千の規模で残った清算事業団解雇者!
その階級的意味とは何か
中野委員長
4・8動労千葉支援団体全国懇談会
1990年3月末の清算事業団解雇に対して3・18前倒しストライキから3日間のストを打ちぬき、JR当局は前倒しストは違法だとし、処分策動を強める中で開かれたもの。
中野委員長の提起
解雇者が1000の規模で残ったら、これは絶対勝ちだ
今日は本音を出し合っていきたいと思います。動労千葉は昨年来ストにつぐストをたたかいぬいてきました。そのなかで今何が起っているのかを、相当はっきりさせていきたいと思います。
この3ヵ月間の清算事業団闘争を国鉄労働運動の死活のかかった決戦として展開するか否かは、おそらく90年代の労働運動というレベルでなくて、日本の階級闘争総体を揺るがしかねない、いままでの状況を大きく転覆しかねない内容を秘めているのではないかと僕は思っています。それが3月までそうとう大変な熾烈な攻防戦が繰り広げられるだろうと認識して、我々は4月1日に解雇者が千の規模で残ったら、これは絶対勝ちだと最初から思っていました。だから全てのたたかいをそこに位置づけてやってきました。
国労のいろんな問題もいまさら言うつもりはないけれど、「全面和解方針」「3月末決着」だと言っていますが、協会派だとか共産党の本音がよく現われている。「なんとかうまく片づけたい」というのが本音、それ以上のものはでないでしょう。
清算事業団闘争というのはそんなチャチな闘争ではないわけです。彼等が清算事業団の95%ぐらい占めているわけだから、そこに立ち向かっていく以上、たたかいの戦術を組まなかったらいけないんだよね。動労千葉は、12月5日のストライキで、敢えて清算事業団闘争勝利なんていうスローガンは掲げないで、安:全問題、運転保安闘争でたたかった。1月18日ストは本州清算事業団切り捨てを許すなと、それでやっちゃうとか、そういう感じの闘争として3月までやりぬいた。
それでこの過程をよく見るとわかるけど、19、20、21日のストライキというのは、これは単にストライキ戦術の日程としてというだけではなく、ここがやはり関が原だった。ここでやりきれるか否かで、勝負は決まるだろうと思っていた。だから国労が落ちても俺たちはやるぞと天下に示し、それに向けて構えた。反動が押し寄せてきた。JRと革マル松崎が完全に結託して向うも必死になってやってきた。
完全に結託してというのは言葉で言うだけではなくて、具体的に結託してやってきたわけよね。JR総連がJR東日本に申し入れて、それを一つ一つきちっと実行するというかたちでやってきた。前の日からの構えも大変なことだった。それをぶち破ることを抜きにして19日からの72時間ストというのは絶対あり得なかった。だからあそこでやりきっちゃうということが.全てのポイントを占めるわけだ。
国労を逃げさせない
その過程で我々が考えたのは、要するに国労に清算事業団のたたかいから逃げさせない、そこにポイントを置いて闘争をやった。国労のなかはがたがたに揺れていた。下手すると田辺委員会の3項目の内容で落ちかねない。その要素も含めて進行していた。だから結局19日から21日までストをうち抜いてしまったその時点で敵や国労内の右派グループなども一切蠢動する機会が無くなっちゃって10日間そのまま行ってしまう。ここで勝負が決まってしまうということになって、4月1日1047名が全部整理解雇という状況になる。それ自体としても凄い闘争であることは間違いないわけね。
三池の闘争なんかと比べても凄い闘争なんですよ。三池の場合は1200名指名解雇された。それで総資本対総労働だといって総評がまだ全盛期だから、九州にそれこそ日本中の各主要組合の、専従役員、書記、県評クラスのオルグなんかも全部動員した。ヘルメットかぶってホッパーで対峙してギャンギャンやりあった。流血の大惨事の闘争やったわけだよ。労働者が一人死んだ。
池田内閣が中労委に職権斡旋で、藤林というのが中労委の会長で「藤林斡旋案」をださせた。その内容は、【指名解雇を会社側が撤回して、組合側は1ヵ月以内に自主的に退職する】。これを時の総評幹部は呑んだ。これで終結に向かった。
階級闘争の台風の目
今度の清算事業団はそういうにはいかない。確かに収拾案みたいなのが田辺小委員会でだされたけれど、あれは収拾策としても下の下だ。要するに収拾策にならない。
60年と90年と時代的背景も全然違うということも含めて、清算事業団問題をうまく収拾してやっていくとしいう案も全然出てこなかった面もある。だから田辺小委員会があのていたらくの状況しかだせなかったということがあったけど、あれだって下手すれば国労がガンといってしまうことだってありえたわけでしょう。だから大体3月の10日前後から17日にかけての国労の中闘の動きというのは、実際に大変な危機だった。
そういう状況の中で尚かつ4月1日に1000名以上の労働者が整理解雇、全部それを蹴って残っちゃったということの持つ意味というのは、大変な意義を持っている。単なる首切りされた労働者がどうのこうのという意味だけじゃなくて、これからの清算事業団闘争の動き方、展開の仕方によっては、大体90年代の階級闘争の台風の目になる内容を秘めた闘争としてあるんだということ、これをはっきり認識しなければいけないと思う。「首切りは許せない」―そこから出発するんだけど、そんなレベルのことでない、そんなレベルの闘争じゃないんだという、いわば日本の、帝国主義・日本の骨格を貫きかねない可能性を秘めたたたかいとして展開する可能性を物凄く秘めた闘争なんだということだと思うんだよね。
千名のオルグ団
しかもこれはひじょうにおもしろいといっては語弊があるけど.「千名の解雇」は大変な事実。いろんな意味で敵の矛盾の最たるものであるといことは基本的に変らない。それはそうでしょう。世界的レベルだって、日本は経済大国で金持日本じゃない。世界中からあそこは大金持ちだといわれている。その大金持の日本帝国主義が、しかも国営企業で、それぞれJRという会社がいっぱい存在しながら、にもかかわらず四ケタの人間が千何百名という人間が首を切られて路頭にさ迷っている―こんなの説明できない。日米構造協議だとか今日もG7だとかいろんなことやっているけどさ。これ大変なことですよ。日本には経済危機で実業者が巷にあふれているという状況ではない。世の中は一般的に人手不足、その中で国営企業で千名以上の労働者が整理解雇されたなんていうのは、海部政権なんかでも説明しようがない。しかも、首切りのやり方にしても、ブルジョア機関である労働委員会が全部不当労働行為だと言っている。解雇者は原職に戻さなければいけないと、これは労働者がいっているのではなく、ブルジョア機関が言っているんだ。そういう矛盾をずっと抱えながらやっていく。
問題は千名の労働者が、国労だとか動労千葉だとかあるけれど、それぞれがそれなりにがっちり固まって、いろんなやり方をとうしながら、そのまま一年でも二年でも進んでいったら大変だ。例えば物販なんかで夏秋に千名いれば相当のことができるわけじゃない。全国のあらゆる職場にオルグに入ることは可能だ。それをやったら 大変なことになる。千名のオルグ団が日本列島席巻しちゃうそういう感じになる。しかもこの千名というのは帝国主義に対する憎しみと言ったら、これは日本の労働者の中でもっとも最先端言っている部分だ。これが動き始めたらガタガタになっちゃう。そういう要素をはらんでいる闘争になっていっているということだ。
戦後政治の総決算
なぜ俺がそういうことを言うかというと、そもそも国鉄の分割・民営化というのはなんなのかということだ。階級闘争論的に言えば、これは結局労働組合をつぶすためにやった。戦後政治の総決算の中軸だ。行政改革とか税制改革とかいろんなことがあるけど、やはり労働者部隊、戦闘的な労働者の集団を叩きつぶしちゃう、そういう意味においては、国鉄の分割・民営化が頂点であり中心なんだ。結局戦後政治の総決算攻撃というのは、結局80年代でやったことは、日本の戦後日本帝国主義社会を成立させていたいわゆる55年体制の片一方の脚をぶっつぶしてしまう、片一方の脚をぶっつぶすということは、もう片一方の脚にも影響がでるんだよ、今度の東欧だってそうなんだけどさ。そういうことでやってきたわけだ。高度経済成長で今の経済大国を形成してきたのは55年体制なわけだ基本的に。この片一方を潰してしまうというのが中曽根の攻撃で、結局はその中軸は国労なんだと。国労をつぶさなかったらだめなんだと、それでやったわけだ。80年代をよく見ると、労働運動を単なる労使協調じゃなくて、帝国主義の先兵として労働運動の名においてやっていけるような組合をつくっていく、これが連合だ。労働運動を産業報国会的に組織化していく。今は産業報国会とまでは言えないが先はそういうふうに考えているということだ。あとで野党は大政翼賛会みたいな翼賛政党にしていっちゃう。こ社会党の右傾化、一番象徴的でしょう、民社や公明なんかとっくにそうだし。大体80年代バァーッと成功してきているんだ。それで89年に連合が結成される、ということでしょう。
そうするとこれから何をやるかというと、こんど自民党の番ですよ。戦後政治を一番体現しているのは自民党だ。なんだかんだといってもブルジョアジーの政党なんだ。ブルジョアジーの政党だけど、やはり農民だとか、それから中小企業者だとか、そういうところにちゃんと金ばらまいて組織して成り立った党が自民党。
こういうやり方では、もうだめなんだ、ということ。つまりブルジョアジーの政党だったらそれに徹しなかったら、本質的にはブルジョアジーの利益を代弁しているのは日本の場合特にそうだよね。だけどそれだけではだめだから、いろんなところに手を打って金をばらまいて、いろんなことをやりながら自民党がズーッと一党独裁体制を組んでいたんでしょう。
だけど今の世界帝国主義の危機ではそういうやりかたではもうだめなんだと。はっきりさせないといけない、だから戦後政治の総決算だ。
だから最近金丸なんかがいろんなこと言っている。小選挙区制や、二大政党論なんていうのは、結局は自民党の再編なんだ。これは日米構造協議だってそうだ。80年代の後半農民を敵にまわしてもやる。今度は中小企業だ。大店法だと。いずれにしてもそういう政治が続きます。
そうなると、その時出てくるのはどこかと言えば連合なんだよ。800万連合、これがどういうふうに動くかによってある意味では決まる。じゃあ連合もう少しおだててうまいこと権威をたかめるようなことをやればいいんだけど、今度の春闘だって私鉄とNTTだけでしょう。あとはみんな5%台で終わりだよ。そういう役割をやりながらも、そういう方向に向かわざるえない。
一番決定的な連合の弱点とは
つまりその時に連合の一番決定的な弱点は、国労が入っていないということなんだ。
戦後の労働運動を見た場合に、国労がなくなっちゃえば別だが、国労が存在していて国労が連合にはいっていないということは、決定的なんだよ。国労が入っていないと連合は完成しない。連合は。国労が3万になろうが、4万になろうが、あるいは2万になろうが、関係ない。国鉄労働組合という全国産別組織が残っているということではどうしょうもない。だから国労に対してはいろんなプレッシャ一がかかってきた。国労内に右派なんていっているけどさ、彼等は右派であることは間違いないけど、その限りにおいてみんな右だよ、右なんだけど、物凄い動揺に入ったんだよ。だからなんとか清算事業団闘争をうまく収拾して、昔の国労の民同みたいにその代わりに何かもらうとか、そんなレベルじゃないんだね。そういうプレッシャーの中で国労は、ずっと去年の6月の大会で、全面和解方針を決めてから、一方では地労委で勝利判決がどんどんでてくると、大衆はどんどんどんどん高揚するわけだ。それと対比で中央本部が何一つ方針出さないでジグザグを続けてきて全然腰が座らない。2月下旬のストライキの時だってそうだ。そういうことを考えるところが一番最弱の環なんです。
動労千葉は支援中央共闘会議はないけど、国労には支援中央共闘会議というのがあるわけだよ、ここあたりがグーッと集まって、この前の中央共闘会議主催の3月30日の集会だって、日比谷の野音が溢れるぐらい人が集まるでしょう。後で聞いたんだけど、単産の顔としては日共の方が多いんだよ、だけど動員をしているのは日共は多くない。基本的には旧総評部隊ですよ。自治労、日教組、全逓、こういうところが主軸で日比谷を満杯にしてしまう。
路線を求めて党派が分解
そういうことなど考えると、清算事業団闘争ということが持つ意味、あるいは清算事業団闘争の過程で起こったことをちゃんと見ていくとよくわかる。国労の特徴は、例えば昔でいうと協会と共産党だ。共産党が比較的まじめに左っぽくやっていて、それで協会が少し日和っちゃっている、あるいは協会は左であろうとまともにやろうと思っているんだけど革同がじゃまするとかと、こういう構図じゃないんだよ。両方の中に清算事業団闘争だけはなんとかやろうというやつがいると同時にね、両方の中に悪いやつがいる、こういう構図だと思うんだ。
だから国労のなか見てもこの間3月終結説が2月のはじめに登場し、2月末のストライキの時にはダァーッと出た。そういうことやっているのは革同だ、国労西日本の委員長の人見なんか典型です。協会では中央の稲石だとか東日本エリア本部の小沢だとか、東京地本の委員長の佐藤智だとか、こういう連中です。横浜の協会派のリーダーの木村というのがそれに加わる。かっては国労の協会というのは横浜が中心だった。かつては国労内協会の左派ですよこいつは。こいつが悪くて、基本的に上で頑張ったのは宮坂を中心とした修善寺大会で出てきた連中ね、革同のなかにも頑張ったのがいる。
2月末のストライキ中止に反対したのは国労12名のうち3人なんだよ、協会が2人革同が1人。こういういろんな党派の分解がでてきている。
それから清算事業団もそう。それぞれ清算事業団に入っている活動家の殆どが協会系の系列か革同の系列なんだ。九州に行くとニュー太田派系列が少しいる。じゃあこいつらは学校・党派系列で動くのかというとそうじゃない。完全に分解しちゃている。だから例えば動労千葉の青年部が北海道の清算事業団に交流会なんかに行けば、昔だったら動労千葉は中核派か、過激派だとか言ってあまりいい顔をしないのが、全くそうじやない。こっちがびっくりするほど歓迎されるという状況は完全に既成の仕組とか枠組とかが完全に崩壊過程に入っている、分解過程に入っている。
それぞれが何を求めるのかというと、要するに路線を求めているんです。俺たちどうやったら勝てるんだ、勝てる方針を出してくれということが、彼等にとって一番望んでいることなんだ。そう考えると、今回の清算事業団闘争は、僕も30年労働運動をやっているけどこれほど、誤解を恐れず言えばおもしろかった闘争はないね。
ファシスト労働運動の登場
あとはもう一つが革マルの動き。もう一つの特徴は革マルが何よりも一番危機感を持ったんだ。特に12・5ストの後です。例えば3月28日に日比谷野音で「清算事業団労働者解雇要求」の集会をやった。日比谷野音を緊急にとれるわけがない。一ヶ月かそのぐらい前に取ってあったんだ。それで23日の定期中央委員会で臨時大会やれという意見が出て、これは水沢という東京の真国労にいった革マルですよ、こいつが発言してそれをうけてすぐに3月29日に(「政治介入反対」「解雇を要求しスト権確立」)の臨時大会をやったわけだけど、これは本質的には、ドイツのヒットラーが。ヒットラーだって労働者を組織したんだから。労働組合の仮面をかぶっていままでもやってきたけど、そう言う点では初めて大衆行動に出たんだ。ファシストが大衆行動に出たんだ、日比谷集会の本質は。これは日比谷だけじゃないですよ、北海道なんかでは、革マル・JR総連が登場して国労に対して反動的な宣伝戦を展開するとかいろいろなことをやっている。日比谷みたいに3000とかいうのは、彼等公称3000なんだけどね、そういう形で出たということについてはこれは非情に90年代の階級的な構造というものをひじょうによく現わしている。
そういう点で清算事業団闘争というものはいろんなものを全部さらけ出している。その中で4月1日を千何百名という整理解雇された労働者をつくりだしちゃったということは、これは決定的なんだな。我々はそのなかにいるからその苦闘というのはわかる。みなさんは中にいないからわからないでしょう。しかし、そういうレベルの話ではないんだ。
80年代の労働運動で見てみると、まじめにストライキをやったのは動労千葉だけだ。他にどこかやっている? 「国鉄はストばっかりやっている」と言われるけど、一つもやっていない。スト権スト以来国労はまともなストライキなんかやっていない。いまの国労中央本部にいる専従者は、ストライキを指導できるのは殆どいない。ストをやらしても素人がやっているのかと思う戦術を平気で立てている。
革命家としてのセンスを研ぎすませ!
連合が結成され、国鉄事業団闘争が90年初頭、ここまで来ている、これに空気が入らないというのは、革命なんかもう止めた方がいいんじゃないかと思うぐらいだ。
(*1989.9.21, 総評解散 1989.11.21, 日本労働組合総連合会(連合)結成)
これは相当いい戦争をやったんじゃないかと俺は思っている。しかもその中身が、いろんな意味でおもしろいんだ。革マルの言っていることもよく分かる。うちは12・5とか1.18ストやった。彼等はどういうふうに見るかというと、動労千葉は、彼等は千葉労というんだけど、「千葉労は国労を逃さないためにやったんだ」と書いてある。労働組合の機関紙に書いてある。国労のことを無責任なストライキだとか、組合員不在のストライキだとかいろいろ書く。動労千葉に対してそんなこと書かない。「彼等は要するに国労を逃さないためにやったんだ」と。だからそれはそのとうりなんだ。実際に我々は国労を射程に入れて我々は全て闘争をやった。そりゃそうさ、国労が先に「はいこれで終わりです」とグリコの看板みたいにやられたら、清算事業12名の動労千葉なんかどうするの。にっちもさっちもいかない。だからなんとしても国労をひっぱって絶対逃げられないようにして、そのまま1000名位の規模で残って、ばじめて動労千葉の12名の解雇撤回闘争、原職復帰闘争の展望ができるわけだ。だって清算事業団3年間なんていっているけど、最近文書が手に入ったんだけど、うちの12名なんかお呼びじゃないからね。「あんなの放っとけ」といってるんだから。だから最終局面に入って、清算事業団本体への就職というのがあったけど、これは清算事業団で雇用、再雇用を必要とする職員から、清算事業団の仕事をやる職員になる。それだって、東京の国労の協会は取り引きした。国労の東京の清算事業団員17名そっくり受けて、受かっている。動労千葉には絶対受けさせない。教えもしない。こういう資格がなければダメですと書いてあって、国労の東京の資格のないやつも全部受けてうかっちゃった。
革マルの見ているところは極めて正解で、そういう点では動労千葉の12.5以来のストライキというのは、とくに19日からの前倒しで18日の正午からのストライキということの威力が、結局は逃げたくてしょうがない国労を絶対に逃さないぞという闘争になったということです。それは間違いない。だって国労の場合、本州の東、西、東海清算事業団が殆どいないんだから。北海道、九州だよ。多少はいたわけだよ。当初は東京だって150人くらいいたが全然少なくなった。西でも残り少ないけど、共産党のパリパリ活動家が国家公務員試験を受かた。本来共産党が受かるわけないが、受かっちゃった。実際にそういう方向で動いていたことはまちがいない。でもう、清算事業団3年つきあって義理も果たした、なんていうことを国労のなかで公然というやつが結構いて、そいつらが俺たちは国労では主流派だといっているんだ。実際そうなんだよ。
それがなぜ(事業団闘争の収拾)にならなかったのかといと、いろいろあるけどやっぱり清算事業団が千何百名というかたちでがんばっているという、これが一番大きい。それと清算事業団闘争を終結する論理がなかなか見つからなかった。だって労働委員会の勝利命令が出ているわけだから、結局、首切り問題なんだから、足して2で割るといったってそれなりの理屈が必要だ。
国労が修善寺大会を開いたときに、大胆な妥協をして労使共同宣言を締結するということは極めて具体的なことだよ、それをめぐって大会で否決されて執行部が総辞職した。今度の場合、そういう具体的な方針というのが出せなかった。だから権力の側も、国労内部の連中もどうやって少数の過激派を切り捨てて、それでなんとかうまく絡め捕ってやるという案がなかなか出し切れなかった。この構造はこれからも変わらない。だから俺は清算事業団闘争というのはおもしろいといっているわけだ。誰も時の氏神様が出てこない。国労は氏神を待っていたと思う。国労は中央労働委員会に望みを託していたわけだ。しかし中央労働委員会は最後まで出さなかった。
国労の全面和解方針
話はちょっと違うけど、終っちゃったことでないものねだりしてもしょうがないけど、国労が全面和解方針を出さないで、中央労働委員会に命令を出せということで、その一点で押しまくッていたら、3月までに中央労働委員会はなんらかの動きをせざるを得なくなる。だが国労の和解路線というのは、裏返しの言葉で言うと、「中央労働委員会は命令を出してくれるな」ということだ。中労委命令出されるとそれが仮に勝利命令であったとしても、JRが勝利命令の取り消しのための裁判にかける、そうすると10年戦争になる。そうするとやっていけない、だから命令を出してほしくない、なんとか「和解のテーブルにつくってくれ」ということです。これが全面和解方針です。
そうじやなくて中労委にあげたんだから、「中労委は直ちに命令を出せ」と全国で署名運動など―お得意なんだから、どんどんやって追い詰めていくという形でやったら、3月末に中労委命令が出たかも知れない。JRはそれに対して東京地裁に裁判を起こす。こういう構造の中で3月闘争やっていたら、もっとおもしろい局面が出てきたと思うけれど。ないものねだりしてもしょうがないねが。
国労は「全面解決方針で一応組織の団結を守った」と言っている。国労内で連合問題が起きて、全労協がどうのこうのと、がたがたがた揺れていたが、全面解決方針で一応のりきったという一面はあるけど、にもかかわらずそれをうち砕いて3月末までいっちゃったということは、日本のここ数十年間の運動のたたかいの中でこれほど戦略的な前進をした闘いはない、と俺は思っている。これが90年だよね。
首切り問題と連合の危機
いままでの日本の労働運動の歴史を見ると大体みんなそうだ。民同がトコトン裏切る。だが今回の場合は、そういかない。表向きは千何百名解雇された。解雇されたけどそれをひっさげて4月1日クリアしちゃった。ここに決定的な凄さがある。しかもこれから解雇問題をめぐってやったら連合なんかウカウカできません。この間、連合な揺さぶられた、首切り問題だからだ。労働組合といっても日本の連合は、世界の労働組合の水準で言ったっら相当おかしな組合だ。アメリカのAFLーCIOにしても、フランス、イギリスの労働組合会議だって、西ドイツの組合にしたって、確かに帝国主義の手先だ。国際自由労連加盟だ。しかし、こと労働者の首切りということに関しては、それは物凄く労働組合主義的に絶対たたかう。これを容認するなんて考えられない。それが日本の連合は、一方では千数百人の首切り問題が起こっていて、「国労は連合に入ってないから知らない」という公式の態度でしょう。だから中ではドンドン揺れ動いてしまった。
新聞にも出たけど、都市交の委員長久の保が清算事業団問題を「都市交としてやらなくてはいけないのでは」と言ったといわれている。これはITFという国際自由労連の一つの産別組織で国際運輸労連に国労も入っているし、かって動労なんかも入っていた組合なんだけど、そこの代表で国労は会議に行くわけだ。その時に必ず問題になる。そういう時に、「国鉄の首切り問題は関係ない」とはいい訳がつかないから、言い訳のつくような程度まで恰好つけないと「まずいんじゃねえか」ということを久保は言ったのだ。しかし結局は動かなかった。
しかし、日教組は大会決定で国鉄清算事業団闘争支援を決めてる。全逓、自治労、ほとんど支援を決めてる。これから絶対逃れられないんだ。その構造のなかで90年以降、今度は結局は国労の清算事業団、あるいは動労千葉の清算事業団闘争の勝利に向けた物資販売が全国的に展開される。これは連合傘下の組合が一番大きいから、連合傘下の全逓から、自治労から、教組から、いろんなところから片っ端からオルグに入っていく構造になる。そしたら連合はがんがん揺さぶられる。その成果を全部いただいていく。そしたら下手したら連合がガチャガチャになっていってしまう。そういう要素を秘めている。
連合というのは、日本の労働組合運動が帝国主義的に再編されるだけでなくて、90年代、あるいは21世紀に向けて、日帝が危機の最も重要な救済策という役割を果たしていくことはまちがいない。日本帝国主義の階級支配の骨格になっていく、そういう存在です。連合は、労働組合の単純な組み合わせじゃない。ある意味で連合結成は、戦後政治の総決算を呼号して中曽根が80年代にやった、大きな一つの成果だ。
動労千葉ストの果たした役割
だから、90年代階級闘争にとってここがポイントだ。ここを根本的に揺さぶる、絶対ここをぶち破っていったら、相当いい線にいく。「解雇撤回に反対」とは誰もいえない。松崎くらいの相当の悪じゃないと言い切れない。そういう内容を秘めているんだ。
ここまで情勢を持ち込んだのは、全てと言わないけど相当動労千葉の役割が大きかった。昔はそういうことはなかった。だって動労千葉750だが、たまたま750の組合が国労より運転士の数が多くかかえていた。だからストライキやったら効果あったわけだ。
ストライキというのは汽車が止まんなきやおもしろくない。国労は3万人、あと一、二回同じストライキやったら組合員はいやになる、汽車が止まらないから。そうすると動労千葉の真似しなければならなくなる。前倒しをやるというふうに。前倒しをやれば列車は止まるから、そういう問題なんかになる。
だから革マルが言っているよな。動労千葉は東日本千葉支社の中には570〜600名位いる、そのうち350名を料理しないといけないと言っている。350名とは何だというと運転士の数だよ、動労千葉350名いるんだよね、運転士だけで。ここがいるからダメなんだというふうに、彼等は極めて階級意志を率直に言うからよくわかる。
そういう構造の中で、ある意味では降って湧いた千載一遇のチャンスを、動労千葉は相当生かしきってここまで来ちゃった、ということだ。千載一遇のチャンスは手前の方にも火の粉があるから、それからなんとかしなければいけないという面があるけど、千載一遇のチャンス、こんなうまいことなんかはそんなに来るわけない。我々みたいなチッポケな存在が、そこを生かしきったというところに、この清算事業団闘争の持つ90年代階級闘争論における位置があり、ここを活用しない手は絶対にない。ここから逃れて90年代なんていうのは絶対にないです。
三里塚だってそうですよ。俺はもっと前からね感じていた。3月闘争が危機だったんだ。三里塚闘争も同じ位置がある、3月おかしくなったら、いきなり闘争会館なんか吹っ飛ばされちゃって、それで一気呵成にいっちゃったかもわからない。だけどいかないでしょう。3月闘争勝っちゃったんだよね。
天神峰現闘本部への成田治安法攻撃に対して反対同盟は全員篭城の覚悟で防衛戦に立ち上がった(1990年1月15日〜16日)) |
それで国鉄の清算事業団闘争との相関関係がものすごくある。日帝から見た場合には、やる時は全部一緒だ。12月5日スト、1月18日スト、3月18日ストも、みんな三里塚と一緒ですよ。こんなに奇妙に符丁が合ったね時代もめずらしい。別に俺が三里塚の攻防があるのがわかって設定したんではない。たまたま一致しただけの話なんだよ。
マスコミはみんな言ってますよ、「中野さん! また三里塚と一緒にやるんですか」と。冗談じゃないよ、権力が決めることを、俺が知るわけないじゃないか、たまたま一致しちゃったんだよ。こういう報道の中でいっちゃったんだよ。ここを決定的に掴み取っていくという受け止め方の問題だよ。これやったら相当いい線いく。
*90年決戦と三里塚 成田治安法で 89年12月4〜5日に東峰団結砦を強制撤去、90年1月15〜16日には天神峰現闘本部を強制封鎖、3月19〜20日には木の根育苗ハウスを強制撤去、8月22日三里塚闘争会館強制撤去、10月15日大清水団結小屋強制撤去。
東峰砦死守戦の最中に江藤隆美運輸大臣は脱落派にたいして公式に謝罪、これを手土産に90年1月30日、現地を訪れ、「対話集会」をもった。
これは分割・民営化の時の2回ストライキやった時そう思った。国鉄労働運動の中で唯一我々がストライキをやった。28名首切られたけど、28名首切られてもお釣りがくる闘争だと思ってやったんだよ。だけど動労千葉は悪名ばかり高くなった。こういう構造がズウーと続いていた。今度はあの時よりもっと相当いい条件の中でたたかわれた。国労なんか動労千葉の方に足向けて寝られない。まじめにものごとを考える活動家だったらそうだよ。彼等そういうふうに思っているんじゃない。動労千葉がやってくれたから俺たちはここまで持ったんだと。実際のそう思うよ。
90年代はなにやったらいいかわからないんじゃなくて、やることをちゃんと見据えたという感じのやつを、この3月までにつくりあげたということを考えた場合に、これはもう決定的だと思うんだよ。
ストライキ 血湧き肉踊る
俺はこの前、全国交流センターの代表者会議でも言ったんだけど、今年中に1000人の会員獲得といったけど1000人なんてそんなレベルじゃない。「今年中に1万人だ」というふうに構えてやっる。絶対可能性あることをやったんだ。みなさん頭が硬直している人が多いから、率直に言うとあんまり組織化が下手だ。どうしていいかわからない、どうしてわからないというのではなくて、今起こっていることをどとういうふうに受け止めるかということなんだ。今の世の中に起こっていることを、今の左翼は、「これがいい」とか「」悪い」とか、これで「空気が入る」とか「入らない」とか、そういうふうにならないと、いけないじゃない。まずそこから始まるわけじない、そうだよ。はい動労千葉がストライキやりました、「ああすげえなあ!」。これで終わるんだったら、本当にクソして寝ちゃたほうがいいですよ。
ほんとは全然そうじゃないんだよ。例えば動労千葉がストライキをやったといったら血湧き肉踊ってくれなきゃだめだ。俺ら若いころストライキやりたくてやりたくて、ストライキできないんだから、そうでしょう。60年の6.4スト(安保闘争)だっで2時間のストでしょう。あの時の全学連の学生なんか涙流したよ。今朝ストライキやったって。それで半日のストライキやるのに何年かかりましたか、国鉄だってそうでしょう。ストライキやるたびに、2時間の時限ストでも機動隊とチャンチャンバラバラ1時間位も前からやって、「乗務員のパクリ」といって運転士を全部強制的に拘束して旅館に缶詰にして、なんていう戦争を一週間も前位からやるわけだ。
それだってなかなか当局側がスト破りの代替要員もっていて、2時間位のストじゃ止まんないんだよ。それで何列車20分遅れなんていうと、万歳! なんてやっていたんだよ。やっと電車止められたと。そういうことやっていたんだよ。
労働者がストライキに立上って列車が止まるという、それは生産がストップするということに対する感性がもう一つピリッとこないと、全然だめなんだ。ストライキができないで武装蜂起なんていったって全然意味ない。よく考えてみな。ストライキというと大体労働組合がやるん、さしあたり「労働組合なんてへのカッパだ」っていうことです。左翼がその労働組合をほんとうに左翼的労働運動として日常不断に物凄い努力をして当たらないと、大衆はどこへ行つちうかわかんないんだから、動労千葉だって。
今日の集会に来たあんちゃんがた見なさい、普通のあんちゃんとおとっつあんでしょう。集まってきているのは、見たでしょう。だけど今度のストライキなんかで一番前倒しストライキでヤッタ!と言っているのは現場の労働者ですよ。そのうち処分が、なんて騒がれると、やられたらいかんとビビルんだよ。当たり前なの。だからそういうことやってきたから、動労千葉に対する今度の不当処分策動というのは、なまじっか動労千葉が過激なことをやったから、という意味ではないんですよ。
「4月1日をクリア」した要因とは
つまり清算事業団闘争は、権力の意志からいったら(90年4月1日)までに終わっていなければいけない。それを全てが願っていた。日帝も、社会党、JRも、清算事業団も、国労も全部そうなんだ。ありとあらゆるやつが全部そうなんだ。要するに4月1日をクリアしたら勝ちだなんていうのは我々だけなんだ。全部が、3月中に終わってくれればいいなという淡い願望もふくめて。
国労は、同じ終結するにも一応恰好ついたものが欲しいと思っていた。だけど恰好つけられるものがなかった。それがここまできちゃった、これは寝耳に水だと思うんだ。だから日本帝国主義はシビアな総括していると思う。4月1日には千何百名整理解雇されたという事実、これも動きようによっては大変なことになるし、何よりも清算事業団闘争が終わらないでいっちゃったんだもの。そうすることによって、一千名が全部どっかにアルバイトに行っちゃって何もやらなくても、これは絶対に消えないですよ。
これをやっちゃったのはどこなのかというと、それはいろんな要素はある。清算事業団千何百名だけ出ちゃつたんだから、これはこれ以上何もなんね。第一の要素はそこですよ、ここが千名の規模で頑張ちゃったという厳然たる事実、ここが一切の行為だよ。ここがグジュグジュといっちゃったら、もうあとl00人位しか残らないという話になったら、動労千葉がいくら逆立ちしたってどうしょうもないん。まず、これが第一でしょう。千名以上頑張ったと。
二つ目には動労千葉のストライキですよ。これは自分でやって威張るわけじゃないし、だからあんまり言いたくはない。自分のやったことは凄いんだと他人には言いたくないから、俺は非常に控えめな男だから、今日の集会では言わないけどね。組合員には物凄いことやったんだということを言うけどね。人前で俺はやったんだやったんだとは言いません。だけど客観的事実はそうだと思う。
今度の闘争は、逆を言えば動労千葉がなかったら、もうちょっとなんとか恰好つけられるんじゃないかと思うでしょう。何よりも革マルはそう思うでしょう。JRは思うでしょう。だから今度の処分問題というのは、階級意志はもう処分出すと、何人かの首を切ると構えているということです。ここで動労千葉がガッタガタにしなかったら、またストライキが起こる。JRがおかしなことやったら前倒しでストライキに入るぞ言っている。JR体制を突き崩す道はそういう闘争をガンガンやること。
ストライキは、そう簡単にやれるものではない。やっぱり天の声、地の利、人の和との3つが三拍子そろわなかったらできない、いくらスト権があっても。この3ヵ月間のストライキは、みんなの怒りが出たからやれたんですよ。我々分割・民営化の二波のストライキやって以降、4年間ストライキができなかった。二波のストライキで28名首切られたという厳然たる事実、この傷を癒すために4年間かかった。敵はよく知っていますよ。だからダァーンとやる。首を切られりゃ財政的にきつい。それだけじゃない。物凄く恐怖心を労働者に与えるんだ。
清算事業団闘争の勝利の環
これを回復する道は大変なん。だから敵はそこを狙っている。だから裁判で勝ったって負けたっていいんだと、彼等は露骨に言っている。ここでそれを粉砕しつくす闘争が、清算事業団闘争の勝利を獲得する。清算事業団の勝利の環は、要するに一千名の清算事業団の労働者たちが争議団としてのチャンとした構えで、これからズーッとやっていくということだ。一つは、何やったっていいんだ。そんな派手なことやらなくたっていい。それぞれががっちりと団結して争議団としていくことが一番大事なんだ。
今日OO君から報告があったけどさ、国労はムチャクチャ。「家のローンどうするんだ」と言ったら、「そんな家売っちゃえ」と言うんだから。うちの清算事業団の人に、このことを話したら、「委員長、動労千葉って恵まれているんですね」って。国労が彼等を家族をどうやって食わしていくのか、だって何にもないわけだ。彼等今月は一ヵ月分の給料は出る。4月1日退職だから5月1日から失業保険でしょう。失業保険だって三ヵ月たったら終わっちゃう、じゃー一体どうするんだということですよ。物品販売はうちがやったって儲かるのは二割です。20%ですよ、一億円売って2000万、それも切り詰めて切り詰めて。国労は動労千葉のようなことはできないと思う。しかもまだそういう構造だってつくっていない。物販でどのぐらい儲けて千人のうち何人位食わせるか、半分の五百人位アルバイトやれ、「アルバイトで稼いだ金は全部国労に上納しなさい、そのかわりに国労はこれだけの賃金をちゃんと補償します」、そういう点がなかったら争議団は絶対に成り立たない。あいつのところには金がきたけど、俺のところには金がこねえとか、いろんな問題が起こったら絶対だめ。まだそういう仕組なんか全然できてない。明日から物販やるんだとうことを言っているらしいけど、そういう構造を全然つくっていない。だからそれをどういうふうにつくりあげるかということは大変だと思う。
国労本部がいつ機関を開催するかわかんないけど、それは我々が国労に対してこういうふうにやらなければいかんのだということを具体的につきつけていく作業をやりきったら、清算事業団の人達はみんな腹かためているから、仮に一ヵ月いまの半分に、2/3になつちゃったって、それがはっきりさせられれば、2年でも、3年でも、5年でも頑張ると思うんだよ。これをやり切っちゃったらこれは凄い。
それともう一つは、国労をちゃんとさせるためにも、この全過程を見てもわかるとうり動労千葉がちゃんとしなければだめなんだ。動労千葉が物販闘争でも12名の人間にたいする生活保障なおすべてにちやんとしているということがないと、国労はうまくいかない。物販なんかは商売だからね、これは。動労千葉にとっては大変な商売仇が生まれた。「だから徹底的に国労を叩いて動労千葉が勝つという、こういう戦略に立てなければだめじゃないか」。そんなこと考えていたら全然だめですよ。全金本山との関係だってそうですよ。本山なんかに負けないぞといって、本山も動労千葉に負けないぞといって両方が売り上げが上がったんだ。商売でしょう、商売なんだからブルジョア、資本主義の論理をちゃんとに身に付けないとだめなんだ。変にやっていると絶対うまくいかない。。俺が国労だったら千名位いろいろやるけどね、俺はいま手いっぱいだからそんなヒマないけれど。そういうことなんだよね。
動労千葉支援カンパを
動労千葉が清算事業団闘争をキチンと争議団としての12名の生活の面でもやっていけてるという姿が、国労を団結ささせるんだよな。清算事業団闘争とは、全てそういう構造になってきている、。三ヵ月前なんかとガラーッと雰囲気が変ったということです。そこあたりを認識してもらいたい。その上で尚かつ大変だから、これ以上クビが出ると。先程書記長が言いましたとうり全国的カンパ活動を展開したいと。国労は「3億円」出している。3億円は中央共闘会議に150万の組合員がいるから、ひとり200円で大体3億円、このぐらいはいくでしょう。動労千葉には中央共闘会議ない。だからかけるいくらというわけにいかない。全国でカンパ活動をぜひあらゆる職場に入り込んでやってもらいたい。
動労千葉の18日のストライキの感触は、JRは相当頭に来ている。JRは不倶戴天の敵だなんだけど、いまJRにどういう噂が流れているいるか知うている? 「動労千葉は中核派から1億円のカンパもらってやったんだ」と言っている。冗談じゃねえや、俺はもらったことはない。くれるんだったらもらいたいもんだ。要するに理解できないわけよ、彼等の論理では。
房総半島は俺の縄張りです。4日も電車が止まつちゃったんだから大変だった。うちのおふくろも足止めくっちゃったりしてね。当分の間、僕は田舎に帰れない。あいつが止めたんだということになって。自分の縄張りだけ止めてさ、俺も奇妙な気持になったよな。千葉以西を止めたい。だけどこれは戦略的要衝だから革マルが必死になってスト破りやって、みんな動かしちゃった。結果として房総半島しか止まらなかった。房総半島だけ止めて、地域的信頼関係を粉砕しようということで、あそこだけを止めた。まあこんなのも、人の噂も何日かというから、すっかり忘れますから平気だけど。そういうことも含めてね、国労に負けず劣らず3億円とは言わないけど、数千万円という感じのカンパ運動を全国的に展開したいし、それをもってみなさんの地域の組織化に大胆に結合してほしいと、問題はそこだと思うんだよね。
18日のストライキ以降、東京なんかの職場の雰囲気を見ると、ひじょうに動労千葉に対する評価が相当変わっているみたいだ。いままでは浅草橋ゲリラの動労千葉だった。今は少し変って、やっぱりまともなストライキやったという面があるわけだ。まちがいない、だからあんまり逡巡しないで大胆に組織化をしてもらうと、ひじょうにお互いプラスになるんじゃないかと思っていますし、とくにこの夏季物販には清算事業団のメンバーを相当つぎこんで全国オルグに出してやっていきたいというふうに思っていますんで、5月、6月、7月という勝負どころ、これをやっぱりぜひそういう方向で、全国的には運動として、のり出してほしい。ということを一応申し上げまして、わたしの方の提起にかえます
[補足]
清算事業団労働者の首切りは事実上の指名解雇だ。何故か、「国鉄分割民営化に反対する方針をとっていた国労に所属していた」という一つだけの理由で、違法・不当な差別・選別によって、三年間の期限附きで首きりとして清算事業団に送りこまれたからである。実際は国鉄分割・民営化に反対する動労千葉・国労は完全に潰したかった。しかし、修善寺大会の勝利によって、四万の国鉄労働者が国労に残り、他方国鉄分割・民営化に嫌気がさした予想を越えた多数の労働者が退職し、本州においては定員枠を大幅に割った事態があったから、本州では北海道・九州に比べて清算事業団送りが少なかっただけなのだ。しかし、本州においては、定員割れにもかかわらず、国鉄分割・民営化反対の二波のストライキをたたかった動労千葉の停職処分者12名をはじめ国労の活動家を中心に清算事業団送りを強行したのである。この事実が事態の本質をはっきり示しいる。定員が大幅に縮小された北海道・九州にあっては、ほとんど国労組合員であるというだけで、すなわち国鉄分割・民営化に反対する最も労働者らしい労働者だというだけで、大量に清算事業団送りになったのである.
このことの不当性、違法性は地労委完全勝利の事実がはっきり示している。2月28日には、動労千葉12名にも地労委勝利命令がだされた。地労委勝利命令は、清算事業団の首切りが、不当な指名解雇攻撃であることを体制の側の労働委員会ですら認めたことを意味しているのだ。
国鉄分割・民営化攻撃による清算事業団送りとその指名解雇は、本質的にたたかう労働者にたいするレッドパージであり、紐合役員・活動家への指名解雇攻撃である。これが本質である。JR会社に都合の悪い労働者を選別して首にするという攻撃なのである。
清算事業団闘争は単純な雇用問題なのではない.。再就職先を斡旋してもらえば解決する、というような問題ではない。現実の清算事業団労働者の不屈のたたかいそのものが、そのことを示している。あらゆる理不尽な差別・選別、抑圧、首切り攻撃に怒りを燃やし、JRに責任を取らせる闘い、首切り撤回のたたかいなのだ。
労働組合が指名解雇を許すならば、労働者の階級的利益を守ることを目的に存在している労働組合としての自己崩壊であり、階級的死である。だから労働運動の歴史において、労働組合=労働者の仲間のために先頭にたってたたかってきた役員、活動家にたいする指名解雇攻撃にたいして、あるいは会社・資本家に都合が悪い労働者にたいする指名解雇攻撃にたいして、労働組合は組織の総力を上げて必死でたたかいぬいてきたのである。このたたかいでは和解などということは根本的になりたたないのである。確かに、賃上げ闘争なとでは組合要求と資本家の要求が折り合わない場合には、双方から歩み寄った和解という解決が、現実にはありうる。それは力関係よって線引きがおこなわれてきたのが現実である。賃上げ闘争ですら断固たる実力闘争、ストライキで完全勝利、減額解答を引き出した例も多数ある。しかし、指名解雇攻撃にたいして、和解方針=誰々の首切りは認めるが、誰々の首切りは勘弁してほしい、などという方針はなりたたないのである。そんなたたかいは根本的にまちがっているのである。労働組合がそんな立場に立った瞬間、すべて平等に組合員の生活と権利を守るという労働組合の存立の原則は崩壊してしまう。
労働組合が自ら選別して自分の組合員の首を差し出すなどということが、どうして許されだろうか。そんなことをしたら、労働組合とは名ばかりの資本家に都合のよい御用組合になってしまう。
指名解雇とたたかえない労働組合は労働組合としては死を意味する。仲間を見殺しにするような組合は労働組合ではない。まず仲間、組合員の利益のために闘おうとする者が役員・指導部になれなくなる。資本家は自分に都合の悪い者を次ぎ次ぎと指名解雇し、組合を御用組合化するからである。
*1990年 7月17日、JR当局は、清算事業団闘争勝利.地労委命令の履行を求めて実施したこの間のストライキに対し、「出勤停止30日」を初めとする141名の大量不当処分を発表した。JRは、一千名もの清算事業団労働者の首を切ってなおあきたらず、JR総連革マルと手を結びその要求どおりに、今回の処分強行に及んだのである。また、JR当局は合わせて、3・18ストに対し、「損害賠償請求」を行う準備を進めている動向にある。
この不当処分・スト損賠攻撃は、動労千葉と清算事業団闘争の圧殺のみならず、労働者の基本的権利である争議権を否定し、憲法・労働組合法をも踏みにじる暴挙である。
処分の「理由」は、動労千葉のストライキが「ストライキの名をかりて、公益事業の運営を混乱させ、社会的に多大な影響を及ぼすことを企図した違法行為だ」、というのである。まさに、怒りをとおりこして慄然とせざるをえない主張である。しかも、加えてストライキ時に「不当な発言をした」「嫌がらせ発言をした」「職場に滞留した」ことを口実として、これらすべてを「非違行為」として処分の対象としたのである。まさに、労働者に争議権など存在してはならない、清算事業団闘争は手段を選ばずに解体せよ、とする支配階級の意を体現した攻撃である。
しかし、この不当処分のなかに、清算事業団闘争の予想を超えた高揚、動労千葉の闘いと不屈の前進の前に、たち直ることのできない打撃を受けたJR当局の真の姿をまざまざと見てとることができる。
関連論文
● ドキュメント
「90.4.1」を突破した清算事業団闘争
動労千葉 150日間の闘い 「動労千葉」13号
●清算事業団闘争が切りひらいた
勝利の地平
1990年秋 機関誌 「動労千葉」13号
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