第46回定期大会に向けて 改憲情勢が生み出した連合の崩壊と分裂

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 連合(686万人)が揺らいでいます。新聞でも大きく報道されたように、逢見直人事務局長、村上陽子総合労働局長を中心としたごく一部の幹部が、安倍政権と「残業代ゼロ法」を容認することを合意しようとしたことに対し、組織内から反対の声が噴出して、その合意は、内定していた逢見次期連合会長人事も含めて、白紙に戻されました。官邸と秘密裏にこの合意が進められていたことについて、神津会長すら直前まで知らされていなかったと言われています
 これは、残業代ゼロ法をめぐる連合の内部対立というレベルの問題ではありません。背景には、第1次安倍政権の時から全力で進めていた《連合の改憲推進勢力化》があります。安倍政権は、UAゼンセン(逢見は同労組の前会長)を連合最大の労組に育成することによって、連合を現代の産業報国会に再編しようとしているのです。しかし安倍のあまりの強引で軽薄なやり方で、いったん破綻したということなのです。
 UAゼンセンは、「主権国家の防衛を考えるとき、単純に、徴兵制はとらない、とうたうことは、『自らは戦わない』と表明することになる」と徴兵制を主張し、安保法制にも、9条改憲にも賛成している労働組合です。「人権及び国民運動」として拉致家族支援運動と北方領土返還要求運動を掲げています。
 UAゼンセンは、元々は繊維関係の産別組織に過ぎなかったものが、安倍政権の下で、化学、食品流通等を吸収して160万人の組合員をもつ日本最大の労働組合になりました。資本に話をつけてユニオンショップ協定(労働者は必ず労働組合に加入し、労働組合を脱退したら会社も解雇)を結んで、従業員を丸ごと組合員にしてしまうというやり方で組合数がどんどん膨れ上がっていったのです。大企業の正社員を組織する伝統的な連合労組ともタイプが違い、組合員の半数が非正規職で女性です。改憲とか戦争政策に賛成するだけでなく、非正規職労働者の反乱を徹底的に抑えつけることを使命としているのです。

“官公労と決別し、連合を分裂させよ”

 2014年11月3日の産経新聞に櫻井よしこは「美しき勁(つよ)き国へ」と題した「UAゼンセンよ、官公労と決別し、連合を分裂させよ」という一文を載せました。櫻井は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の共同代表で安倍のブレーンあり、安倍政権そのものの意見です。櫻井は地方などでは旧総評の運動(日教組、自治労の平和運動など)が根強くあることにいらだって「分裂させよ(追い出せ)」と言っています。
 その後もUAゼンセン会長の逢見と安倍首相が官邸で秘密会談をした(2015年6月24日)ことが暴露されるなど、安倍政権は、これほど露骨にUAゼンセンを資本の手によって育成し、連合の中に手をつっこみ、現代の産業報国会に変質させようとしているのです。それは、労働組合に改憲賛成の旗を振らせるためです。
 「憲法改正論議は時期尚早」というのがこれまでの連合の見解でした。憲法9条改憲を国民投票にかけるためには、もうそんな中途半端なことは許さないと考えているのです。逢見と秘密裏に手を組んで、もうひとつの改憲攻撃である「働き方改革」=労基法の最後的解体に乗り出したのも同じことです。

階級的労働運動復権の好機

 1987年、中曽根元首相は、「国労をつぶせば総評・社会党もつぶれる。お座敷をきれいに掃除して立派な憲法を床の間に安置する、これが目的だ」と言って、国鉄分割・民営化を強行しました。そして総評は解散に追い込まれ連合ができました。日本の労働運動は一旦打ち砕かれたと言っても過言ではない状況が生み出されました。しかし、今回の事態が改憲・戦争のための攻撃だということは誰の目にも明らかです。
 産業報国会、朝鮮戦争前、国鉄分割・民営化、そして今回。ナショナルセンターの再編は、日本では戦前を含めて4度目です。改憲情勢が生み出した歴史的な事態です。安倍政権の改憲攻撃の渦中で、もう一度労働運動をめぐる歴史的な勝負のとき、階級的労働運動を真に復権する決定的な好機が訪れています。
 労働運動の変革をめざし、第46回定期大会の成功をかちとう!

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