木更津派出で発生した信じられない車両故障の実態

一体これはどうなってるんだ!
外注化による技術力の低下ーコスト削減による予備品の不足
木更津派出で発生した信じられない車両故障の実態

誰も知らない機器が付けられたDC出場車
昨年来、木更津派出において運転士と車両技術係との間で次のような会話が行われた。
運転士 この間、出場したキハ38車両(気動車)だけど、ワイパーのツマミを少し動かしたら途中で止まってしまった。動きが違うなと思って覗いたら、形式が違うようで、扱い方がよく分からなかったんですが。
車技 そう言えば、ツマミが新しくなっていたので、工場で直したと思っていた。付いているワイパーが違う?今は2種類使っているんだけど?見てみます。
 その後、車両を確認したところ、現在使用されている「WP35」「WP50」ではなく「KW501」というワイパーが取り付けられていた。助役に確認すると「聞いていない」という回答であった。
 出場からすでに10日も経っているのに、誰にも知らされていなかったのだ。故障が出ていたら大変なことになっていたということだ。「予備品を早急に手配しないとダメだ」というやり取りが続いた。
 その後、本社の文書をFAXで送ってもらったところ、6月25日付で、「(既存のワイパーについては、製造が中止されているため)代用品との交換であり、車両構造の変更にはあたらないこと、実施にあたっては現場と調整のうえ行うこと」という指示が郡山工場宛に出ていたことが判明した。
 しかも、驚くべきことに、この「代用品使用」という重大なことが現場の誰にも知らされていなかったのだ。さらにその後も、代用品の予備を購入するにあたっても、工場と現場(幕張車両センター)どちらで購入するのかでしばらくもるなど、開いた口がふさがらなかった。

ない、ない、ないぞ!予備品がないぞ!
 こうした予備品不足の状況は、DC(気動車)だけではなくEC(電車)でも同じだが、とくに新系列以外の車両の部品はすでに製造されていないため、予備品が全くないため、業務に重大な支障を来している。例を上げれば次のとおりだ。
◆気動車の放送ジャンバー
 現在、車両についている放送機器は製造していないために違う形式の機器が送られてくる。しかし端子部分が違うために使用できない。
◆車両の尾灯用LED
 老朽化の影響で部分的に切れていることがあるが、昼間帯の検査では点灯しているのかほとんどわからない。交換しようにも予備品がない。
◆キハ38車両乗務員室ラッチ錠
 予備品がないため工場からは代用品が送られてくるが、5mm程のズレがあるため使用できないといわれている。
 また、変速機保護回路等が入っている配電盤の錠がないため、工場に同じ錠や配電盤部分の図面を早急に現場に送るように依頼している現状がある。
◆油ラジエーター
 油漏れ等で工場に修繕に出すが修理不能の物もあり、現場で購入しないと在庫が僅少となる。そのため、現在の在庫は1台で、少し油漏れのあるラジエーターでも使用せざるを得ない現状にある。
◆機関予熱機
 予熱機は2つのタイプがあるが、工場に修繕に出した際に使いまわしをしているため、送った物と違うタイプの予熱機が戻ってくることがある。そのため故障時に交換できないことがあり、車両の振替で対応している。

 こうした予備品不足の原因には、たしかに部品の製造中止もあるのだろうが、工場の物品部門の外注化とそれによるコスト削減や、以前は損品を修繕していた技術者の技術が継承されていないなど、技術者の不足があると考えられる。予備品がないという状況に対して現場は労働者の誇りと根性で検修作業をどうにか回しているのだ。

回着2日目ー4往復でパンクした変速機!
 一方、出場車が直ぐ故障するという状況がどこの現場からも聞こえてくる。
 木更津派出でも、出場後、ダイヤに組み込まれて二日目の車両で変速機がパンクした。934Dで上総亀山を発車する際、逆転機が入らないとの連絡があり、一車両を不動にして木更津駅到着後、臨時入区となった。調べると、エンジンが停止しているにもかかわらず推進軸がかみ合って動かない。そのため歯車の位置を補正する補助かみ合わせが有効とならず、逆転機が入らないと状況だ。
 故障の原因が変速機側にあることが疑われたため、エンジンをかけたところ、驚くべきことに変速機が入っていないのに推進軸が高速で回転したのだ。試しに電磁弁のタメシピンで確認したところ、変速側は正常油圧に戻るが直結側では液体変速機油圧が0になってしまい、上昇してこない。全く機能していないのだ。使用されている変速機は湿式のDF型変速機(油圧で制御するコンバーター)のため、クラッチに焼きつき防止の潤滑油が回っていること、現在の車両には変速機保護回路が組み込まれているため到底考えられない事態であった。以前の乾式(ピストンでクラッチ盤を操作する変速機)でのクラッチ焼きつきと似たような故障で変速機がパンクしたのだ。思わず、「何だこりゃ!」という言葉がが出てしまう故障だ。
 全般検査で入場した車が、たった2日間しか営業運転できないというとんでもない状況だ。現時点では、その故障原因は特定できないが、いまだかつてなかったことが起こっているということだ。
 また、車掌スイッチを扱っても全車両のドアが開かないという事態が、出場車で続けて発生した。原因は、車掌スイッチ内部の押しボタンで押し上げられるコロ腕が片方しか上がらず、そのため回路が構成されなかったことによる。しかし、付いていた車掌スイッチは新品であったのに、こうした重大な事態が発生している。

外注化とは安全を食い潰す「害虫」に他ならない!
 こうした出場車の故障の背景には、間違いなく工場で進められている外注化の問題があることは明白だ。
 現在でさえ、異常な車両故障が多発する事態が進んでいるにもかかわらず、JR東日本は検修・構内全面外注化の強行にむけて、今また水面下で動きはじめている。今のような状況に外注化がふりかかればどうなるのか!まさしく車両の安全は土砂崩壊する。
 外注化は安全とは相容れない。車両職の矜持にかけて、検修・構内全面外注化攻撃を阻止する闘いを継続しよう!