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「三組合からの問題提起」より はじめに おはようございます。 私の方からは、国鉄闘争の現状ということを中心にしながら、動労千葉がこの春闘をどのように見て、これにどう立ち向かおうとしているのかということを含めて、話を進めさせて頂きたいと思います。 1.2001年春闘とわれわれをとりまく情勢冒頭に「2001年春闘とわれわれをとりまく情勢」ということで、こうした情勢が国鉄闘争のこれからの帰趨、方向性にとっても大きな基礎になると考えますので、簡単にここに触れたいと思います。 (1)崩れ去った「根拠なき楽観論」−アメリカバブル経済の崩壊私は去年の暮れから春闘を目前にした今日までの状況を見ていて、時代が大きな転換点を迎えているという気持ちを強くしています。ついにアメリカのバブル経済が去年の暮れぐらいから崩壊をはじめて、年が明けてアメリカの経済が予想を越えて急速に減速しています。一気にマイナス成長に突入するかもわからないという事態ですが、これが私たち労働者にとって持つ意味は、非常に大きなものになるというのが私たちの認識です。春闘や、様々な解雇、倒産、首切り、大リストラ攻撃などについても、こうしたことと無縁では話をすることはできないと考えています。 生み出された奇妙な状況の終わり レジュメでは生み出された奇妙な状況、あるいは構造が終わったのではないかと書きました。この間、アメリカの経済について、ニューエコノミーとかIT化等々、もはや景気の後退などなく持続的に成長を続ける新しい経済が生まれたといったようなことがいっぱい宣伝されていたわけです。まじめにこんなことが議論されていた。しかしそんな楽観論は完全に終わった、崩壊しました。 しかしわれわれもその中に住んでいるわけで、そういう逆さの世界に住んでいると、その世界が逆さだということがわからなくなってしまうということだってあり得る。世界で労働者が10億人失業し、まともに生活できないような状況に置かれている。 結局、この数年の間つくられてきた構造というのは、生き残った者だけが正当化されるという事態ではないかと思います。 資本主義が生み出した廃墟のような現実 もう一方、日本の状況についてごく簡単に触れておきたいと思います。 連合などは、それをあたかも自分の廃墟のように思って、何とかそのかけらを拾い集めて立て直そうとしている。しかしそれは労働者にとって廃墟でも何でもない。こういう状況の中でわれわれは、新しいものを作り上げる、立ち上げる、築き上げなければいけない時代に立っているんだと考えています。 (2)2001年版労問研報告−もはや悲鳴に近い内容 春闘をめぐって2001年の労問研報告が出されました。 しかし今年の報告を見ると、ほとんど悲鳴に近い。この労問研報告を採択する日経連の臨時総会で奥田会長があいさつをしているんですが、その報告の最後に、「経営者よ、正しく強かれ」という日経連結成の理念にふれて次のように言っています。「経営者よ、正しく強かれという理念はこれからも重要だが、これまでどおりの活動ではその実現は難しい」。要するに日経連も、基本的にサジを投げようとしている。 さらに「バブルが崩壊して以降、現在までに1500兆円の資産が失われてしまった。これはGDPの三倍にあたる。第2次世界大戦で失われた資産でも、当時のGDPの3分の2だった。関東大震災で失った資産もGDPの3分の1。この10年間で国内総生産の3倍の資産が失われている」と言っています。私はほとんど悲鳴に近いものだという感想を持ちました。 春闘についても、「労働条件一般を春闘で決めるような時代は20世紀で終わった」と提起している。では21世紀はこうだということが出てるかというと、「21世紀は国民自らがあらかじめ老後や病気に備えていくような自助の徹底が必要である」と、もはや現在の資本主義体制には社会保障制度も福祉政策もやる余裕はないということです。19世紀のような状況に戻すしかないということしか言えない。もちろん、一つ一つがわれわれにとって大変な攻撃の矛先になって襲いかかってくることですから、直視しなければいけないと思いますが、そういう事態になっています。 もう一つ触れておくと、この報告の中で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、あるいはロシア、韓国、インドネシアなど、主要な国の労働者が職場でどれだけ満足しているかという表が出てきます。 まだまだ私たちは力不足で多くの労働者の怒りの声とつながることができていない状況です。しかしその可能性は大きく膨れ上がっていると私は考えています。 (3)連合 連合なども、労働者の求心力を持つということを半ば放棄しているのではないかと思います。NTT労組があらかじめベア・ゼロという方針を掲げました。連合の中からですら、笹森事務局長などが「こんなことをされたら困る」と批判がおきるような状態です。 2.1・27国労続開大会と1047名闘争(1)運動史上例のない暴挙 1047名闘争ですが、1月27日、国労が定期全国大会の続開大会を開催しました。 特に機動隊の導入について、われわれは労働運動史上例のない暴挙だと思っています。もっと言えば、労働組合としての死を意味するような行為です。 (2)闘争団の声明と本部・東京地本見解これに対して国労の闘争団の仲間たちは、20闘争団プラス6闘争団の有志という形で、国労大会の前段や当日に記者会見を行って、「国労本部がどのような方針を決定しようが、自分達はあくまでもJRと政府の責任を追及して、解雇撤回まで闘い抜く」という声明を発しています。そして各闘争団ごとにそれぞれ「われわれは断固闘いの道を貫く。ぜひ支援をしてほしい」という声明文などを発表しました。また、闘争団の仲間たちは、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団有志」という闘争組織を立ち上げました。 一方、国労本部はこれに対して大会後、「一部闘争団員の阻害行動への対応について」という指示文書を出しています。この大会の直前まで反対派でありながら大会直前に賛成派にひっくり返った東京地本からも同様の指示文書が出されました。「闘争団有志などという団体は国労とは関係ない団体である。これが呼びかける行動には一切参加するな」という内容です。 (3)その他1047名闘争をめぐる動向 さらにこの1047名闘争をめぐるそのほかの動向について、報告しておきます。 (4)改めて4党合意の本質について「JR完全民営化」と4党合意「4党合意」を通すために1000名の機動隊を導入して、一切シャットアウトする。こういうやり方にこそ「4党合意」の本質が現れていると思います。1047名闘争は、分割・民営化攻撃に対する本質的な異議申し立てです。ここにこの闘いの本質があります。 政府は2月下旬に、JR東日本、西日本、東海三社の完全民営化のための法案を提出し、6月にこの法案を通過させるとしています。形態としてはJR会社法を改正し、本州三社の株式を全部売却して完全な民営会社にし、国鉄分割・民営化の最終的な成功をうたいあげるということです。 しかも国鉄分割・民営化から開始された規制緩和、構造改革路線を徹底的に労働者に強制していくというのが、現在、資本の生き残りをかけた唯一の方策となっています。 その攻撃の大変な圧力に屈服したのが、「4党合意」承認ということを掲げて登場した国労本部を中心としたグループです。それに対して闘争団を先頭に真っ向から立ち向かっていますが、むこう側には政府・運輸省(国土交通省)、それに屈した国労内の承認派の勢力という関係で闘われている。 労働運動の基本的な構え、そして変質 こうした事態は、労働運動のあり方そのものが問うものです。1047名闘争をめぐって起きている事態を、そういうものとして見なければいけないと思います。 この10何年間、国労が闘う労働組合であるという形を作ってきたのは、闘争団の仲間たちが必死になってがんばってきたからです。だけどそれに応えるような方針が国労本部から出たことは一度もなかった。結局、第二の分割・民営化的攻撃が始まるという状況のなかで、このような関係でやってきた本質が全部露わになった。つまりボロが隠せなくなったという状況だろうと思います。 大会の前、国労本部は「統一と団結を守るために」ということを、ことあるたびに口にしていました。しかしそれはふたを開けてみれば、それは1000名の機動隊を闘争団の仲間たちに差し向ける行為だった。こうした攻防の焦点においては、原則を一歩踏み外すとそこまで行き着いてしまう。われわれも労働運動を進めるにあたって、そういうことを心しなければいけない。労働運動の原則というのは、そういうものとして本当に守りきらなければいけないと強く感じています。 (5)闘いの課題について 1047名闘争のこれからの課題について、いくつか触れておきたいと思います。 こうした攻防戦をわれわれは全力を挙げて貫かなければいけないと思います。ここで本当に怒りの声を結集しきる。労働運動全体の流動化を闘う側からつくっていくということをやりきらなければいけない。国鉄闘争は全国の支援の仲間たちが注目する闘いであり、あるいは敵の攻撃としてもきわめて戦略的な攻撃であるだけに、この攻防をかちきったときには労働運動の再生に結実させることが必ず出来ます。闘争団の仲間たちとともに、それをやっていかなければいけないと思っています。 直ちにやらなければいけないことは、全国から機動隊導入への怒りの声を挙げることです。国労の中では、各地本の大会、エリア大会が次々に開かれる。ここで怒りの声を挙げなければいけない。そして8月には全国大会を迎える。ここに向けて、「こんなことが労働組合のあり方としていいのか」という怒りの声を挙げなければいけないと考えています。 闘争団の飛躍−新たな闘いの陣形 われわれも1047名の一員という立場から話をさせてもらうとすれば、闘争団自身も飛躍をしなければいけないと考えています。闘争団は「国労本部がどんな方針を決めようが、自分達はあくまでもJRの責任を追及して闘う」という声明を出しています。その心意気はすばらしいですし、われわれもともに闘うつもりです。しかし自分達のことを言うだけでは済まない関係に入っているということも、見ておかなければならないと思います。 これからの闘いは、1047名の闘争団が、闘う労働運動のオルグ団となって全国を席巻をするというところに飛躍をしなければ、勝負にならないのではないかと思います。私たちも微力ながら先頭に立つ決意ですし、そういうことを国労の仲間たちとともにつくっていきたい。そして新しい国鉄闘争の支援陣形をつくるのも、全国の仲間たちがつくってくれるのではなくて、自分達の手で心から訴えて作り上げなければいけないということだと思います。 4党合意撤回地労委闘争の重要性こうした情勢の中で、全国の国労の仲間たちと私たち動労千葉が申し立てている労働委員会闘争、「4党合意」そのものを不当労働行為として、政府・自民党、運輸省、JRなどに「4党合意」撤回を求めるこの闘いの持つ位置が決定的に大きくなったと考えています。 「4党合意」に書かれているのは、要するにJRに法的責任がないことを認めて訴訟や労働委員会闘争を取り下げろということです。裁判の取り下げや、あるいはその前に闘争団が国労本部の方針に反して闘っていることを押さえつけるということが必ず出てくる。 3.JR総連をめぐる革マルの対立・抗争・分裂(1)「完全民営化」を前にした「革マル問題」の清算とJR総連革マルの全面的屈服国鉄分割・民営化以来、国鉄労働者に対して徹底的な差別・選別攻撃を加え、不当労働行為を行い、解雇し、あらゆる合理化を認めて大変な労働強化の中に放り込んでいくという構造は、すべてJRとJR総連との結託体制という大きな労務政策の枠組みの中で行われてきました。その結託体制の一方のJR総連が今、組織崩壊の危機にたっています。 ご存じの通り、JR総連九州労の8割、革マルの中心メンバーを先頭にして集団脱退をするという事態が起きました。あるいは東日本を巡っては、坂入という、JR総連の中では革マルのナンバー2だった人間が革マルに拉致される。それに対してJR総連は革マルを告訴する。こんな異様な事態が始まっています。 革マル派本体とJR総連革マルが全面的な対立状況に入った。この本質はなんなのかということです。政府は完全民営化を前に1047名問題の決着と同時に、もう一つ整理しなければいけない問題として、JR総連革マルとJRの異様な労使関係を清算するということに手を着けはじめたと考えています。 (2)国鉄・分割民営化以降の労務政策の破綻 これは資本の側から見れば、分割・民営化以来の労務政策が完全に破産したということになります。 (3)JRをめぐる労働戦線の再編−新たな戦国時代への突入 国労という組織は、ある種のどん詰まりに来ている。JR総連の革マル支配も完全に破産しました。これはJR戦線をめぐって、労働運動をめぐる新たな戦国時代のような状況が始まろうとしていることを示しています。こうした状況のなかから闘う国鉄労働運動をもう一度作り直していく展望が大きく生まれていると私たちは見ています。 4.大資本攻勢と「第二の分割・民営化」攻撃の開始 時間がなくなってしまいましたが、JRをめぐって第2の分割・民営化というべき攻撃が始まっています。 実を言うと、JRに働く労働者は、国鉄分割・民営化の過程で約半分に削減されました。 さらにもうひとつの問題が「シニア制度」です。年金制度の改悪によってこの4月以降、60歳では満額年金が支払われなくなるという状況の中で、各組合の今春闘の一番の焦点は定年延長雇用延長問題です。 しかも業務の全面外注化を労働組合が推進するということが協定上ワンセットになっています。さらに、この協定を締結しない組合に所属する者は、そもそも再雇用の制度の適用から排除するというのです。 5.2001年春闘とわれわれの闘い我々はこうした攻撃に対して、1047名闘争を中心に全力で立ち向かわなければいけないと考えています。そうしたことも含めて、われわれは社会のあり方そのものを問うという立場に立った労働運動を進めたいと思っています。労働者の階級的な団結をどこまで広げていけるのか、そういう努力を全力を挙げてやっていきたいと思います。 動労千葉としては、三大闘争方針ということを掲げました。 以上、私たち動労千葉の考え方をお話しさせていただいて、報告に代えさせていただきます。どうもありがとうございました。 |