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有事立法と闘い、これを廃案に

第6回拡大支部代表者会議

有事法制学習会−5・24,26へ


 5月18日、第6回拡大支部代表者会議の冒頭において、今国会に上程されている日本を本格的な戦争国家体制とする有事立法制定攻撃と対決していくために、有事立法学習会を講師に小田原紀雄さん(百万人署名運動事務局次長)をお招きして講演を行った。

有事三法案の全体像をあばく!
 講演でははじめに、有事三法案の全体像が明らかにされ、武力攻撃事態法案とは、有事法制の全体を記した基本法であり、自衛隊の武力行使、米軍の作戦行動への全面協力と自治体や民間・国民の協力義務がうたわれていること、また、自衛隊法の改悪はこの武力攻撃事態法を補強するものであり、安全保障会議設置法の改悪は武力攻撃事態法案での首相権限強化と一体のものであり、この安全保障会議を事実上、国会や内閣の上に置くものだと、その全体像を明らかにした。
 とりわけ、前段で話された武力攻撃事態法案=武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(案)として上程されているが、国民の安全の確保などということは、この案文のどこにも書かれていない異様な法律であること、まさしく一文字も触れられていないものであり、その第三章の武力攻撃事態への対処に関する法制の整備の章では、捕虜の取り扱いに関する措置という項目があげられ、他国の領土のうえで大量の捕虜を確保することを想定していること、又、その義務規定の中では輸送及び通信に関する措置があげられ、国鉄〜JRの労働者にとって、戦争政策との切実な問題となることは必定だとの中身が述べられた。まさしくこの間、日本の自衛隊が言明してきた「専守防衛」から大きく踏み込んだ内容と言わなければならない。
 さらには、この攻撃が97年に締結された新ガイドラインからの継続した意図されたものであること、日米安保新ガイドラインと周辺事態法、そして有事三法案は一体のものであることが明らかにされた。

武力攻撃事態法とは周辺事態法の具体化!
 武力攻撃事態とはどういうものなのか?国会答弁の中では、「武力攻撃事態」とは・・・@武力攻撃が発生した場合、A武力攻撃のおそれのある場合、B武力攻撃が予測される場合であると規定している。つまり有事法制とは「武力攻撃が発生した場合」に備える体制であるとされてきたものが、ここではそれをはるかに越えて、「武力攻撃のおそれのある場合」にも、この「恐れ」を排除すべく先制攻撃をかけることが示されている。
 特に、「周辺事態」なる概念とは地域的概念ではなく、具体化をさけることでその対応範囲を無限定に設定し、有事の恣意的な解釈とその対象領域の拡大を押し進めたものだということが鮮明に展開された。ここでは日本も仮想敵国を作って武力攻撃の矛先とする意図が可能となるという恐るべきものである。具体的にも、新ガイドラインでの領海内を想定したものからエスカレートした先制攻撃法であることが明らかとなり、「武力攻撃事態発生・おそれ・予測」地域として「朝鮮半島」「台湾海峡」が想定される。ここで特に印象に残った事は、「予測」と言ったときに、それは常時だということであり、軍隊は軍隊を守るためのものであり民衆にとっては敵であるとする前沖縄県知事の談話だ。
 そして自衛隊法改悪による出動前の「陣地構築」に関して、戦車を置く場合には土地を約1mのコンクリートで固めるということであり、元通りにはしてはくれないということ。つまり半永久的に使用できないものとなるということだ。家屋の撤去や私有地の強制使用など事後承諾であり罰則規定さえ盛り込まれている。

いまなぜ有事体制か?
 ここでは有事・戦争体制と資本主義の矛盾という観点から講演がなされ、資本主義の小矛盾を突破していくもの、大企業だけが生き残ることが明らかにされ、有事体制を作って海外へドンドン自衛隊を出してくれなければ経済のグローバル化ー生き残りをかけて全世界的に展開してきた日本の大企業・巨大資本が生き残れないということが鮮明にされた。何よりも、新ガイドライン締結直前にあった、「国際秩序ということになると、米国の場合、海外進出企業が地域紛争に巻き込まれても、空母を派遣すれば安泰かもしれない。
 しかし、日本の場合、現状のままだと、個別企業が天に祈るしかない」と発言した牛尾前経済同友会代表幹事の言葉に集約される。特に、われわれ国鉄〜JR労働者にとっては、「輸送及び通信に関する措置」とされる、「2年以内」にそれぞれ法律で整備するとされていること、しかし第8条では、「武力攻撃発生・おそれ・予測」の事態への対処措置を実施する際には、「国民は、必要な協力をするよう努めるものとする」とあるのだ。又、憲法にある私有財産制に国家の側から踏み込んでくるものでもあることが、より一層明らかとされた。

日常的闘いの構築を通して闘いの展望を切り拓こう!
 そして治安法の強化、労働法制の改悪が今次有事体制の一方の側面であること、つまり労働法制からの解体、資金面からの解体を策すものであることが明らかにされ、結論として、労働運動の筋を通しきって絶対に妥協しないこと、日常的闘いの構築なくして闘いの展望がない。権利を通していこうと力強く訴えられた。5・24、26集会へ結集しよう!

 
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