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運転保安の危機まねく 武蔵野線乗り入れ反対!

 京葉運輸区の武蔵野線乗り入れを前提にした指導員の線見・ハンドル訓練が、7月6日から始まっている。また、千葉支社の提案では、本線運転士については、8月中旬には机上訓練を終了し、8月下旬からは線見・ハンドル訓練を開始し、12月実施予定のダイ改までに訓練を終了するとしている。
 しかし、京葉運輸区の武蔵野線乗り入れに関しては様々な問題が含まれていることから、動労千葉は申24号を発出し、千葉支社の見解等を求めて7月24日に千葉支社との団体交渉を行った。

京葉線は発展しているから担当 〜千葉支社回答〜
 まず、武蔵野線への乗り入れに関する見解を求めたことに関して千葉支社は、@京葉線は首都圏で発展しているエリアであり、さらに、昨年12月ダイ改での武蔵野線の海浜幕張折り返しでは、多数の乗客が利用している、A京葉線と武蔵野線についてはセットで考えられる線区である、B武蔵野線を担当している八王子支社では、海浜幕張折り返しなどで業務が増えているが、一方千葉支社では運転士の余裕がある、C東京ディズニーランドの拡大(ディズニシーの営業開始)などもあり、千葉支社としては乗り入れ線区の拡大を行うほうがよいとの考え方から今回の武蔵野線への乗り入れを行うこととした、との見解を明らかにしてきた。

2週間に1回、6行路程度担当
 また、現在千葉支社が予定している武蔵野線の行路数としては、2週間に1回は乗務できる行路数を考えており、京葉運輸区では2組5段で交番順序が組まれていることなどから、6行路程度を担当することで現在検討を進めていること、乗務員運用を行う場合には京葉線と武蔵野線の「込み運用」は行わない、との考え方を明らかにしてきた。

担当線区の拡大は事故の要因に
 こうした千葉支社の回答に対して動労千葉はからは、武蔵野線への乗り入れが運転保安上も非常に重大な事態であることを明らかにしてきた。
 第一に、現在京葉運輸区では、京葉線、内房線(千倉)、外房線(安房鴨川)、東金線の5線区を担当しており、車種も緩行(10両)、快速(同)、特急(8・9両)と多数にわたることなどから、これ以上の線区の拡大は事故を招く要因になりかねないということだ。
 国鉄当時からの経緯でも、総武緩行線の担当については、千葉運転区が持ってい行路を津田沼電車区(当時)に、快速等については千葉運転区に統合することで、多線区・多車種を担当することに伴う運転士の疲労を緩和し、事故を減らすという運転保安確立の観点から進められてきた。しかし、今回の京葉運輸区の武蔵野線乗り入れの問題は、安全を確保するというこうした考え方を否定するものだ。

現場ではほとんどが反対の声
 第二に、京葉運輸区ではこの間、事故が多発している状況であることから、ベテランや若手を問わず運輸区に所属する運転士のほとんどが武蔵野線への乗り入れに反対しているという状況があるということだ。職場の中では、どうして事故が増えるようなことをやるのか、という話題で持ちきりになっている。
 しかも東労組の職場集会では若手からの反対意見が続出し、最終的に決を取ったら役員以外全員が反対に手を挙げるという状況にまでなっている。
 さらに、武蔵野線自体が非常に事故の多発している線区であり、この点に関しては千葉支社も「事故が多発している線区であることは認識している」と回答せざるを得ない状況だ。
 また、車両の関係でも、京葉線は10両だが、武蔵野線は8両での運転となっており、ブレーキ位置や扱い方なども異なるなど、運転保安上重大な問題を含んでいるのだ。

乗り入れるためには条件がある
 動労千葉は、こうした問題を提起した上で、現状での武蔵野線への乗り入れについては重大な問題があり、乗り入れるための条件も全く整備されていないことを表明した上で、武蔵野線に乗り入れる場合には、以下の条件が最低でも必要であることを明らかにしてきた。
 ひとつには、京葉線が現在担当している行路について、94年12月ダイ改で京葉運輸区に移管した特急行路については館山運転区、鴨川運輸区に移管し、東金線については千葉運転区の担当とするなど、運転士の負担をできるだけ軽減すること。
 ふたつには、京葉運輸区が武蔵野線へ乗り入れる場合でも、全線への乗り入れではなく、東京〜西船橋間に限って乗り入れること。
 みっつには、京葉線の行路の持ち方について、東京で担当している行路の内ある程度を京葉運輸区に移管し、東京で武蔵野線を担当するという手法も追求すべきだ。
 こうした動労千葉側の主張に対して千葉支社は、「現場の声を考えないわけではない。しかし、現在のところ12月ダイ改での運用を行いたい」との回答を行なうなど、現場を全く無視した姿勢を示し、あくまでも武蔵野線全線への乗り入れを行うという考え方を変えないとの回答を行ってきた。
 動労千葉は、こうした条件等が整備されない中での武蔵野線への乗り入れは運転保安上も非常に危険であり、危惧の念を抱かざるを得ないことを表明し、団体交渉を打ち切った。