新春
座談会
検修・構内業務外注化―強制出向粉砕!
組織拡大と職場闘争で反撃を!
―強制出向者に聞く
今年は、業務外注化ー強制出向粉砕に向けて職場での闘いと裁判闘争も含めて正念場の年になります。検修職場の出向を強制された仲間に闘いの決意と抱負を語って頂きました。
◎新春座談会参加者(敬称略)
長田 敏之(書記長/津田沼支部)
関 道利(執行委員/幕張支部)
木科 雄作(青年部/幕張支部)
外山 義章(木更津支部)
鈴木 敏夫(木更津支部)
【司会】繁沢敬一(副委員長/京葉支部)(文責 編集委員会)
繁沢 まず、昨年7月の外注化提案以降の職場の状況はどうでしたか。
関 千葉では12年間止めてきたから、会社も本気だろうけど絶対に止められると思ってた。一方で東労組の団交の中身が出され、これは進むなと思ったから、「10・1」をどう止めるかを考えてましたね。
長田書記長 |
長田 だから東労組の言っているウソを暴露して、東労組の中に一定の反乱を作り出した。
関 実際に京葉車両センターの構内外注化は3ヶ月阻止した。
外山 木更津では、幕張支部が牽引してくれた闘いと同じ方向を共にした。とくに職場の中で闘うという戦術は力になりました。
東労組の率先協力で外注化強行
繁沢 京葉車両センターでは、東労組がうわべだけ反対して、実際には協力してたから、それをもっと分からせたかったよね。
木科 彼らは、反対してるっていうパフォーマンスですよね。所長室にも乗り込んだみたいですけど、実際に外注化されて「ふざけんじゃねえ」って言うやつが自発的に出てこない。
関 東労組の若手の反発も含めて一定の反乱があった。それを俺らが吸収しきれなかったというのはある。そこができていれば外注化もどうなっていたかわからなかった。
長田 習志野の場合は、仕業・構内の内計画が1年間先延ばしてされ、要員的には限られていたから対象になるのは分かってた。そうなっても東労組は一切情報を出さなかった。だから東労組の組合員は何がどうなっているかさっぱり分からない。国労だって全然何もやってなかった。それでこちらが日刊とかいろんな資料を出していって、初めて彼らもこういう状況なんだと分かってきたんだよ。現場では全て動労千葉が主導した面はある。
木科 幕張も日刊はけっこう読んでましたね。やっぱり気になっているのがすぐ分かりましたね。
戸山君 |
説明会で徹底的に抗議と追及
繁沢 出向の事前通知や説明会での闘いはどうでしたか。
長田 やっぱり、出向の事前通知で職場は大きく変わった。東労組の平成採が苦情処理を出したりとか、それまでとは考えられないことが起こった。だから当局を圧倒していた雰囲気はあったね。
関 幕張でも事前通知は受け取らなかった。出向の説明会は拒否しようと意思統一して、説明会に乗り込んで指名ストに入ったんだけど、みんな元気よく抗議して指名ストを宣言してから入っていった。それを平成採も見ていたわけ。
長田 習志野では、管理者が説明会に出てくれと言ってきたけど、俺たちが抗議するとそのまま帰っちゃう。業務指示も出ないから、みんな説明会も受けずに帰った。
繁沢副委員長 |
職場外注化と強制出向に職場丸ごとの怒り
繁沢 そういうなかで10月1日を迎えた。職場の様子は?
長田 当日は、午前中出勤して午後からストライキに入った。若いのがスリッパでCTSの点呼に出て、管理者に「靴がないから、これしかないですよ」って怒ってるわけ。そんな雰囲気もあったね。また、習志野は、計画と仕業・構内が分かれた関係で仕業・構内の要員が足りなくなって、そこに東労組の運転士が1名来たもんだから、彼ら自身が「何で率先して出向するんだ」と怒って見習も拒否する状況だった。
木科 自分としては一番燃えていた時期で、楽しみという部分もありました。事前説明の指名ストもそうですけど、ストライキに入るために動労千葉に来たようなもんですからね。
関 みんながみんな徹底抗戦だったよな。
木科 ストライキの時って、会社に対して面と向かってモノが言える。自分としてもなんか誇らしかったですね。それで満足してはダメですけど。5日に初めて出勤してCTSの制服に袖を通したわけですけど、その時の怒りは半端じゃなかったですね。
長田 10月1日からのストライキも、現場の気持ちを反映してああいう反復ストになったけど、やっぱり胸を張って乗り込んで良かったよね。JRやCTSに怒りをぶつけたからね。
委託した業務をJRが直接作業
繁沢 ストライキで特徴的なことは?
長田 最大の問題は、委託したはずの業務をJRが直接やったこと。「当日の業務を発注していない」という理屈だけど、業務委託は契約しているはずだから、明白な偽装請負だね。あと、説明会でCTSの管理者が「作業内規はありません」と言った。鉄道業務で作業内規がなかったらどうやって作業するんだよって言ったら、答えられないんだよ。
関 幕張では、少なくとも10月1日は作業内規なしでやってて、こっちが「作業内規出せ」って言って初めて出してきたんだよ。そのあと東労組や国労にも配ってるはずなんだ。それまで内規がない状態で、東労組や国労は仕事をしてたってわけ。
木科 国労の人なんか、それこそわかっているんだか、いないんだか、「はい、はい」って言って仕事始めちゃってんだから。
繁沢 それで2回目の出勤から業務に就いてからは?
長田 まずは制服だよね。サイズが全然合わない。それでまた大もめになって結局何も仕事をやらなかった。
鈴木 動きづらいし、生地も薄くてズボンが寒い。
関 CTSは、工具は「JRから買い取った」って言うわけ。それならCTSの印をつけないのはおかしいじゃないかってことで、自分の工具にピンクのテープを巻いてから作業をするようにしたんだ。
偽装請負と矛盾だらけの業務外注化
繁沢 実際に作業をやってみて感じた外注化の問題は?
木科 幕張だと検修当直と作業責任者の席が隣で、作業責任者が作業の報告をすると検修当直が「はい、了解」って返事をしますからね。なんじゃこりゃって感じですね。
長田 習志野も構内の狭いところにJRとCTSが一緒にいるんだけど、形だけはJRの監督者からCTSの作業責任者に発注書がきて、作業責任者が署名して作業指示書を書いて、作業担当者に手渡す形になっている。でも、すぐ後にいるから何が起こっているか全部わかるわけ。今までだったらすぐに作業ができたのに、今はただじっと作業指示書が来るまで待っている。なんかお笑いだよ、本当に。
関 幕張の作業責任者は、一人をのぞいて構内や運転の助役だったから作業自体は知っている。逆に、JRの新しく来た助役が作業を知らない。計画から作業発注書が来れば、CTSの作業責任者は元助役だから見ればすぐわかるわけ。だから管理者が出向したのは、CTSに作業責任者になるべき人間が全くいないからなんだよ。これなんか偽装請負の典型でしょ。
外山 これまで検修職として、故障があれば自分の仕事と思って誇りをもってやってきたのに完全な受け身にされて、指示書がこないと目の前に車両があっても直せない。
鈴木 仕事も減ったよね。新車の仕事もまだ一回もない。故障してもやり方がわからない。こんなんで技術の継承なんかできるわけがない。
作業の振り分けができない!
繁沢 仕業検査などで作業が出た場合、CTSとJRの振り分けはどうなってますか。
関 全然決まってない。団交でも千葉支社は「今まで通りやって下さい」って回答だけ。今までは同じJRだから仕業であろうが臨検であろうがどっちでやってもよかった。だけど外注化して会社が違うんだから作業の振り分けも決められない。だからどういう契約になっているんだと言っても、契約書は見せられないの一点張り。
木科 それはいまだに混乱していて、今日だって故障シールを貼るの貼らないのみたいな話を、検修当直と話してたんですけど、全然解決しないですね。
関 仕業検査でも見るところがいっぱいあって、今までだって時間内に終われば、仕業検査で蛍光灯やコンプレッサーの油入れ、自動ドア等々、自分で直せる程度だったらやってきた。だけど今回は業務委託したんだから、どっちでやるのが正規なんだという話になるわけでしょ。「今まで通りにやってくれ」と言ったって、会社が違うんだから同じようにできるはずがない。
日報どおりの作業で本線に遅れ!
繁沢 CTSの現場の状況は?
関 10月から、日報通りやろうということになったんだけど、そうすると洗い場が詰まると本線の入区が遅れて快速にも当たりが出るとか、そういうことがあったよね。それと今までは、日1が、その時の判断で洗い場の番線を決めていた。それを日報通りにやるからうまく回らない。この前、夜の夜勤長をやったとき、CTSの清掃担当の人たちが1番線で作業してたのを、1回降りて洗い場を回って3番線で掃除したことがあったんだ。以前なら2番に入れれば済むんだけどね。だから清掃担当の人には、悪いけど俺は番線を替えられないから回ってくれって頼んだけどね。
関 執行委員
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千葉労働局が職場を調査
繁沢 この間、労働局へ違法申告をしたり、あらゆる手段を尽くして外注化阻止の闘いを行ってきましたが、その点はどうですか。
長田 労働局には、それまでも何度も要請に行ってたけど、はっきりしなかった。だけど、出向対象の組合員も含めて大衆行動で押しかけたら、初めて「出向4要件」のことが出てきて、その後12月初めに千葉労働局の担当者3人が、一ノ宮派出に調査に入った。これだって現場からの怒りが動かしたような面があるわけで、闘いのひとつの成果だと思いますね。
強制出向無効裁判勝利―組織拡大へ!
繁沢 12月26日に出向の無効確認を求める裁判を東京地裁に提訴しました。
長田 今回の裁判は、外注化自体が偽装請負であることはもちろん、出向の必要性が全くないということで出向の無効を訴えた。そもそも今回は、業務が外注化されたために戻る場所がないことは明白。団交でも会社は、派出や構内などは戻る場所がないから出向を延長すると回答している。そうなれば事実上の転籍ですよ。民法では、労働者の承諾なしに労働者を譲渡できないとされている。今回の外注化は事実上の転籍になるわけだから、本人の同意なしに出向させること自体違法だってことだね。シニア制度の時には、シニア協定を締結していないという理由で動労千葉の組合員は適用外―再雇用を拒否されたけど、今回は逆に出向協定を締結していないわけだから出向の適用は絶対できないはずなんだ。
それと外注化で安全が崩壊するってことだね。とくに通告の問題ひとつとっても重大な問題。通告は、規程に基づく明確な指示・命令だからこそ列車の安全が確保されてきた。それを単なる「情報」で済ませたら、大事故につながることは明白ですよ。幕張の信号は外注化されたけど、もともとは幕張車両センター所長の権限を代行して通告していた。外注化されたから信号担当は幕張車両センター所長の権限を代行できない。じゃあ信号は誰の権限を代行しているのかという問題にもなる。昨年12月の笹子トンネル事故でも明らかなように、民営化と外注化が事故を招いたことは明白で、こうした問題も含めて徹底的に絞り上げていこうというのが今回の裁判の大きな狙いですね。
だから、この裁判は、絶対に勝たなければいけない闘い。勝つためには現場も含めて全力で知恵を絞って、JRとCTSの矛盾を徹底的に突くことじゃないですかね。
木科 今回の裁判は、俺たちが東労組の若い人をオルグするための武器になるような気がするんですよね。みんな帰りたいわけじゃないですか。だったら一緒に裁判参加して、実力で帰ろうぜみたいな感じになったら最高ですね。だから結果も絶対に出したいですよね。
闘って外注化を阻止するしかない!
繁沢 最後に、今年の抱負をお願いします。
長田 やはり最大の課題は、外注化反対闘争の中で青年部の仲間をどれだけつくれるか、組織拡大ができるかということ。出向から戻れるかどうかは平成採にとっても最大の問題だと思う。しかし、戻る場所はないし、会社は今後、計画や臨検、機能保全も外注化すると言ってる。やっぱり闘って外注化を阻止するしかない。そのことをもっともっと職場で言っていくことだと思うね。
関 全員が絶対に戻るんだという気持ちを持ち続けること。若い人だけ帰せばいいということじゃなくて、全員が戻るんだという気持ちで、そういう闘いをしたいですね。
木科 幕張で信号冒進事故があったけど、起きた時期も時間帯も状況もすべてが完全に外注化のせいだと思っています。やっぱり外注化は職場を奪い、青年の人生を奪い、安全を奪うってことをもっともっと訴えて、盛り上げていきたいですよね。
外山 1年後に構内の計画の外注化が目論まれているけど、そこは絶対に止めたい。次に進ませない中から戻る道も開けると思う。
鈴木 外注化の状況に慣れないことかな。最初に頑張ったせいかもしれないけど、彼ら何も介入できなくて、締め付けもない。初心を忘れずに頑張ります。
繁沢 ありがとうございました。
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