アメリカ労働者階級の壮大な挑戦が開始された!
10・17ミリオン・ワーカー・マーチ報告
11・7へ、日比谷野音を埋めつくそう
国鉄千葉動力車労働組合
それはある意味で途方もない挑戦であった。ミリオン・ワーカー・マーチ(MWM)を呼びかけたのはILWUローカル10というわずか1200名の支部に過ぎない。だが、サンフランシスコ大ゼネスト(1934年)以来の闘いの伝統を守りぬいてきたその小さなローカルが、自らの全存在をかけてMWMを全米に呼びかけ、ワシントンに攻めのぼることを決意した。その一点の火花は、またたくまに全米に波紋を広げた。04年10月17日は、アメリカの労働者階級が真の意味で社会の主人公として登場することを宣言する歴史的な日となった。
われわれは再びここにやってくる!
(1) われわれは歴史をつくる!
これはひとつの偉大な運動だ。断固としてこの道を進もう。われわれは再びここにやってくるだろう。そしてその時、われわれはこの国の活動全体をストップさせるのだ。すべての権力を人民へ!(クラレンス・トーマス/MWM共同議長・ILWUローカル10)
これは始まりにすぎない。いや、非常に重要な出発点だ。ホワイトハウスをわれわれの手にとり戻そう。この世界で、血と汗と涙と真の警戒心と徹底性なしに獲得できるものは何ひとつない。人民だけが支配階級をゴミ箱に投げ込むことができる。闘い続けよう。組織し続けよう。(ブレンダ・ストークリー/全米州・郡・市労組AFSCME1707地区協議長)
私たちは歴史的な運動のためにここにいる。これは歴史的な挑戦だ。われわれはもはや後戻りできないことを自覚している。われわれはランク・アンド・ファイルの組織だ。だが、われわれは自分たちがもっている力を自覚し、前進する。そしてわれわれの仕事をやりとげる。われわれは歴史をつくる者たちだ。(ダニー・グローバー/俳優)
団結した力だけが変革をなしとげる。団結すれば、私たちは負けることはない。私は希望をもち続けている。アメリカで3600万の人々が飢えに苦しみ、4000万人 以上の人々が健康保険もないまま放置されている。いつまでこうした状態が続くのか。父は言っていた。大勢を待つのではなく、闘いを続けること、執拗に闘い続けることだと。だからこそ、少数でも60年代の成功をおさめることができたのだと。(マーティン・ルーサー・キングV)
われわれは、全国各地で組織化を重ねてここにいる。270万人を擁する全国教育協会NEAは、12000人の代議員による全国大会で<ILWUローカル10の呼びかけに賛同した。アメリカ郵便労働者組合APWU35万人は、全国大会で賛同を決定した。州・郡・市従業員組合AFSCMEは、第1707、第37、第2、第92地区協議会が賛同している。そして<農業労働者組織化委員会、移民のための権利協会、黒人労組活動家連合、ニューヨークの鉄道労働者などが、ランク・アンド・ファイルのイニシアティブで
MWMへの賛同を決めた。われわれは数百万人の人びとを代表してここにいる。われわれは、自らの名をもって、今日ここからアメリカを変える運動をはじめる。(ラルフ・ショーンマン/MWM渉外議長)
(2) 制動と弾圧をはね返して
「ユニオン!仕事を!健康保険を!戦争反対!」のプラカードが、MWMに結集した多くの労働者たちの要求を代表していた。
「AFL-CIOの指導者たちは、昨日の集会を支援することを拒否した。主催者はAFL-CIOの決定が集会を傷つけたと語った。だが彼らは、一銭のカネもないなかからはじめたこの集会は広汎なランク・アンド・ファィルの努力の成果だと誇り高く主張した」(ワシントンポスト)。
権力も激しい弾圧を加えた。30台ものバスが会場のリンカーン記念広場に近づくことを阻止され、全く違う場所につれていかれたのだ。しかし、こうした攻撃をはね返して、5時間におよぶ熱烈な訴えが続いた。会場は、1963年にILWUの名誉組合員でもあったマーティン・ルーサー・キング牧師が、「私には夢がある」という歴史的な演説を行なった場所だ。彼は68年に暗殺される。参加者は同じ場所で新たな闘いを開始する燃えるような決意を誓いあった。
動労千葉の佐藤支部長は、「動労千葉は日本のローカル10だ」という紹介で登壇し、日本の労働者を代表して発言した。
(3) 歴史をぬり変える壮大な挑戦
アメリカの労働者階級のまさに壮大な挑戦が始まった。「ランク・アンド・ファイルの力で、独立した労働者の運動と歴史をつくりあげる」・・・・・・・AFL-CIO幹部の屈服・官僚化と、制動・妨害くい破って、アメリカの労働運動史をぬり変えるような闘いが開始されたのだ。
アメリカという帝国主義の最中心国−基軸国で始まった労働運動の巨大なこの分岐は、アメリカのみならず、全世界の労働運動に巨大なインパクトを与えることになるであろう新たな闘いの始まりをも意味する。
掲げられた22の「諸要求リスト」(スローガン)もすごいものだ。まさに社会の根本的な変革に向けた闘争宣言である。ローカル10は、この諸要求リストに基づく闘いを、「ブッシュもケリーもNO」を掲げて、大統領選挙の直前に首都ワシントンで提起したのだ。MWMの最も中心的な組織者であるジャック・ヘイマン氏は、「MWMは共和党、民主党に変わる新たな労働者の党をつくりあげる出発点だ」とも提起している。
「9・11」とイラク戦争は世界の歴史を一変させたが、その激流のなかで、今、労働運動の歴史が変わろうとしている。
運命的な出会いは固い団結へ
動労千葉は、MWMの前夜に開催された国際代表団歓迎会でも、「ILWUとベリー・マッチ・ライク(そっくり)だ」と、海外代表の一番手で紹介された。またMWM後の総括パーティーは、サンフランシスコだけでなく、シアトルやタコマなど、初めて会うILWUの各ローカル代表が次々に「11月7日にはぜひ日本に行きたい」と、話しかけてくるなど、闘いをともにつくりあげた熱い思いで一体となるすばらしい場となった。
動労千葉とILWUローカル10、34との出会いは偶然のきっかけで始まったものであった。しかしそれは固い絆となり、予想もつかないほどの大きな可能性をもとうとしている。
偶然のなかには必然が宿っている。動労千葉が国鉄分割・民営化攻撃で直面した課題と、ILWUが02年の協約改訂闘争で直面した課題は、全く同じものであった。われわれも、ローカル10も、労働運動の再生・変革に向けた努力を行なうことなしに、一歩も前に進むことができない状況にぶちあたって、その困難な課題に真正面が挑むことを決断したのである。 しかも、帝国主義の本質が、イラク戦争や全世界への弱肉強食の論理の貫徹となって労働者に襲いかかる状況のなかで、もうひとつのキーワードは「労働者の国際連帯」であった。階級的労働運動を必死に守りぬいてきたそれぞれの闘いがあり、それが新たな情勢のなかで固く結合して巨大な可能性を生み出そうとしている。MWMは、われわれが日本においてめざしてきたもの、われわれがつくりあげようと努力してきた運動そのものだ。
日本におけるMWMめざし11・7へ
日本におけるMWMの出発点として、全力を尽くして11・7集会の成功をかちとろう。11・7集会を日本の労働運動をぬり変える新たな一歩にしよう。
(1) 教育基本法-憲法改悪、そして安保・沖縄
イラクへの自衛隊派兵、有事立法の制定に続き、ついに教育基本法−憲法改悪に向けた動きが具体的な政治日程に上ろうとしている。
しかし、「日の丸・君が代」の強制に反対して起ち上がった教育労働者の闘いが全国に大きな波紋を広げ、教基法−憲法改悪阻止に向けた具体的な展望を示している。
ブッシュ政権は、全世界に展開する米軍基地の再編計画(トランスフォーメーション)で、在日米軍基地の飛躍的強化と、日米安保同盟の「極東安保」から、「世界安保」への質的エスカレーションを宣言した。しかし沖縄では、米軍ヘリの墜落・炎上事故をきっかけとして、基地即時閉鎖・新基地建設中止を求める新たな闘いが燃え上がっている。第三次安保・沖縄闘争が本格的に始まろうとしている。
しかもこうした状況のなかで、われわれは、アメリカの労働者の闘いと結合したのだ。米軍基地撤去闘争の勝利は、日本とアメリカの労働者が団結して起ちあがったときにこそ、その具体的な展望をもち始める。
(2) 小泉-奥田路線との対決
小泉-奥田は、「骨太方針W」や「奥田ビジョン」を掲げて、郵政民営化や公務員制度改革など、大民営化-非正規雇用化、労働組合解体攻撃を強行しようとしている。これは、権力機構のなかに組織されている労働組合を叩き潰し、「労働者の9割の非正規雇用化」を貫徹しようという攻撃だ。小泉政権のわずか3年間で、260万人の正規
雇用が失われ、それにとって変わったのは 195万人の超低賃金、無権利の非正規雇用だ。そして年金や医療制度など社会保障制度が根底から解体されようとしている。しかし、自治労で、全逓で、教組でこれまでにない反乱が始まろうとしている。
何よりも、国鉄1047名の解雇撤回闘争が、様々な困難や危機に直面しながらも、今も闘い続けている。小泉はそうした状況のなかで、新たな大民営化攻撃を行なわざるをえない。これは1047名闘争が新たな可能性と求心力をもとうとしていることを意味する。
小泉−奥田は、「東アジア自由貿易圏」の形成に、日本資本主義の唯一の延命の道を求め、とくに韓国とのFTA交渉を進めている。日本政府が韓国政府に要求している第一の条件が労働法制の抜本的改悪と民主労総の激しい闘いの鎮圧だ。こうした情勢のなかでわれわれと韓国・民主労総ソウル本部との連帯闘争が開始されている。
(3) 労働運動再生への無限の可能性
共謀罪の新設や、労組法の改悪による団結権破壊の攻撃など、労働運動への弾圧も強まっている。しかし、イラク侵略戦争が、全世界で燎原を焼き尽くすような労働者、民衆の闘いを生みだし、アメリカや日本の支配者たちが果て知れぬ泥沼にはまり込んでいるように、労働運動への激しい攻撃は、新たな労働者の怒りの声と団結を生みだそうとしている。
11・7労働者集会は、こうした情勢のなかで、無限の可能性を秘めた日米韓労働者の国際連帯集会として開催される。われわれは、ここから新たな歴史が始まるであろうことを確信し、この闘いの成功に勝負をかける。
いまこそ、資本にからめとられ、その手先となった既成の労働運動を現場から覆し、彼らに引導をわたさなければならない。連合のなかからは、「軍需産業を推進する以外に日本経済の危機をのりきることはできない」と主張する部分が生まれ、不気味な対立が始まっている。全労連は、現場からわきあがる怒りの声、ナショナルセンターやイデオロギーの違いをこえた労働者の統一行動の実現に向けた気運をおし潰し、分断する最悪の役割を果たしている。反動も激しく渦巻いている。しかし、労働運動の再生への胎動は、激しい分岐と流動のなかからしか生まれない。
一人ひとりの労働者がもつ無限の可能性、その力が団結したときにもつさらに大きな可能性に確信をもとう。全国から11・7労働者集会に結集を! 怒りの声で日比谷公園を埋め尽くそう。
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