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ブッシュ政権による報復戦争−日本の参戦を許すな!

 9月11日、ハイジャックされた旅客機が世界貿易センタービルとペンタゴン(国防総省)に突っ込み、米国の金融と軍の中枢が壊滅的に破壊され、多数の市民が死傷するという衝撃的な事件が発生した。
 ブッシュ政権は直ちに報復戦争を宣言し、各国にこれに協力するか否を迫って敵か味方かを峻別するという恐るべき軍事外交を展開して、今まさに世界に戦争の惨禍を強制しようとしている。戦争の危機が迫っている。しかもこれは第三次世界戦争の火をつけかねない性格の戦争だ。
 一方小泉政権は、米国への全面的な協力を表明して、特別立法の制定や自衛隊法の改悪等を強行しようとしている。特別立法の政府原案は、武器・弾薬を含む物資の提供や発進準備中の航空機への給油などの項目が含まれ、まさに自衛隊が米軍と一体となって報復戦争を遂行するというものだ。また小泉政権はこれを千載一遇のチャンスとして、この秋の臨時国会で有事立法の制定を強行しようとしている。
 また、すでに臨界点にあった資本主義体制の危機は「9・11」を契機に一挙に噴出し、世界経済は底無しの大不況−大恐慌に落ち込もうとしている。そしてそれがさらに、世界の支配者たちを戦争への衝動に駆りたてている。

 反米同時多発ゲリラ事件とその後の情勢の急展開は、21世紀がどのような時代であるのかを衝撃的に示した。政府やマスコミなどによって、「テロ非難」と短絡的な報復戦争の論理が洪水のようにあおられる状況のなかで、労働者はこの事件をいかに見るべきなのかが問われている。
 われわれは何よりも、なぜこのような事件が起きたのかをこそ問うべきだと考える。そして、その根本的原因と責任はアメリカ帝国主義にこそあるということをはっきりとさせなければならない。
 戦後50数年にわたるパレスチナ−アラブ人民に対する抑圧と大虐殺の数々は、すべて中東・石油支配のためにアメリカがイスラエルを使ってやったことである。1947年、数々の虐殺行為によって 100万人のパレスチナ住民を追い出して強行されたイスラエル建国にはじまり、67年第三次中東戦争による占領地のさらなる拡大、70年のアンマンでの大虐殺、75〜76年のレバノン内戦、82年のベイルートでの大虐殺、87年以降のインティファーダー(民衆蜂起)に対する徹底した弾圧、90年の湾岸戦争など、アメリカはそのすべてに関与してきたのだ。そして今、イスラエルがシャロン体制となって以降、また再びパレスチナ自治区への武装襲撃が繰り返され、それを米国が支援している。
 今問われているのは、安閑としてその事実すら直視しないまま帝国主義の戦争政策を許してしまっているわれわれ自身の責任である。われわれはそうした立場にたったときに、はじめて今回の反米ゲリラ事件を批判することができる。労働者階級と支配階級を区別することなく敵と見なして攻撃を加え、数千名の生命を奪うという手段は明らかに誤りである。このような手段で米国の戦争政策−帝国主義による世界支配を覆すことはできない。米国の戦争政策を止めるのは、米国の労働者の決起なしには不可能なのである。

 破局的な危機に行き着いた資本主義体制は、「第三世界」への支配・収奪の衝動をこれまでになく強めている。とくに軍需産業の利害を代表して誕生したブッシュ政権は、国家の生き残りをかけて、「一方的行動主義」を掲げ、露骨な戦争政策を展開している。133ヵ国が加盟する発展途上国サミットでは、こうした事態を 「侵略的市場原理主義」と呼び、「新自由主義という経済形態によってグローバル化したのは発展ではなく貧困であり、重んじられたのは南側の国家主権の尊重ではなく侵害だった」と激しい怒りの声があがっている。今後あらゆる地域、あらゆるかたちで反帝闘争が激発することは不可避である。そのときに問われているのはわれわれ自身の闘いに他ならない。
 われわれは、ブッシュによる報復戦争と日本の戦争協力に対し、全力を尽くしてそれを阻止する闘いに起ちあがらなければならない。事態は一挙にエスカレートし、まさに戦争の危機が現実化している。ブッシュはこの作戦が大規模かつ長期にわたるものになると宣言し、小泉はこれに協力し、また対抗して、労働者には倒産と失業の嵐、権利と団結の破壊を強制しつつ、「戦争のできる国」への絶望的な飛躍をとげようとしている。まなじりを決して起ちあがらなければならないときがきた。われわれは、戦争に反対する全ての労働者の声を結集し、「聖域なき構造改革」のかけ声のもとに生きる権利を奪われようとしている労働者の怒りの声を結集して、この危機的情勢に全力でたち向う決意である。