DC通信No.XX 06/11/05
2006年11・5アピール
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2006年11・5アピール

 戦後はじめて憲法改悪を公約に掲げて登場した安倍政権は、内閣や官邸を極右・国家主義者で固め、「戦後体制からの脱却」を掲げて改憲につき進もうとしています。そのために「教育改革」を最優先課題とすると宣言し、国会では来週、教育基本法をめぐる審議が重大な決戦局面を迎えます。共謀罪新設、改憲国民投票法制定、防衛庁の「省」昇格法案をめぐる攻防も予断を許さない状況です。全ての参加者の皆さんに、直ちに教基法改悪阻止の新たな闘いに立ち上ることを訴えます。
 改憲とは社会の在り方を根本から覆すということだ。改憲とは戦争への道だ。改憲とは労働者の団結や権利を全て打ち砕くということです。

 イラクで、レバノンで、帝国主義者による侵略と殺戮が続くなか、日米安保、沖縄を始めとした在日米軍基地の飛躍的強化がおし進められ、日本は全世界への戦争の戦略基地になろうとしています。北朝鮮の核実験問題を利用して世論が意図的に改憲と戦争に誘導されようとしています。国会では全政党が「北朝鮮弾劾」を合唱し、安倍政権は再びアジアへの侵略戦争にふみだそうとしています。
 攻撃の矛先は、労働者の団結を解体し、労働組合を改憲と民営化の手先にすること、国家主義、差別・排外主義の洪水によって、労働者の意識を「国家」のもとにからめとることに向けられています。教育基本法の改悪も、その狙いは日教組を解体し、教育を支配の道具とすることにあります。森元首相は「参院選の争点は日教組、自治労を壊滅できるかどうかだ」言い放ちました。改憲攻撃との闘いの焦点は労働組合をめぐる攻防です。今こそ闘う労働運動の復権が求められています。
 治安弾圧体制が徹底的に強化され、連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧をはじめ、闘う労働組合や反戦運動への弾圧が激化しています。反権力の砦として40年間にわたる非妥協の闘いを貫いてきた三里塚闘争圧殺攻撃が激化しています。

 われわれは歴史の分かれ目に立っています。今こそ力の限り闘いに立ち上らなければなりません。
 戦後、焼け野原のなかから立ち上がった日本の労働者は、わずか1年半のうちに、
1947年2・1ゼネストに登りつめました。260万の官公労労働者が、吉田内閣打倒を掲げてゼネストに突入しようとしたその時、この闘いはGHQの銃剣によって挫折させられました。現在の憲法はこうした労働者の闘いの嵐のような高揚の渦中で制定されました。闘いの革命的な高揚が9条に象徴される規定を憲法に強制する一方、怒りの声は中間的に収拾されたのです。改憲が問題となる情勢とは、時代が回りめぐって、再び労働者階級と支配者階級が決着を求めて真正面から衝突する時代が到来したことを示しています。

 全てを市場原理委ねたこの10年余りにわたる攻撃によって、労働者の貧困化が激しく進行しています。OECDの報告では、日本は加盟国中第2位の貧困大国となり、働いても働いても生活保護以下の収入しか得られない世帯が推定400万世帯・1割に達しています。年収200万円以下の世帯が5軒に1軒。この10年で460万人の正規雇用が失われ、それにとってかわったのは620万人の非正規職労働者です。
 市場化テスト法等の成立によって、社会全体を覆い尽くすような民営化攻撃が吹き荒れ、8時間労働制や労働者の団結権を否定する労働契約法の制定が画策されています。年金や医療制度をはじめ社会保障制度が解体され、大増税が画策され、闘わなければ生きていくことができない時代が到来しています。

 その背後にあるのは、労働者を食わしていくこともできなくなり、戦争をする以外に延命できなくなった支配の危機です。しかし政府・自民党は、改憲や労働者への全面攻撃が、ひとつ間違えば政権が吹き飛びかねない問題であることに怯えています。「格差社会」への我慢のならない怒りの声と、改憲への危機感が結びついたとき、労働者が急速に階級性を回復し、自らの力を自覚して爆発的に闘いに立ち上がることは避けられません。支配階級の側はそれに恐怖しています。

 一点の火花が情勢を動かす時代が到来しています。「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の不起立闘争は、世論を二分する状況をつくりだし、強制を「違憲」とする画期的な9・21判決をかちとりました。国鉄1047名の解雇撤回闘争が様々な困難をのり越えて20年に及ぶ闘いを継続し、動労千葉の反合・運転保安闘争も大きな波紋を広げています。年金・医療制度改悪、障害者自立支援法等によって生命すら奪われようしている現実への怒りの声が爆発しています。辺野古の新基地建設反対闘争が不屈に闘われています。最も原則的に闘うことが、最も大衆的な支持を集める時代が到来しています。社会全体に怒りの声が渦巻いているからです。
 全世界で怒りの声が噴出し、労働者の大反乱が始まっています。韓国・民主労総の仲間たちはこの15日から、労働運動の解体を狙う「労使関係ロードマップ」や韓米FTA阻止のゼネストに立ち上ろうとしています。アメリカではAMFAの仲間たちが400日をこえるストライキを継続しています。フランスの労働者・学生は、300 万人のゼネストとデモで初期雇用契約法を粉砕しました。今、全世界の労働者はひとつの敵に向け、団結して闘いを開始しています。

 こうした現状に声をあげ、闘うべき労働組合の総屈服が進んでいます。今こそこの現実を変革しなければならない。労働者が胸を張って生きるために団結し闘う、それが労働組合であったはずだ。それがどうしたことか、労働組合の幹部たちが資本や政府と同じ口をきいて労働者の団結を破壊し、労働者を支配しています。
 こんな現状にはもう我慢がならない。職場からの闘いで労働組合を民主化し、怒りと団結を取り戻さなければならない。今何よりも求められているのは、自らのもつ力と可能性を自覚し、社会の全てを動かしているのは労働者であるという誇りを取り戻すことです。われわは労働者階級こそ、歴史をつくり、社会を変革する主体であると真っ向から宣言しなければなりません。
 不一致点は留保し一致点を拡大して、闘う労働組合の全国ネットワークをつくりあげよう。憲法−教育基本法改悪を阻止しよう。全ての職場から新たな闘いを開始しよう。労働者の団結で、安倍改憲政権を倒そう。格差拡大社会をぶっとばそう!国境をこえた労働者の国際的団結を発展させよう!

 2006年11月5日
                           戦争と民営化−労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
                           たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
                           11・5全国労働者総決起集会


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