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4・6幕張構内事故
運転士への責任転嫁を許すな
放置され続けた構内の安全対策

 4月6日、幕張車両センター構内事故は、改めて、構内入換作業に対する安全対策の必要性をわれわれにつきつけた。
 本部、乗務員分科会、幕張支部は14日、17日に事故対策会議を開催。支部も4日間にわたり、構内・仕業担当者と支部執行部による対策会議を行なった。その討議の中でも、様々な安全上の問題点が浮かび上がった。当該運転士への事故責任の転嫁を許してはならない!

放置され続けた安全対策

 幕張構内事故の最大の原因は、構内における安全対策が永年にわたって置き去りにされ続けてきたことにある。毎日、複雑な入換作業や入出区作業が行なわれる構内は最も事故の多い職場だ。しかし当局はATSなどの保安装置を全くと言っていいほど設置してこなかった。幕張の構内でATSが設置されているのは、本線からの入出区線等、本線に関係した箇所だけである。絶対信号機であるにも係わらず、その他の入換信号機は、完全に放置されてきたのが現実だ。つまり、今も構内運転士の注意力だけに頼って安全が確保されてきたということである。
 国鉄時代、ATSが設置されるようになったのは、160人の死者をだした1963年の三河島事故がきっかけであった。しかし、構内に関して言えば、安全対策はそれ以前の状態のまま放置され続けているということだ。

無視されたATS設置要求

 とくに幕張車両センターは、津田沼側と幕張側の双方から入出区があるため、入換作業も非常に複雑だ。しかも、一本の収容線に列車を重ねどりする危険と背中合わせの作業を日常的に数多く行なわなければならない職場である。
 今回の事故があった「南引き上げ線」は、幕張車両センターにおける入換作業の最も要衝をなす箇所であった。ほとんどの入換作業が、南引き上げ線を使って行なわれる。列車はここに引き上げられた上で振り分けられて、留置したり、検修庫に入れられたりする。また車体の洗浄もここを使って行なわれる。
 しかもそのすぐ脇に、幕張側からの入出区に使われる「南通路」が通っており、それが南引き上げ線とクロスしている。
つまりひとつ間違えば重大事故になりかねない箇所である。しかし、本線との入出区線である南通路にはATSが設置されているが、南引き上げ線には保安装置は全くない。
 幕張支部はずっと南引き上げ線にATSを設置するよう、労働安全衛生委員会の場などで要求してきたが、会社は、費用がかかることを理由に、この要求を一顧だにせず無視し続けた。その結果が今回の事故を生んだのだ。

南引き上げ線の問題点は指摘され続けていた

 しかも、南引き上げ線は、列車を引き出す際、入換信号機のすぐ手前に踏切があり、信号機の先には車体の洗浄機が二台設置されている。一台は洗浄剤を塗布するためのものであり、もう一台は水洗い用のものである(写真参照)。そしてその先がクロスポイントになっている。「洗い」がある場合、構内運転士は、洗浄中を示す洗浄機のランプが点灯したことを確認して列車を始動させる。それも「C掃」の場合は水洗いだけ、「B掃」の場合は洗浄剤をかけた上で水洗いと、作業の内容が違い、さらに洗浄する場合は4q/h、通常の場合は25q/hと、運転速度も違う。洗浄機を扱うのは車両整備鰍ナあり、ポイントの開通とは関係なく洗浄機は回りはじめライトが点灯する。
 踏切に気をとられ、洗浄機に気をとられ、作業によって運転速度も違うという状況のなか、現場では、洗浄機のランプが点灯すると、ポイントが不開通でもついつれ込まれそうになるという声はずっとあがっていた。今回の事故もこうした状況のなかで発生した。
 これは職場でもかねてから問題となっており、洗浄機のランプの色を変えるなどの対策がとられてきた。しかしそれは所詮、問題の根本的な解決的と呼べるものではなかった。さらに、洗浄剤の塗布は南引き上線に向うときに行い、水洗いは引き上げ線から折り返してくるときに行なわれるが、洗浄剤を吹き付けているときは、前方が全く見えなくなり、視界が開けたとたんに踏切があるという危険性も指摘されている。
 いつかこういう事故が起こることは誰もが感じていたと言っても過言ではない。

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