敗戦60年を迎えた8・15
国家主義・ナショナリズムと対決する反戦平和運動を築こう!
戦後60年の歴史的分岐点!
2005年、8月15日、敗戦60年という歴史の節目を迎えた。
われわれは、この05年から07年の過程−05年戦後60年という節目の年、そして07年は憲法発布、教育基本法−労働基準法制定60年、まさしく歴史的分岐点、戦後最大の階級決戦としていかに闘っていくのかを、全労働者の課題として提起してきた。
情勢は、小泉−奥田路線による戦後的な社会のあり方、価値観を覆すものとして襲いかかってきている。それは何よりも新たな戦争への道以外のなにものでもないことは、イラク侵略戦争以後の現実が鮮明に物語っている。その背景にあるのは、もはや打つ手がなくなった帝国主義の危機にあることは明白なものだ。今や攻防の焦点はいうまでもなく憲法改悪−改憲攻撃との対決にある。
急ピッチですすめられている戦争国家体制づくりへの道!
戦争国家への体制づくりが急ピッチでつくられようとしている。2003年の「イラク復興特別措置法」の強行以降、武力攻撃事態法など有事関連三法の制定、そして2004年のそれを補完する有事関連七法と日米物品役務相互提供協定などの三条約・協定の批准など、着々と戦争国家体制が進行している。それと一体となった労働者への攻撃もすさまじいばかりだ。年金改悪、労働組合法の改悪、そして司法改悪、治安弾圧関連法の制定など、枚挙にいとまがないものだ。これに小泉−奥田体制による、「聖域なき構造改革」、「骨太方針」、「奥田ビジョン」によって、労働者の九割を不安定雇用化する攻撃が開始され、優勝劣敗、競争原理が全面展開され、「勝ち組」「負け組」などという言葉までが、流行語になるような社会情勢が到来した。
侵略戦争を美化し、憲法改悪をテーマにする「つくる会教科書」
同時に恐るべきピッチで、差別・排外主義が跋扈している。
「つくる会教科書」の採択をめぐった状況が最もそれを表している。侵略戦争を美化し、歴史の史実を隠蔽した内容、憲法九条をターゲットにして、「憲法改正」をテーマに構成されたその中身、大日本帝国憲法をすぐれた憲法だとして、天皇を中心とした国家体制、専制国家体制における憲法を称賛する。「領土・領海・領空への侵犯は国家主権への侵害」と領土問題を取り上げている。領土問題と排外主義は戦争へと直結するものだ。
「天皇を中心とした神の国」戦争のできる「普通の国」は、教育を変え、報道を変え、労働組合に結集する労働者の団結を破壊することなくして成立しない。まさしくここにこそ現在の情勢のすべてが網羅されている。
「国民運動」に押し上げられる国家主義・ナショナリズム!
敗戦60年のこの8月15日、「靖国の杜に集まろう」と「20万参拝運動」なるものが提唱され、差別・排外主義を「国民運動」にまで押し上げようとすることが行なわれようとしている。「正しい歴史認識をする」、「古来の国民の決意が結集し、形をなしたものが靖国神社」、「早く天皇陛下の御参拝できるような世論を」、「靖国参拝は、国を愛する心があるかどうかの踏絵になる」、「いざとなったら皇居前に集まるごとく、靖国の宮居の前に雲集することが国の大事にこたえる道」、「靖国神社は、日本の平和・安全保障の原点です」、等々、天皇制イデオロギーの展開と、「侵略戦争ではなく自衛の戦争であった」
とする靖国の歴史認識を全面的に肯定することが、「国民運動」として展開されようとしている。
ここには侵略戦争を行なった反省など欠片もない。ヒロシマに掲げられた「二度とあやまちはくりかえしませんから」とする、血を吐くようなメッセージに込められた思いを踏みにじってはならない。差別・排外主義との対決なくして、戦争国家体制との対決もないものだ。
改めて反戦・平和運動の強化・発展・拡大を高く掲げよう!
われわれは、この8月15日、改めて敗戦60年を迎えて、決意も新たに、反戦・平和運動を強化・拡大・発展させなければならないと考える。今日の改憲攻撃のターゲットが「戦争放棄」を明確に条文に掲げる日本国憲法の趣旨を大きく変えてしまうものに他ならないものであるからこそ、断固としてこの平和憲法のもっている意義を見なおさなければならない。
海外からも注視されている日本国憲法第九条の不戦の精神
いま、憲法九条の問題を真正面から取り上げた映画が上映されている。その映画の冒頭の部分では、当時の日本政府が作った憲法草案がGHQに却下されたことや民間人が作った草案が、かなり参考にされた事実が明かされている。この映画では日本国憲法の中でも、「戦争の放棄」と「戦力の不保持」に踏みこんだ第九条が海外からどう見られているかという、日本人にとって新しい視点も示されている。その中では、「第九条こそが、アジア諸国に対する戦後謝罪だった」、「日本の憲法は、いろいろな国の人が理想に思っている理念が入っていて(改正議論)は注視されています」と語られている。また、改憲を主張する人たちは、しばしば護憲を理想論とし、「北朝鮮の脅威」を持ち出して現実を見据えなければとするが、「日本の中で、北朝鮮を脅威に思っているのは、イラクに対して米国が抱いているのと似ている。あんなに経済的に苦しんでいるのに、本当に脅威なのか」と監督は語っている。
「すべてのいい憲法は、たいてい民衆が政府に押しつけたものです」、「軍隊と女性の人権蹂躙は密接に結びついています」、「自衛隊のイラク駐留は国際法違反」、ここに込められた「憲法九条の精神を大事にして」との思いは重要なコンセプトになるのではないか。
敗戦60年のこの日、国家主義の台頭を許さない、反戦・平和運動の陣形をつくりあげようではないか!
戦争の放棄!国家主義の台頭を許さない闘いをつくりあげよう
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