反合・運転保安闘争の復権めざし
安全運転闘争−ストライキを貫徹
卑劣な監視・現認や処分の恫かつと対決し、3月10日からの安全運転闘争、3・13幕張第一波スト、3・16−18スト、そしてベアゼロ回答を弾劾して闘われた貨物3・23ストを誇り高く闘いを貫徹された全ての組合員に心から敬意を表します。ご苦労さまでした。
当局は再び「運行管理権を奪う違法行為」と叫びたて、職制を運転台に乗り込ませるなどの弾圧体制を敷いて闘いを圧殺しようとした。闘いはこうした困難をはね返して貫徹された。安全運転闘争には延べ700名、三波にわたるストには延べ520名の組合員がたち上がり、闘いは大きな波紋を広げている。
「安全の崩壊」に対するゆずることのできない闘い
今次闘争は何よりも、安全が危機に瀕するJRの職場の現実に対する労働組合としての止むに止まれぬ闘いであった。尼崎事故、羽越線事故、レール破断の多発
………。こうした現実に対し労働組合として何ができるのか。何をなすべきなのか。今次闘争は動労千葉にとって絶対に譲ることのできない闘いであった。
とくに01年の「完全民営化」以降、JRでは、業務の全面的な外注化や東日本だけでも1万人に及ぶ要員と、莫大な修繕費の削減が強行され、「株主価値重視経営」等のかけ声の下に安全が徹底して切り捨てられた。しかもこの過程で、東労組はもとより、国労までもが業務外注化を中心とした大合理化を容認した。労働組合が資本の手先となり、抵抗力を失った結果として尼崎や羽越線での大惨事が起きたのだ。
われわれは、今次闘争によって、JRにおける安全問題を社会問題化させ、民営化・規制緩和攻撃と立ち向かう闘いの展望を鮮明に示した。
反合・運転保安闘争の復権をかけて
「闘いなくして安全なし」のスローガンに込められた反合・運転保安闘争路線の核心は、安全の確保は、労働組合の闘いや抵抗によって資本に強制する以外に、実現するいかなる道もないという立場にたちきるということだ。
運転保安闘争の柱をなすのは反合理化闘争です。反合理化闘争を本当に闘いぬくことができるか否かは、労働組合にとって試金石だ。われわれは、安全は資本の最大のアキレス腱であることを見すえ、ここにこだわりきることで、反合闘争の新たな展望を切り開いた。
安全を守るためにわれわれにできることはひとつしかない。スピードを出さないこと、危険だと感じたら列車を止めることだ。尼崎事故以降、職場討議を重ねるなかから立ち上がった安全運転闘争は、分割・民営化の矛盾が「安全の崩壊」となって噴出している現状のなかから、反合・運転保安闘争の復権をめざす闘いであった。
幕張縮小反対!5年間の闘いの地平の発展をめざして
シニア制度に立ち向かい、検修・構内業務の外注化を止め、さらに膨大なレール交換を実施させたこの5年間の闘いは、画期的な成果を切り開いた。幕張車両センターの縮小や錦糸町派出廃止に対する検修職場からの闘いも、この地平をさらに発展させる決意を込めた反合・運転保安闘争であった。
そしてわれわれは、二波にわたるストライキによって、257系等の検修業務が時間内に終了しない現実、新たな外注化どころか国鉄時代に外注化された業務も直営に戻すしかなくなっている職場の現実をつきつけ、千葉支社が現場調査に入らざるを得ない状況をつくりあげた。
京葉運輸区廃止−蘇我運輸区新設、グリーン担当車掌業務の外注化、駅業務外注化攻撃のエスカレート等、第二の分割・民営化攻撃は新たな段階の攻防を迎えている。外注化阻止、安全を守るために必要な要員の確保に向けて、さらに闘いを強化しなければなない。
貨物ベアゼロ回答と06春闘
一方、JR貨物は7年連続となるベアゼロ回答を強行し、日貨労は会社の手先となって回答をその場で裏切り妥結した。われわれはこの回答と裏切りへの満腔の怒りを込めて貨物第三波ストにたちあがった。
06春闘では、自動車・電機・鉄鋼大手等が、わずか数百円〜千円にすぎないが、5年ぶりの「ベア回答」を行なった。無数の労働者が超低賃金・無権利の非正規雇用に突き落とされる一方、上場企業の多くが空前の利益をあげるなかで、このままベアゼロを続けたら怒りの声が噴き出し、反乱が起きると恐れたからだ。
結局、資本家たちにとって最大の問題は労働者をいかに支配するのかである。今春闘は歴史を動かすの労働者の団結した力だということを示した。労働者の団結が破壊され、資本の手先となった御用幹部たちによって、自らが非力な存在に過ぎないと思いわされている現状を打破し、「労働者こそ社会の主人公だ」と胸をはって声をあげることが求められているのだ。
戦争と民営化の大攻撃への反撃
闘いは未だこれからだ。しかし今次闘争は、JRのみならず社会全体に大きな波紋を広げている。闘いには、無数の激励や支援のメール・手紙・電話等が寄せられている。
民営化−規制緩和という犯罪的政策が、いかに安全を崩壊させるのか。いかに労働者の権利や雇用、賃金を破壊したのか、いかに労働者の団結を破壊し、労働組合を変質させたのか。今次闘争はそれを問う闘いでもあった。「格差社会」という名で呼ばれる貧富の差の止めどない拡大、急速に進む労働者の非正規雇用化や社会保障制度の解体。それに追従する労働組合の惨たんたる現状のなかで、今、時代に最も欠けているのは労働者の怒りの声だ。
それと表裏一体で、日本を「戦争をする国」へと変貌させようとする激しい攻撃が進められている。今国会への国民投票法案や教育基本法改悪案の上程策動など、憲法制定から60年を経て、ついに憲法改悪が国会審議の俎上にのせられようとしている。危機にたつ資本と国家の延命のために、「自衛」の名のもとに再び戦争にのり出そうという現実。歴史の大きな分岐点にあって、労働組合の存在価値が問われている。
焦点は労働組合をめぐ攻防
最大の焦点は労働組合をめぐる攻防だ。自治労や日教組本部までもが、激しい労働組合破壊攻撃に恐れをなし、変質して、改憲容認に方針転換しようとしている。
一方それに対し、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争を先頭に、職場からの労働者の反乱が開始され、それが大きな波紋を広げている。こうした分岐のなかから、労働運動の再生に向けた新たな胎動が始まっている。
また、日米安保同盟の再編攻撃に対しても、沖縄、岩国など全国で怒りの声が噴き出し、小泉政権を追いつめている。
この春闘過程で、韓国では鉄道労組の仲間たちが激しい弾圧に抗してストライキ・安全運行闘争を継続し、フランスでは、26歳以下の若者を理由も告げずに解雇できるという雇用法の制定に対し300万人の若者が街頭に繰り出して怒りの声をあげ、鉄道労働者がストライキに立ち上がった。帝国主義の危機が労働者をひとつに結びつけ、全世界で我慢のならない怒りの声が噴出している。06春闘はこうした闘いの一翼を担い、共通の敵にたち向う闘いであった。
1047名闘争の勝利をめざして
06春闘の渦中で、1047名闘争も、被解雇者全員が労組や立場の違いをこえて団結する新たな地平が切り開かれた。それは大きなインパクトとなって全国に波紋を広げ、1047名闘争は再び力を取り戻した。大民営化攻撃が吹き荒れようとしている情勢のなかで、これは画期的な意味をもつものだ。
一方、闘いの内部からも、ついに実現したこの団結を潰そうという様々な動きが渦まいているのも事実だ。闘いのもつ位置と見通しを見失い、また再び「政治決着」だけを追い求める愚を繰り返そうとする動きもある。われわれは様々な分断策動をのりこえて、本気になって怒りの声を結集し、この時代にたち向かう力をもった労働者の団結をつくりあげなければならない。
国鉄分割・民営化攻撃は、全ての労働者の権利と団結を打ち砕くために画策された国家的不当労働行為であり、1047名闘争は日本の労働運動の未来をかけた闘いだ。われわれの06春闘は、1047名闘争の勝利に向け、闘いの原点に帰ることの訴えでもあった。
不当労働行為根絶-組織拡大春闘と位置づけ、渾身の決起
さらにわれわれは今春闘を、14名の仲間たちを検修職場に奪い返したこの2年間の闘いの成果にふまえ、士職登用差別粉砕、不当労働行為根絶に向けた第二ラウンドの闘いとして位置づけ、さらには「組織拡大春闘」と位置づけて渾身の力を込めて闘いぬいた。
動労千葉の組合員であるというだけの理由で、20年以上も運転士発令を拒否し続けるという露骨な差別を許すことはできない。われわれは動労水戸の仲間たちがかちとった士職登用差別事件の中労委勝利命令をも武器として、この卑劣な差別を打破するために、全力で闘いを展開した。だが、今次闘争ではこの風穴をこじあけるには至らなかった。しかしわれわれは、JR東日本が動労千葉潰しの不当な労務政策を中止するまで絶対に屈することなく闘い続ける。
JR総連・革マルと手を結んだJR東日本の異常な労務政策はすでに崩壊している。国鉄分割・民営化の矛盾は、革マル問題というかたちでも噴出しているのだ。革マルと手を結び、組合潰しを続けた東日本経営陣の責任は重い。職場からの支持の声はわれわれにある。今次闘争の渦中で行なった錦糸町派出廃止反対署名には、多くの職場で、東労組の組合員もほとんど全員が署名した。われわれは、今次闘争は、様々な面で新たな一歩を切り開いたと確信している。
闘いはこれからだ。われわれの前には、未だ多くの課題が残されている。しかし今次闘争は、JRの安全崩壊に対し労働組合の原則を守ってたち向った唯一の闘いとして、小泉−奥田の攻撃に苦しむ全国の労働者への団結の呼びかけとして、1047名闘争勝利に向けた職場からの闘いとして、戦争への道を絶対に許さないと誓ったわれわれの決意として、大きな成果を実現した。さらに闘い続けよう。
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