安全運転闘争、幕張構内事故闘争の教訓・下 日常的な職場闘争が勝利の土台を築いた

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反合・運転保安闘争路線とは何か
安全運転闘争、幕張構内事故闘争の教訓・下

【6366号から続く】

日常的な職場闘争が勝利の土台を築いた

この間の闘いは、365日の原則的な職場闘争がいかに重要であるのかを改めてわれわれに示した。
何よりも、幕張構内事故闘争が迫力をもったのは、反合・運転保安闘争路線のもとに、レール破断や尼崎事故、羽越線事故という現実に対し、処分や監視・恫喝に屈することなく闘いを貫徹していたからだ。大きな反響をまきおこし、広汎な社会的支持を集めた職場からの闘いがあったからこそ、幕張事故に対するわれわれの闘いが鋭さをもって当局を追いつめたのである。
また、幕張支部が不断の職場闘争を継続し、職場支配権を握りぬいていたことが今回の闘いにとって決定的な意味をもった。闘いの過程で、事故の起きた南引き上げ線への現場からのATS設置要求について、議事録が残されており、それが握り潰されていたことが明らかになったことをはじめ、現場当局が全く把握できていなかった職場の実態や、「一通告・一作業」等、当局自身が定めていた「基本動作」が無視されていたことなどについても一早く組合側が取り上げ、まさに職場支配権を握って、組合主導で、職場からの闘いとして、仕切っていったことが当局を追いつめていった。
毎日25名もの管理者を張りつけて行なわれたその後の職場規律攻撃に対しても、幕張支部は見事な団結をもって、一糸も触れさせることなくはね返した。

第二の分割・民営化攻撃と反合・運転保安闘争

さらに言えば「ニューフロンティア21」以来の攻撃を「第二の分割・民営化攻撃」として真正面から見すえ、とくに、シニア協定の締結を拒否し、検修・構内業務の外注化を阻止して職場と団結を守りぬいてきたこの5年間の職場からの闘いが決定的であった。労働組合が業務の全面的な外注化に積極的に協力することと引き替えに60歳以降の雇用機会を提供するという卑劣な攻撃に対して立ち向かったこの5年間の苦闘と勝利があったからこそ、われわれは安全運転闘争や幕張事故闘争にたち上がることができたのである。
われわれはこの闘いによって、①外注化を阻止し、②それを背景として強制配転者の職場復帰をかちとり、③ついにシニア制度そのものも打破し、④レール交換や危険箇所へのATS設置をかちとり、⑤幕張事故闘争で福田さんを守りぬいて、その後の組織破壊攻撃をもはね返し、⑥そうした職場からの民営化反対闘争を貫徹したことによって国内外の大きな注目を集めて国際連帯を実現する等の成果を実現してきた。
その勝利を支えたのが、反合・運転保安闘争路線である。この過程で組織的危機を深めた国労や東労組と、動労千葉の差をもたらしたその核心にあったのも反合・運転保安闘争路線だ。
この間の闘いでわれわれがつかみとった確信は、原則的立場を守りぬいて反合・運転保安闘争を継続することのなかからこそ、次の新たな展望が生まれるということだ。また、日常的な職場闘争がなければ、一人の組合員を守ることもできないということである。

動労千葉の職場闘争論と反合・運転保安闘争

われわれは、職場闘争とは、本質的に職場支配権を当局が握るのか、組合側が獲得するのかをめぐる闘いであると位置づけ、それに拘り続けてきた。それは、否応なく資本との大変な党派闘争であり、強い目的意識性がないかぎりできない闘いである。そして、敵の弱点・矛盾を突いて、味方の団結を強化・拡大する闘いだ。
「職場支配権」に拘り続けたのは、結局、団結を組織するとは、資本に対する労働者の怒り、社会の全てを動かしているのは労働者だという誇りを組織するということに他ならないからである。職場を仕切ることができない労働者・労働組合は、誇りを取り戻すこともできない。逆に「職場は俺たちが仕切る」と胸を張って闘うことのできる労働者は、社会全体に責任をもち、その変革のために闘うことができる。
だから職場闘争は、日常的に資本・当局によって労働者の中に日常不断に持ち込まれる日和見主義や資本主義を肯定してしまうような思想、あきらめや敗北主義とどう闘って、揺るがない労働者の誇りを組織するのかという悪戦苦闘となる。また、資本の手先となっている組合のダラ幹に対する労働組合の再生をめざす闘いでもある。
反合・運転保安闘争路線と、この職場闘争論は表裏一体で動労千葉の土台を築いた闘いだ。そして、第二の分割・民営化攻撃に立ち向かったこの5年間の闘いは、こうした蓄積の上に勝利したのである。

反合・運転保安闘争路線の新たな可能性

しかもこの間の闘いは、民営化-規制緩和攻撃の中で、競争原理が社会全体に貫徹され、「安全の崩壊」が全社会的問題となる新たな情勢のなかで、反合・運転保安闘争がこれまで以上に大きな可能性をもつ闘いであることを明らかにした。
動労千葉の反合・運転保安闘争が国内はもとより、海外からも大きな注目を集め、波紋を広げている状況は、われわれ自身の予想をこえるものである。
「新自由主義」政策に基づく民営化攻撃が吹き荒れている状況のなかで、これといかに闘うのかが、全世界の労働者の共通の課題となり、動労千葉の闘いが注目を集めているのだ。日米韓労働者の国際連帯の実現等、予想もしなかった闘いの発展がこの過程で生み出された。反合・運転保安闘争が企業の壁をこえ、国境をこえて労働運動の再生をめざす核心的な闘いとして注目を集めているのである。
われわれは、改めて次のことを確認しなければならない。それは、事故を起こした一人の仲間を守るという闘いのなかに、今、労働組合に求められている課題、問われていることが全て含まれているということだ。つまり、
① 吹き荒れる民営化-労組破壊攻撃にいかに立ち向かうのかという課題、
② 多くの労働組合がその現実に屈している現状をいかに打ち破り、労働運動の再生をかちとっていくのかという課題、
③ 労働者が現場で直面している切実な問題をいかにとらえ、それを階級的団結につくりあげていくのかという課題、
───等が、反合・運転保安闘争のなかに凝縮されているのだ。

反合・運転保安闘争のさらなる発展を! 

われわれは第35回定期大会で、「反合・運転保安闘争路線のもとに団結し、第二の分割・民営化攻撃にたち向おう」と、闘いのさらなる発展をかちとるために、原点に返って闘う方針を確立した。
攻撃はよりエスカレートしている。来年4月から始まろうとしている駅業務の全面的な外注化攻撃、運転士を対象とした「ライフサイクル」提案、賃金制度改悪攻撃など、飽くことを知らない資本の利潤追求によって、労働者の雇用・賃金・権利が根本から打ち砕かれようとしている。
運転保安をめぐっても、全職種にわたる業務の外注化(それは鉄道固有の技術力の放棄-さらなる崩壊をも意味する)阻止の闘い、無謀なスピードアップをはじめとした安全に関わる規制緩和の即時中止、多発するレール損傷や車両、電力・信通関係の故障や事故の激発、車両の軽量化・ボルスタレス台車等の安全性問題、抜本的な始業緩和の追及、まともに列車整理もできないような業務遂行能力の崩壊(列車の運行をコンピューターで制御できるという神話がそれに拍車をかけている)に対する追及、労働者への事故責任転嫁反対の闘い等、われわれの前に課題は山積している。安全の根幹が揺らいでいるのだ。
これは民営化・規制緩和と、19年間に及ぶ革マル結託体制の結果行き着いた結果に他ならない。だからこの闘いは、本格的な組織拡大-闘うJR労働運動の再生を実現しなければ、本質的に解決しない課題である。1047名の解雇撤回闘争も重大に岐路に直面している。さらには、革マル結託体制も激しく矛盾を噴出させている。「分割・民営化の総決算」攻撃がJRをめぐる情勢を激変させているのだ。
問題は、資本に対する原則的立場を貫き通すことである。今こそ、反合・運転保安闘争のさらなる強化をかちとろう。

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