DC通信No.93 06/02/10
06春闘、反合・運転保安要求

DC通信目次 

06春闘職場討議資料bP

06春闘、反合・運転保安要求
−闘いなくして安全なし!−

国鉄千葉動力車労働組合

闘いなくして安全なし!
06反合・運転保安春闘にたちあがろう!

06春闘スローガン

◎ 06春闘勝利! 改憲と民営化・労組破壊の大攻撃に抗し、退路を断って闘おう!
◎ 闘いなくして安全なし! 二度と尼崎・羽越線事故を許すな!
◎ 全組合員の力で、反合・運転保安闘争を復権させ、JR体制を打倒しよう!
◎ 一人ひとりが活動家となって、動労千葉の未来をかけて組織拡大を実現しょう!

 尼崎事故、羽越線事故、レール破断の多発、そして3名の保線労働者の生命を奪った伯備線事故……。次から次に起きるこの危機的現実。JRの「安全」が根幹から崩れ落ちようとしている。国鉄分割・民営化の矛盾が「安全の崩壊」というかたちをとって噴き出しているのだ。
 しかしJRは、口先だけの謝罪を繰り返す裏側で、これまで以上に激しい合理化・要員削減を強行しつづけている。労働組合の闘いなくして安全を確立することはできない。今こそ労働組合の社会的責任が問われている。
 幕張車両Cの業務移管縮小・錦糸町派出廃止、京葉運輸区廃止・蘇我運輸区新設、車掌業務117名の外注化がこの3月ダイ改で強行されようとしている。駅業務も、来年以降、さらなる丸投げ的外注化が行なわれようとしている。こんなことを許してはならない。組織破壊攻撃を許すな! 検修・構内業務の外注化を阻止しよう。
 改憲攻撃が本格的に開始されようとしている。焦点は憲法9条2項の改悪にすえられている。「陸海空軍その他戦力はこれを保持しない。交戦権はこれを認めない」を「自衛軍を保持する」と、180度変えようというのである。
 「官から民へ」というペテンに満ちたかけ声の下に、郵政をはじめ、数百万人の公務員労働者が、職場を追われ、非正規雇用に突き落とされようとしている。民営化とは激しい労働組合破壊攻撃だ。そして、年金や医療制度の改悪、大増税。われわれは歴史の分岐点にたった。闘わなくては生きることができない時代が到来している。
 今こそ怒りの声を結集し闘う労働運動を復権させよう。06春闘にたちあがろう。

 ★ 原点に帰り、反合・運転保安闘争を復権させよう!
 ★ 改憲と民営化の大攻撃に抗し、退路を断って闘おう!

T 06春闘要求

1.大幅賃上げ獲得、賃金制度改悪阻止。
2.JR貨物における「生活改善一時金」300,000円(55歳以上は400,000円)獲得。
3.定年延長の実現と、65歳まで働ける労働条件の確立。55歳以降の賃金減額制度撤廃。
4.第二基本給制度の廃止。
5.差別なき基準昇格制度の確立。
6.諸手当改善

U 反合・運転保安要求

【運転取扱い関係】

1. 運転保安確立のために、列車の運転速度を、この間のスピードアップ施策以前に戻すこと。また、「速度向上区間」の取扱い、在来線130q/h運転を中止すること。

■ 尼崎事故も羽越線事故も、そしてレール破断の多発も、共通してその背景にあるのは、無理なスピードアップが強行されたことであった。車両のブレーキ性能等だけは向上していても、列車が走行している諸条件はほとんど変わっていない。このままでは再び大惨事が起き、多くの人命が失われる。

2. 列車の停車時分について、客扱い時間を除いた最低基準時分を20秒とし、これに実態に合わせた客扱い時分を加えた時間設定とすること。

■ 福知山線は「15秒停車」というダイヤ設定であった。だが、組合の調査では、運転士、車掌の基本動作、ドアの開閉時間(それぞれ3〜4秒)だけでも、20秒以上を必要とする。運転士に無理な運転を強いるダイヤ設定こそ、事故の原因だ。

3. 乗客の安全確保のために、列車のホームへの進入速度、通過速度を制限すること。

■ ホーム要員は居ず、列車はものすごいスピードで通過する。これでは、いつ事故が起きてもおかしくない。

4. 停止目標について、抜本的な整理・統合を行なうこと。

■ 乗客サービスと称して乱立させられる「停止目標」。運転士は大変な緊張を強いられている。しかも懸垂式のものは視認性も悪い。

5. 各駅に場内および出発信号機を設置すること。また、場内および出発信号機は「絶対信号機」として位置づけること。

6. 「場内信号機故障時の進行の指示運転」の取扱いを中止すること。

■ 規制緩和で、列車運行と安全確保にとって基本中の基本である信号機に対する考え方があいまい化されている。今こそ基本に帰らなければならない。

7. 伝令法によらずに救援列車を運用するような取扱いは絶対に行なわないこと。

8. 回送列車の車掌省略の取扱いを中止すること。

■ 規程の拡大解釈や、規程への例外の持ち込みが横行している。安全の骨抜き化は深刻だ。

【車両関係】

1. 軽量化車両・ボルスタレス台車使用車両の製造・投入を直ちに中止すること。

2. 現在使用されている軽量化車両、ボルスタレス台車使用車両については、当面、最高速度、制限速度を規制して運用し、期限を定めて使用を中止すること。

3. 車両の充分な強度・剛性を確保するために、設計上の基準を定めること。

■ 電力消費量の削減等、コスト削減のために、安全を無視して徹底した車両の軽量化が進められている。尼崎事故は、それがどれほど恐るべきことなのかをまざまざと示した。
 また、ボルスタレス台車も欠陥が指摘されながら、軽量化のために投入されてきたものだ。レールの異常な磨耗・破断の多発も、ボルスタレス台車が一因だと考えられる。車両設計の根本的な見直しが求められている。

4. 軽量車両の転覆限界風速について検証を行い、明らかにすること。

■ 羽越線事故では、最も重い485系車両が突風によって転覆した。現在の軽量化車両は、もっと小さな風速で転覆するということだ。しかも、大幅なスピードアップが転覆限界風速をもっと小さくしている。直ちに検証が必要だ。

5. 踏切事故等の対策として、車両の前面強化を行なうこと。

■ 84年、細代踏切での平野さんの殉職事故を忘れてはならない。踏切の改善(別項)も含め、踏切事故対策は生命にかかわる問題だ。

【検修関係】

1. 検修・構内業務の委託=外注化を中止すること。また、高齢者の雇用を本体で継続することにより、技術力の継承対策を実施すること。

■ メンテナンス業務の丸投げ的外注化は、車両等の保守・検査体制を解体し、安全を脅かす。また、その行き着く先は、JRという会社が鉄道に関する技術力を全く持たない会社になるということに他ならない。コスト削減のために、こんなことが許されていいはずはない。

2. 幕張車両センターから鎌倉総合車両センターへの217系車両の検査業務移管を中止すること。

3. 錦糸町派出廃止を中止すること。

4. 列車運行の安全を脅かすメンテナンス近代化計画を中止し、車両の検査体系を従来の検査周期・体系に戻すこと。

■ この間、車両の検査周期は大幅に延伸され、さらには車両検査基地の大再編・統廃合が進められている。これも目的はただひとつ。コストの削減を目的としたものだ。しかし、導入当初、「絶対壊れない」と豪語した新系列車両は異常な故障が多発するなど、明らかに矛盾が噴き出している。検査周期、検査体制の見直しが必要だ。
 検査周期は、例えば仕業検査は、24時間→ 48時間→ 72時間→ 6日〜10日と、まさに大幅な延伸がされている。
 また、検修本区の合理化・要員削減にあたって、「派出検査体制の強化で対応する」が、会社の回答であった。錦糸町派出の廃止は、この間の団交の経過から言っても、運転保安の観点からも、絶対認められない。

5. 257系車両の保全検査について、勤務時間内に作業が終了しない実体にふまえ、要員配置を4名とすること。

■ 257系車両の保全検査は、車両投入後、一度も勤務時間内に作業が終了していない実態がある。要員配置の見直しが必要である。

6. 車両の検査にあたって、「後検」を行なう検査体制・要員配置を確立すること。

■ 車両の検査にあたって、「責任施工」などというかけ声のもとに、「後検」もしないで担当者任せにする検査体制がとられている。要員削減のためだ。「人間はミスを犯すもの」という、イロハすら無視し、結局何かあれば、当該の労働者一人に責任を転嫁するのが、今のJRのやり方だ。
 運転保安確保のためには「前検」「後検」を行なう作業体制と要員配置が必要だ。

 具体的な車両故障や作業上の問題点等については、すでに千葉支社に申し入れを行なっており、これに基づいて解決を求める

【保線・レール・設備関係】

1. 千葉支社において、3年連続して発生しているレール破断に関する調査結果を明らかにすること。
 また、レール破断が多発していることについて、会社および鉄道総研の総力を結集して、徹底した原因究明を行ない、その経過および結果について、詳細を定期的に逐次明らかにすること。

■ 千葉支社は、なぜこれほどまでにレール破断が頻発するのか、その本質的な原因を何ひとつ明らかにしていない。それどころか、「安全上問題はない」と言い続けている状態だ。こうした姿勢こそが、安全崩壊の根底にあるものだ。

2. 千葉支社管内全線区のレールについて、ベテランの保線労働者による総点検を行い、調査結果を明らかにすること。

3. シェリング、きしみ割れ、波状磨耗、レール側面の異常磨耗、道床の異常等が認められる全ての箇所について、レール交換および基盤強化を行なうこと。
 とくに、鹿島線・北浦橋梁におけるレールの歪み、成田線・根古屋信号所付近の列車の激しい振動について、早急に対策を講ずること。

4. 前記1〜3の対策が終了するまでの間、列車の運転速度を規制すること。

■ @総点検、A損傷等のある箇所の全面的なレール交換や基盤強化、Bそれが済むまでの間の速度規制は、直ちに実施されなければならない最低限の対策である。
 とくに、北浦橋梁は「早め規制区間」に指定されている強風地帯だが、永年放置されているレールは、左右に波うっている状態だ。また根古屋信号所付近は、成田エクスプレスが130q/hで通過する。このままでは大事故が起こりかねない。

5. レール破断を「ひび」と発表するような隠蔽体質を根本的に改めること。

■ 千葉支社は、レールが完全に折れているのに、「『ひび』という表現で統一し、『折損』等の言葉は使うな」という内部文書を回している。実際、1月7日の総武緩行線でのレール破断(開口20o)も、「20oのひび」というマスコミ発表だ。隠ぺい体質と安全軽視は表裏一体の問題である。

6. この間会社が実施した保線・電力・信通等の業務委託を解消し、直営による業務体制に戻すこと。
 また、高齢者の雇用をJR本体で継続することにより、技術力の継承対策を 実施すること。

7. 線路の徒歩巡回周期、列車巡回周期について、延伸前の周期に戻すこと。

■ 設備関係の丸投げ的外注化は、現実に線路等の保守・検査体制を崩壊させている。会社は「最新のテクノロジーを導入したから問題はない」と言うが、例えば、レールの検測車が走るのは年1回に過ぎない。現実にレール破断が多発していること、折れるまで事前に発見することができていないことそのものが、「最新のテクノロジー」なるものが機能していないということである。
 下請けの体制も、外注費の徹底した削減で、1ヵ月全く休みのない状態で労働者が酷使されている。直営に残った徒歩巡回、列車巡回も、かつての周期の三倍に延伸されている。

8. 曲線にはスラックを設けること。

■ 曲線で発生する車輪とレールとの間の横圧を防止するためのスラック(曲線の軌間を若干広げることを言う)は、国土交通省令にも定められているものである。JR東日本はそれを無くしてしまった。なぜ無くしたのか、理由は全く明らかにされていない。しかし、曲線でのレールの異常磨耗を見た場合、必要なことは明らかであると考えられる。

9. 今年度のレール交換等の具体的実施状況および、来年度計画を具体的に明らかにすること。

■ 昨年、われわれは、100日余りにわたる安全運転闘争によって、今年度中に、数百箇所(延べ延長22q余り)のレール交換を実施することを確認したが、今年1月7日には、それでもまだレール破断が起きた。より大規模なレール交換が必要なことは明らかだ。われわれは、この現実にふまえ、来年度計画の明確化、今年度を上回る予算措置を求める。

10. 曲線・分岐器の速度超過対策、ATS−P区間の拡大について、各箇所・区間の具体的な工事計画を明らかにすること。

■ 尼崎事故後の国土交通省の指導に基づいて、JR東日本は、曲線や分岐器の速度超過対策や、ATS−P区間の拡大について、年度毎の計画を明らかにしたが、未だ具体的な工事計画は示されていない。
 なお、昨年の安全運転闘争で約束させた、東浪見へのATSの地上子設置工事については、2月24日までに完了することを確認している。

11. この間、架線や電力関係の事故が多発している状況にふまえ、総点検を行な うとともに、保守体制の抜本的な強化を行なうこと。

■ この間、架線や電力関係、信通関係の事故が相次いでいる。これも外注化等による保守体制の切り捨て、弱体化が原因だと考えられる。保守体制の抜本的な強化や総点検が必要である。

12. キロポストや標識等が、常に明確に確認できるよう、沿線の除草対策を強化すること。

■ 保守経費の削減により、沿線の草が放置され、キロポストや運転上必要な標識類すら見えない状態に置かれている線区・箇所が多数存在する。このような状態で運転保安を確保することはできない。

13. 第4種踏切の第1種化等、踏切事故対策の強化を図ること。
 また、次の踏切について早急に対策を講ずること。
 《総武本線》 鎌数第1踏切、平郷縄踏切、山の下踏切
 《久留里線》 上栗原踏切、高千穂踏切、第4大通り踏切

 なお、線路状態等については、この間の実態調査に基づいて、156箇所に及ぶ具体的な改善要求を千葉支社に申し入れてあり、その解決を求める。

【異常気象関係】

1. 降雨による運転中止の基準を全線区に復活させるとともに、従前の運転規制基準に戻すこと。
 また、規制の解除にあたっては、乗務員からの報告に基づき現地の状況を的確に判断し、拙速な解除を行なわないこと。

■ 昨年、冠水した酒々井駅に列車が突っ込んで、自力走行不能となる事故が発生していることに踏まえ、降雨による運転中止の基準の復活を要求する。また、この間順次進められてきた気象異常時の運転規制の緩和を見直すべきである。

2. 風・雨・雪等の気象警報が発令された時点で、予め運転速度を制限する等、運転規制を実施すること。

■ 羽越線事故の教訓にふまえれば、気象通報について、少なくとも、「注意報」が「警報」に変わった時点で、警報が発令された地域については、あらかじめ運転速度を制限する等の規制が必要であると考える。

3. 現在、風速20m/sで速度規制、25m/sで運転中止の取扱いが実施されているが、 「早め規制区間」については、それぞれ15m/s、20m/sとすること。

■ JR東日本は、羽越線事故にふまえ、当面、速度規制、運転中止とする風速を、それぞれ5m/sづつ下げ、全線区を現在の「早め規制」の基準とすることを打ち出したが、本来であれば、これまで「早め規制区間」としてきた箇所についても、基準を5m/s下げるべきである。また、一刻も早く元の基準に戻したいという姿勢が見え隠れしているが、「喉元過ぎれば」 というだけの安易な判断には絶対に反対する。

4. 京葉線の強風による運転規制の解除について、従来のように「30分にわたって規制値をこえる風が吹かなかった場合」に戻すこと。

■ 昨年実施された、京葉線の強風規制による運転規制の解除(規制緩和)については、羽越線事故にふまえ、元に戻すべきである。

5. 北浦橋梁、波太川橋梁、湊川橋梁をはじめとした各橋梁、京葉線沿線等、ひんぱんに強風の吹く箇所に、防風柵の設置等、強風対策を行なうこと。
 また、風速計、雨量計を抜本的に増設すること。

■ 例えば風速計については、千葉支社管内で19箇所しか設置されていない。以前は設置されていたが撤去されてしまっている箇所まであるのが現実である。余りにも御粗末な現状だ。

6. 沿線の土砂崩壊、倒木対策を抜本的に強化すること。

■ この1月の大雪時など、沿線の竹などが列車の前に倒れこんでいても、指令は、原則して運行することを指示しているような現状がある。このような運行優先の姿勢は断じて許されない。沿線の土砂崩壊や倒木対策の抜本的な強化が必要である。

7. 異常時の運転規制等について駅長に権限を付与するとともに、運転取扱い要員を駅に配置すること。

■ 羽越線事故の最大の原因は、規制緩和とともに、ほとんどの駅が無人化・外注化され、現場の状況を把握できる者が居なくなっていること、そして、運転取扱いに関する権限を現場から引き剥がして、指令に集中したことにある。その根本を戻さなければ安全は守れない

【勤務・乗務割交番・訓練関係】

1. 士職の養成方法を抜本的に改善するとともに、強制配転されているベテラン運転士および運転士資格保有者を直ちに職場に戻すこと。

2. 指導員・指導操縦者の指定について、組合差別を中止し、運転士及び運転士見習いの指導に関し、安全確保・業務遂行・技術継承に相応しい職場の在り方を確立すること。また、指導員を増員すること。

■ 運転士養成のあり方については、駅→車掌→運転士という養成経路の問題、養成期間の問題、教育・訓練内容の問題等、抜本的に改善されなければならない多くの点が存在する。しかし、根本に横たわっている問題は、運転士の養成まで、あらゆる場面で組合差別が貫かれていることにある。動労千葉や国労の組合員は絶対運転士にしない、指導操縦者にも、指導員にもしない等、歪んだ現実を嫌というほど見せつけられながら養成される運転士が、誇りをもって安全を守る運転士になるはずはない。動労千葉のベテラン運転士を排除するため、わずかの期間しか運転経験のない者が次の運転士見習いを教えており、マニュアルをまさにマニュアルどおりに教えることしかできていないのが現状だ。会社もそれ以外のことを許さない。マニュアルだけでは絶対に済まない安全の大切さ、運転保安確立に向けた運転士としての構えなどを伝えていく者など誰も居なくなっている。そうしたことは、命令と服従だけでは絶対に継承できないことである。

3. 3ヵ月間乗り入れていない線区を乗務するときは、線見訓練を実施する等、線見訓練に関する基準を設けること。

■ 1997年に起きた大月駅事故の教訓などを考えた場合、これは絶対に必要なことである。

4. 運転保安確立の観点から、乗務員勤務制度、乗務割交番作成規定の抜本的な改善を行なうこと。

(1) 行き先地で労働時間をカットする勤務制度を中止すること。
(2) 各行路の拘束時間について、日勤行路は9時間以内、泊行路は20時間以内を基準に作成すること。
(3) 各行路の睡眠時間について、労働時間Aを除いて、5時間30分以上を確保すること。また、食事時間については、最低40分以上(トイレ等に行ける時間)を確保すること。
(4)  「折り返し時間」は10分以上確保すること。できない場合は、段下げ交替とすること。なお、段下げ交替の場合は、最低5分を確保すること。
(5) 1勤務を終了して次勤務に就くまでの時間は、前行路の労働時間Aを確保することを最低基準とすること。また、労働時間Aが8時間に満たない場合は、最低8時間以上を確保すること。
(6) 行路作成にあたって、乙行路については、甲行路より軽減すること。
(7) 運転線区・業務内容の習熟という観点から、各区各組の交番順序については、4週を限度として作成すること。

■ 運転保安確立のためには、実質「青天井」化している運転士の労働条件について、最低限の基準を設けることが必要である。上記は、動力車乗務員勤務制度及び、乗務割交番作成規程に関する動労千葉の基本要求。

5. 各区の行路別の具体的改善要求については、すでに千葉支社に申し入れ、団体交渉を行なっている。3月ダイ改に向け、その解決を求める運転士の定例訓練について、運転保安を重視した内容に改めること。

■ 定例訓練に何よりも必要なことは、規程の反復訓練及び、事故例だと考える。事故例については、個人に一切の責任を転嫁する姿勢を改めない限り、本当の意味で全体化することは不可能である。

6. 「標準数」の考え方を改め、教育・訓練・研修等を実施するための要員を配置し、年休・休日が完全に取得できる要員体制とすること。
 また、小集団活動や増収活動を中止し、安全の確保に専念できる職場体制を確立すること。

■ 休日出勤を前提とした要員配置を直ちに改めるべきである。

7. 運転士個人への事故責任の転嫁を中止すること。事故を起こした際の見せしめ的な乗務停止−「日勤教育」を中止すること。
8. 運転保安確保のために、遮光幕を下ろして運転することを認めること。

■ われわれは、運転士個人への事故責任の転嫁に絶対に反対する。事故責任の個人への転嫁は、事故の本質に煙幕を張り、隠ぺいすることだ。
 また、ミスをして「日勤」に下ろされた運転士が「うつ病」を発症したり、失踪したりする事態が相次いでいる。今、運転士がどれほど精神的に追いつめられたなかで運転しているのか。一方における強権的な労務管理、他方、運転士のちょっとした挙動が逐次メールなどで送られ、それを理由として会社から追及されるような監視社会的状況が相まって、精神的なプレッシャーは限度を超えようとしている。

【指令関係】

1. 指令員の登用にあたっては、管内の線路状態、規程に基づく運転取扱い等を熟知したベテランを配置すること。

■ 現場から運転取扱いに関する権限を引き剥がして指令に集中しながら、指令員の発令のほとんどが、わずかの運転経験しかない、あるいは全く運転経験もない若手になっている。しかも指令室は出世コースで、頑固に安全を貫いたり、列車を止める決断をできるような状況は全くない。指令の質の低下は深刻で、規程も知らず、車両のことなどさらに知らない状態で、結局、運転士が何を言っても「注意して行って下さい」としか答えられない指令員が増えている。これが現実だ。しかも指令の発令にも徹底した組合差別が貫かれている。

2. 指令の指示・通告にあたっては、規程に則った厳格な取扱いを行なうこと。
 また、運転士等による現場の状況把握を尊重すること。
3. 無線による運転通告は、必ず停車してから受領するよう指導を徹底すること。また、通過列車に対し運転通告を行なう場合は、指令から停車の指示を行 なうこと。

4. 無線での運転通告により運転規制等を行なった列車に対しては、その解除の通告も個別に確実に行なうこと。
5. 無線の感度不良区間について、早急に対策を講ずること。

【駅・車掌関係】

1. 快速列車グリーン車掌業務の委託=外注化、117名の要員削減計画を中止すること。

■ JR西日本ですら、尼崎事故にふまえ、「事故時の車掌の対応に問題があった」として、この4月から予定していた車掌業務の部外委託を一旦中止している。そうした状況のなか、この3月に千葉支社だけでも、117に及ぶ車掌業務の外注化=部外委託を強行しようとしているJR東日本の姿勢は異常としか言いようがない。車掌は「保安要員」であるという位置付けを改めて明確にするべきである。

2. 駅業務の委託=外注化を中止し、各駅に駅員を配置すること。
 八日市場駅、東金駅、大貫駅、布佐駅、鹿島神宮駅の要員削減計画を中止すること。

■ 3月ダイ改での5駅の要員削減(千葉支社)の上に、JR東日本本社は、2007年から、まさに抜本的な駅業務の丸投げ的外注化を強行しようとしている。羽越線事故を何ひとつ教訓化しようとしていないのだ。

3. 乗客の安全確保のためにホーム要員を配置すること。

【技術継承関係】

1. 「団塊の世代」の大量退職に伴う技術断層を解消するために、検修職場をはじめとした技術系統の職場に、退職者数に見合った新規採用者を配置すること。
2. 65歳までの定年延長を行い、技術力をもった高齢者を、技術継承担当とし、若手の育成にあたること。
3. 経営の基本を鉄道事業に戻し、安全の確保と鉄道固有の技術力継承を第一義的な経営課題とすること。

■ 国鉄分割・民営化の結果としての歪んだ年令構成と、大量退職問題は、今その矛盾を一気に噴出させようとしている。欠員を埋めるために、合理化や外注化がさらにエスカレートし、また、技術力の継承が途絶えようとしている。
 しかも会社の経営姿勢は、ニューフロンア21計画に示されたように、「株主価値優先」と言って、経営戦略の第1を駅空間を利用したカネ儲け、第2を「IT事業」とし、「鉄道事業」を第3におとしめている状態である。このままでは、安全の崩壊がさらに拍車をかけて進むことになる。

V 不当労働行為根絶に向けた要求

1. 強制配転者の原職復帰、運転士資格保有者の士職発令を直ちに行なうこと。
2. 昇進差別を直ちに中止すること。
3. 1047名問題について、会社の責任において、速やかに原職に復帰させること。
4. シニア制度差別事件について、労働委員会命令を速やかに履行するとともに、再雇用を拒否されたことによって生じた不利益には、金銭的な保障を行なうこと。
5. 組合掲示板、組合事務所の設置等、職場における組合活動の自由を保障すること。また、争議行為への不当な介入を行なわないこと。

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