この現実!JRの安全は、
「北米大停電」前夜の危機
信じられない事故
10月7日、9月28日に発生した中央線の輸送混乱についてJR東日本が謝罪した。別掲の新聞記事のとおり、信じられないような工事ミスによるものだ。また、10月6日に京浜東北線で起きた、工事後にショベルカーのシャベル部分を置き忘れ、初電が衝突するという作業ミスによる事故も同様である。
いずれも、施工も工事責任者も関連会社であった。これは、鉄道輸送にとって根幹をなす工事や検査の一切を関連会社まかせにするJRの無責任極まりない経営姿勢が招いた事故だ。ニューフロンティア21に示されたような、利潤追求だけを追い求める経営姿勢にこそ、根本的な原因がある。とくに二〇〇一年末に、保線・電力・信通・土木・建築等の業務の全面的な外注化を強行した結果がこうした現実を生みだしたことは間違いないであろう。
民営化の結果!
この8月、ニューヨークをはじめ、北東アメリカ全域が大停電に陥ったのはまだ記憶に新しいが、この大停電は規制緩和−民営化の結果であった。これは他人ごとではない。たて続いた信じられない作業ミスにる大輸送混乱の事故は、われわれに警鐘を鳴らしている。JRにおける安全の危機も「ニューヨーク大停電前夜」と言っても過言ではない状況だ。
アメリカから次のようなレポートが届いている。(抜粋)
北アメリカの歴史上最大の停電はニューヨークからデトロイトまでの北東アメリカを縦断し、カナダのオンタリオまで、五千万人に影響した。
この停電は、新自由主義の政府が産業を規制緩和し、発電施設を民営化したなかで発生した一連の失敗のなかで、最も新しい事件であった。規制緩和以来、停電および電力不足は、営利目的による電力供給の共通した特徴になっている。
オンタリオ最大の電力プロジェクトの一つで働いていた優れた電気技師は次のように指摘している。「営利目的の電力供給者は、システムに必要な、余裕ある最大出力や信頼度を構築するために必要なお金を使いません。その結果システムは過負荷をかけられ、技術上の問題が生じます。これらの問題は人員の削減や技術的な熟練の不足のためにさらに深刻化します。停電は、間違いなくまた起こるでしょう」。
調査の結果、停電は、アメリカ第4位の投資家に所有され、ペンシルバニア、ニュージャージーに電力を供給している大企業、ファースト・エナジーの発電施設から始まったことがわかった。
この会社は、停電一週間前に、オハイオにある火力発電所に汚染防止設備を付けていなかったという判決を受け、1年前には、同社の原子力発電所の一つが、炉心溶融寸前の危機に陥っている。
長い間、電気システムの改良が必要だということが知られていたにも係わらず、利潤を追求する電力会社は、見返りが少ないために送信ネットワークへの投資を避けてきたのだ。
対照的に、停電が起きなかった唯一の州はケベック州だった。ここは一九八〇年に州政府によって国有化された自給自足の発電システムを維持しており、ケベック水力発電は、この10年間に送信ネットワークの改良に22億ドルをかけている。
皮肉なことに、民営化を主張する新自由主義者は、ケベックの公営電力会社から電力を買うために平身低頭して嘆願しなければならなかった。
JRの現状と同じ
まるでJRのことを言っているようだ。主語をJRにすれば、そっくり同じ指摘がJRにも通用すると言っても過言ではない。区長が運転取扱いに関する規定に違反した危険運転行為を行なって、支社がそれをひらき直るという現実も含め、JRにおける安全危機も、まさにニューヨーク大停電前夜だ。今こそ反合・運転保安闘争を強化しよう。
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