尼崎事故/「事故調」が最終報告 JRは直ちに安全対策を行え

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事故調査委員会が最終報告

国土交通省の事故調査委員会は、尼崎事故に関する「最終報告」を確定し今月中にも公表するとしている。新聞報道では、「最終報告」は次のような内容が盛り込まれたものになるという。

1.『日勤教育』が異常運転の心理的な要因になったと判断し、教育内容等の改善を求める。

2.運転士が無線交信に気をとられていたことがブレーキ操作が遅れた原因として断定し、
①無線交信は安全上の必要性が高い場合などに限定する。
②運転士は走行中無線内容をメモしない。
⑨緊急性のない連絡事項は停車駅に文字送信する方法に変える。などして運転士と指令の交信機会を減らす。

3.人的被害を減らす車両構造とすることが必要。

これは、この間われわれがずっと訴え続けてきたことである。動労千葉の主張や、安全運転闘争の正当性を見事に証明するもだ。JR東日本は、こうした主張をすべて否定し、安全運転闘争を「違法争議だ」と言って処分したのだ。改めて怒りが込み上げてくる。

労使一体で腐敗の限り!

安全に関する規制を全面的に緩和し、すべてを鉄道会社の自由裁量に任せてしまった国土交通省も本来は同罪だ。しかしその国交省ですら問題にせざるを得ないほど、JRでは「安全感覚」が崩壊してしまっているということである。
この「最終報告」に向けて、2月1日に尼崎で行なわれた公聴会で、JR西日本は「日勤教育は有用」等、完全な開き直りに終始し、会場からは怒りの声が噴出して、事故調すら「JRの主張は奇異」「もっともらしい言い訳に過ぎない」と言わざるを得ない事態になっている。
さらに問題なのは、公述人として発言したJR西日本の三労組代表が、会社の責任や安全問題に全ぐ触れなかったことだ。遺族の代表はこれを「JR西日本は労使一体で腐敗の限りを尽くしている」と弾劾している。JR東日本でも現実は全く同じだ。
とくに、JR総連・革マルの果たした役割は犯罪的だ。「責任追及から原因究明へという方向を明確にし得たJR東日本の経営幹部は立派だ。世界に冠たる資質をもっている」(松崎の講演での発言)などと会社への全面賛美をうたいあげているのだ。こんなことをやって会社のドレイになり、取り入り、あらゆる合理化を呑み続けた結果招いたのが5人の乗客の生命を奪った羽越線事故である。

闘う労働組合が必要だ!

尼崎事故を通して問われたのは、労働組合でもある。われわれは、不当な処分を受けながら、安全運転闘争を闘いぬき、05~06年度に約80㎞のレール交換をかちとり、07年度も約50㎞が予定されている。幕張構内事故でも、当該の運転士を守りぬいて勝利した。今こそ、反合・運転保安闘争を強化しなければならない。
千乗でも、東労組の組合員がいつ終わるとも知れない「日勤教育」を強制され、その間にクモ幕下出血で倒れるということが起きている。最大の原因はストレスだと言われている。「日勤教育」と関係が無かったと言い切れるのか?
われわれは「日勤教育」の廃止、無線の取扱いの抜本的な改善、軽量化車両・ボルスタレス台車の使用中止等をつよく求めて、さらに闘いを強化する決意である。

●エアセクションでの架線切断事故について
運転士に責任はない

6月22日に発生した、エアセクションでの架線切断事故について、新聞報道では、運転士が、「赤信号に気を取られつい手前に停止してしまった」と述べていることを捉えて、あたかも運転士に責任があったかのような報道がされている。また、JR東日本も、運転士に責任を転嫁して処理しようとしているという。
だがこの事故は、断じて運転士に責任はない。そもそも運転士は、停止信号を確認した場合は、その信号機の50m手前に列車を停止させるのが、定められた基本的な取扱いだ。
しかしここは、「セクション外停止位置」の注意喚起板が、信号機からわずか17mしかなかったというのである。そんな直前まで突っ込んで止まる運転士は居ない。それを強制するとしたら、それ自体が規程に反した危険な行為だ。これは構造的な欠陥によって起きた事故だ。
そもそも、「セクション外停止位置」の注意喚起板など数年前まで無かったものだ。同様の事故が相次いだために設けられたが、その時に団体交渉でも「標識ではなく単なる注意喚起板であり、その位置に止まらなかったからと言って、運転士に責任を問うことはない」というのが会社の回答であった。逆にだからこんなデタラメな位置に設置して平気でいたのである。
そもそも、何らかの異常があって非常ブレーキで停止する場合などは、当然停止位置などかまっていることはできない。エアセクションに止まった場合、架線が切れてしまうなどという構造を放置していること自体間違っている。それを運転士の責任に転嫁するなどもっての他だ。責任転嫁を阻止しよう!

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