DC通信No.159 2011/5/20
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Doro-Chiba Quake Report No.21

福島農民は結束して立ち上がった!
“奪われた生活と全人生を返せ!”


 日本政府と東電は5月13日、福島第一原発1号炉が3・11直後に全炉心が溶融し、核燃料は一塊と化して炉底に穴をあけ、その一部が炉外に漏出していることを認めた。また3号炉にはホウ酸が注入され、同炉が再臨界に達している可能性を認めた。三つの原子炉と四つの使用済み核燃料プールが無制御状態にある。こうした状態が既に二ヶ月間にわたって続いている。
 かくして膨大な量の放射能が、福島原発周辺地区十万余の住民に避難を強制している。2市9町村が滅亡の危機に直面している。さらに県都福島市はじめ県中央部の約百万人の避難が早晩、予想される。とりわけ福島県下30万学童生徒を放射能汚染が日々に襲っている事態は一刻も許されない!
こうした状況の中で「福島の子供を守る母親達の闘い」に次いで、村挙げての避難農民の闘いが公然と開始された。館村民の闘いである。そこに川俣町と南相馬市の住民も合流した。福島県浜通原発被災住民は遂に抵抗の拠点をここに持ったのである。

その怒りに満ちた要求を4月26日舘村民総決起集会から要約すれば以下の通りだ。

●阿武隈山中一の貧乏村をどんなに苦労してブランド牛の里にまで仕上げたのか。ああ!それを一瞬の原発事故が潰してしまった。国は「安全だ、安心だ」といって放置し、4月20日になって一転して我が村に避難を強制してきた。その間、我々と我々の子供達は高濃度放射能を吸わされてきた。政府は東電を守るために、我々を見放したのだ。一切の責任は東電と日本政府にある。この憤りと怒りを政府にぶっつけよう。
●チェルノブイリでは25年過ぎても自分の村に戻れない。250平方`の館を掃除機で掃除するようなわけにはいかない。山があり、川があり、空気があり、そして牧草地があり、田畑があるのだ。学者達は簡単に土を入れ替えることができるようなことをいうがとんでもない。
●村が分断されて離散していく。絶対に許せない。県内外どこでもいい。政府はわれわれに同じ舘村をつくって住ませろ。館村を取り戻す!われわれは、避難する前に政府に約束させなければならない。

集会には南相馬市と川俣町住民が合流した。

●30`圏内の南相馬市は「屋内避難」の上に、「避難準備地区」の名がかぶせられた。今では水道も、電気も、ガスも、生活物資もガソリンも普通にあるのに、孫を迎えることも出来ません。営業が出来ません。透明な(放射能の)バリアを張られて閉じ込められています。この地域はいまや日本という国から抹殺されようとしているのです。
●全国の皆さん。この理不尽きわまりない現実を知って下さい。原発は人災です。毎日原発のニュースが流されています。許せないのは、その中で原発を止めようという声が全く報道されないことです。怒りに耐えません。絶望の中で最後のよりどころは原発止めよという声が全国から上がることです。
●計画的避難を言い渡された舘村の皆さん。皆さんが団結して主体的に今後の道を選択し、知恵を結集して新しい館村をどうつくるか、それを考えて下さい。それが私たちに希望を与えてくれます。

決議文が採択された。「生ぬるいとの声がたくさんありますが、今ここから出発しましょう」と司会が集約した。

『いまは春、信じられないような放射能が降り注いでいる。3・11以来一ヶ月半、怒り、憤り様々な思いがある。子供達の喜びの声が再び聞こえる館村を取り戻そう。右決議する。(決議文)
一、一日も早く原発事故を終熄させよ
一、迅速な計画的避難を実施せよ
一、館村を元に復して返還せよ
一、子供達の未来のために必要・充分な補償を』

5月11日の館村民説明会は、政府と東電に対する責任追求と弾劾の場と化した。
「村全体を国が借り上げろ。帰村した翌日からでも畜産やれるよう牛、機械、牧草、畑、そして山も川も空気も全ての維持管理責任を取れ」の声が圧倒した。
 具体的な要求書が採択され、村執行部と農協指導部は断乎として直談判(対政府交渉)を敢行することを決定した。その際、電力資本保護の原子力損害賠償法(原倍法)には絶対に頼らないことが強く確認された。

 

農民の怒りは逆巻き、「奪われた生活と全人生を返せ」の声が燃え上がった。避難が始まれば村は分断され離散する悪条件がやってくる。だが政府と東電に対する闘いは遂に公然と開始された。それを抹殺することは決して出来ない。

農民集会と同日の5月11日、母親達は県教育委員会との集団交渉に再び立ち上がった。20mSv/hで安全だとする文科省との闘いである。運動に参加する地域が拡大している。

5月13日原発事故作業に動員されていた非正規労働者が殺された。心臓発作後2時間も放置されての死だ。数千人が働く高濃度汚染の現場に常時勤務の医師はたった一人だ。救急車が入れる地点まで現場から20 `も離れているのに、この医療体制だ。まさに死ねと言うことだ。
電力独占に寄生し、際限のない利潤を貪り続けてきた東電資本は労働安全衛生のあらゆる規制を無視し、悪辣きわまる非正規労働の強制を不可欠の条件としている。非正規労働者を中心とする原発労働者の「生きさせろ」の闘いは必ずや開始される。

 5月15日、経済産業省所管の「原子力安全基盤機構」が2009年の報告書で、「7メートル以上の津波で炉心損傷の確率は100%」を「公表」していたことが暴露された。政府は、「想定外」を想定していたということだ!
福島原発事故は日帝と東電(電力独占資本)の歴史上類例なき組織的犯罪だ!国家と東電に対して「収奪者を収奪せよ」の叫び燎原に放たれた野火のごとくに広がるのは必然である。

 われわれは、また、潜在的核武装国たる位置を維持しようとする帝国主義的原子力政策こそが根源にあることを暴かねばならない。戦後支配は広島・長崎に始まる核戦争・核開発競争のうちに成立したのだ。核武装と原子力政策こそ戦後帝国主義支配の要である。

全世界の労働者・人民のみなさんに訴えます。
今日本では、福島原発事故という事態の大きさと重圧を必死で食い破り、労働者、農民、漁民そして母親を軸とするコミュニティーの闘いが澎湃と巻き起っています。
全世界の労働者・人民の団結で、全ての原発を直ちに停止に追い込みましょう!もって核支配体制打破の端緒を切り拓いていきましょう!

2011年5月20日
動労千葉国際連帯委員会


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