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委託を解消した阪急 外注化の破産
安全崩壊、偽装請負、士気低下
不当配転許すな!2・1―2ストへ!

▼破産した丸投げ外注化

 JR東日本が検修・構内業務の外注化提案を行なった昨年10月、阪急電鉄は委託を解消し、子会社の社員を直接雇用に切り替えた。
 新聞報道によれば、事の経緯は次のとおりである(2008年12月8日付「読売新聞」)

 阪急電鉄(社員約1800人)は、子会社に在籍する駅員や乗務員ら約840人を来年10月1日付で本社の直接雇用に切り替える方針を決めた。駅業務などの分社化でコスト削減を進めてきたが、「安全強化を図り、社員の士気を高めるには、本社による一括雇用が必要と判断した」としている。景気の急変で「派遣切り」などの雇用問題が深刻化している。阪急電鉄がコストアップ覚悟の直接雇用に踏み切ったことは、リストラ優先の他産業の動きに一石を投じることになりそうだ。

 阪急電鉄によると、直接雇用に切り替える対象は、駅の業務などを請け負う子会社の「阪急レールウェイサービス(HRS)」所属の約1700人の社員のうち、正社員、契約社員410人、時給制のフルタイム社員230人、学生アルバイトなどの臨時社員200人の計約840人。HRSの正社員は電鉄本社の正社員、契約社員はやはり契約で、というようにHRSでの処遇そのままで転籍させる考えだ。

 16日に労組が受け入れを正式に決定したほか、17日には、HRSの関係社員に電鉄本社への転籍が伝えられた。HRSは駅の売店や駐輪場の運営会社になる。

 HRSが設立されたのは2001年。同年7月に拠点の梅田、中津、十三の3駅の業務を受託したのを手始めに、03年から全84駅の運営を引き受けている。この方式は京阪、南海や首都圏の大手にも広がった。

 阪急の特徴は車掌業務にも手を広げたことだ。HRSの社員は、最長3年間の契約社員で入社した後、車掌資格を得るなどしてHRSの正社員に採用される。しかし、電鉄本体の正社員は運転士だけで、電車運行の仕事で電鉄の正社員になるには、運転士に登用される以外に手だてがなかった。

 車掌職には、HRS所属の車掌と電鉄所属の熟練車掌が混在し、HRSの車掌は、親会社の電鉄に“逆出向”する形で乗務する変則的な態勢を取っていた。その結果、HRSと電鉄本体では、同じ車掌なのに賃金や福利厚生で大きな格差が生じることにもなった。

 しかし、JR福知山線の事故で安全性強化の必要性を痛感。最近は鉄道がテロの対象になる恐れも強まっている。さらに乗客同士のトラブルなどで運転指令、駅、乗務員が連携して対処する機会も増えたが、駅員への指示はHRSを介さなければ「偽装請負」を疑われ、迅速に対応できない恐れも出てきたという。

 阪急電鉄人事部は「直接雇用によって情報伝達を一元化すれば災害やトラブルに素早く対応できる」と説明。来年10月までの間に、待遇格差圧縮の交渉に入る労組も「この時期に雇用安定を図る会社側の決断を歓迎したい」と話している。

(2008年12月18日 読売新聞)

技術の国のずさん管理 
ベルリンの都市鉄道 部分停止半年
 

2010年1月17日東京新聞 朝刊


昨年8月から点検と車輪交換のため、車両が足りず一部区間が運行停止になったままのベルリンの都市鉄道「Sバーン」


 ベルリンの都市鉄道「Sバーン」が部分停止に陥り、復旧しないまま半年が経過した。「マイスターの国」の首都交通は、安全管理の怠慢から大きな痛手を被り、混乱はなお数年続くとの見方まで出ている。背景には、親会社ドイツ国鉄の民営化問題も見え隠れする。 (ベルリン・弓削雅人、写真も)
 「恐ろしい報告を毎月受けるのは、もううんざりだ」
 ベルリンのウォーウェライト市長は、十二日の記者会見でぼやいた。利便性より安全が第一として運行を一部停止した後、問題の拡大が続く事態は、市政への批判につながりかねないとのいら立ちからだ。
 発端は一年前の車両事故。市東部の路線で起きた脱線事故をきっかけに、ずさんな安全管理が発覚した。
 Sバーンは、ドイツ国鉄の子会社が、ベルリン市との委託契約に基づき運営している。その運行会社は、事故の六年前から車輪の安全性に問題があると指摘されながら、必要な点検を怠っていた。関係部署の幹部四人が即刻、解雇された。さらに連邦政府が全車両千二百六十四台の車輪を点検するよう指示した。
 昨年八月、安全が確認された三百四十台だけで運行を再開。市民の通勤の足は大きく混乱、旅行者の観光にも影響したが、この時点では昨年末までには復旧する見通しだった。
 ところが、九月になってブレーキにも問題が見つかり、全車両の25%しか運行できない状況に。年が明けた現在も、一部区間はまったく走れず、運行区間や車両数を間引きする状況が続いている。
 Sバーンの利用者は一日百三十万人。運行停止による損失は同二十五万ユーロ(約三千二百五十万円)。二〇〇九年で計約九千万ユーロに上る。契約に基づく市側からの収入も三千七百万ユーロ減る。駅構内店舗の収入など波及部分を含めると、損失試算は一日二百万ユーロに及ぶ。
 運行会社には怠慢が大きなツケとなった格好だが、実は、同社は問題の発覚前から、点検施設の閉鎖や人減らしなど安全確保上きわどい経営を続けていた。
 この背景には、親会社ドイツ国鉄の民営化と経営合理化の問題があるとされる。
 ドイツ国鉄は、〇八年十月に株式上場予定だった。ところが世界金融危機に見舞われ、目標の八十億ユーロの半額にも届かない資金しか調達できない情勢となって上場を延期。いまだに見通しは立っていない。百五十億ユーロもの負債を抱える国鉄が民営化を目指して経営安定化を図れば、子会社にも利益拡大の圧力が強まる。子会社では徹底したコスト削減が優先されがちだ。
 ウォーウェライト市長は親会社・国鉄の責任を意識して、「連邦交通省は問題の所在をはっきり認識しているのか」と連邦政府へ矛先を向け始めた。同市のユンゲライヤー交通相も「国鉄には混乱を掌握する力さえない。運行契約も現在のように独占的である必要はない」と、運行委託契約見直しの可能性まで示唆し始めた。
 責任論争の陰で、最大の被害者は、利用する市民。復旧の見通しについて、Sバーン幹部が「最悪でも今年三月には復旧」と強調する一方、国鉄の幹部は「一三年までかかる」と述べるなど、混乱の終着駅も見えていない。  

▼安全、偽装請負、士気低下

 阪急電鉄は鉄道業務外注化の先頭を突っ走ってきた企業だ。だがそれは、矛盾を生み、破産して委託を解消せざるを得なくなったのだ。結局、「阪急レールウエイサービス」という外注先会社は、駅売店や駐輪場を運営するだけの会社に戻ったという。
 記事では、《安全》《偽装請負》《迅速な対応ができなくなったこと》《格差による士気低下》をその理由としてあげている。
 阪急電鉄は06年の時点では、運転士まで子会社で採用・養成して電鉄本体に逆出向させることを考えていたという。しかし、丸投げ外注化政策は結局完全に破産したのである。
 だが、JR東日本は、何の反省もなく外注化・コスト削減に突っ走ろうとしているのだ。

▼民営化・外注化の果てに

 鉄道の民営化・外注化は、安全の崩壊=重大事故が多発する事態を生み出し、イギリスでも、ドイツでも破産した。イギリスでは事故が激発し、その補償金に耐えられなくなって民営会社が倒産、国営に戻さざるを得なくなった。ドイツではベルリンの都市鉄道で、安全上の問題が次々と発生し、一部区間の運行停止や間引き運転がすでに半年も続いているという(下記参照)。
 「イギリスの民営化は失敗したが、日本の民営化は大成功した」というのがJRの言い分だった。冗談じゃない。尼崎事故では107名もの乗員・乗客、羽越線事故では5名の乗客が死亡して

いる。東中野事故でも運転士と乗客1名が生命を落としている。大月駅事故も「死者が出なかったのは奇跡だ」と言われている。JR東日本では、安全対策の不備により、民営化後350人もの労働者が業務中の事故で生命を奪われている。ほとんどが下請け労働者だ。JRは死屍累々たる現実の上に成り立っているのだ。
 JR東日本が2001年から本格的に始めた丸投げ的な外注化は、保線、電力、信通、車両検修など、鉄道を動かすに必要な全ての業務を何百もの下請け・孫請け会社にバラバラに分割してしまうものだ。これはイギリス国鉄がやって失敗したことに他ならない。外注化は絶対止めなければならない。ともに闘おう。

★外注化阻止、ライフサイクル撤廃!滝君、小沢君の配転を許すな!
  2・1〜2ストライキ

★国鉄1047名解雇撤回・検修業務外注化阻止! 2.13全国労働者総決起集会
13時 代々木公園
スト破りするな!

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
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