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改憲国民投票法成立を弾劾する!
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改憲国民投票法の成立弾劾
昨日、憲法を改悪するための国民投票法が成立した。安倍政権は無数の怒りの声を無視し、まともな審議も経ないまま、参院本会議での採決を強行したのだ。
また、政府・自民党案と寸分変わらない自党案を対置した民主党は、何ひとつ抵抗もせず、事実上これを容認した。
今日にも、イラク特措法の2年延長法案が衆院を通過しようとしている。教員免許更新制の導入をはじめとした教育改革関連4法の改悪法案の衆院通過が、今週中にも画策されている。
国会は今や改憲派と戦争屋の巣窟と化している。国家とは「一つの家階級が他の非抑圧階級を搾取するための道具」であり、「社会から生れながら社会の上に立ち、社会に対して自らをますます疎外していく権力」であることが、幻想をはぎとられ、むき出しになろうとしている。
自らの闘いが問われる情勢
改憲投票法は、単なる改憲の手続き法ではない。それ自身が、憲法9条の破棄を準備するためのクーデター法といしうべきものだ。その意味でわれわれは、この日をもって、これまでとは全く違う情勢のなかに立ったのだということを決意も新たに確認しなければならない。3年後の法施行に向け、われわれ自身が待ったなしに問われる情勢である。
憲法とは国の基本法であ。その根本的変更は、革命かクーデターでもない限り、法的には絶対にできないことだ。改憲に手をつけたということは、支配体制の側にとっても、ひとつ間違えば自らの支配が崩壊する後のない断崖の際に立ったことを意味する。
かつて、ロシアにおける革命を勝利に導いたレーニンは、@古い支配の方法はすでに崩壊し、新しい方法は確立されていず、A誰もが現状の変化を望んでおり、B労働者階級が自発的に行動を開始していること───こうした情勢の到来をさして「革命情勢の前夜」と規定した。
改憲投票法の成立は、こうした、労働者階級の闘いが一切を決する情勢が到来しようとしていることを示すものだ。
決着を求め、新たな闘いへ
戦後、日本の労働者は、敗戦によってそれまでの支配のが崩壊する状況のなかから、一斉に労働組合を結成し闘いを開始した。その闘いは敗戦からわずか1年半後には、260万公務員労働者を先頭に、吉田内閣打倒を掲げた2・1ゼネストに立ち上がるところまで登りつめた。まさに爆発的な闘いへの決起であった。
この闘いは、前夜、GHQ(米占領軍)の銃剣の弾圧よって中止に追い込まれたが、現行憲法は、こうした燎原を焼き尽くすような労働者階級の闘いの高揚と、天皇制を軸として資本主義体制の維持を図る支配階級との激しい衝突のなかから生まれたものである。9条の戦争放棄や労働三権の保障は、燃えひろがる闘いの炎を終息させるための支配階級のギリギリの妥協でもあった。
結局この闘いは、GHQを「解放軍」と規定した日本共産党の決定的な誤りをも背景として、決着がつけられることなく、戦後日本の支配構造が確立されていったのである。改憲投票法の成立という情勢は、再び労働者階級と資本家階級が決着をもとめて全面的に衝突する時代が到来しよとしていることを示しているのだ。
改憲国民投票法の本質
改めて、改憲投票法を弾劾し、これと断固として闘いぬく決意をうち固めなければならない。
その反動的性格の第一は、「公務員、教育者」の反対運動を禁止したことである。550万の公務員、教育労働者が反対の声をあげることを違法とする状況のなかで改憲投票をクーデター的に実施するというのである。
第二に、組織により、「投票に影響を与えるに足りる物品の提供」を行なうことが刑事罰の対象とされる。労働組合がパンフレットやワッペンを無料で配布したり、動員をかけて交通費などを支払えばこの条項に該当するというのだ。つまり改憲投票法は、改憲に立ち向かう労働組合の団結と闘いへの壊滅法である。
第三に、その一方で有料広告を野放しにしている。法では改憲の発議から投票までが60日〜180日。この間、財界が膨大なカネを注ぎ込んで改憲に向けた大宣伝を垂れ流すことは間違いない。無数の労働者をワーキングプアに突き落とし、生きる権利を奪うことよって手にした利益で憲法を買い取ろうというのだ。トヨタの利益が2兆円である。仮に1兆円を注ぎ込んでも、それで戦争国家が買えれば安いものだというのだ。
今こそ労働運動の復権を!
現在の改憲攻撃に至る情勢は、国鉄分割・民営化−総評・社会党の解体を起点として開始されたものだ。しかしわれわれは、この攻撃に真正面から立ち向かい、今も団結を守ってJR体制を揺るがして闘っている。問われてるいるのは、労働組合の階級的団結と闘いの問題だ。
「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」「格差社会」と呼ばれる現実は、資本主義体制の出口のない危機を示すものだ。我慢のならない怒りの声が社会の変革を求めて噴きだそうとしている。今こそ連合や全労連の屈服を打破して、階級的な労働運動の復権をかちとらなければならない。それこそが改憲攻撃をはね返す道である。われわれは、決意も新たに闘いに立ち上がることを決意する。