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新保全体系で矛盾が噴出

〜千葉支社との団体交渉で追求〜


JR東日本が今年4月から導入を強行した「新保全体系」については、すでに3ヵ月になるにも関わらず、検査項目や実施方法、作業工程などが明確に定まらないという状況になっている。

超勤作業が発生
 幕張電車区では、千葉支社が新保全体系に指定した車両のうち255系については、作業を行なう5名の内3名については、千葉支社提案では午後から機動班での作業を行なうことになっている。しかし、実際に新保全体系で作業を行なうと、作業が午後遅くまでかかるために3名抜くことができないという状況になっているのだ。しかも所定の作業時間内には終了せずに、超過勤務まで発生している状況だ。
 さらには、消耗品(制輪子やディスク板等)の交換が発生した場合には機動班から動員して取り替え作業を行なうため、以前の交番検査よりも要員を多く使っているという矛盾が発生している状況だ。このように、新保全体系をめぐっては、3ヵ月目を迎える中で矛盾が大きくなり、現場の助役などは「255系は新保全では無理だ」と言わざるを得ない状況にまでなっているのが現状だ。

千葉支社が視察
 こうした状況の中で千葉支社は、先週、幕張電車区・習志野電車区に運輸関係の副課長等を派遣し、新保全体系作業の開始から終了まで張りつかせて作業実態を把握させるということを行なってきた。こうしたことは、分割・民営化以降ほとんどなかったことだ。これまでの会社側の対応は、会社が一旦提案したものは「会社の責任において実施する」として、動労千葉からの修正や改善要求等には全く応じる姿勢を示さなかった。しかし今回の新保全体系の問題では、幕張電車区を中心にして作業工程や検査内容などが当初の計画から変更を重ね、しかも255系については作業が大幅に遅れて要員を抜くことができなくなり、現場の助役が悲鳴を上げるという状況の中で、千葉支社が直接作業内を把握しなければならないというところまで追い込まれているということだ。
 これは、本年に入ってからの「3ヵ月間決戦」を闘いぬく過程で打ち固められた団結と職場での粘り強い抵抗闘争の中から生み出された大きな成果だ。

本実施提案許すな
 一方千葉支社は、幕張電車区、習志野電車区での新保全体系の作業事態を把握した上で、10月本実施(要員削減等)に向けた提案を行なおうとしている。
 新保全体系の矛盾が大きく噴き出している上々の中で、職場での闘いをさらに強化し、本実施に向けた提案を粉砕するために全力で闘いぬこう。

255系は無理
 動労千葉は、新保全体系に関する団体交渉を、6月13日に千葉支社において行ない、前記のとおり新保全体系に大きな矛盾が出ている中で、255系車両の作業の実態や、新系列車両そのものにおいても重大な故障・事故等が多発していることから、その解明等を行なってきた。
 「255系の作業」については、4月の新保全体系導入以降4回の作業を行なってきたが、その内3回については超過勤務になっている。具体的には4月12日、同19日、5月20日に超勤となり、区の助役も確認している状況だ。
 しかも消耗品交換に対しては、機動班から要員を出して作業を行なっており、合計すればこれまでの交番検査よりも要員数が多くなっているという状況であり、新保全体系そのものが維持できないことを突き付けてきた。
 千葉支社はこうした事態に対して「実態は把握している。今後、何らかの検討をする必要もあると考えている」との回答を行なうなど、千葉支社としても問題があるとの認識を明らかにしてきた。
 「ドア故障」の関係では、ここ数年フランス製LCUの不具合によりドアの故障が多発していることから逐次日本製に交換しているが、製造が間に合わず、現在、209系90両、217系103両が未交換となっており、部品出来上がりが今年度下期で、最終的には来年度まで交換が続くとの回答を行なってきた。
 一方、この間「ドアの異音」が発生していることについては、「戸閉モータースクリュー軸の水平度がずれている」として、対策としては給油を行なっていくとの回答を行なってきた。しかし、この問題は、なぜ軸の水平がずれるのかが大きな問題であること、新系列車両の構造からねじれが発生するのではないか等を質してきたが、支社も明確な回答はできない状況だ。
 「速度センサー支え板」に亀裂が発生して交換が多発していることについては、「設計段階では強化しているが、走行の振動で発生するのではないか」との回答を行なってきた。とくに、支え板の亀裂により振動で速度を誤検知すつ場合もあることを指摘して根本的な対策を求めたが、具体的な対策としては事象が出たら部品を強化すという対処療法しかないとの回答に終始した。
 そして、新系列の故障等の場合、「メーカーの制作不良」があまりにも多いということだ。LCU、OVRe・CHRe、EB装置、VVVFフィルターコンデンサー油漏れ、パン下げ及び駐車ブレーキ電磁弁等々。これは単にメーカー責任だけではなく、部品を発注するJRの責任もあること等を追及してきた。会社は、「メーカーの責任で交換している」との回答を行なうのみであった。新保全体系の本実施提案粉砕へ、闘いを強化しよう!

 
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