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JR東日本「新たな再雇用制度」を提案
シニア制度を廃止し、「エルダー社員制度」を新設

 JR東日本は、3月29日、

 再雇用機会提供制度(シニア制度)を廃止し、会社で再雇用する制度を新たに設けることとする。

という、「新たな再雇用制度」について提案を行なってきた。

新たな再雇用制度の概要

 提案された新たな再雇用制度の概要は次のとおりである。

(1) 定年退職後の雇用を希望する者を「エルダー社員」という名称で、JR東日本が再雇用する。
(2) エルダー社員の雇用契約期間は、退職の翌月から65歳までとする。
 (但し2008年度(H20)年度退職者は64歳まで)
(3) エルダー社員は、原則としてグループ会社等への出向となる。
 (但し人材育成や技術継承を目的として、出向せずにJRで勤務する場合もある───例として、支社、指導センター、総合車両センター等があげられており、主に管理者と思われる。「乗務員の勤務制度は設けない」としている)
(4) 実施期日は、2008年度(H20)年4月以降に退職する者から。
※ なお、再雇用の手続きがどのような形になるかは未だ提案されていないが、現在のように、「再雇用試験」は行なわないとしている。

再雇用の主な労働条件等

(1) 雇用契約は、5年間の有期雇用(H20年度退職者は4年間)とし、更新は行なわない(私傷病により、継続180日間欠勤した場合等は雇用契約終了となる)。
(2) 服務については、公職の取扱いを除き、社員と同様とする。
(3) 出向にあたっては、出向先の業務内容、労働条件を明示する。出向者の労働時間等は、原則として出向先の規定による。条件によっては、ハーフタイム勤務の取扱いを行なうことがある。
(4) 出向者は、人事担当部署の所属とする。
(5) 年休の付与日数、有効期限等は原則としてJRの規定による。
(6) 安全衛生、業務上災害保障、懲戒、旅費については、社員と同様とする。
   表彰については、永年勤続及び無事故表彰を除き、社員と同様とする。
(7) 賃金については裏面参照のこと。

主な福利厚生等について

(1) 社員から継続して入居する場合は、社宅、寮の利用は可能とする。
(2) 社員共済会、社員持株会、社員貯金、財形貯蓄、団体定期保険については、利用可能とする。
(3) 職務乗車証は、原則として再雇用期間中交付する。購入券システムは年12回利用可能とする。
(4) カフェテリアプランについては利用可能とする。
(5) 単身赴任者については、自由席特急券代用証を交付可能とする。
(6) JRグループ健康保険、厚生年金及び雇用保険等に引き続き加入する。

 なお、出向せずにJRに勤務する場合の取扱いについては、前記の他、@フルタイム勤務、ハーフタイム勤務(年間休日数を168日にする場合と一日の所定労働時間を4時間30分にする場合の二種類)のいずれかを適用すること、A年休付与条件は、勤続期間の計算にあたって、社員から引き続き勤務しているものとして取扱うこと、B「乗務員の勤務制度は設けない」こと等が提案されている。これは、60歳以降も乗務員として再雇用されることはないということだと考えられるが、指導添乗にあたることはあるとしている。

提案の問題点−定年延長を

■ 提案された内容は概略以上のとおりである。細部については今後解明を求めていくことになるが、これは、ずっと動労千葉が指摘し続けてきたとおり、現在のシニア制度が破たんしたことを示すものだ。シニア制度を「すばらしい制度だ」「大きな成果」とと称して7年間も組合員に強制してきた東労組の責任は重い。
■ だが、今回提案された新たな制度も、重大な問題をもつものだ。1953年(S28年)4月2日生まれ以降の者からは、報酬比例部分の段階的な引き上げも始まり、60歳では年金は一銭もでなくなる。本来ならば、このような形ではなく、きちんとした定年延長が必要な時が来ているのだ。
■ しかも、今回の提案の背後には、これをもって、業務の全面的な外注化を一挙に進めようという意図が見えてくる。なぜ「原則出向」でなければいけないのか。大量退職が進む状況のなかで要員問題は深刻化している。それをライフサイクル提案などでつけ焼刃的にのり切ろうとしているのが現状だ。本来ならばJR本体で雇用を継続すればいいはずだ。にも係わらず「原則出向」としたのは、業務外注化を進めるためとしか考えられない。定年延長と65歳まで働ける労働条件の確立を求めて、さらに闘いを強化しよう。

エルダー社員の賃金の取り扱いについて

 エルダー社員の賃金は、基本賃金、通勤手当、特殊勤務手当(出向者特殊勤務手当を含む)、割増賃金、日直・宿直手当、緊急呼出手当、自動車行先地手当、精勤手当及び功労賞とする。

基本賃金

@ 基本賃金は、月額とし、社員の退職時の等級に応じた区分(以下、「等級区分」という)及びエルダー社員の在勤地に応じた区分(以下、「地域区分」という)により、次のとおりとする。

ア フルタイム勤務(単位:円)
区分
(1)
(2)
(3)
(4)
172,500
181,100
189,800
207,000
165,000
173,300
181,500
198,000
157,500
165,400
173,300
189,000
150,000
157,500
165,000
18,000

イ ハーフタイム勤務

区分
(1)
(2)
(3)
(4)
90,600
95,100
99,600
108,700
86,600
92,000
95,300
104,000
82,700
86,800
91,000
99,200
78,800
82,700
86,600
94,500

(注1)等級区分及び地域区分は次のとおりとする。
    等級区分
    (1):1等級、2等級、3等級、F等級及びE等級
    (2):4等級、5等級及びD等級
    (3):6等級、7等級及びC等級
    (4):8等級、9等級、10等級、B等級及びA等級
    地域区分
    1:東京支社の営業エリア内
    2:横浜支社、八王子支社、大宮支社及び千葉支社の営業エリア内
    3:高崎支社及び水戸支社の営業エリア内
    4:仙台支社、盛岡支社、秋田支社、新潟支社及び長野支社の営業エリア内
(注2)特に必要と認める場合には、金額を調整することがある。

A基本賃金は、毎月25日(銀行の休日にあたるときは、直前の銀行の営業日)にその月分を支給する。なお、エルダー社員が勤務等によって地域区分を異にすることとなった場合は、発令の日の属する月の翌月(発令が月の初日の場合は当月)から基本賃金の支給を改訂する。

上記の他、賃金関係については、概略以下のとおり

(1) 精勤手当・・・・夏季15万円、年末15万円。(ハーフタイムの場合は半額)
           ※ 契約満了時には、最後に支払われ精勤手当以降の残期間分が支払われる。
           ※ 「期間率」、「成績率」の適用もある。

(2) 功労金 ・・・・雇用契約が終了したエルダー社員に対し、在職満年数に応じて支給。支給額は、基本賃金の1ヵ月分×在職満年数。

(3) その他 ・・・・通勤手当、特殊勤務手当、割増賃金、日直・宿直手当、緊急呼出手当、自動車行先地手当、旅費については社員に準じて取り扱う。

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