home page 日刊動労千葉 前のページに戻る

No.

千葉支社に抗議の申し入れ 下
われわれが守ろうとしているのは安全という最高の利益だ

前号からつづく

昨年1月6日に発生した「レール破断」の写真。1年も経たずに同じことが起きた
破断したレール (3/5総武快速線・上り、市川〜船橋間)
枕木のズレを防止するボルト(左端)も抜け、ほぼ1本分上方にずれている(3/26銚子駅構内・電留線の鉄橋部分)

4.相次ぐレール破断!

 安全運転行動のうち「総武快速線・津田沼駅〜幕張駅間(上下)については、最高速度を90q/hとする」についても、「われわれは、列車を遅らせることが目的ではなく、現在の線路状態のなかで、列車運行にほとんど影響を与えることのない範囲で、ギリギリ安全を守れる速度で走ろうという主旨である。90q/hとしたのはそうした判断からで、最大遅れる列車でも1分と考えている」と会社には、その主旨を明確に伝えたところである。

レール破断の連続発生区間!
 この区間は、昨年1月、今年2月に連続してレールが破断し、今も列車の走行音が変わってしまうほどレールが傷だらけの箇所である。さらに、多数の締結ボルトの脱落や緩みなどが放置されてきた区間でもある。5月7日にも、運転士から大きな異音がしたことが報告されており、組合で調査したところ、継目板で補強された箇所のレール踏面が目で見てわかるほど凹んでいることが確認されている。
 この間われわれは団体交渉により、何度となく「抜本的な安全対策が済むまでの間、速度を制限する等の安全対策をとるべきである」ことを求めてきたが、「レールが折れれば信号機は停止現示となるので危険性はない」という暴論をもって、その要求を無視し続けた。

なぜ異常事態と認めないのか
 レールが相次いで折れるという前代未聞の異常事態を異常事態として認めようともしない姿勢のなかにこそ、まさに輸送業務の最大の使命であるはずの安全に対する感覚の根本的な崩壊が示されていると言わざるを得ない。
 さらには、昨年来1年半にもわたる労資交渉のなかで、千葉支社は、現在の線路状態等をつぶさに明らかにし、その安全対策を真摯かつ具体的に議論しようとする姿勢すら示さなかった。

隠ぺい工作まで!
 そればかりではない。昨年1月7日に発生したレール破断時の内部文書では「折損という言葉を使わずに『損傷』、『ひび』という言葉で統一すること」「(折れたレールの)口の開いた写真の取扱いに注意すること」等が指示されるなど、事態を隠ぺいしようとすらしている。千葉支社はその文書の釈明にあたって、「損傷で統一せよと指示したのは、専門家や学会では折損という言葉は使わない。全て損傷と表現するからで、隠そうという意図はない」としたが、その後の組合の調査では、専門家の間でも「損傷」と「折損」は明確に区別されて使用されていることを確認している。このような隠ぺい体質こそ、重大事故の温床であることは論を待たない。

破格の予算は闘ったからこそ!
さらに言えば、今年度、千葉支社にはレール交換等のための破格の予算がついたと言われているが、これはわれわれが幾度となく問題を指摘し、昨年来、安全運転行動やストライキ等に起ちあがって訴え、社会的問題にもなったからこそである。こうしたこの間のわれわれの行動に対しても千葉支社は「信頼に背く行為だ」「違法争議の疑いがある」「厳重に対処する」等、罵詈雑言の限りを浴びせることを常としてきたが、どちらが安全や乗客や乗員の生命という最高の利益を守る行為であったかは既に明らかである。
 安全運転行動は、こうした状況のなかでの、鉄道輸送に従事する労働者としての最低限の責任を果たそうという行動に他ならない。それを「運行管理権を侵害する違法行為」などとされるいわれは全くない。

(1) 2年連続してレール破断等が多発するという事態を、なぜ列車運行の安全確保にとって、極めて危機的な事態、非常事態として考えないのか、見解を明らかにされたい。

(2) 管内全箇所のシェリング傷、きしみ割れ等の実態及び対策、レール交換等の計画を具体的に明らかにされたい。

(3) 動労千葉申第12号、同第15号等に基づき、抜本的な安全対策を早急に実施されたい。

(4) 昨年1月7日のレール破断に対し、その隠ぺいを指示する内部文書がだされていることについて、見解を明らかにされたい。

5.尼崎より遥かに悪条件

 「外房線・東浪見駅(上り)については、場内信号機で45q/hに減速して進入する」については、すでに9年にわたって未解決のまま放置されている懸案事項である。

発端は複線化時の支社のミス
 改めて経緯を示せば、1996年12月ダイ改時に、東浪見駅〜長者町駅間が複線開業したことに伴い発生した問題であった。複線化 に伴い列車が東浪見駅出発信号機の先にある45q/h制限のポイントを通過するようになったのである。ちなみに言えばこの時点では千葉支社は、同ポイントを35q/h制限であると間違えて把握しており、運転士等にもそのように指導されていた。
 また同ダイ改に併せて、外房線の同区間は、120q/h運転のスピードアップが行なわれた。同ポイント手前の直線は、最高速度120q/hとされたのである。こうした条件を考えれば、複線化工事をしながら同ポイントを交換することなく、そのまま残してしまったことは、千葉支社のミスであったことは明らかである。逆に承知していながら、35q/h制限と把握していたポイントをそのまま残したとすれば、安全に対する判断を疑わざるを得ない。

9年間放置しつづけた!
 とくに特急列車は東浪見駅通過であり120q/hから35q/h(45q/hでも同じこと)への急減速が強いられることに対し、われわれは、ひとつ間違えば脱線事故につながることを訴え、ポイントの交換を千葉支社に強く申し入れた。
 これに対し千葉支社は「問題があることは認識している」としながら、「ポイント交換には数千万円、ATSの地上子を設けるにも一個1千万円かかる」ことを理由として、この要求を拒否したのである。
 われわれはダイ改後、長期間にわたって、東浪見駅構内について今回と同様の安全運転行動を実施し、強く改善を求めたが、それでも会 社は要求を拒否し続けた。以降組合は毎年のようにポイント交換を要求し続けてきたが、今日まで9年間、注意喚起のための看板を立てる以外の安全対策を一切拒否し続けたのが千葉支社の対応であった。

尼崎より危険な条件!
 東浪見駅構内は、今回の福知山線の事故現場と比べても、はるかに危険かつ悪条件である。しかも現場は下り勾配である。いつ第二の尼崎事故が起きてもおかしくはない。尼崎事故を自らの問題として、真に重く受けとめているのであれば、直ちに何らかの具体的な安全対策を行わなければならないはずであるが、千葉支社は、何ら反省することもなく、今も「安全対策には優先順位がある」として、何ひとつ動こうとしていない。だが、こうした安全対策への怠慢こそが、尼崎事故を惹起させたのではなかったのか。

国土交通省も問題視している
 しかも、今回の組合の行動は、列車運行に与える影響は実質的にゼロと言っていいものである。
 さらに言えば、国土交通省も、速度差の大きいカーブ等への速度照査機能をもつATSの導入を鉄道事業者に指示したことが報道されているように、今回の安全運転行動は社会的要請でもある。むしろ抜本的な安全対策を実施するまでの間、会社が実施すべきものである。それを「違法行為」などと言って、処分の脅かしをかけることなど、断じて許される行為ではない。

(1) 尼崎事故にふまえ、外房線。東浪見駅構内45q/hポイントを列車運行の安全上極めて危険な箇所だとは考えないのか、考え方を明らかにされたい。

(2) ポイント交換等、早急に抜本的な安全対策を講じられたい。

6.「違法争議」と非難!

 さらに千葉支社は、安全運転行動を、「第一に運行管理権を奪う違法な争議」とし、さらに「第二に、……何ら団体交渉が行われていないままで争議行為に突入するという違法なものである」「第三に …労働関係調整法第37条に基づく予告通知が……行われていない」と主張して「違法争議」に仕立てあげようとしているが、これは何ひとつ根拠のない言いがかりに過ぎない。

安全=最高の利益を守る行動
 第一の点が全く不当な言いがかりに過ぎないことは、これまで述べてきたとおりである。一点つけ加えておくとすれば、この間繰り返し明らかにしてきたとおり、当初われわれは今回の安全運転行動を「争議」としては考えていなかった。107名の生命を奪った尼崎事故を前にしながら、会社が最低限の為すべきことも為さない事態のなかで、安全を守り、乗客と乗員の生命を守るために、鉄道輸送業務に従事する労働者、労働組合として最低限の義務と責任を果たす当然の行為に過ぎない。しかもいささかも生産を阻害する行為ではない。それどころか、安全綱領に「安全の確保は輸送の生命である」と定められているとおり、「輸送の生命」を守ろうという行動である。ところが千葉支社が、それを「違法行為」とし、処分の恫喝を行ってきたために、止むを得ず「争議行為」として通知し直したものである。

まさに不当ないいがかり!
 第二、第三の点も、全く根拠のないものである。われわれが今回の行動で求めている具体的要求項目は、全て幾度となく団体交渉を行い、会社が極めて不誠実な対応をもって受け入れようとしなかったものであることは明らかである。
 また、労働関係調整法上の争議予告についても、3月14日以降、懸案の完全解決までの争議行為を関係機関に通知済みであることは、千葉支社も承知のとおりである。なぜ千葉支社が、事実をねじ曲げ、団体交渉を経ていない、争議予告がされていないなどと主張するのか、全く理解することができない。

(1) どのような根拠をもって、団体交渉を経ていない、労働関係調整法上の争議予告がされていないと称するのか、根拠を明らかにされたい。

以上

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
ページの先頭に
前のページに戻る