構内・検修業務の全面外注化攻撃を許すな! A
東労組前委員長が車両整備会社の経営幹部という腐りきった現実!
日刊6888号より続く
前号で安全の確保、車両故障が多発している現実に触れたが、会社が作成した資料ですら、「鉄道車両固有の技術を継承する社員が少ない」「専門的な技術・技能のレベルアップが低下する」等の表現で、検修職場の危機的現実を自認している。
問題は、一体なぜこんな現実がもたらされたのかということだ。言うまでもなくそれは、「メンテナンスコストの削減」という方針のもとに、検修職場への新規採用を徹底的に抑え、ひたすら業務外注化でその場をしのいでいくということを続けたからだ。業務を外注化し、ベテランの退職者を超低賃金で動員するというやり方は、この危機を先延ばししただけに過ぎない。むしろ、先延ばしすればするほど、問題はより深刻化し、現在に至ったというのが現実だ。
何の反省もなく突進
ところが今回の提案は、そうした現実を生み出してしまったことを反省するどころか、さらに全面的な外注化に突進しようというものだ。
提案には、「新たな再雇用制度(エルダー社員制度のこと)の中で、技術力・ノウハウを後進へ確実に継承し育成していく」とか、「グループ会社における構内・車両検修業務の技術基盤を確立し、プロパー社員も含めた業務体制を構築させる」とかのきれい事が書かれているが、一体どうやってそんなことが実現できるというのか。
エルダーで再雇用される者の賃金は、手取りにすれば10万円ちょっとだ。こんな酷い条件に突き落としておいて、後進への技術指導をやれというのか。もし本気で考えているならば、JR本体できちんと雇用を延長し、技術継承にあたれる環境を整備しなければいけないはずだ。
「グループ会社(車両整備/現「千葉鉄道サービス」)における構内・車両検修業務の技術基盤を確立する」と言うが、少なくとも千葉の現状では、そんな基盤は全くない。車両清掃ひとつとっても、メチャクチャな労働条件のもとで、ひたすら労働者をコキ使っているだけで、長期に定着する労働者すら居ないのが現実だ。エルダーで再雇用された労働者も、60歳を過ぎているというのに、夕方出勤して真夜中の2時、3時に終わるという酷い勤務を強制されている。
外注化がもたらすもの
この現実を見れば、構内・検修業務が丸投げ外注化された場合、どんな労働条件で働かされるようになるかは火を見るよりも明らかだ。
「雇用の場の確保」などというのも全くのウソである。それは、すでに一括外注が強行されている施設関係(保線・電力・信通等)の現実を見れば明らかだ。施設の外注化では、3300名分の業務量が一挙に外注化されたが、これに対し、外注会社での所要員は2451名に圧縮された。外注化に際して、徹底した要員削減・労働強化が強行されたということだ。そして、約900名分の雇用が失われたのだ。これを見れば「再雇用の場の確保」などという理屈が完全にペテンでしかないことは明らかである。外注化の狙いはたったひとつだ。安全も、雇用も、人間らしく働くことのできる労働条件も、すべてを犠牲にして、ただひたすらコスト削減・競争原理で突っ走るということだ。
こんなことを続けてきた結果、どんな現実がもたらされたのかは、もはや多くを語る必要もない。「雇用破壊」や貧困が社会的問題となり、教育、福祉、社会保障、医療制度など、人間が生きていくのに必要なすべてが崩壊しようとしている現実が生み出されたのである。
東労組前委員長が車両整備会社の経営幹部に
問題は労働組合だ。この間の外注化攻撃を丸呑みし、現場に強制してきた東労組は、今回の提案に対しても、職場集会などで、「反対しているだけではだめだから……」と始めから言い訳に終始して裏切りの下準備をしている。だが、なぜ反対しているだけではだめなのか、なぜ反対しないのか、明確な理由は何ひとつ言わない。ライフサイクルの時と全く同じだ。ガス抜きのために青年部に反対の声をあげさせ、結局は裏切り妥結するといういつものやり方だ。労働組合が断固として反対すれば、こんなことは絶対出来ない。こんな外注化は誰も望んでいない。だが、東労組と会社の間ではすでに話はできてしまっているのだ。こんな汚いやり方はない。
だが今回はそれどころの話ではない。東労組千葉地本の前委員長・斎藤吉司は、現在、千葉鉄道サービス(旧千葉車両整備)の本社監査部長におさまっているのだ。東労組の前委員長が外注先会社の経営幹部の席を与えられているのだ。一体この現実は何なのか!
反対するもしないもない。会社と東労組が一体で進めているのが、今回の外注化攻撃なのだ。
本当に腐りきっている。組合員を犠牲にして、自分だけが高給をとっていい思いをしているのだ。こんなことが許されていいはずはない!
構内・検修業務外注化阻止に向け、闘いに立ち上がろう。業務外注化の手先=東労組を許すな 動労千葉に結集し、ともに闘おう。
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