DC通信No.220

2017年7月25日

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職場討議資料 PDF

乗務員勤務制度 改悪絶対反対!

動労千葉はストで闘う!

動労千葉はなぜストを決断したか

 乗務員勤務制度改悪を粉砕するために全力で立ち上がろう。会社はこの提案を「8月までに妥結せよ」と各組合に迫っています。しかし、これを受け入れることは絶対にできません。動労千葉は大きな焦点を迎える8月から来年3月ダイ改に向け、数波のストライキを構えて絶対反対の立場で闘う方針を確立しました。なぜそう決断したのか?

@JR大再編―第3の分割・民営化の核心なす攻撃

第1に、「乗務員勤務制度見直し」攻撃は、単に乗務員の問題ではなく、これから始まろうとしている「JR大再編」(第3の分割・民営化)の最大の核心をなす攻撃だからです。会社は、乗務員勤務制度を解体することで、鉄道業務の全面的分社化=JRに働く労働者の転籍を含め、すべての攻撃を一気に貫徹しようとしているのです。
乗務員は鉄道にとって最も中心をなす職種です。長期の養成期間を要し、一人の労働者にかかる責任が最も重い運転業務とその労働条件・権利のあり方は、JR全体を規定する位置をもっていました。労働者側の抵抗する力が最も強かったのも乗務員でした。ここを潰せば、すべてを打ち砕ける。それが会社の狙いです。東日本は「職制のあり方などを一から見なおす。乗務員勤務制度はその一環」と露骨に語っています。ここで反撃に立ち上がらなければ、あらゆる攻撃が堰をきったように全職場を呑み込むことになりかねません。
すでに、全社員を対象として従来の勤務や賃金の在り方を抜本的に破壊する攻撃が準備されています。そこには「働き方改革」的な雇用破壊がすべて持ち込まれようとしています。全面的な評価制度の導入、現場労働者の超低賃金化―「限定正社員」化、転籍自由の雇用流動化等です。さらに営業・工務・検修職等で「全面委託」―別会社化・転籍強制に向けて外堀をうめていく攻撃がどんどん進められています。2020年に向けてワンマン化拡大と大規模な廃線攻撃が強行されようとしています。
乗務員勤務制度自体もこれで終わりではありません。乗務員手当の完全廃止・乗務員の使い捨て化まで進めようとしています。会社は「手当も総額は変わらない」と言います。しかし今回の改悪で乗務労働の特殊性を否定する方向に大きく踏み出したのです。そのすべてが労働者のドレイ化と運転保安の崩壊を招くものです。

A「組合のない職場」「声をあげられない職場」を作らせない

第2に、東労組崩壊を契機にJRで働く労働者の団結が破壊され、職場は労働者が一方的に侮辱され、袋叩きにされる屈辱的な状況です。さらに、現場管理者が“社友会”への勧誘を公然と開始しました。それは労働組合とは別物の、完全に会社による組織です。労働者がどんなに惨めな存在に突き落とされても、一言も声をあげさせないためのものです。
JR東日本は「労働組合など必要ない」と言って、目障りな労働組合を職場から一掃し、労働組合の存在しない企業を作ろうとしています。すべての合理化提案を、団交を何回か形式的にやるだけで、徹底的に労働組合を無視して進めようとしています。それは、労働組合の存在しないあり方を全社会に拡大し、労働者の非正規化・徹底的な無権利化と改憲・戦争へ突き進むものでもあります。労働組合の沽券にかけて、組合が存在しない職場などつくらせてはならない。だから動労千葉はストライキに立ち上がることを決断したのです。
職場では多くの仲間が怒りをもち、「何かおかしい」「これでいいのか」と感じ、心の底では声をあげたいと思っている。でも声をあげられない雰囲気が職場を支配している。この職場の雰囲気・力関係を変え、労働者の団結した力を示さなければ勝負にならない。私たちが闘いにたち、少なくとも職場で声をあげられる状況を作りたい。一人ひとりの労働者が声をあげ始めれば間違いなく大きな力になる。それが闘いを決断した第2の理由です。

B殺人的労働強化と極限的効率化を許すわけにはいかない
第3に、現在でさえ、本線運転士の業務は限界をこえ、身体的にも、精神的にもギリギリの状況です。それをさらに拘束時間を延ばし、乗務効率をあげるなど絶対に許してはなりません。われわれの「最大の使命」は安全を守ることです。そのためには闘わなければならない。「闘いなくして安全なし」。この原点が問われています。
ダイ改のたびに長大化する行路。大型S字行路や、日勤並みの泊明け行路。この現実の中、6月にも37歳の運転士が乗務中に心筋梗塞で倒れ病院に搬送されています。現状でもこうしたことが相次いでいます。それなのに乗務員の仕事をこれほど軽んじていいのか。「運転士に『死ね』と言うのか!」という声をあげなければなりません。
しかも、その口実に「育児・介護」が使われています。朝・夕のラッシュ時間帯に短時間行路を設定されても、どうやって育児・介護に利用しろというのか。朝7時の出勤なら、5時に起きて6時に家を出なければならない。子供にご飯を食べさせることもできません。

C乗務員の高齢者対策は何より切実な課題だ
第4に、動労千葉はこの間、何よりも切実な課題として、「本線運転士の高齢者対策を早急に実施すること」を求めてきました。業務外注化によって、本線運転士が身体を壊しても降りる職場がなくなりました。乗り続けるしか選択肢がない状態です。しかもこの4月からは、「エルダーの本体勤務拡大」によって、65歳までハンドルを握って乗務し続ける仲間が生まれています。今後8〜9年間は国鉄採用者が65歳までエルダー運転士として働かざるをえません。しかし、その高齢者対策は完全に無視されました。無視どころか現在よりも1〜2時間長大な行路への乗務を強制する。それは、倒れるか、職場を辞めざるを得ない現実が強制されることを意味します。こんなことを許すことはできません。
私たちは、最も基本的な要求である65歳まで働ける労働条件の確立と本線運転士の高齢者対策の実施を求め、断固としして闘いに立ち上がる決意を固めたのです。

@乗務員勤務制度そのものの解体をはらむ重大な攻撃

 ・ JR本社の団体交渉での回答 ・ 

●支社企画部門、当務主務、指導担当は、勤務種別としては乗務員勤務ではない。
●短時間行路には週に2、3回は乗務してもらう。
●「多様な働き方」の一環。指導担当なら、本線乗務で危険な箇所や新型車両の特性を把握して指導に活かせる。支社も、第一線で働く感覚を持ちつつ、支社企画部門で働ける。乗務しながらでも当務主務で当直を経験できるのは有利。助役の適性に合わなくて、乗務員に戻りたくなっても戻れる。
●遠方の運輸区で乗務した場合、支社以外の場所で仕事をできないか検討中。(サテライトオフィスなど)

 提案では、指導員や支社課員、当務主務(当直)に定期列車への乗務を指定するとされています。それは、乗務員についての考え方の根本的な転換・解体を孕むものです。
乗務員は労基法の特例的扱いによって、休憩時間も設定されていない特殊な勤務です。だからこそ、乗務員の健康や列車運行の安全を守るために、拘束時間や一継続乗務時間等を厳しく制限しなければなりません。それが乗務員勤務制度の役割です。
しかし、短時間行路を設定して枠外に出し、それを乗務員ではない者が乗務員勤務制度外で乗務する。早朝に短時間乗務してから支社に出勤して勤務するとか、早朝に乗務して当直業務をやり、また夕方に乗務するという勤務を組むというのです。指導員の場合は短時間行路だけでなく、長時間行路も指定できる提案になっています。
乗務労働を片手間仕事のように、資格さえ持っていれば誰でもできるとする発想をもち込むものです。乗務員勤務制度そのものの解体への第一歩です。これで鉄道の安全が守られるはずがありません。
しかも、支社勤務で朝の短時間行路に乗務する場合、その後は支社に戻って勤務します。7時出勤なら15時40分退勤。他の人が支社業務を続ける中で、自分だけそんな時間に帰れるのでしょうか。過労死を次々に生み出すことになりかねません。

A乗務員に「死ね」というのか! 
労働強化・人員削減絶対反対!

 ・ JR本社の団体交渉での回答 ・ 

●短時間行路は、1行路を支社、2行路を指導、3行路を当務主務、4・5行路を育児介護というイメージ。支社の人が乗る場合は週2〜3回は乗ってもらいたい。
●短時間行路を設定しても全体の行路数は変えない。短時間行路を生み出すために、その分を他の行路に吸収してもらう。そのためには拘束時間の延長が必要。多様な働き方をするために効率的に乗っていただく。
●拘束時間を延長し、実乗務を増やすが、1日あたりの労働時間は変えないから労働強化ではない。行先地の時間をどんどんつめて、ノーペイの時間をつぶす。乗ったらすぐ乗る。降りたらすぐ乗るということになる。
●標準数の考え方は変わらないが、本線乗務員が標準数を下回っても、支社が乗るから業務運営できるという考え方。これまでは標準数100に対して、105、110人いたが、これからは90人でいい。一区所で要員を見ることはなくなる。

つまり

●短時間行路を増や しても、全体の行路数は変わらない →通常行路はさらに殺人的な行路に
●支社課員等の短時間行路への乗務が本線乗務員の人員削減につながる
●「明けの後に短時間行路に乗ってもらうことはある」 →泊り+短時間行路が“所定扱い” にされた私鉄は多い

ギリギリの人数で倒れるまで乗務しろというのか!

 提案では、「生産性向上」「効率性のさらなる追求」として、乗務割交番内の行路は拘束時間を延長して実乗務割合を増やすことが打ち出されています。
団体交渉では短時間行路の作り方について、@「『列車本数の差から生まれる短時間行路』を設定しても全体の行路数は変えない。その場合、他の行路に吸収してもらう部分がある」、A「行路を分割しなければ短時間行路を作れない場合、行路数が増えることもある。だが、その分を指導担当等が乗れば、本線乗務員の要員は変わらない」と回答しました。行路数を変えずに短時間行路を作りたい。だから、他の行路は拘束時間を延ばして効率化し、実乗務を増やす。それができなくても、本線乗務員の要員は増やさない。会社は、凄まじい労働強化と人員削減を行おうとしているのです。
すでに乗務員の労働強化は限界をこえています。現状においてさえ、若年の乗務員を含めて乗務中に倒れる仲間が相次いでいます。しかし、会社は「業務との因果関係は分からない」「交番作成規定を守れば、乗務員の健康や鉄道の安全に影響はない」「労働強化ではない」と完全に開き直っています。
さらには、「突発の場合には、泊りの明けでも超勤で短時間行路に乗ってもらう」とさえ回答しました。
これまでダイ改毎に泊行路の明け部分が日勤並に長大化されてきました。「明け」といっても昼を過ぎるという現実がのしかかっています。それは乗務員にとって大きな負担になっています。そういった現状にも関わらず、明けの後に超勤で短時間行路に乗務させる。会社は当然のように、こう回答したのです。「短時間行路だから明けでもう一丁乗ってくれ」。こんなことをまかり通らせるわけにはいきません。

・ JR本社の団体交渉での回答 ・

●「明けで短時間行路に乗務」!? 殺人的労働強化だ!
組合 短時間行路の者が年休をとった場合、休勤ではなく勤務変更扱いにすることもあるのか。
会社 休日出勤については個別に検討する。明けの人に時間外で、短い行路だけもう一丁行ってくれということはある。
組合 明けの人に臨時とはいえ別業務を乗せるのは絶対間違っている。
会社 頑なに、すべて、明けは乗らないということはありえない。

●乗務中に倒れたことと業務の「因果関係がわからない」
組合 若年でも乗務中に倒れている者が何人も出ている。これ以上拘束時間を延ばし、乗務効率をあげたらどういういことに繋がるか考えないのか。
会社 因果関係がわからないので答えられない。拘束時間は延ばすが、交番作成規程は変えていない。それを守れば、乗務員の健康や安全に影響が及ぶものではない。

 私鉄では乗務手当廃止に伴って、 泊行路の明けで、そのまま短時間行路に乗務する勤務が“所定扱い”されることが横行しました。“超勤で乗務すれば、手当廃止による賃金減を補える”という形で強制されていったのです。
会社は明らかに時間額、キロ額を含めた特勤手当(乗務手当)の全廃を狙っています。それを機に“泊り+短時間行路”をワンセットにした勤務を作る。そうなれば、乗務員の労働はまさに殺人的な長時間労働、長時間乗務にされます。同時に要員削減が極限的に進められ、それがさらなる乗務員への負担となって襲いかかります。
会社は、効率化・利益優先のために、乗務員の命も鉄道の安全も当然のように踏みにじろうとしています。絶対に認めることのできない提案です。

B高齢者対策を無視するな! どこが「お互い様の精神」か!

 ・ JR本社の団体交渉での回答 ・ 

●「エルダーは本人の希望」だから高齢者対策は不要!?
組合 本線運転士の高齢者対策は喫緊の課題だ。高齢者交番を作れとさんざん訴えてきた。現在でも乗務の実態は限界をこえている。育児介護というが、それがまったく無視されている。
会社 今回のこととエルダーのことは全く別物。エルダーは本人の希望に基づいている。希望していないのに本線エルダーにさせられた人がいるのか。高齢者対策は今回の提案には入っていない。

 若年でも乗務中に倒れる乗務員が相次ぐ中、乗務員の高齢者対策はすぐにでも行うべき最優先の課題です。動労千葉はこれまで、早期の実施を何度も要求してきました。
 しかし、会社は「本線エルダーは本人の希望だ」「今回の提案に、高齢者対策は入ってない」と顧みようとさえしていません。乗務員が倒れる事態にも「業務との因果関係がわからない」と開き直る始末です。
短時間行路を本当に必要としているのは、年齢を重ねても無理を押して、ギリギリの中で乗務を続ける乗務員です。新たに短時間行路を設定する提案をしながら、なぜこの切実な課題が無視されるのか。その上さらに、拘束時間も実乗務も増やした行路に乗務させようとしているのです。
 これでは乗務を続けて倒れるか、職場を辞めざるを得なくなるという現実が強制されることになります。会社は「お互い様の精神」などと言いながら、乗務員を使い捨てようとしています。絶対に認めるわけにはいきません。65歳まで働ける労働条件の確立と本線運転士の高齢者対策は喫緊の課題です。実現に向けた闘いが必要です。

C育児・介護者の希望なくても「まずは乗ってもらう」!?

 ・ JR本社の団体交渉での回答 ・ 
●育児・介護勤務者が日中帯のみを希望しても会社としては朝、夕にも設定する。乗れるように、できる限りの手を尽くすようにと働きかける。まずは乗ってもらう考え。
●どうしても無理という場合、管理者と話してもらう。その上で、日中帯の行路を増やす、予備に回ってもらう、車掌なら改札に回ってもらうなど、見直しもありうる。

 会社は、「子育てや介護の世代に向けた提案」「行路選択制」とまるで育児・介護勤務者が自由に行路を選べるようにうたっています。しかし、設定された行路には誰かが乗務しなければなりません。「育児・介護のため」という名目で朝・夕の短時間行路を設定されれば、「他の乗務員に負担をかけないために、無理をしても乗務しなければ」となったり、「内勤では居づらい」という状況をさらに助長したりしかねません。
実際、団体交渉でも会社は、「日中帯のみの希望でも、まずは朝・夕行路に乗れるようにできる限りの手を尽くせ」と回答しています。これでは事実上の強制です。
「子育てや介護しながらでも働きやすい環境をつくるため」など、まったくのウソです。会社の狙いは育児・介護勤務者を含めて徹底的に効率的な勤務を組むことにあります。勤務制限緩和もそのための提案です。
それにもかかわらず、「育児・介護」を制度導入に反対させないための口実に利用までするなど、絶対に許されません。

D団結を守り職場から反撃すれば、攻撃は必ず打ち破れる!

目的は現場労働者を諦めさせることと団結破壊

 「輸送サービススタッフは将来のビジョン」「自動運転で乗務員がいなくなれば、乗務員勤務制度もなくなる」「営業職などの枠組みを超えて、車内でお客さまにサービスを提供してもらう」
会社は、団体交渉の中でこのように回答し、「社員一人ひとりにJRがどう進むべきかを考えてもらう」と言い放ちました。まるで、“いずれ乗務員という仕事はなくなるのだから、身の振り方を考えておけ”とでも言わんばかりです。
しかし、線路内に人や動物が入ってきた場合も対応できるのか。信号など膨大な設備を自動運転に対応させられるのか。輸送混乱時の路線間の乗り入れを制御できるのか。単に技術的にも、今後数十年以上、運転士や車掌を一掃することは不可能です。

現場労働者の団結した力を闘いで示そう

 会社の本当の狙いは、「乗務員は自動運転に取って代わられる」「技術進歩の結果で仕方がないこと」と思わせることです。現場労働者を諦めさせることや、出世競争に駆り立てて団結を破壊することです。職場から乗務員の抵抗力をなくすことで、「乗務員は特別ではない」といって、特勤手当(乗務手当)廃止など乗務員勤務制度の根本的な破壊に乗り出そうとしているのです。

 ・ JR本社の団体交渉での回答 ・ 
●技術革新が進むにつれて、鉄道のスタイルそのものも変わる。自動運転になった場合、運転士や車掌という仕事がなくなることもあり得る。
●ゆりかもめは自動運転で保安要員も乗っていない。乗務員がいなくなれば、乗務員勤務制度もなくなる。
●輸送サービススタッフは、将来のビジョンとして掲げた。会社として、そういう方向に向かうという意思表示。
●運転装置がなくなったら、営業職などの枠組みを超えて車内でお客さまにサービスを提供してもらう。
●会社が方向性を示して、社員一人ひとりに、JR東日本がどう進むべきかを考えていただく。

 だからこそ、今回の乗務員勤務制度に職場をあげて反撃することが重要です。東労組が会社の解体攻撃に為す術なくひれ伏したことをきっかけに、労働者の団結が破壊され、会社が好き勝手に振る舞う職場が作られています。労働者が一方的に侮辱され、袋叩きにされる。どんなひどい現実にも、抗議の声ひとつあげることができない。そんな状況を受け入れるわけにはいきません。
 職場の力関係を転換できるのは現場労働者の団結した力です。その力を闘いによって示すことです。決して諦めず、職場から団結して闘いにたちあがれば、こんな攻撃を強行することはできません。団結して声をあげ、職場に闘う労働組合をとり戻そう。

すべての仲間は動労千葉とともに今こそ職場から団結し反撃にたとう!

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