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国民総動員体制ねらう現代の「赤紙」
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弁護士・市民連帯集会が520人の参加で開催 |
来年5月21日から裁判員制度が始まろうとしている。マスコミを使い、「模擬裁判」などを行って、さかんにこの制度を世間に広めようとしている。しかし、最近の新聞調査などでもやりたくないという人は7〜8割以上にのぼる。中身がわかってくるに連れ、その割合は増える一方だ。
裁判員制度とは
裁判員制度とはいかなるものなのか。単純にいえば、法律や裁判について全くの素人である一般市民が殺人、放火などの重大刑事事件に裁判員として選任されれば、裁判をしなくてはならない。有罪か無罪かを言うだけでなく、死刑や懲役○年といった刑罰についても決めなくてはならない。やりたくないといっても拒否できず、また裁判が終わっても生涯にわたって守秘義務を課せられ、もし家族や他人に裁判について話を漏らせば罰則がある。裁判も「裁判員の負担を軽くするため」に「証拠を減量」し、被告人の主張・立証活動を制約するという本末転倒したことが行われる。被告人側も裁判員に裁かれることを拒否できない。
また、裁判員候補に抽出された人は、ありとあらゆる質問(職業・職歴、家族状況、思想信条、宗教、健康状態、趣味など)の質問票に答えなくてはならず、文字どおり個人情報をすべて掌握される。
これは明らかに憲法違反の制度だ。被告人の公正な裁判を受ける権利を奪い、裁判員に指名される人の基本的人権を侵害する。また、近代刑事裁判の基本原則である「合理的な疑いを入れないまでの立証がなければ有罪とされない」に反し、えん罪が次々と生み出されかねない。
なぜこんな制度を導入しようとしているのか。新設された裁判員法では、「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上」をうたっている。さかんに「市民参加」「市民感覚の裁判」などといいながら、実は「人を裁く」という国家権力機構のなかにむりやり動員し、「国家・社会への奉仕・協力」(自民党・新憲法草案)の国民総動員体制をつくろうとするものである。その行き着く先は、改憲─戦争体制だ。
今年の暮れからこの裁判員対象者へ召集令状─現代の「赤紙」の郵送が始まろうとしている。こんな制度はなんとしてもつぶさなくてはならない。
こうしたなか4月18日、東京・弁護士会館クレオにおいて憲法と人権の日弁連をめざす会主催の弁護士・市民連帯集会が520人の参加で開催された。
「司法制度改革」の名の下に、裁判員制度とともに弁護士を激増させる司法試験合格者年間3000人計画などが進められている。
弁護士として生きさせろ!
弁護士激増に若手弁護士の怒りが爆発。「私たちにも言わせろ」と次々と発言にたった。「市場原理主義・競争原理を弁護士の中に持ちこみ、マクドナルドの『名ばかり管理職』事件の勝利判決を『非常識』とするような企業の論理を法律に持ちこもうとしている。不採算部門は切り捨てられ、弱者・貧者の弁護や国選弁護は敬遠される。」「司法修習生の二人に一人が就職できず、弁護士になっても生活できない。弁護士として生きさせろ!」「反構造主義・反新自由主義・反司法改革で一致して流れを変えよう」「弁護士自身が立ち上がらなければならない」と訴えた。
また、「日の丸・君が代」不起立を闘う教育労働者が発言にたち、「処分された408人以上の不起立があった。根津さんの闘いは、文科省通達を無にする闘いだ。日教組が方針を出さないなら自分で方針をたて、貫徹しようと構えを変えた。不起立は新たな団結の拡大だ」。さらにゲストの新藤宗幸千葉大教授、ジャーナリストの斉藤貴男氏の発言、各地での裁判員制度反対運動のとりくみが紹介された。まとめに立った高山俊吉弁護士は、「若手弁護士から自分がたちあがるという声が出てきた。みんなで団結して構えを変えるときがきた。6月13日に、「裁判員制度はいらない!全国集会」が予定されている。みんなの力で裁判員制度をつぶそう!」と訴えた。