4党合意の過ちを再びくり返すのか

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1047名闘争勝利のために訴えます
原点にたちかえって闘おう

 私たちは1047名闘争の当該として、また、この闘いの勝利を心から願う者として、1047名闘争の現状を危惧 し、あえて全国の仲間たちに訴えなければならないときが来たと考えています。この闘いは私たちの闘いであるだけでなく、自らの闘いのように20年間にわ たって闘いを支え続けてくれた、全国の無数の仲間たちの闘いでもあります。動労千葉は、どんな困難があろうとも、解雇撤回の勝利をかちとる日まで、原点に たちかえって闘いぬく決意です。

国鉄分割・民営化から20年。1047名闘争は今、勝利の展望をこじあけることができるか否か、大きな岐路にたっている。
昨年の2・16集会で、初めて被解雇者全員の団結が実現し、1047連絡会が結成されて、国鉄闘争の勝利を願う多くの人々に大きな希望をもたらしたにも 係わらず、その画期的な成果は生かされることなく、それから1周年の今日、1047連絡会は形骸化し、運動全体が「政治解決路線」のワナに落ち込むという 危機に直面している。
「9・15判決があるから、1047名が団結したという形とをり、国労本部とも関係を修復して臨めば政府は動くはずだ」という甘い判断から全てが出発す るようになったのである。だがそれはあまりにも主観的な期待だと言わざるを得ない。むしろ、明らかに情勢や、1047名闘争がどのような関係のなかで闘わ れているのかを見誤っている。

■同じ過ちを繰り返すのか

国鉄分割・民営化攻撃とは一体何だったのか。この20年余りの闘いのなかで一体何が起きてきたのか。もう一度そのことを見すえ直さなければならない。
第二臨調が発足した1981年から民営化までのわずか6年の間に、24万人の国労組織が4万人にまで切り崩されたのである。国鉄分割・民営化は、まさに 未曾有の労働運動解体攻撃であった。1047名闘争はその意図と切り離されたところにあるのではない。それどころか、憲法改悪や労働ビッグバンと称する労 働基本権-戦後労働法制を根本から転覆しようとする攻撃が切迫し、自民党幹部が「参院選の争点は、自治労、日教組を壊滅することができるかどうかだ」と公 言しているのが現在の情勢である。
この20年余りの間、1047名闘争は、政府・自民党に解決を求める政治解決路線が、常に運動の軸であった。またそれは、資本との闘いを本気で組織する ことなく、労働委員会や裁判、ILO等に一面的に依拠するという運動のあり方と分かちがたく結びついていた。清算事業団解雇時の社会党田辺委員会を窓口と した政治解決方針、地労委での勝利を背景とした中労委の場での和解方針、202億スト損倍取り下げと国労会館明け渡しをめぐる自民党との解決交渉等、その たびに一方的な譲歩、主観的な期待・幻想と絶望が繰り返され、原則的な闘いの組織化がネグレクトされてきた。だが政府は、言を左右にしながら、頑として動 かなかった。
その典型が、98年5・28判決に向う過程であった。「政府の動きは積極的」「裁判所も早期抜本的な解決を求めて努力している」「JR内にも健全な労使 関係確立への動きが始まっている」「解決の流れはできた」「勝利判決は間違いない」という浮薄な判断のもとに、「国鉄改革法を承認する」「JRの発展に寄 与する」等の譲歩が次々と表明された。
だがその結果は、東京地裁の5・28反動判決であり、4党合意であった。

■闘いの中で起きている現実

そして今また、同じことが繰り返されている。「闘いは最終的解決局面を迎えている」「国会会期内政治解決」「年内政治解決」「年度内 政治解決」……等、根拠のない主張のもとに、外向けの威勢のいい掛け声とは裏腹に、国土交通省にひたすら「お詫び」を繰り返すような「要請行動」が行なわ れ、JRに「詫び状」が提出され、「統一要求」から「解雇撤回」が引き下ろされた。
今日の2・16集会も、昨年末に開かれた1047連絡会の会議では、1047連絡会主催で開催しようという議論がされていた。ところが、当事者の議論も経ないまま、「政治解決のため」と言って、いつのまにか「4者・4団体」に変更された。
「解決交渉テーブル」を設置する糸口すらつかめていないというのに、あたかも「解決局面」であるかのような幻想を煽り、運動側の一方的な譲歩を進めるようなことを繰り返していたら、どのような結果を招くかは火をみるよりも明らかだ。
しかもJR本体では、昨年末、国労が「健全で良好な労使関係を確立するため」と称して、JR東日本と「包括和解」するという事態まで起きている。61件 の不当労働行為救済事件を、差別され、処分された当事者には何の相談もなしに取り下げてしまったのである。その前の10月には出向協定も締結され、総合労 働協約(JRの場合、就業規則そのもの)まで締結しようというのだ。現場からは「これは和解ではない。土下座だ!」という怒りの声が上がっているとおり、 これは国労の決定的な変質を意味するものだ。
国労本部は「最後に残された課題が1047名問題だ」という。しかし、今回の「包括和解」を見れば、国労本部が1047名問題をどのように見ているの か、どのように「処理」しようとしているのかは明らかである。それは、1047名闘争団の切り捨てに他ならない。

■1047名闘争の位置

1047名闘争の勝利をかちとるために、今こそ原点にたちかえらなければいけない。1047名闘争が日本の労働者と労働組合の未来にとって決定的な位置をもつのは、次の点においてである。
① 今日の労働者への激しい攻撃の原点をなした国鉄分割・民営化攻撃の決着を未だつけさせていないこと。とくに「行革でお座敷を綺麗にして立派な憲法を安 置する」という中曽根の狙いからすれば、1047名闘争は、今日まで憲法改悪攻撃をおしとどめてきた大きな力でもあった。
② 1047名の被解雇者が、様々な困難をのりこえて、20年にわたる不屈の闘いを継続 するという、日本の労働運動史上画期的な地平を築いていること。
③ だからこそ、今も全国の無数の労働者が1047名闘争に自らの未来を託して支援し 続けてくれていること。
④ 1047名闘争は、これまでのナショナルセンター等の枠組みをこえて、現場から広 汎な労働者の共同闘争をつくりあげ、闘う労働運動を再生する中心となりうる闘いであること。
⑤ 憲法改悪攻撃が切迫し、民営化-市場原理が社会全体に貫徹され、闘わなければ生き ることもできない状況に労働者が直面するなかで、1047名闘争のもつ位置はますます大きくなっていること。

■自らの位置を自覚しよう

今、1047名闘争に求められているのは、自らの闘いがもつ重要な位置を自覚し、労働運動の再生を求める全ての労働者の闘いの先頭に たつことだ。政治解決路線への埋没や、 1047名闘争を「処理」してしまおうとする国労本部の対応、闘いが広汎な共同闘争として発展することを妨害している全労連の対応は、自ら闘いの価値を低 め、勝利の展望を遠ざけるだけでなく、労働者の希望と未来への背信行為でもある。政治解決路線は、闘いの主体であるはずの被解雇者や全国の支援の仲間たち の存在と闘いをおとしめるものだ。それのみならず、すでに、幾度も国労本部から煮え湯を呑まされてきた闘争団員から不信の声が上がっているように、 1047名の団結を自らの手で破壊する行為でもある。
何よりも、資本(政府)との闘いを放棄したところで解雇撤回を実現できると考えるのは絶対に間違いだ。実際、1047名闘争の危機は、JR資本との闘いにおける国労本部の屈服-連合化と一体で進行している。
JR本体での業務の全面的な外注化(第二の分割・民営化)攻撃への国労本部の屈服と4党合意の受け入れが表裏一体で進んだように、国労-JR東日本の「和解」と現在の政治解決路線は表裏一体のものだ。
JRの職場では、安全が崩壊し、尼崎事故や羽越線事故、伯備線事故によって多数の乗客やJR労働者の生命が奪われ続けている。設備や検修部門、車掌業務 の外注化に続いて、この4月からは駅業務の丸投げ的外注化が強行されようとしている。だが、国労本部は「労使関係正常化」の名のもとに、職場を襲う激しい 攻撃との闘いを一切放棄している。
現実に進行しているのは「解決局面」どころか、国労の変質・連合化と、その下での1047名闘争の切り捨てに他ならない。

■動労千葉の闘い

一方、この5年間のわれわれの闘いは、検修・構内業務の外注化を阻止し、強制配転者の職場復帰を実現し、レール破断の頻発や尼崎事故 に対する反合・運転保安確立の闘いは、予想をこえた大きな波紋を広げた。1047名闘争の勝利は、JR資本とのこうした闘いと一体でこそ実現するものだ。
JR発足20年を焦点とした「分割・民営化の総決算」攻撃の最大の焦点は、1047名闘争と国労の解体にすえられている。併せて革マル問題も清算しよう という事態が進行している。また、安全の崩壊という形をとって、分割・民営化の矛盾が激しく噴出している。こうした情勢と真正面から対決する闘いを組織す ることなくして、1047名闘争の勝利をかちとることはできない。
1047名闘争に求められているのは、これまでの労働運動の限界をのりこえる新たな闘いの構想だ。それは何か特別なことではない。われわれが、国鉄分 割・民営化攻撃に対し、首をかけて二波のストライキに立ち上がって団結を守りぬいたように、どんなに困難なときにも労働者の団結に依拠し、その力を信頼し て、労働者の階級的団結を発展させることに全ての力を集中することだ。
安倍政権は憲法改悪につき進もうとしている。急速に進む「格差社会」への怒りの声が渦巻いている。「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の闘いや、 激しい民営化攻撃に対する怒りの声が、それに屈する組合本部の制動をはねのけて噴出し大きな波紋を広げている。1047名闘争はそうした怒りの声の先頭に たたなければならない。その中からこそ勝利の展望は切り開かれる。解雇撤回の勝利をかちとるために、今こそ原点にたち還ろう。

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