千葉支社−救済運転に関する問題点で団交(4/10)
伝令者を確保できないために救済運転を導入?
救済運転施行時は、検査添乗及び検査確認後に併結を確認
駅間で列車が故障した場合の救援方法としては、これまで伝令法により執り行われてきた。また、定例訓練においても伝令法に基づく内容で運転士への教育が行われてきた。
一方、千葉支社は、本年1月以降、伝令法に代わる列車の救援方法として、故障した列車に後続列車を併結し、順方向の駅に収容する「救済運転」を導入し、この間、各運転職場において訓練が行われてきた。
後続列車は、閉そく指示運転で救援
救済運転の条件として千葉支社は、@救援を受ける列車が閉そく信号機の内方であること、A後続列車を順方向に運転し、併結後も順方向に運転する、B後続列車を駅から出発させる場合には、所定信号で運転できることを挙げている。
今回の救済運転では、閉そく信号機の内方に停車した故障列車を救援するために、後続列車には閉そく指示運転が指示され、それにより閉そく信号機を越えて運転するとしている。
しかし、閉そく指示運転の条件は、「列車の運転を開始しても支障がないことを確かめた後」に、「15q/h以下の速度で運転する」と規程上明記されている。「閉そく信号機の内方に支障がないこと」とは、閉そく区間内に二本の列車が入らないことも含めて何も支障がないことを意味する。そうなると、今回の救済運転では、閉そく指示運転を受けた後続列車の前途には故障列車が存在するため、規程上明記されている「支障がないこと」に反する恐れがある。
05年の問題は何ら解決されていない
一方、05年5月、我孫子線においてブレーキ故障により駅間に停車した列車の救援方法として、伝令法を使わずに、常用閉そく方式のまま救援列車を発車させ、途中の閉そく信号機では閉そく指示運転を行うという、規程を無視した取り扱いが行われた。
伝令法以外で、しかも規程を無視した救援方法を行ったことに対して千葉支社は、「規程には違反していない。訓練が行われていなかった。今後は同様の訓練を行う」として、開き直りの回答を行っていたのだ。
しかし、当時の問題が何ら解決していない中で今回の救済運転が導入されること自体問題であり、こういしたことからも動労千葉は、救済運転に関して申し入れを行った。
列車があることを知っていれば入れる?
4月10日に行われた団体交渉において動労千葉からは、05年に我孫子線で行った救援方法の問題点が解決されていない中で救済運転を導入することは、救済運転そのものの根拠が全くないこと、閉そく指示運転で救済する場合の規程上の問題点等について千葉支社を追及した。
千葉支社の回答は、「規程上問題ない」との回答を行う一方、閉そく指示運転で救援することについて、「司令員が、『支障がないこと』を確認し、『閉そく信号機の内方に故障列車があること』を分かっていれば、閉そく信号機の内方に後続列車を入れてはならない、と規程には書いていない」などという、列車の運行に責任を負うべき立場の者の発言とは思えない回答を行ってきた。
こうした回答に対する現場からの抗議の中で千葉支社からは、「我孫子線で行った取り扱いについては今後は残らないよう対応する」「会社として、閉そく指示運転単独の取り扱いは行わない」との回答が行われ、双方で確認した。
また、我孫子線での閉そく指示運転での救援に関しては、本社内での議論で「閉そく指示運転での救援に関して支障があることについての指摘があった」との回答が行われ、本社においても問題視していたことが今回明らかになった。
伝令法の失敗等何ら教育ができていない
今回の救済運転導入に関しては、@救援される故障列車の点検及び併結時の確認も必要なことから、検査を添乗させる、A故障列車と後続列車との併結は、検査の確認終了後に行う、B故障車両が車掌省略の場合は運転士が停止合図を行い、併結時は後続列車の車掌が併結の合図を行うこと等について確認した。
一方、今回の救済運転導入は、駅業務の委託や駅要員が逼迫する状況の中で、伝令法を施行する際の伝令者を確保できないという根本的な問題があることを示している。実際、昨年秋の台風時には、駅で伝令者の腕章を探したが見つからなかったとか、伝令法の施行に失敗するという、信じられない事態まで発生している。
しかも、運転士にとっては、伝令法以外の救援方法として救済運転が存在するという複雑な状況に置かれるなど、運転保安上も問題があるのだ。
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