JR東日本管内で、大幅な 速度超過が相次いで発生!
大合理化と業務外注化の中で、まともに列車を動かす仕組みが崩壊し始めた
この間、JR東日本において、指令の指示ミスに伴い、列車が大幅に速度超過するという重大事態が発生している。
4月14日、東北本線では、風により運転中止となっていた「浅虫温泉〜西平内駅間」の運転規制が解除されて速度規制となったが、指令員が25km/hの速度規制の通告を行わなかったために、速度規制が行われている「浅虫温泉〜西平内駅間」を所定速度の120km/hで特急列車が走行したというのだ。
また、5月12日には、磐越西線において、強風による運転規制が行われたが、この際、輸送指令員が、「磐梯熱海〜中山宿駅間」の運転通告件を当該駅にFAXしなければならないにもかかわらず「沼上(信)〜上戸駅間」の運転通告件を送信したために、本来、運転規制により25km/hで走行しなければなければならない「磐梯熱海〜中山宿駅間」を所定速度の95km/hで走行しているのだ。
いずれも事故がなかったことから事なきを得たが、ひとつ間違えば05年4月の尼崎事故や同年12月の羽越線事故と同じような大惨事になりかねない重大事態だったのだ。
25km規制の線区を列車が120kmで走行!
この間、JR東日本は、「コスト削減」を掲げて徹底的な合理化と業務の外注化を強行してきた。2001年には保線・電気・建築・土木という設備関係を丸ごと外注化し、検修関係においても交番検査や構内入換業務の一部外注化を強行してきた。また、営業関係ではローカルは無人化や委託が進められる一方、首都圏を中心とした駅では契約社員が次々に導入されるなど、徹底的な要員削減が行われてきた。そして、昨年10月末には検修業務の全面外注化まで提案するに至っている。
しかし、こうした中で、鉄道会社としてまともに列車を動かすという仕組みや考え方が失われてきている。その最も典型的な問題が、熟練の労働者=専門家を作り上げるということを全く行っていないということだ。すでに全面委託された設備関係では、若い労働者への技術継承ができないということが重大な問題になっている。営業関係では、運転取扱ができる労働者が養成されていないために「ライフサイクルの深度化」により運転士から駅への強制配転が行われている。検修職場でも、幕張車両センターなどでは、動労千葉をはじめとしたベテラン労働者を交番検査から排除したために交番検査がまともにできないという事態まで発生しているのだ。
JRは安全を最優先し、熟練労働者を養成しろ!
今回の指令の問題にしても同様だ。指令の場合、規程をはじめとした運転取り扱いや担当する線区を知り尽くすためには長年にわたる経験と繰り返しの教育が必要になってくる。しかし、今のJR東日本の中では、こうした熟練労働者を育て上げる考え方すらなくなっているということだ。
しかも、「ライフサイクルの深度化」が導入されて以降、駅への強制配転を逃れるために指令を希望する者が多くなっているが、こうした考え方の中では運転取り扱いを熟知した指令員が作れるはずがない。
今回の指令の問題は、単に指令員個人の問題ではない。JR東日本という鉄道会社が、安全を守るという鉄道会社本来の使命を放棄していることからはじまったものだ。
JRは、安全を最優先し、ベテラン労働者を育成しろ!
反合・運転保安確立で闘おう!
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