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民営化の破産と新たな攻撃
「国鉄改革25年問題」と公務員制度改革

JR貨物本社抗議行動に立つ動労千葉の部隊

 国鉄分割・民営化の強行から25年(212年)を前に、「国鉄改革25年問題」が大きな政治的焦点となって浮上している。四半世紀を経ても、完全民営化どころかJR7社のうち4社(三島・貨物)の経営破たんが深刻化し、赤字決算を続けている現実は、民営化政策の破産以外の何ものでもない。政府・国交省はもはやこの現実を放置しておくことができない現実に追いつめられている。そうであるがゆえに「25年問題」とは、文字通り第二の分割・民営化攻撃でもある。解雇撤回・外注化阻止の闘いをもって新たな攻撃に立ち向かおう。

25年問題――三つの焦点

 「25年問題」の焦点は三つある。その全てフタをしなければ分割・民営化は成功したとは到底言えない。だから、25年を前に躍起になって動き出したのだ。
 それは第一に、三島・貨物の経営破綻問題、第二に、1047名解雇撤回闘争が、国家的不当労働行為を弾劾して今日まで争い続けられてきたこと、第三に、国鉄・民営化のために政府・JRが革マルと手を結んで労働者を支配するという異常な労務政策をとったことが常に矛盾の火種となってきたこと───である。
 さらにその根底には「安全の崩壊」という恐るべき現実がある。民営化の結果起きたのは、利益追求のためには手段を選ばないやり方である。JR東日本は今、鉄道業務のほとんど全てを外注化して数百の子会社・孫会社にバラバラに分割しようとしている。それがもたらすのはさらなる安全の崩壊と雇用破壊=無数の労働者の非正規職化である。
 噴出する矛盾を抑えこむことなど絶対に不可能だ。だが、1047名問題の「政治解決」を期して、JRをめぐる情勢は大きく動きだしている。

大リストラ迫る国交省

 国土交通省は、「JR貨物に対する特別措置を2012年以降も継続することはできない」「いつまでも国鉄の看板を背負って政策はできない」「JRは国策会社としてできたわけではない。純粋に投資家が投資できる会社であるかが問われる」「JAL(日航)の問題が終わった後はJR貨物と考えている」と称して、破たんに直面するJR体制の大再編の意志を表明した。
 しかも、「JR三島、貨物の問題は、2011年8月(12年度予算概算要求編成時)に向けて重大な関心事である」「省として新しい鉄道政策を考えるにあたって、2010年度決算の結果が大変な意味がある」と、来年3月、8月という二つのタイムリミットを設定し、恫喝に近いやり方で大リストラを迫っている。
 日航で行なわれたのは1万9千名の首切りである。国交省は今度はJRに対して同じことを迫っているのである。

JR民営化体制の破産

 これを受けて全体が激しく動き出している。JR7社は共同で、鉄道運輸機構(旧国鉄)が貯めこんでいる1兆3千億円を三島・貨物の経営安定や新幹線整備のために使えと申し入れている。JR連合もこのカネを使って経営安定基金を積み増ししろと要求している。JR総連は危機感をあらわにして「三島JRと本州JRの経営統合が画策されている」などと書き立てている。
 だが、JR三島・貨物の経営破たんは、どれほど労働者に犠牲を転嫁しようが、公的資金を注ぎ込もうが、JR民営化体制を再編しようが解決のつく問題ではない。それ自身が分割・民営化政策の破産を自認するものだ。しかし、それを絶対に認めることができない国交省は、全てを現場におし着せて自らの失敗をぬり隠そうとしているのである。

JR総連崩壊の危機

 最も危機感をあらわにしているのがJR総連・革マルだ。それは「25年問題」とは、革マルが最後的に使い捨てられることを意味するものだからである。
 この事態に対しJR総連は、一方で、「赤字は経営者の問題であり、労働者には関係ないという形の労働運動はすでに克服している」「労働組合として相当の努力をしなければならない事は当然」「赤字下にあるからこそ労使の信頼を基礎とした協力関係を尊重する」「赤字を克服し、25年問題を乗り越えることが現在のJR貨物における労使の課題」(日貨労)などと称して、賃下げや大合理化の手先になるとともに、他方、民主党・小沢にとり入って革マル分子を国会議員にすることで生き残りを画策している。
 だが、逆にそれが引き金をひく形となって、国会やマスコミで問題視さられる事態になっている。革マル問題は最大の暗の部分だ。それを葬らなければ分割・民営化は成功したとは言えないのだ。

国労の決定的変質

 一方国労は、7月に開催された全国大会で、@闘争団員を組合から切り捨て、A職種別協議会の全国組織を解散するなど、企業別組合に流れ解散していく布石をうち、Bスト基金を取り崩し、C「JR内労働運動への道は避けて通れない課題」「連合との関わりについては本部としても真剣に議論していく」とするなど、全労協脱退・連合加盟に踏み切っていく立場を明確にした。しかも、D「組織問題については来年6月末までに結論を出す」というだ。
 これが1047名問題の政治解決の結果起きていることである。その背後にあるのも「25年問題」に他ならない。新たなJR大再編情勢を前に、労働運動の一線をこえた変質が進んでいる。
 職場では、9月以降、会社と東労組の手によって、業務外注化攻撃が再び全面的に動き出そうとしている。今回の国労大会方針はこの攻撃を全て容認するという態度表明でもある。

背景に「公務員制度改革」

 以上が「25年問題」をめぐって起きている事態だ。しかし、これにはもっと大きな背景がある。
 それは、「2012年公務員制度改革」という問題だ。JR・国鉄問題と公務員制度改革問題が完全に一体となって進んでいるのである。
 「公務員制度改革」は、民主党政権による最大の攻撃だと言っても過言ではない。その核心は、4百数十万人の公務員労働者から「雇用保障」全面的に奪い、国鉄方式の攻撃を仕掛けることにある。それは、国鉄分割・民営化攻撃を10回くらい一変にやるような究極の民営化・労組破壊攻撃だ。
 国鉄もそうだったが、公務員は整理解雇されることはないことが前提となっている。だから雇用保険にも加入していないし、解雇しないことを前提として労働三権が奪われてきたのである。

生クビをとばせ!

 今民主党政権の手によって「公務員制度改革」なる名の下にやられようとしていることは、労働基本権(団体協約締結権)を回復する代わりに「雇用保障」をなくすという攻撃だ。実施は2012とされている。
 すでに国会では、「今の制度があるから生クビが切れないんですよ」「早く労働基本権を付与して民間並の人員整理ができるようにする」(8月3日衆院予算委員会)などという議論がされている。
 具体的にも、公立保育園・幼稚園は2012に全廃・民営化し「子供園」とすることや、2万人の労働者を一旦解雇・別再雇用して「日本年金機構」になった社会保険庁も、2012年に再度解散するすることが予定されている。公立保育園・幼稚園だけでも30万人の労働者が働いているが、全公務員労働者をめぐってこうした全面戦争が始まろうとしているのだ。

社会が全面崩壊する

 自治労はこの攻撃にあらかじめ全面屈服する方針をこの夏の大会で決定した。
 だが、それは社会全体に一体何をもたらすのか。数百万人の非正規労働者、数百万人のワーキングプアだ。今でさえ、雇用破壊を土台として、社会保障制度、医療、教育など、人間が生きていく上で必要な社会的機能が急速に崩壊しているのが現実だ。こんなことをやったら社会の全面崩壊が起きることは明らかである。
 にもかかわらず、それ以外に延命の道がないところに、末期症状とも言うべき現在の資本主義体制の深刻な危機が最も象徴的に示されている。
 社会の仕組みの根本的な変革が求められているのだ。この現実に対する怒りの声を結集しなければならい。労働組合が果たすべき役割が今ほど問われているときはない。だからこそ、それを恐れる支配階級の攻撃の矛先は、労働組合の変質と破壊に焦点が絞られている。

労働運動復権への正念場

 「国鉄改革25年問題」は、間違いなくこうした政府の基本方針と表裏一体のものとしてもち出されいる。
 公務員労働者に対し、国鉄分割・民営化攻撃の比ではない大攻撃に打ってでようというときに、未だ国鉄問題の決着がついていないというわけにはいかなくなったのである。1047名問題の政治解決もこうした大きな流れの中での判断であることは間違いない。24年間にわたり闘いが続いていることをもはや認めることができなくなったのだ。
 2012年が労働者と労働運動の未来を左右する大きな焦点となっている。JRも再び大激動の渦中に入ろうとしている。この情勢に真正面から立ち向かい、組織拡大を実現しよう。1047名解雇撤回をかちとろう。外注化との闘いも再び勝負の時を迎えている。業務外注化を絶対に阻止しよう。
 今こそ、闘う労働運動の復権に向けて全力で闘わなければならない。今年の11月労働者集会は、こうした情勢下での新たな挑戦の出発点だ。第39回定期大会の成功をかちとり、11月労働者集会1万人結集を実現しよう。

▼全力で結集を!
第39回動労千葉定期大会

 9月26〜27日/DC会館

11・7全国労働者集会
 11月7日/日比谷野音

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
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