DC通信No.116 08/01/01
座談会@−1047名解雇撤回
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動労千葉新聞−新春座談会@
原則を貫き1047名の解雇撤回へ!

08年『動労千葉新聞』(08.01.01発行)

 1047名闘争が、「4者・4団体」路線により解雇撤回の原則が投げ捨てられるという重大な局面を迎える中、動労千葉争議団の高石正博さんと中村俊六郎さんに、08年の決意を伺いました。 (文責・編集部)

●07年は、1047名闘争にとって重大な年でした。
高石 昨年は、年初から波乱含みだった。「1047連絡会」結成1周年目の2月16日に再度集会を開催しようと話し合っていたんだけど、何の相談もないまま「4者・4団体」主催にしてしまって、結局動労千葉を排除して開催されたんですよ。国労闘争団の人たちは「解決局面に入った」と言って、そのためには解雇撤回まで降ろさなければいけない、動労千葉とも一緒にやっていけないということだったんです。
 その後、動労千葉が「1047連絡会」から勝手に出て行ったと主張してるけど、全くウソだね。だって2・16集会は「1047連絡会」で開催しようと話し合っていて何の異論もなかったのに、しばらくしたら「4者・4団体主催」というビラや文書が出てたんだ。だから「信義に反するじゃないか」って抗議もした。その後、「解雇撤回」のない要求を「1047連絡会」の統一要求にしたいという話があって、「それはできない」と言ったんだけど、後で分かったことは、その時には「4者・4団体」の統一要求として確認されたものだったんだ。「1047連絡会」が団結の中心軸だったにもかかわらず、彼ら自身がやらなくなったということですね。
中村 「1047連絡会」は、解雇撤回に向けて1047名が団結して闘おうという組織だったわけですよ。国労闘争団だって、本部大会で、「自分たちのことは自分たちで決めさせてください」と言ってたし、その後も4党合意を吹っ飛ばし、鉄建公団訴訟だってやってきた。鉄建公団訴訟に対しても国労本部が生活一時金の停止などもやってきたわけだけど、その反省もないままに「4者・4団体」で一緒にやるのは全く不思議ですね。

改革法23条に、1047名の団結で闘い抜けば、必ず勝利の展望を切り拓くことはできる!

「 1047連絡会」 が発足した2006年2・16集会で発言する高石さん。(東京・ 日本教育会館)

●昨年10月の団結祭りで「解雇撤回で闘うのは玉砕だ」との発言がありました。
中村 俺の発言の直後だったんだけど、本当に頭にきたね。言ってることは、自分たちが解雇撤回を投げ捨てるための言い訳じゃないですか。しかも、解雇された当事者や、全国で支援してくれた多くの人たちの目の前で、「解雇撤回で闘うのは玉砕だ」なんていうのは、絶対に許せないね。
高石 物販から帰ってきてその話を聞いたときに、本当に最低だと思ったね。本人だって弁護士として解雇撤回を掲げてやってるわけですよ。それなのに「玉砕だ」っていうことは、自分たちの裁判が負けるってことを宣言しているのと同じじゃないですか。
中村 国鉄改革法23条があるから勝てないって言ってるわけ。たしかに裁判では負けたけど、それを打ち破るために鉄建公団訴訟を起こして、1047名の団結した組織として「1047連絡会」を作ったわけじゃないですか。実際には、改革法23条に対して1047名が団結して闘ったという形はまだないんですよね。1047名が団結したら、また違う展望が出てくるはずなんですよ。だから「玉砕」発言は、全く間違った見方だと思うね。
高石 全くその通り。05年3月に仙台の全金本山労組が解雇を撤回させて職場復帰をかち取ったけど、あの闘いだって裁判では負けたんですよ。だけど、当該の組合員と支援の力によって資本を追いつめて、実力で職場復帰をかち取ったわけ。だから、裁判だけじゃなくて、1047名闘争が軸になって全国のあらゆる闘いを結集すれば絶対に勝てるんだけどね。
中村 確かに解雇されて20年間という歳月は長いよね。だけどスジを曲げていいはずがない。労働者が原則を曲げずに闘いぬけば絶対に勝てる展望があるっていう確信に燃えてやらない限りダメだと思うんだよね。実際に動労千葉は、玉砕どころか他の誰よりも団結を守り、解雇者を守り抜いて闘い続けているでしょ。原則を曲げなかったからできたことですよ。だからこんな言い方は絶対に許せないですよ。

クビを切った張本人に土下座するような「4者・4団体」路線は絶対に間違いだ!

高石正博さん

●「4者・4団体」の国交省あて要請書はひどい内容ですね。
高石 昨年10月末に「4者・4団体」が、民主党を介して国交省・冬柴大臣に渡そうとしたらしいけど、本当にこれを出したのかと思うと情けないね。「4者・4団体」が解雇撤回を投げ捨てた後の要求は「雇用、年金、解決金」なんだけど、そのためにお願い路線でやってるわけ。これはもう闘いじゃなくて、土下座だね。
中村 「深く感謝申し上げます」から始まって「裁判で全てが解決するとは考えていない」とか、最後は「一日も早く救済されるよう、ご高配を賜りたくお願い申し上げます」となってるわけですよ。何でクビを切った張本人に対してここまでへりくだる必要があるのかね。
高石 この中では「雇用、年金、解決金」を要求してるけど、不当労働行為を徹底的に追及していったときに、初めてこういう内容が出てくると思うんですよ。そもそも解雇撤回を取り下げてしまったら、何を根拠に雇用やカネがでてくるのか、全く理解できないね。
中村 もうひとつは、「一日も早く救済されるように」っていってるけど、労働者は資本から救済されるような立場じゃないでしょ。自分たちの解放のために資本と闘う立場だと思うわけ。昔からそういうふうに教わってきたし、彼らだって協会派や革同の学校で労働者の解放ということを勉強していたはずです。それが「救済」に行き着くってことは、完全に変質以外の何ものでもないね。
高石 今の情勢を見ればそれははっきりしてると思うんだよね。7月の参院選で自民党が惨敗、その結果安倍政権が崩壊、出てきた福田内閣だって新テロ特措法や年金問題で青息吐息じゃないですか。しかも、これから公務員200万人のクビを切ろうとしているときに、1047名の雇用や年金、解決金なんて出せるはずがない。もしこれをやったら公務員の首切りや民間でのリストラなんて絶対にできないでしょ。
中村 俺たちの20年間の闘いの中で、一番大きいのは、労働者としての名誉回復と、国家的不当労働行為の追及だったわけですよ。われわれは不当に解雇され、親兄弟、子供達に、「自分たちは正しかった」という、この一言を言うために頑張ってきたわけですよ。
 もうひとつは、中曽根の発言でも明らかなように国家的不当労働行為なんだから、これを糾弾していかなければならないということで、石にしがみついて頑張ってきたわけです。この根本的なところがなくなってるんですよね。
高石 「解雇撤回」を言わないということは、名誉回復もないし、国家的不当労働行為もなかったということでしょ。仮に幾ばくかの金銭が出たとしても、この2点はクリアーできないからね。それを投げ出すっていうことに疑問があるし、とことん闘う意外に何も残らないと思うんだよね。おれは、その点は本当に不満だね。
 もうひとつ言いたいのは、全国で支援してくれた人たちは解雇撤回という1点で支援してくれたんですよ。もし1047名闘争が解雇撤回を取り下げてお願いだけで終わったら、これから解雇撤回闘争を闘う人たちに対して、「1047名闘争は何もありませんでしたよ」と言われてお終いになるわけでしょ。それじゃあ1047名闘争を支援した意味がないでしょ。やっぱり、1047名闘争を闘ってきて、最終的に集
約するときに、後に残すものが無かったら、20年間歯をくいしばって頑張ってきた意味が無くなっちゃうと思うんだよね。

●民主党に和解交渉を「白紙委任」したという話まであります。

団結祭りで「原則を曲げずに闘おう」と訴える中村さん。(東京・亀戸中央公園)

高石 俺たちからすれば、この「白紙委任」は本当に重大なことだし、絶対に許すわけにはいかないね。彼らは、「解決局面」だってしきりに言ってたにもかかわらず、結局何も動かないから、民主党に白紙委任したってことでしょ。だけど、民主党だってそう簡単には動けないよね。
中村 「白紙委任」して、最後に闘争団が判断するっていう話らしいけど、そんなのはペテンだね。本来、白紙委任っていう場合は、向こうが決めたらそれに従うしかないわけで、「4者・4団体」が言ってるようなことは絶対できないし、誤魔化しですね。
 だけど、これには支援の中からも反対の声が出てるっていう話だから、まだまだこれからが正念場だと思いますよ。
高石 昨年11月30日の「4者・4団体」の集会に動労千葉で「原則を守ろう」と訴えてビラ配りに行ったけど、あの時だって国労の組合員や支援の人たちからは「動労千葉、頑張ってください」っていう声が結構あったからね。集会に来た人たちは、1047名闘争は動労千葉も含めて闘ってると思ってるんだよね。
中村 一方では、「闘争団がもたない」とか「支援がもたない」とか色々いってるわけでしょ。確かに闘争が長くなれば大変ですよ。だけど、当該が頑張ってれば絶対に支援はついてくるはずですよ。「4者・4団体」が言ってる「もたない」っていう言い草自体、闘争団員や支援に責任をなすりつけてることと同じですよ。

●「解決局面」だと言われていますが。
高石 何をもって解決局面なのか、こっちが聞きたいぐらいだよ。昨年4月で20年を迎えたから「解決だ」と言ってるだけで、実際には自民党も民主党も全く動こうとしていない。自分たちが勝手に言ってるだけでしょ。しかも、今の状況は、さっきの「白紙委任」じゃないけど、こっちが頭を下げて、全部譲歩してるわけだから、全然解決局面じゃないでしょ。
中村 雇用もそうだけど、年金や解決金を出すっていったら莫大なカネですよ。数千億円が必要になるけど、今のように一方的に譲歩している状況の中で、政府がそんなカネを出すわけがない。年金だって、今「年金問題」で政府が吹っ飛びかねない状況の中で、これだって絶対にクビを縦に振るわけがないですよ。
高石 やっぱり力関係だよね。解雇撤回はもちろんだけど、仮に「4者・4団体」のいってる中身を取るにしたって、こっちが押しまくってる状況を作らなかったら、絵に描いた餅だよね。

●一方、「1047名闘争は階級闘争じゃない」という発言があります。
中村 1047名闘争は、間違いなく階級闘争ですよ。でも、国労本部のやってきたことが階級的かといったら、そうは言えないね。国鉄分割・民営化の時だって、200名の自殺者が出ていながら一発もストライキをやらなかったしね。
高石 中曽根が、国労を潰して、総評を解体して、立派な憲法を安置するために分割・民営化をやったと言ってるわけだから、これこそ立派な階級闘争でしょ。だけど、「4者・4団体」がそういう立場を投げ捨てることが、結局、労働組合の原則を放棄することにつながるし、解雇撤回を投げ出すことになるんだと思うね。だから「5・27臨大闘争弾圧」のように、仲間を権力に売るようなことまでできるわけ。
 「妥協や要求の引き下げは争議の常道だ」とか言ってるらしいけど、それは闘い抜いた結果の話であって、敵が全く動いていないのに一方的に譲歩してるわけ。お前ら労働運動のイロハも知らないのかって言いたいよね。

敵のアキレス腱ははっきりした!08年を1047名闘争勝利の年にしよう!

中村俊六郎さん

●こういう中で動労千葉は原則を守り、勝利してきたと思いますが。
中村 昨年9月の御宿町議選で4選を果たすことができたわけですけど、最初の頃は、動労千葉は過激派だとか、中村は1047名の解雇者だとか色々言われましたよ。しかし、小泉や安倍による地方切り捨てや戦争政策、JRの安全無視に対して、それには反対だといって動労千葉が原則を守って闘ってきたことが理解されてきたし、支持が広がったと思ううんです。そうでなければ、4回も当選できるはずがないでしょ。
高石 結局、国労本部や闘争団の人たちは、現場の組合員と一体となってJRや権力と闘って、そこから反撃しようっていう考え方が全くないよね。動労千葉の場合には1047名の解雇撤回と現場での反合・運転保安闘争が一体で闘われてきたし、俺だって集会で発言するときは、解雇撤回と現場での闘いを必ず報告するからね。やっぱりそこをやらないと、本当の意味での団結は生まれてこないね。こういう闘いの中で動労千葉は組織拡大も実現したわけですよ。動労千葉の闘いは国際的にもどんどん広がっているし、この数年、若い労働者がすごい勢いで闘いに加わってきています。展望は絶対にあるってことです。

●動労千葉の鉄建公団訴訟の現状は。
高石 鉄道運輸機構は、俺たちをJR不採用にした「停職6ヶ月、または停職2回以上」っていう基準がどこで決まったのかを絶対に言わないわけ。ということは、ここが彼らのアキレス腱だと思うんですよ。絶対にここを暴きたいですね。
中村 当時の国会答弁でも、労働処分は不採用の対象にしないってはっきり言ってたわけですよ。だからそこをはっきりさせることが確信だし、敵の弱点ですね。

●最後に、08年の決意をお願いします。
高石 今年の2月17日に、動労千葉が呼びかけて1047名の解雇撤回に向けた集会を開催することですでに運動が始まっていますが、ここでやはり「4者・4団体」路線ではだめなんだ、解雇撤回の原則を守って闘う以外に勝利の展望をつかむことはできないという形を作りあげていかなくちゃいけないと思うんだよね。
 ここを起点にして、解雇撤回を基軸にした闘いを再構築して、全国的に訴えていきたいですね。
中村 国労闘争団や全動労争議団の中にも解雇撤回で頑張ろうという人がいるわけだから、新たな「1047連絡会」を作り上げる決意で、現場と一体となって頑張りたいと思います。

●ありがとうございました。


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