2003年12月23日 JRの使用者性を否定し、中労委命令を覆す最高裁判決

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最高裁第1小法廷の政治的反動判決を弾劾する

(1)

12月22日、最高裁判所は、JR採用差別事件の中労委命令をめぐって争われてきた4件の行政訴訟(国労事件3件と全動労事件1件)について、JRの使用者性を否定し、中労委命令を覆す反動判決を下した。この判決は、国家ぐるみの不当労働行為を居直り、真実を隠ぺいする政治的反動判決であり、一〇四七名の血のにじむような闘いと正義を踏みにじる歴史的暴挙である。われわれは満腔の怒りを込めて、この反動判決を弾劾する。

(2)

判決は「国鉄改革法は、職員採用について国鉄と(JR各社の)設立委員の権限を分離して規定しており、JR各社はその責任を追わない」と言う。しかし、JRの設立委員には杉浦国鉄総裁が就任するなど、採用差別事件が、政府・国鉄・JRが一体となって強行した、国鉄労働運動解体のための国家的不当労働行為に他ならなかったことは、何人も否定することのできない事実である。ところが最高裁は、「改革法が規定する法律関係の下においては(JRは)使用者ではではない」「企業者には採用の自由がある」などという形式的暴論をもって黒を白と言いくるめたのだ。

(3)

最高裁判決は、一〇四七名闘争と国鉄労働運動の解体に向けた国家権力の意志に貫かれた、裁判の名にあたいしない政治的偽善である。
また、この判決は、労働組合法と労働委員会制度そのものを否定するに等しい重大な挑戦でもある。最高裁は、全ての地方労働委員会、中央労働委員会が一致して認定したJRの不当労働行為責任を一刀両断のもとに斥け、労組法7条の使用者性の法理、不当労働行為救済の法理を排訴した。
この判決には、国鉄闘争のみならず、労組法と労働委員会制度、労働者の団結権を解体し、イラクへの自衛隊派兵をもって戦争につき進もうとする小泉政権の意図が貫かれている。04年の通常国会への上程が画策されている労働組合法の改悪や、有事体制を完成させようとする策動とも期を一にした重大な攻撃である。

(4)

だが、反動の極致というべき最高裁ですら、真実を完全に無視することはできなかった。5名の担当裁判官のうち裁判長を含む2名は、この判断に対し、「あまりに形式論にすぎるものといわざるを得ない」「国鉄改革法の国会審議を軽視し、国民の国会審議に対する信頼を損なうもので、到底容認できない」「JR各社は使用者として不当労働行為の責任を追う」とし、不当労働行為の実態について更に審理するために「本件を原審に差し戻すべきである」という反対意見を述べざるをえなかったのである。
あまりにも明白な事実の前に敵の側にも亀裂が生じ、一枚岩にはなれなかったのだ。12・22最高裁判決から透けて見えてくるのは、一〇四七名闘争の不屈の闘いの前に追いつめられた小泉政権の姿である。

(5)

改めて言うまでもなく、国鉄分割・民営化攻撃は、総評-戦後労働運動の解体を狙った極めて大がかりな攻撃であった。今日まで不屈の闘いが続くなど誰が予測しえただろうか。
政府・自民党はその後も、4党合意-3与党声明、国労臨大闘争弾圧等、究極の国家的不当労働行為と呼ぶべき手段を使って国労の変質と一〇四七名闘争の解体を迫ったが、結局闘いを潰すことはできなかった。そして闘いは12・22判決によって、国鉄分割・民営化攻撃の原点に戻ったのである。闘いはこれからだ。一片の反動判決で17年間貫かれた闘いを潰すことなど絶対にできない。
大失業と戦争の時代が到来し、労働者の怒りの声は地鳴りのように響いている。JRとJR総連の結託体制も矛盾を噴出させている。一切は力関係によってしか決まらない時代が到来している。
われわれは、闘いの原点にかえり、全ての労働者の未来をかけて反動判決を弾劾し、あくまでも政府と国鉄-JRの責任を追及して新たな闘いに起ちあがる決意である。12・22を新たな怒りの日として起ちあがろう。

2003年12月23日  国鉄千葉動力車労働組合

国労臨大弾圧被告8名の仲間たち
ついに保釈かちとる 12/22

12月22日、国労臨大での本部執行部や代議員に対する説得行動を理由として不当逮捕されていた国労の8名の仲間たちがついに保釈された。これは、完全黙秘・非転向で闘いぬいた被告8名と家族、弁護団、「許さない会」をはじめとした全国からの支援の力でかちとった大きな勝利だ。

改めて腹のそこから怒りが込み上げる!

だが、逮捕から1年2ヵ月の長期にわたる不当拘留に改めて怒りが込み上げてくる。

自らの大会で、「解雇者を切り捨てるな」と必死の思いで訴えたことがなぜ逮捕の理由となるのか、なぜそのことによって1年2ヵ月もの長期拘留を強いられなければならないのか。まさに団結権そのものを否定する理不尽極まりない不当弾圧だ。

われわれはこれを、われわれ自身にかけられた不当弾圧だと受けとめた。否、これは全ての闘う労働者にかけられた不当弾圧だ。われわれは改めて、全被告の無実・無罪をかちとるために、全力で闘いを強化する。そして何よりも同日だされた最高裁の不当判決をはね返し、一〇四七名闘争の勝利をかちとるために新たな闘いを開始する。

国労本部と警視庁が事前に謀議・計画!

しかも公判のなかでは、国労本部と警視庁公安部が結託して事前に謀議・計画してビデオを撮影していたことが明らかとなっている。また公判で上映された現場を撮影したビデオのなかには、酒田現国労委員長が公安刑事に携帯で電話して「逮捕できないもんですかねぇ」「110番したんですけどね、ちょっと見ているだけなんですよ」と話している声が鮮明に録音されている。国労本部が自らの組合員を警察に売り渡すために仕組んだフレーム・アップだったのである。

しかもその国労本部は、JR採用差別事件の最高裁を受けて、「闘争終結宣言」をしようとしているというのだ。断じて許すことはできない。

12月22日19時からは東京で、出獄してきた仲間たちを迎え、「保釈奪還歓迎会」が開催された。闘いはいよいよこれからだ。8名の無罪と一〇四七名闘争の勝利をかちとるためにさらに闘いを強化しよう。

アメリカからのメッセージ

「コクロウ・エイト」を支持する全てのみなさん!

「コクロウ・エイト」がついに保釈をかちとったことを聞き、私たちはとても嬉しく思っています。

この弾圧が、政治的フレーム・アップであり、日本の労働運動全体に対する攻撃であることは明らかにとりました。この兄弟たちに対するすべての訴訟を取り下げさせる皆さんの闘いと連帯します。私たちは、日本の鉄道労働者への解雇攻撃と対決する皆さんの闘いと共に闘います。

日本および全世界の労働者と団結することの必要性をアメリカの労働組合活動家たちに伝え、理解してもらう努力を続けていきます。連帯を込めて。

2003年12月23日 スティーブ・ゼルツァー(タフトハートレイ・抑圧・民営化反対運動)

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