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28〜31ストを闘いぬき、四人に一人の首切りと賃金抑制を狙う

JR貨物ニューチャレンジ21粉砕へ

 JR貨物は、1月31日新しい中期計画「ニューチャレンジ21」を組合に提案したが、動労総連合は申第6号を発しその解明を求めてきた。3月5日その回答が貨物本社により行なわれた。
 「ニューチャレンジ21」は、ひとつは4人にひとりという大合理化攻撃(現在9000人弱の社員を7000人に削減する)であるとともに、もうひとつは国鉄時代から続いている年功序列賃金制度を廃止し「成果主義賃金」を導入するという大攻撃である。「ニューチャレンジ21」大合理化粉砕へ今春闘から直ちに闘いにたちあがろう。

定年退職者の「嘱託」を導入 
 JR貨物は、昨年度まで8期連続の赤字のなかで、フレイト21・新フレイト21とこの7年間にわたり、要員削減と賃金抑制を続けてきた。JR貨物が発足当初は、社員数12000で出発したが、15年後の現在9000弱にまで社員数は減少した。鉄道部門にいたっては、現在6000人体制と当初から半減した。しかし「ニューチャレンジ21」では、3年間で社員数を2000人減の7000人(鉄道部門は5000人体制)にさらに削減することをねらっている。ここには、JR貨物のきわめて歪んだ年令構成がある。
 それは、今後数年間は毎年平均で300人の60才定年退職者がでることである。そのためその要員に見合う合理化を不断に続けることが不可避となるとともに、定年退職者をその後も雇用することを不可避としている。
 そのために「再雇用制度(貨物版シニア)」とともに、今回うちだされたのが「嘱託社員」制度である。「嘱託」制度は、60才で一旦退職した社員をJR貨物本体が「再雇用」するというもので、細部は別途提案とされているが、賃金などは「シニア」なみにしようとしている。これは乗務員の不足を補うことにねらいがある。そして4月以降には現に乗務員が不足している関西・東海支社で実施したいとしている。これは定年をむかえた社員を本格的に取り込まなければ、会社の業務それ自体が回らないことを示している。
 会社の収入が見込めないなか要員削減は行なうが、その退職した労働者を「嘱託」にしなければ会社の業務が回らない、こうした自転車操業のような破綻を「ニューチャレンジ」は含んでいる。

乗務員基地を3つの種類に再編
 こうした要員状況のなかで、焦点になるのか乗務員基地・検修基地の在り方で、基地統廃合が最大の問題になってくる。「ニューチャレンジ」では、乗務員基地の設置の基本は、貨物列車の発着駅におくことを明らかにした。つまりヤードに隣接してある乗務員基地(旧新小岩機関区のような)を、貨物列車の発着駅に近いところ(現千葉機関区のような)に設置するというのである。そして乗務員基地を主幹・補助・サテライトの3つのカテゴリーにわけるとしている。@主幹とは、現在の機関区のイメージで列車の発着駅におき、後方要員(内勤・指導など)を持ち、400`位の間隔(一継続乗務`の2倍)で設置するもの。A補助とは、現在の派出のイメージで、乗り継ぎ主体で一部後方要員をもつもの。Bサテライトとは、主幹・
補助の周辺で、発着駅へ直接出勤退勤をし、後方要員なし(定例訓練などは指導のいる主幹ないし補助で行なう)のところ。こうした形に乗務員基地を再編することで4月以降早々に案を固めたいとしている。
 検修基地も設置の基準は、発着駅にちかいところとしているが、設備がともなうので、移転には設備投資が必要でこれも考慮するとしている。
 この他駅業務については、コンテナ管理などを「IT化」することで、フロント業務の集約化をはかる。保全業務は本社直轄化をはかる、など全系統にわたる業務の大再編を「ニューチャレンジ」は計画している。

年令給と仕事給の二階建に  
 「ニューチャレンジ」の大きな柱に、「賃金体系の抜本的見直し」がある。これは、現在の国鉄時代の延長にある定期昇給をはじめとした年功序列の賃金体系を廃止し、つねに評価を前提にした「成果主義賃金」を導入するというものである。成果主義賃金は、10数年前から民間企業で多く導入されはじめ、労働者の団結を破壊するものとして機能してきた。JRでは西日本ですでに導入されている。
 詳細は現在検討段階とのことだが、2003年度から導入する計画で進められている。これは、会社の評価が「昇給、賞与の査定、昇職・昇給に反映」するもので、労働者を個別に分断・支配するものだ。
 具体的には、現行の基本給を「年令給」と「仕事給」の「2階建」とし、「年令給」には現行の「都市手当」などを加味した「地域別賃金」の要素と、現行「55才で70%に減額」の要素とを盛り込んだものとすること。また「現業一般職」「現業管理者と非現業社員」「管理職社員(指定職)」の3つにわけて、評価方法を変えるとしている。
 このように、「成果」すなわち会社への忠誠をつねに強要する「成果主義賃金」の導入は、労働者の団結を破壊するもの以外のなにものでもない。賃金抑制、差別・選別を拡大・助長する「賃金制度の白紙見直し」を粉砕するために、今春闘を総決起しよう。