DC通信No.220 2017年7月25日 |
職場討議資料 PDF
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つまり ●短時間行路を増や
しても、全体の行路数は変わらない →通常行路はさらに殺人的な行路に ギリギリの人数で倒れるまで乗務しろというのか! |
提案では、「生産性向上」「効率性のさらなる追求」として、乗務割交番内の行路は拘束時間を延長して実乗務割合を増やすことが打ち出されています。
団体交渉では短時間行路の作り方について、@「『列車本数の差から生まれる短時間行路』を設定しても全体の行路数は変えない。その場合、他の行路に吸収してもらう部分がある」、A「行路を分割しなければ短時間行路を作れない場合、行路数が増えることもある。だが、その分を指導担当等が乗れば、本線乗務員の要員は変わらない」と回答しました。行路数を変えずに短時間行路を作りたい。だから、他の行路は拘束時間を延ばして効率化し、実乗務を増やす。それができなくても、本線乗務員の要員は増やさない。会社は、凄まじい労働強化と人員削減を行おうとしているのです。
すでに乗務員の労働強化は限界をこえています。現状においてさえ、若年の乗務員を含めて乗務中に倒れる仲間が相次いでいます。しかし、会社は「業務との因果関係は分からない」「交番作成規定を守れば、乗務員の健康や鉄道の安全に影響はない」「労働強化ではない」と完全に開き直っています。
さらには、「突発の場合には、泊りの明けでも超勤で短時間行路に乗ってもらう」とさえ回答しました。
これまでダイ改毎に泊行路の明け部分が日勤並に長大化されてきました。「明け」といっても昼を過ぎるという現実がのしかかっています。それは乗務員にとって大きな負担になっています。そういった現状にも関わらず、明けの後に超勤で短時間行路に乗務させる。会社は当然のように、こう回答したのです。「短時間行路だから明けでもう一丁乗ってくれ」。こんなことをまかり通らせるわけにはいきません。
・ JR本社の団体交渉での回答 ・
●「明けで短時間行路に乗務」!? 殺人的労働強化だ!
組合 短時間行路の者が年休をとった場合、休勤ではなく勤務変更扱いにすることもあるのか。
会社 休日出勤については個別に検討する。明けの人に時間外で、短い行路だけもう一丁行ってくれということはある。
組合 明けの人に臨時とはいえ別業務を乗せるのは絶対間違っている。
会社 頑なに、すべて、明けは乗らないということはありえない。
●乗務中に倒れたことと業務の「因果関係がわからない」
組合 若年でも乗務中に倒れている者が何人も出ている。これ以上拘束時間を延ばし、乗務効率をあげたらどういういことに繋がるか考えないのか。
会社 因果関係がわからないので答えられない。拘束時間は延ばすが、交番作成規程は変えていない。それを守れば、乗務員の健康や安全に影響が及ぶものではない。
私鉄では乗務手当廃止に伴って、 泊行路の明けで、そのまま短時間行路に乗務する勤務が“所定扱い”されることが横行しました。“超勤で乗務すれば、手当廃止による賃金減を補える”という形で強制されていったのです。
会社は明らかに時間額、キロ額を含めた特勤手当(乗務手当)の全廃を狙っています。それを機に“泊り+短時間行路”をワンセットにした勤務を作る。そうなれば、乗務員の労働はまさに殺人的な長時間労働、長時間乗務にされます。同時に要員削減が極限的に進められ、それがさらなる乗務員への負担となって襲いかかります。
会社は、効率化・利益優先のために、乗務員の命も鉄道の安全も当然のように踏みにじろうとしています。絶対に認めることのできない提案です。
・ JR本社の団体交渉での回答 ・
●「エルダーは本人の希望」だから高齢者対策は不要!?
組合 本線運転士の高齢者対策は喫緊の課題だ。高齢者交番を作れとさんざん訴えてきた。現在でも乗務の実態は限界をこえている。育児介護というが、それがまったく無視されている。
会社 今回のこととエルダーのことは全く別物。エルダーは本人の希望に基づいている。希望していないのに本線エルダーにさせられた人がいるのか。高齢者対策は今回の提案には入っていない。
若年でも乗務中に倒れる乗務員が相次ぐ中、乗務員の高齢者対策はすぐにでも行うべき最優先の課題です。動労千葉はこれまで、早期の実施を何度も要求してきました。
しかし、会社は「本線エルダーは本人の希望だ」「今回の提案に、高齢者対策は入ってない」と顧みようとさえしていません。乗務員が倒れる事態にも「業務との因果関係がわからない」と開き直る始末です。
短時間行路を本当に必要としているのは、年齢を重ねても無理を押して、ギリギリの中で乗務を続ける乗務員です。新たに短時間行路を設定する提案をしながら、なぜこの切実な課題が無視されるのか。その上さらに、拘束時間も実乗務も増やした行路に乗務させようとしているのです。
これでは乗務を続けて倒れるか、職場を辞めざるを得なくなるという現実が強制されることになります。会社は「お互い様の精神」などと言いながら、乗務員を使い捨てようとしています。絶対に認めるわけにはいきません。65歳まで働ける労働条件の確立と本線運転士の高齢者対策は喫緊の課題です。実現に向けた闘いが必要です。
・ JR本社の団体交渉での回答 ・
●育児・介護勤務者が日中帯のみを希望しても会社としては朝、夕にも設定する。乗れるように、できる限りの手を尽くすようにと働きかける。まずは乗ってもらう考え。
●どうしても無理という場合、管理者と話してもらう。その上で、日中帯の行路を増やす、予備に回ってもらう、車掌なら改札に回ってもらうなど、見直しもありうる。
会社は、「子育てや介護の世代に向けた提案」「行路選択制」とまるで育児・介護勤務者が自由に行路を選べるようにうたっています。しかし、設定された行路には誰かが乗務しなければなりません。「育児・介護のため」という名目で朝・夕の短時間行路を設定されれば、「他の乗務員に負担をかけないために、無理をしても乗務しなければ」となったり、「内勤では居づらい」という状況をさらに助長したりしかねません。
実際、団体交渉でも会社は、「日中帯のみの希望でも、まずは朝・夕行路に乗れるようにできる限りの手を尽くせ」と回答しています。これでは事実上の強制です。
「子育てや介護しながらでも働きやすい環境をつくるため」など、まったくのウソです。会社の狙いは育児・介護勤務者を含めて徹底的に効率的な勤務を組むことにあります。勤務制限緩和もそのための提案です。
それにもかかわらず、「育児・介護」を制度導入に反対させないための口実に利用までするなど、絶対に許されません。
目的は現場労働者を諦めさせることと団結破壊
「輸送サービススタッフは将来のビジョン」「自動運転で乗務員がいなくなれば、乗務員勤務制度もなくなる」「営業職などの枠組みを超えて、車内でお客さまにサービスを提供してもらう」
会社は、団体交渉の中でこのように回答し、「社員一人ひとりにJRがどう進むべきかを考えてもらう」と言い放ちました。まるで、“いずれ乗務員という仕事はなくなるのだから、身の振り方を考えておけ”とでも言わんばかりです。
しかし、線路内に人や動物が入ってきた場合も対応できるのか。信号など膨大な設備を自動運転に対応させられるのか。輸送混乱時の路線間の乗り入れを制御できるのか。単に技術的にも、今後数十年以上、運転士や車掌を一掃することは不可能です。
現場労働者の団結した力を闘いで示そう
会社の本当の狙いは、「乗務員は自動運転に取って代わられる」「技術進歩の結果で仕方がないこと」と思わせることです。現場労働者を諦めさせることや、出世競争に駆り立てて団結を破壊することです。職場から乗務員の抵抗力をなくすことで、「乗務員は特別ではない」といって、特勤手当(乗務手当)廃止など乗務員勤務制度の根本的な破壊に乗り出そうとしているのです。
・ JR本社の団体交渉での回答 ・
●技術革新が進むにつれて、鉄道のスタイルそのものも変わる。自動運転になった場合、運転士や車掌という仕事がなくなることもあり得る。
●ゆりかもめは自動運転で保安要員も乗っていない。乗務員がいなくなれば、乗務員勤務制度もなくなる。
●輸送サービススタッフは、将来のビジョンとして掲げた。会社として、そういう方向に向かうという意思表示。
●運転装置がなくなったら、営業職などの枠組みを超えて車内でお客さまにサービスを提供してもらう。
●会社が方向性を示して、社員一人ひとりに、JR東日本がどう進むべきかを考えていただく。
だからこそ、今回の乗務員勤務制度に職場をあげて反撃することが重要です。東労組が会社の解体攻撃に為す術なくひれ伏したことをきっかけに、労働者の団結が破壊され、会社が好き勝手に振る舞う職場が作られています。労働者が一方的に侮辱され、袋叩きにされる。どんなひどい現実にも、抗議の声ひとつあげることができない。そんな状況を受け入れるわけにはいきません。
職場の力関係を転換できるのは現場労働者の団結した力です。その力を闘いによって示すことです。決して諦めず、職場から団結して闘いにたちあがれば、こんな攻撃を強行することはできません。団結して声をあげ、職場に闘う労働組合をとり戻そう。