JR総連革マルと松崎明

1企業1組合の破産=JR総連の危機
 国鉄分割・民営化攻撃は、当初から動労革マルを手先として、国労、動労千葉を解体しようとする攻撃であったが、動労、鉄労、全施労などは、86年2月に鉄道労連を結成した(89年6月にJR総連と改称)。そしてその使命は、一企業一組合を一日も早く実現することにあった。
 しかし鉄道労連は、JR発足直後の87年春の時点で、すでに鉄労系の脱退騒動をひき起こすなど、最初から寄り合い所帯のお租末さをさらけだした。
 決定的な危機は90年3月の1047名の決起によって爆発した。政府は、清算事業団の雇用対策期限切れー2度目の解雇を前に四度目の広域採用を打ちだしたが、それがきっかけとなったのである。JR総連における革マルの最大の牙城・東労組は、「国労の再採用絶対反対」「ゴネ得を許すな」などのスローガンをかかげて、首切り要求の経決起集会を開き、そのための「スト権確立」を主張し始めたのだ。
  労使共同宣言でスト絶滅を誓ったはずのJR総連が、国労の首切りを要求して「スト」をやるというのである。これを契機に当局や鉄労系とのあつれきが再燃し、91年2月の西労組のJR総連脱退表明を皮切りに、91年5月の西労組分裂、八月の東海労組分裂をへて、西、東海、九州、四国はいずれもJR総連と決別、92年5月のJR連合結成にいたる。
 その彼、JRをめぐっては、JR東海社長葛西の愛人問題をめぐる怪文書の流布、『JRの妖怪』筆者宅への家宅侵入事件、202億円問題接の「国労が亀井に秘密献金」なるデマ宣伝、そして93年から始まり96年に頂点に達する一連の列車妨害事件などの怪事件が続発する。これらは、JR総連の崩壊がこれ以上拡大するのを阻止し、JR東日本における結託体制を維持するための革マルの手による犯行であることは明らかであった。
 
  しかし彼らの牙城東労組にも分裂は波及した。96年には新潟でグリーンユニオンが分裂し、また東労組本部の副委員長以下4名の中執が、組織破壊行為のかどで統制処分されるなどの事態が発生したのである。
 今でもJR総連は、箱根以東のJR東日本、北海道、貨物の3社で第一組合を維持している。しかしその内実は、いつ使い捨てられるとも知れない恐怖に怯え、疑心暗鬼にとり憑かれている状態である。組織内には怒りと不満が満ちており、「平成採」の若い組合員が各地でつぎつぎとJR総連を脱退し、国労に加入するという事態がつづいている。
 このような情勢は、1047名を先頭とするこの間の不屈の闘いによって生みだされたものである。
  今JR体制の矛盾は一挙に噴出しようとしている。99/2ダイ改では、以前に津田沼から東京に移管した業務の一部をなにひとつ理由を説明することもなく戻すということがおき、無人駅に強制配転されていた青年部長が運転職場に復帰したり、内勤業務の欠員を埋めるために動労千葉の組合員を主任職試験に合格させざるを得なくなるなどの変化がおきている。つまりそうしなければ鉄道業務の運営に支障をきたしてしまうところまで矛盾が深まってしまっているのだ。21年間頑張りぬいてしまった結果、矛盾を抱えきれなくなったのは敵の側であった。JRと革マルの結託体制を打倒する大きなチャンスを迎えているのである。

↑革マルの軍事アジトから「社員をなめるなよ。JR東海経営陣は辞任せよ」のポスターが発見。
●葛西攻撃は革マルがやったと証言(94年8月、『宝島』)
 「(葛西JR東海副社長〔当時〕の愛人スキャンダルを追跡取材したのはJR東海労組の有志かと問われ)ちがいますよ。あれはおそらく革マル系でしょう。私はそう思いますよ」「(葛西が)そういうことをやっておいてね、われわれが何らかの手段でその事実を明らかにしようと思うのは当たり前なんですよ」
 「(何年に革マルをやめたのかと問われ)さあ、何年でしょうか。辞令が出ないのでよくわかりませんね。自分が勝手にやめただけのことですから」

↑98年に警察に摘発された革マルの豊玉アジトと同じマンション。ここに松崎側近である林和美(東労組の書記であり現在執行委員)が住んでいた。松崎明と革マルの裏部隊とのパイプ役となっていた人物である。

●元警視総監・秦野章とテレビ対談(87年2月)
 「本来(列車を)走らせるのが本職なんですから、止めるのが仕事であってはいけない。……スト・順法はやりませんと宣言しましたら、あいつは変節漢だ、堕落している、走狗になったと、国労の皆さんや共産党からね、さんざんたたかれましたよ」(秦野からは「同志だ」「よく変節した」と言われる)

●勝共連合機関紙『世界日報』で「スト撲滅が使命」と宣言(87年2月)
 「社会主義を目指すための労働運動……これは完全に間違っていた。これと決別する」  「核はだめだけれど自衛隊はいいという、そういう議論にはならない……自衛隊を認めるんだったら、核だって」  「ストライキをさせない、これは私の使命感ですね」