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民営化・外注化がもたらした 「社会の崩壊と貧困」

―検修・構内業務外注化を阻止するために

民間委託・外注化の欺瞞 

 ◎民間委託・外注化
 この20年余り、国鉄分割・民営化を突破口として、公的部門の民営化・民間委託がガンガン進められてきた。それは今、現在の都道府県を全部廃止し、全国を10余りの「道」「州」に再編するという究極の形をとって社会全体を呑み込んでいこうとしている。その過程で、公務員労働者360万人を一旦解雇し、民営化された事業体などに選別再雇用しようというのである。それは究極の労組破壊攻撃でもある。
 そうした論理は、規制緩和の流れにのって、「官→民」というだけでなく、民間大企業のすべてが、業務を派遣会社や子会社・孫会社に外注化、アウトソーシングしたり、非採算部門を分社化するという形をとって全社会に蔓延してきた。

 大いなる欺瞞
 「役所仕事の非効率性と硬直性を打破する」 とか、「サービスの質を向上させる」とか、良いことづくめの構想だと宣伝されてきた。
 だが、民間委託され、アウトソーシングされた世界では、労働者が劣悪な環境の中で、非常に長時間、極めて低い賃金水準・不安定な雇用条件に甘んじながら労働を強いられる現実が生まれた。 委託元が求めるのは効率性と低コストだけである。経費節減が実現されさえすれば、そのために手段は問わない。すべては委託先に丸投げされる。
 一方で公共サービスの向上を口にしながら、 一方では、派遣労働者たちを最悪の労働環境の中に封じ込めていく。ここに大いなる欺瞞があることは明らかだ。労働者の雇用や権利という社会の土台となる部分を踏みにじりながら、公共サービスの向上を言う欺瞞。

 ◎最底辺に落ちていく悪循環
 雇用破壊は、教育や医療・年金などの社会保障制度、安全を崩壊させる。公共部門の民間委託が貧困を拡大再生産すればするほど、そのための財政負担も大きくなっていく。公共事業の経費節減を目指した民間委託が、貧困対策のための財政負担の増大をもたらす。赤字が増えた政府はますます経費削減に突き進まざるを得ず、一段と安上がりの民間委託を進める。
 そのことがワーキングプア化する人々をますます増やしていく。一体何のために何をやっているのさっぱりわからなくなってくる。本来は格差と貧困から人々を救うべき政策が、格差や貧困をつくりだす。その一方、政府は銀行や大企業の危機を救済するためには湯水のように財政を投入する。

  「外注革命」の果てに 

 アメリカでは90年代以降、外注化攻撃が「外注革命」と称して推し進められたという(「貧困大国アメリカU」/岩波新書)。資本にとって、 まさに濡れ手に粟のように利益を生む「革命」だったということだ。

 ◎夢のような労働力
 そしてそれは今、囚人労働にまで行き着いているというのだ。アメリカで電話番号案内に電話かけると、全部刑務所につながるというのだ。そこで働いているのは、番号案内会社に雇われた月給3200円〜1万6000円の囚人たちだというのである。番号案内だけではない。様々な企業が刑務所に業務を外注化している。それを斡旋する企業のホームページには「第三世界並み低価格で国内アウトソーシングを!」という広告が掲載されているという。
 この本には、その間の事情が次のように書かれている。「(民営化、非正規化が進む中で)彼らはもっと使い勝手の良い労働力を探し始めました。発展途上国の労働者よりも、非正規社員よりもさらに条件の良い、数百億ドル規模の巨大市場、囚人労働者にスポットライトが当たったのです」「低賃金でも文句ひとつ言わないし、 ストもやらなければ組合も作らない。こんな夢のような労働力はない」と。

 ◎全てが壊れていく
 その前段で進んでいたのは刑務所そのものの民営化であった。アメリカでは刑務所経営やそれへの投資=「刑務所不動産投資信託」がビッグビジネスになっているのだという。「今もっともトレンディな投資先。順調に増加する有罪判決と逮捕率が確実な利益をもたらしてくれます。急成長するこのマーケットに今すぐ投資を!」・・・大手投資会社のパンフレットにはこう書かれているという。
 これが民営化・外注化の果てに起きたことだ。 その背後では、雇用も、賃金も、権利も、社会保障制度も、安全も、人間が生きていく術が全てズタズタに破壊され、なぎ倒されていった。
 鉄道会社なのに、鉄道業務の全てを外注化し、 丸投げしていく。人件費やメンテナンスコトスを削減するために手段を選ばない。これが今JRがやっていることだ。必要に迫られているわけでもない。JR東日本の場合、01年に978億円だった経常利益は09年には何と2610億円まではね上がっている。だが、鉄道の場合、こんなことをやったら安全は間違いなく崩壊する。こんなことは絶対許してはならない。



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