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「90・3スト損害賠償請求事件」控訴審

スト権を不当に制限する 東京高裁の反動判決弾劾!

 9月11日、東京高裁第14民事部・細川裁判長は90年3月の前倒しストに対する損害賠償請求について、昨年7月の千葉地裁反動判決の破棄を求めて争っていた「90・3スト損賠請求事件」の控訴審において、動労千葉の請求を「棄却」し、1200万円にのぼる損害金を支払えとの反動判決を行ってきた。
 この判決は大失業と戦争の時代へと突入し、資本主義そのものが危機に直面し産業再生法などによる労働者への首切り攻撃を激化させている状況の中で、これに対する労働者の怒りがいつ爆発してもおかしくないという事態が切迫、その最大の結集軸に1047名闘争がなりかねないという危機感から、1047名闘争の当該組合として、闘う労働運動の新たな潮流の形成に向けて闘いぬいている動労千葉への組織破壊攻撃としてかけられた政治的反動判決である。
 動労千葉は、この反動判決に対して、憲法や労組法で労働者の基本的な権利でありスト権を不当に制限する反動判決を粉砕し、勝利判決を獲得するために上告審において全力で闘いぬくとともに職場からの反撃を展開するものである。

弾劾されるべきはJR東日本だ
 そもそも本件は、組合員12名の清算事業団3年目の解雇を目前にした90年3月、千葉県地方労働委員会の救済命令(87年4月にさかのぼって採用したものとして取り扱うこと)の履行を求めて実施したストライキに対してJR東日本が、組合事務所をフェンスで囲ったり組合役員の入構をピケを張って拒否するなどのスト破壊を行ったことから、ストの実効性を確保するために12時間前倒ししてストを実施したものであり、本来ストライキに対する破壊を行ったJR東日本の不当労働行為こそ弾劾されるべきであり、JR東日本のいう「目的、手続、態様におい違法」として2000万円にのぼる損害賠償を行うこと自体許されないものだ。

【判決要旨】
前倒しスト実施の目的
 会社による入構制限の適否 東鉄労から会社に対し善処するように申し入れがあり、この経緯の下で行われた会社の措置は、会社がスト時における操業継続を図るために必要かつ相当な対抗措置であって、施設間利権を濫用したという特段の事情あるということはできない。
 会社の組合事務所を囲い込むなどの行為がストへの不当な妨害かどうかについて
 会社施設の利用は、動労千葉が自らの判断で労働協約を締結していない以上、会社施設の利用を禁じられたことをもって、ストライキに対する不当な妨害ということはできない。 
 本件前倒スト実施は、会社の正当な施設間利権の行使に抗議し、これに対抗するために行われたとみるべきである。前倒しストの目的は、自らの事前の争議通知に反してストを行うことを正当化するに十分な緊急性・重要性がなかったというべきである。
前倒しの手続き・手段・態様
 11時55分ころに正式に前倒し実施の通告が口頭で行われた。
 当初通告したスト開始時刻を繰り上げて、一定の期間を置くことなく直ちにストを行えば、会社が代替乗務員を確保することができず、業務遂行に重大な混乱をもたらし、乗客にも多大な不利益を被らせることとなることを十分認識していた。
 混乱が生じた原因は、動労千葉が事前の通告に反し、5分前にスト前倒しを通告し、実施したことにあり、重大な結果を予測していたというべきであり、前倒しストは、手続き、手段、態様において正当性を欠く。
 前倒しスト全体について、正当性を有するとはいえず、違法な争議行為と認めるのが相当といえる。
過失相殺について
 89年12月及び90年1月のストでは入構制限措置がとられたことはなく、本件ストの通知文書にも不当労働行為があった場合には戦術を拡大するとの記載があり、本件のように会社が措置をとった場合、動労千葉がそれを不当労働行為と捉えることは十分予測し得たといえる。
 会社としては、前倒しストを誘発する要素をもつ本件措置をとるに当たっては、その影響を最小限に止めるべく、事前に十分検討する必要があった。
 それにもかからわず会社は、対策員の手配を動労千葉から口頭で通告があるまで行わなかったというのであるから、大きな混乱が生じたことについては、会社にも少なからず責任がある。
 会社の措置が不当労働行為であるという判断は千葉地労委でもされ、動労千葉の独善的見解ではないこと、動労千葉と会社との間でストライキに関する労使慣行が確立されず、労働協約も締結されていない状況で発生した突発的事態であるなどを考慮すれば、3割を相殺するのが相当と認められる。

JR東日本にも3割の責任認定
 判決の内容は、動労千葉からの反論により200万円以上を縮減せざるを得なかったにもかかわらず、JR総連からの申し入れにより庁舎内への通行妨害が行われるなどJR総連との結託体制を全く無視していること、不当労働行為があった場合には戦術を拡大する旨は前倒しスト当日以前から会社に対して警告したにもかかわらず、前倒し通知を5分前と一方的に認定してること、しかも会社が入構禁止や組合事務所をフェンスで囲い込めば動労千葉が戦術を拡大することが想定されることから、会社側に対しても3割の責任を認めているにもかかわらず動労千葉の請求を退けているなど、極めて不当な判決である。
 われわれは、この判決を絶対に許さず、勝利を獲得するために全力で闘いぬくものである。