JR東日本―「人事・賃金制度の見直し」を提案(1/13)
賃下げと労働者の団結破壊を狙う攻撃を絶対に許すな―職場から反撃しよう!
1月13日、JR東日本は、「人事・賃金制度の見直しについて」の提案を行ってきた。
今回の提案の最大の問題は、基本給表を廃止することにより、同期や同じ職場の仲間、組合員でありながら誰がどの位の賃金を得ているのかが全く分からないようにすること、それによって労働者の団結を徹底的に破壊することにある。
また、昇給においても「特別加給」が加わることにより会社の査定次第で昇給が大きく変わるなど、重大な問題をはらんでいる。「人事・賃金制度の見直し」提案粉砕に向けて、職場からの反撃に起ち上がろう。
提案の概要は以下のとおり。
【「等級区分の見直し」について】
等級区分については、現行、1等級〜10等級を見直して係職1等級〜主幹職Aまでの9区分とし、新たに「統務職」及び「選任役」を設けるとしている。
制度の移行にあたっては、現行1等級を廃止して2等級になった上で係職1等級に移行。7等級の内助役試験合格者等については「統務職」に移行するとしている。
なお、「統務職」における職務については、現在の内勤や指導等と同様だとしている。
(裏面の「区分現改比較表」及び「等級移行表」参照)
【「昇進制度の改正」について】
昇進制度については、現行では上位の等級への昇格については全て試験が行われている。今回の提案においては、係職及び指導職、主務職の同一区分での昇格(1等級→2等級)については「昇格審査」により行うとしている。しかし「昇格審査」にあたっては、成績等の人事考課に基づきとり行うとしており、会社の恣意的な運用が行われる可能性が極めて大きくなっている。(裏面の「区分現改比較表」を参照)
基本給表の廃止による労働者の分断支配が狙い
【「賃金制度の改正」について】
賃金制度については、これまでの基本給表を廃止するとしている。これは、これまでの等級・号俸による賃金のあり方を解体し、労働者1人ひとりの賃金額による管理を行うというものであり、労働者にとってみれば誰がどの位の賃金になるのかが全く分からなくなるということであり、労働者の団結を破壊しようとする最大の攻撃が。
一方、採用時から55歳までの賃金のあり方については、初任給を現行より5000円程度上げること、35歳くらいから現行の基本給よりも下がり始め、55歳時点では約1万円弱のマイナスになるとしている。これは、月額賃金の引き下げであり、労働者の生活を破壊する攻撃以外のなにものでもない。しかも退職手当については55歳時点での賃金が下がるために支払額が減ることになるとの考え方まで明らかにしている。
55歳以降の減額制度については5年間の経過措置
一方、賃金を下げた分の蓄積により55歳以降の減額制度については見直すとしており、以下のとおり経過措置を設けるとしている。
@ 1954(S29)年3月1日以前生ま れの者(今年4月以降、57歳到達者)
→現行80%を、85%に引き上げる。
A 1954(S29)年3月2日以降、1956(S31)年4月1日以前生まれの 者(今年4月以降、55歳、56歳到達者)
→現行の90%は継続、57歳到達時の現 行80%を、85%に引き上げる。
B 1956(S31)年4月2日以降、1 961(S36)年4月1日以前生まれ の者(今年4月以降、50歳〜54歳到達者)
◎1956(S31)年4月2日〜195 7(S32)年4月1日以前生まれの者 →現行の90%は継続、57歳到達時の現 行80%を、90%に引き上げる。
◎1957(S32)年4月2日〜195 8(S33)年4月1日以前生まれの者 →現行の90%を、92%に引き上げる。
◎1958(S33)年4月2日〜195 9(S34)年4月1日以前生まれの者 →現行の90%を、94%に引き上げる。
◎1959(S34)年4月2日〜196 0(S35)年4月1日以前生まれの者 →現行の90%を、96%に引き上げる。
◎1960(S35)年4月2日〜196 1(S36)年4月1日以前生まれの者 →現行の90%を、98%に引き上げる。
◎1961(S36)年4月2日以降生ま れの者
→55歳到達時の100%。
また、55歳以降の賃金減額制度の見直しを行うことから、56歳〜60歳での退職に対する特別加算金については、現行、56歳(20万円)〜60歳(100万円)を半分に減額するとしている。(55歳退職時の1000万円、57歳退職時の500万円については継続)
また、現行、賃金種別の内、基準内賃金に新たに「役割手当」を設けるとしている。「役割手当」については、統務職、専任職、主幹職B及び主幹職Aにある者の内、会社が指示する役割を遂行する者に対して支払うとしている。
今回の「人事・賃金制度の見直し」提案については、本年4月1日から実施するとしている。
抜本的改悪に向けた攻撃の始まり―団結で反撃を
JR東日本が今回出して生きた「人事・賃金制度の見直し」提案は、今後の抜本的な見直しに向けての一部見直しにしか過ぎない。とくに、1953(S28)年4月2日以降生まれの者については、60歳定年退職時には年金が全く支払われなくなるという状況の中で、定年延長問題が必ず出てくることになるからだ。
こうしたことを考えれば、今回の「人事・賃金制度の見直し」を契機にして、今後、さらに抜本的な人事・賃金制度の改悪を会社は考えていると見なければならない。
すでに1月に入り、ライフサイクル第4次配転に向けた攻撃が始まり、検修業務全面外注化に向けて水面下ではJR東日本とJR東労組がうごめいている。 こうした中で今回の「人事・賃金制度の見直し」提案が行われたことの持つ意味は極めて重大だ。外注化で仕事と職場を奪い、労働者を出向に駆り立て、その挙げ句に人事・賃金制度の改悪による賃下げと労働者の団結を破壊しようというのだ。こんなことを認めたら労働者ー労働組合の団結はことごとく破壊されてしまう。
検修業務外注化阻止!ライフサイクル粉砕に向けた職場からの総反撃で「人事・賃金制度の見直し」提案を粉砕しよう!
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