は、まともな教育もせずに配置し、何かあったら責任を転嫁しようとしているのだ。さらに、外注化で出向している問題に対して「出向は悲観すべきことではない」などととんでもない回答を行ってきたのだ。出向により労働者がどれだけ苦悩し、不利益を受けているのかを全く理解しようともしていない会社の姿が、この一言に現れている。断じて許すことはできない。
10年間で8800人の要員削減が狙われている!
一方、JR東日本での新規採用者数は、毎年1700人前後を採用しているが、このままの採用を維持した場合、17000人の採用されることになる。しかし、10年間の退職者数から差し引くと、現在よりも8800人も要員数が少なくなるという状況だ。JR東日本は、大量退職を理由にした業務外注化と要員削減攻撃を一気に進めようとしているのだ。こんなことをしたら安全が崩壊することは明らかだ。
「外注化ではなく定年の延長を!」これが今求められている最大の課題だ。団結して闘いぬこう! |