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国民投票法案−改憲阻止のたたかい
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動労千葉顧問弁護士の鈴木達夫弁護士を招いて、「国民投票法案―改憲阻止の闘い」と題して第Y期労働学校実践編の第1回が行われた |
4月22日、第Y期労働学校実践編の第1回が行われました。動労千葉顧問弁護士の鈴木達夫弁護士を招いて、「国民投票法案―改憲阻止の闘い」と題して講義を行っていただきました。その概略を掲載します。詳しくは、学習センター発行のブックレット「自民党新憲法草案との対決」(鈴木達夫)を読んで下さい。
憲法とは一般の法律の上にある法律ではなくて政治と革命の所産です。憲法とは権力がいかに人民を統治するのか、その基本的な関係(統治形態、権利・義務)を表したものです。フランス憲法は、新興の産業資本家階級(ブルジョアジー)が作った物であり、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国の憲法は、労働者が作ったものです。
日本国憲法は、ブルジョア憲法でありながら他のブルジョア憲法にない特異性、特殊性を持っています。「陸海空いかなる戦力も保持しない。交戦権はこれを否認する」です。
敗戦直後の戦後革命情勢のなかで何とかしてこの危機を乗りきるために、「上からの革命」として労働者の闘いを押さえる為にある程度の妥協を取り入れて作られたものです。
しかしそのために「象徴天皇制」が残される一方で基本的人権がうたわれているということです。支配階級の側からは執拗な改憲策動が繰り返されてきました。中曽根が国鉄・分割民営化の時に「国労を解体し、社会党・総評ブロックを消滅させ、新しい憲法を床の間に」といったように、分割・民営化攻撃は憲法改悪を視野に入れての攻撃であったことがはっきりしています。
昨年出された自民党の新憲法草案ですが、焦点は9条2項と96条です。
9条のところで今の憲法は「戦争放棄」という表題ですが、「新憲法」草案では「安全保障」と書かれています。安全保障とは軍事外交政策のことです、戦争放棄が軍事外交政策に変わっています。そして、今の9条2項は1項の「このような国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とし、この目的を達するために「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」となっています。
自民党草案はこれを全部削除して、第9条の2(自衛軍)を作りました。
その内容は、
@ 我が国の平和と独立並びに国民及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛軍を保持する。
A 自衛軍は、:法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
B 自衛軍は、:国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、または国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
C 自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。となっています。
結局1項と2項がセットになって、特に2項で一切の戦力を放棄する、交戦権を認めないとして初めて戦争は出来ない、やってはならないことになるんです。
新憲法草案との対決の核心はこの9条2項にかかっています。帝国主義、資本主義の国で戦力を持たないと宣言した国はありません。そうした日本のあり方の核心が9条2項です。
自民党が今回の改正のポイントにしているのが96条です。
今の憲法は、「総議員の3分の2以上の賛成で発議し」、国民投票で「過半数の賛成を必要とする」となっています。しかし、新憲法草案によると「衆議院又は、参議院の議員の発議に基づき―誰でも議員は発議できる。その上で国家の議決が「過半数」でできる。つまりこれが通ると国会の3分の2要件はいらなくなり、憲法は普通の法律になるということです。
これと直結するものが今通常国会に提出されようとしている国民投票法案の問題です。
地方公務員、国家公務員あわせて公務員、教育者、外国人などの運動が禁止され、違反すると懲役7年です。
さらに報道規制、評論規制があり、「結果を予測するような報道」「結果に影響を与えるような報道」をしてはならないとしています。反対運動は禁止する一方で、政府の思いのままの宣伝だけが行われることになります。
また、この国民投票の効果として、「有効投票数の2分の1」、つまり最もハードルが低い「過半数」で良いということになります。
自民党はこの国会でこの憲法改正国民投票法案を成立させようとしています。改憲阻止にとって、待ったなしの情勢です。
改憲という問題の大きさ、戦争を真っ向から突きつけているということから正しく闘うなら勝利の条件はあります。国民投票法案阻止、改憲阻止の闘いをつくりだそう。