6・29サミット闘争に向けて③米西海岸を封鎖したILWUの闘いに続け!現場の力がつくった闘い

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ILWUがメーデーストを打ち抜く
イラク戦争を即時中止しろ

新たな歴史の1ページ

5月1日、アメリカ西海岸の29の港がすべて動きを止めた。イラク戦争の即時中止を求めるILWU(港湾倉庫労組)のメーデーストが完ぺきに打ち抜かれたのだ。この闘いは、労働者階級の新たな歴史の1ページを開く歴史的な闘いだった。
「平和なくして労働なし!」「イラク、アフガンでの戦争をやめろ!」「すべての西海岸の港をシャットダウンしろ!」。鮮明なスローガンが誇り高く掲げら れた。アメリカでの全沿岸ストライキはここ十数年なかったことだという。それが戦争に反対する職場からの決起として闘いぬかれたのだ。
この闘いは計画段階からわれわれもともに議論を重ねてつくりあげたものだった。闘いを牽引した「港湾労働者メーデー組織委員会」の共同代表はジャック・ ヘイマン、クラレンス・トーマス両氏だ。そして事務局長がミヤシロさんだ。この5年間ともに闘ってきたわれわれの仲間だ。11月集会を始め、日米双方での 闘いを通して議論してきたことがこうした素晴らしい闘いとなって結実したのだ。われわれも日本の地で何としても階級的労働運動をつくりあげることを改めて 決意しよう。

現場の力がつくった闘い

何よりもこの闘いは、現場の力によってつくりあげられものだったことにその画期性が示されたいる。牽引車の役割を果たしたローカル10は、港湾経営者団体による激しい攻撃によって昨年のメーデー行動が失敗したことを教訓として万全の準備を進めた。
昨年10月には「サンフランシスコ国際反戦会議」が組織された。その場での討議が闘いの合図となった。動労千葉からも代表が参加したこの会議は、ときに 怒号が飛びかう激しい議論になった。しかし、そうしたあいまいさを許さない議論の中から、「今こそビジネスユニオニズム(御用組合)と対決して、戦争を止 めるための職場からの直接行動を組織しなければならない」という訴えが決議されたのである。

港湾部会決議と激しい攻防

ローカル10はこれを受けて、今年1月から2月にかけて開催されたILWU港湾部会の大会に、戦争と占領の即時停止を求めてメーデー にストップワークを行おうという決議を提出し、圧倒的多数の賛同をもって可決された。これはILWU本部の幹部たちを激震させるものだったと言う。
しかも、「採択された決議は公表しない」というILWUの慣習を破って、この決議は直ちにウェブ上に公表され、全力を尽くした現場からの組織化と、ILWU以外の組合への支持の呼びかけが進められた。
港湾の経営者団体は、昨年同様、協約違反として攻撃を開始した。訴訟や国家権力導入の恫喝をもって、「〇月〇日までに全組合員に中止指令をだせ」「ウェ ブサイトを止めろ」等の最後通告を行うという激しい弾圧であった。ブッシュ政権も、プロバイダーに圧力をかけ、メーデーストップワークのウェブサイトを停 止させるという攻撃まで仕掛けた(これは動労千葉からも抗議声明を送り翌日にはで復活した)。

闘いは完ぺきに貫徹された

ILWU本部は逃げをうって全く動かなかった。この行動を取り下げることを表明した上で、個々人がイラク戦争の終結を要求する憲法上の権利を行使することは否定しないという声明を発表したのである。
こうした状況の中、当然にも現場では激しい議論がまきおこった。「組合が戦争反対という社会問題に関与すべきではない」「目前に迫っている6年毎の協約改訂交渉に悪影響を及ぼすのではないか」等の意見をめぐって、徹底した討議が行われたという。
だが、一旦火のついた闘いをおしとどめることはできなかった。サンフランシスコでは、映画館まで「犯罪的なイラク占領に抵抗する港湾労働者のメーデース トライキを讃える」という大きなネオンサインを掲げ、多くの労組が支持を表明するなど、闘いは予想を超えて波紋を広げていった。
メーデーの日、闘いは完ぺきに貫徹された。西海岸29の港湾全てが操業を停止した。サンフランシスコから発せられた鮮明な闘いの提起は、シアトルからサンディエゴまで西海岸全ての労働者の心をとらえたのである。

イラク港湾労組が連帯スト

しかも驚くべきことが起きた。5月1日、イラクの港湾労組が1時間の連帯ストに立ち上がり、同じくイラクの38の労働組合が連帯声明 を発したのである。イラク港湾労組の連帯声明には、「われわれは労働者だけがより良い世界を作ることができるということに確信をもっていおり、あなたがた の行動はその実例であり証左です。社会の中で労働運動こそが政治の現状を人類の利益のために変えることのできる唯一の要素です」と提起されている。
現にアメリカ帝国主義によるイラク侵略戦争を遂行されている状況の中で、その戦争当事国の労働者が国境を越えて連帯し、ストライキに立ち上がるというようなことは、これまで歴史的に全くなかったことだ。
ILWUにとっても予想もしていなかった連帯闘争が起きたのでである。

分断打破し階級的団結を復権

さらにこの闘いは、人種差別を使ったアメリカ国内における労働者の分断攻撃を打破し、階級的団結を回復する闘いでもあった。
闘いのスローガンには「労働者の権利を守れ!移民の権利を守れ!」というスローガンが掲げられ、中南米からの移民労働者(ラティーノ)との連帯が全力で追求され、多くの移民労働者が連帯し、闘いに立ち上がった。これは画期的なことだった。
ILWUの組合員の7割が黒人労働者だが、支配階級の意図的で卑劣な攻撃は、つねに白人労働者と黒人労働者を対立させ、さらには、黒人労働者とラティー ノの移民労働者を分断し、衝突させてきたのだ。黒人とラティーノの分断は、最底辺へと向う泥沼の競争に駆り立てるような分断であった。
これを打ち破ったときに、アメリカの労働運動が爆発的に発展することは間違いない。支配階級だけでなくAFL―CIOなど体制内にどっぷり取り込まれた組合官僚たちは、それを恐れて差別・分断の先兵となってきたのだ。
そしてILWUのメーデー闘争は、階級的団結を回復する鮮明な道筋を全ての労働者の示したのである。

メーデーを復活させた!

また、その大きな契機となったのが、06年の移民労働者のグレートボイコット運動であった。ブッシュ政権による移民法の改悪や移民の 排斥に抗議したラティーノの労働者1000万人が、06年のメーデーに一斉に立ち上がったのである。一切の労働や商店の営業を拒否し、多くの街がその機能 を完全に止め、ゼネスト状態になった。
そもそもアメリカでは、メーデーは「共産主義者の日」と宣伝され、取り組むことができない状況が今日まで続いていた。それが、06年に移民労働者によって劇的に復活したのだ。
今年のILWUのメーデー闘争は、この闘いを受け継いで、アメリカにメーデーを復活させ、全世界の労働者に連帯と闘いを呼びかけたのである。

6・29サミット闘争へ!

われわれもこの闘いに続いて、G8サミット粉砕に向けた闘いを全力で成功させよう。我慢のならない怒りの声がついに爆発し、全世界で労働者や農民、漁民、すべての人民が総決起している。6・29サミット粉砕闘争に全力で決起しよう。代々木公園に全力で結集しよう!

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