DC通信No.82 05/11/06
2005年11・6アピール

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2005年11・6アピール

動労千葉田中委員長のアピール提起

 9月11日、クーデター的に強行された総選挙で、労働者をとりまく情勢は一変しました。「戦後民主主義」は崩壊し、小泉は憲法改悪の発議が直ちにできる議席を手にしたのです。しかしこれはガラス細工の「勝利」に過ぎません。マスコミをあげて真実をぬり隠すキャンペーンを洪水のようにあふれさせても、自・公両党の得票は50%に満たなかったのです。
 自民党が「新憲法草案」を発表しました。「陸海空軍その他戦力はこれを保持しない、国の交戦権はこれを認めない」と定めた憲法9条が「自衛軍を保持する」に書き替えられようとしています。これは現在の憲法を破棄するに等しいものです。日米政府は、日米安保と米軍の大再編(トランスフォーメーション)に関する中間報告を発表し、米陸軍第一軍団司令部を座間基地に移し、統合作戦司令部を置くなど、日本を東アジア や「不安定の弧」に対応する最大の戦略拠点とする準備が進められています。とくに、 沖縄の新基地反対闘争の圧殺と基地機能の飛躍的強化が画策されています。そして自衛隊のイラク派兵がさらに延長されようとしています。
 国家主義が急速に台頭しています。小泉は靖国神社への参拝を繰り返し、いままでは社会の片隅に潜んでいた極右、ファシストたちが政府や財界の全面的なバックアップを得て前面に登場し、「つくる会」教科書採択などの反動的運動が組織されています。今、労働運動にとって最も危険なことは、戦争とそれに向う様々な反動への挙国一致がつくられようとしていることにあります。
 彼らは、本気で日本を「戦争をする国」にしようとしています。われわれは大きな歴史の分かれ目にたっています。労働者の団結した闘いだけが憲法─教育基本法の改悪を止め、戦争を止める力です。

 労働者の平均賃金は15年前の水準に後戻りしました。すでに、年収200万円以下の世帯が2割に達しています。この10年余りの間に非正規雇用労働者が激増し、女性や24歳以下の若者では50%に至っています。貧富の差が恐るべき勢いで拡大し、闘わなければ生きられない現実がつきつけられています。これが小泉や奥田によってもたらされた現実です。その背景にあるのは資本主義体制の底知れぬ危機です。
 彼らは、あたかも公務員が悪の元凶であるかのようなペテンを繰り返し宣伝し、労働者の団結を分断し、労働者など非力な存在に過ぎないと思い込ませようとしています。連合や全労連の幹部たちもそれに呼応し、労働者の階級的団結を破壊する手先になり下がっています。しかし多くの労働者が、今自らの置かれた現実が仕方のないことでもどうしようもないことでもないと気付き、これをもたらした元凶が小泉であり奥田であることに気付いたとき、もはや怒りの声をおしとどめることはできません。腐りきった労働運動の幹部たちを踏みこえて、今こそ労働者の誇りと団結をとり戻そう。

 日本の労働運動にとって、これからの2年間がまさに勝負のときです。自民党や財界は、来年の通常国会で改憲に向けた「国民投票法案」の制定、教育基本法改悪を強行し、07年に憲法改悪を狙っています。07年郵政民営化の強行に向けて、40万人の郵政労働者に激しい首切り選別、労組破壊攻撃が吹き荒れようとしています。並行して数百万人の公務員労働者を対象とした民営化−首切り攻撃が吹き荒れようとしています。労組の団結権を否定し、企業に一方的な労働条件変更権を与え、解雇を容認する労働契約法制の抜本改悪も07年に向け最終報告が出されています。税制の抜本改悪−大増税と社会保障制度の解体も07年です。労働者の団結も、雇用も、賃金も、年金も、全てを破壊して戦争につき進むもうというのです。
 しかし、こんなことが予定どおりに進むはずはありません。何が起きてもおかしくない波瀾万丈の時代が始まろうとしています。我慢のならない怒りの声が激しく吹きだし、闘う労働運動の再生への大きなうねりが始まろうとしています。

 10月に開催された連合大会は、「国防の義務」を主張し、「徴兵制」まで肯定する新会長候補高木に対し、予想もしなかった多くの反対票が投じられ、予定されていた9条改憲推進に舵をきる方針を提出することもできない事態になりました。
 連合をつき動かしたのは、「日の丸・君が代」強制を拒否した東京─全国の教育労働者たちの闘いであり、1047名の解雇撤回を闘う国鉄労働者の闘いであり、沖縄を先頭とした自治労組合員の闘いでした。この職場からの決起が全国の無数の怒りの声と結びついて巨大な波紋を広げ、「護憲」方針を投げ捨てようとしていた日教組や自治労の大会でそれを許さなかったのです。
 私たちは、JR尼崎事故に対する安全運転闘争のなかからもそれを実感としてつかみとりました。全国からの予想をこえた反響と支持の声は、形は違えど、市場原理の暴走と民営化攻撃のなかで苦しみ、労働運動の再生を願う切実な思いでした。
 全日建関西地区生コン支部は、委員長をはじめ6名の執行部を1年近くも獄中に奪われるという大弾圧を毅然とはね返して闘いをさらに拡大しています。港合同は、「団結こそ命」を掲げ、矛盾が集中する中小・零細企業に働く仲間を地域で組織しています。全金本山労組は、34年間の闘いを貫いてついに解雇撤回・職場復帰の歴史的勝利をかちとりました。国鉄1047名の解雇撤回闘争が、闘いの圧殺を狙う9・15反動判決をのりこえて18年間の闘いを貫き、大民営化攻撃の前にたちはだかっています。そして今日ここに日本と韓国とアメリカの労働者が結集し、心をひとつにして国際的な連帯を誓い、共通の敵に向って闘うことを決意しています。アメリカではAFL-CIOが分裂する状況のなかで、AMFAの仲間たちがすでに80日間にわたるストライキを闘いぬいています。韓国・民主労総の仲間たちは、非正規職権利保障立法実現を求めて、この11月にもゼネストに起ちあがろうとしています。全世界の労働者が同じ攻撃に直面しています。その背景にあるのは、戦争をする以外に体制を維持することができなくなった資本主義の危機です。労働者を食わしていくこともできなくなった支配の崩壊です。

 敵の側が山ほどの矛盾を抱え、怒りの声が充満しています。だから一点の火花が燎原を焼き尽くすように燃えひろがるのです。予想もつかない可能性を秘めた情勢が到来しています。日本の労働者はいま暴風雨のなかにいます。しかし、労働運動再生への胎動は、動と反動が逆巻く激しい分岐と流動のなかからしか生まれません。
 いま何よりも求められているのは、小泉政権による激しい労働組合破壊攻撃と対決し、労働運動の現状を変革することです。全世界の労働者が共通の敵に向って手を結び、団結をとり戻し、労働組合を甦らせることです。
 いま労働者は、全世界で団結し、連帯して新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしています。今こそ、戦争と民営化−労組破壊の大攻撃に抗し、労働運動の再生を実現しよう。怒りの声をたぎらせて支配の厚い壁を突き破ろう。労働者の団結した力は決して打ち砕かれることはない。もっと怒りの声をあげよう! 団結しよう! 闘いを組織しよう! 小泉反動内閣を打倒しよう! 日米韓労働者の国際的団結を発展させよう!
  2005年11月6日
                           戦争と民営化−労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
                           たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
                           11・6全国労働者総決起集会


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